ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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DISSOLVE STORY
日時: 2009/12/28 21:03
名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)

二度目の小説消失しました。
今度は荒しが来た原因だと思います。
尚、バックアップ出来るので再生します。
七魔将の土属性が追加されていたので載せます。

小説の名前の提案は架凛様です。
(↓は架凛様のスレです。)
>> http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=3274


キャラクター紹介

名前「キース・アンバート」(名前提案:架凛様)
性別「男」
年齢「15」
武器「双剣→剣(サーベル系)」
容姿「赤髪に琥珀色の瞳、服装は黒シャツに灰色のズボン。」
性格「冷静・冷酷(ファーナ対面後、冷酷さがなくなっている。)」

キースイラスト>> http://image-bbs.webclap.com/practice/up_img/1260536781-73999.jpg
(イラスト制作者:菜月様)

名前「ファーナ・クレアス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
武器「(後に発表)」
容姿「セミロングの緑髪に青色の瞳、服装は青い服に白いズボン。」
性格「明るく優しい」

ファーナイラスト>>http://files.uploadr.net/554d816e21/002.JPG
(イラスト制作者:雪梨様)

名前「ミルド・シェトリス」(名前提案:架凛様)
性別「女性」
年齢「12」
武器「メイス」
容姿「腰まである銀髪に蒼色の瞳、服装は黒と紫のローブ」
性格「仲間になる以前は非常に攻撃的であったがキース達と一緒に行動するようになってから穏やかになっている。」


名前「リア・ライトネス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
容姿「桜色のお下げ髪にエメラルドの瞳、服装は黒のチュニックワンピース。」
性格「陽気で明るい。少々強気。」

リアイラスト>> http://d39.decoo.jp/data/4/46924/4b37fcd451c47.jpeg
(イラスト製作者:卍樹愛様)


名前「ゼファー・アラウンド」
性別「男性」
年齢「21」
武器「長剣(グラディウス等)」
容姿「ソリッドアッシュに青色の瞳、服装は白いコートに黒のシャツ、茶色っぽい長ズボン。」
性格「冷静で時には冷酷。」

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episode03「半機械人ファーナ」 ( No.4 )
日時: 2009/12/28 21:09
名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)

これが半機械人の娘……」

セミロングの茶髪をした少女が人が一人入れるカプセルの中で眠っているのを見たキースは装置の前に立って確かめる。
装置のボタンを一つ押すと小さいモニターに電源が入りカプセルの図と文字が出てくる。

『CAPSULE-24型、保存:ファーナ・クレアス』
「人間用の回復カプセルか、そしてこの中に入っている奴はファーナと言うのか……」

カプセルの図と文字を見ながら、キースはカプセルの中で眠っている少女ファーナを見た。
小さな機械音が室内を響き、次々と小さいモニターに映し出される。

『種族:半機械人(ハーフヒューマノイド)
 年齢:14』
「半機械人と言うのは分からんが、エスタ調査隊にとっては大事な奴らしいな……」

『半機械人』と言う言葉に目を細める。
表示されていくモニターを見ていると……

「う、う〜ん……」
「!!!!」

キースが操作している装置のスピーカーら声がし、一瞬剣を抜こうと剣の柄を握る。

「誰だ……?」
「ここ……変な所の……」

スピーカーから少女の声がし、キースはカプセルの方へと顔を向けた。
眠っていた筈の少女ファーナが目を開けて緑色の液体に包まれながらも話を掛けていた。

「誰なの?」
「俺の名はキース。機械人(ヒューマノイド)だ。」

少女ファーナに名を尋ねられ、自分の名を言うキース。

「へぇ〜、キースって機械人なんだ……パパとママはいないの?」

少女ファーナの問いにキースの頭の中は真っ白になる。

(何を言ってるんだ?機械人に両親はいない。アイツは知らないのか?)
「……?」

機械人に親はいない。
機械人は開発者によって作られ、人間の奴隷として生まれた存在。
まともに働かなければ捨てられ、人間に馬鹿にされる。
機械人に“過酷”と言う者は人間に一切いなかった。
だからこそ、機械人は人間を恨むのだ……

「俺は機械人だ、両親はいない。」
「そうなんだ……私ね。パパが借金して売られたんだ……それでね……」

少女ファーナが自分の事をキースに話そうとする。
キースは無視するかの様に装置に寄り、カプセルの扉を開けるレバーを引いた。
途端、カプセルの扉は奇妙な音を立てて開く。

「えっ、あ、キャア!?」

突然の事に少女ファーナは緑色の水と共に外に出る。
回復用の水で服や髪は濡れてなかった。

「お前は外に出たいか?」
「外の世界に?」

少女ファーナはキースの言葉に首を傾げながら問う。
キースは無言で頷く。

「うん!外に出たい!今まで出た事がなかったから!!」
「そうか、所でお前の名前は?」

知っていながらも目の前にいる少女に名前を尋ねるキース。

「私はね、ファーナ・クレアスだよ。」
「そうか、ファーナ。外の世界に行きたければ、俺に付いて来い。」
「うん!!」

満面の笑顔で首を縦に振るファーナ。
二人は室内を出ようと扉を開けると……

(ヴー!ヴー!!)

「わ!何々!綺麗だよ!!」

キースは事態を分かっているが、ファーナは何も分からなかった。
通路や実験室を照らす赤い光と耳に響くサイレン。
その二つが侵入者が入ってきた時になる事を……

(グオォォォ!!!!)

サイレンの音を掻き消す程の獣の様な咆哮が響いた。
咆哮を聞いたファーナはビクッと体を震わせながらキースの後ろに隠れる。

「こ、怖い……」
「安心しろ……」

そう言って慎重に赤く明るい通路を歩く二人。
キースは自分がこの中に入った場所の入り口へと向かう。
急いで中を抜け出そうと走る。
入り口が見えて来て抜け出そうとする寸でに入り口のシャッターが閉まってしまう。

「と、閉じちゃった!どうしよう……」
「こっちだ……!」

慌てるファーナの手を引っ張り、すぐ近くにあるドアを開けて入る。
そこは広間になっているがキースは中に入ったと同時に殺気を感じて剣を構え、殺気が発する方に剣を向けた。

(ガアァァァァ!!!!)

殺気のする方に顔を向く、そこには白目で人が皮膚を剥がした様な体をした怪物が檻の中で鉄格子を掴んでいた。。

「コイツは一体……?」

両手に小型剣二刀持ったキースは謎の怪物に剣を向けてジリジリと距離を詰める。

(ウガアァァァァ!!!!)

謎の怪物は咆哮を上げて鉄格子を壊し、片手に鉄格子を棒の様にして持った。

「なっ……!」
(グオォォォォ!!!!)

謎の怪物は咆哮を上げながら、片手に持っている棒へと化した鉄格子の一本を振り上げてキースに襲いかかった。

(っ……!)

振り下ろされた棒を交わすものの左腕を掠めて血を流すキース。
機械人と言えども人間の様な作りであって血を流す。
一瞬走る痛みに耐えながらもキースは両手にある二刀の小型剣を怪物の脇腹に両刀への一撃を与えた。

(グガアァァァ!!!!!)

怪物は斬られた脇腹から血を流す。
しかし、悲鳴の様な物を上げながらも怪物は片手の棒をキースに振り下ろす。

「フッ……!」

キースは飛び上がって怪物の後ろに着地し、持ち前の速さで怪物に斬撃を与える。
怪物の背中から血が流れるが、それでもキースに棒を振り下ろした。

(コイツは何なんだ……!弱点がないのか?)

怪物の攻撃を避けながら弱点を探すキース。
キースは怪物の顔を見て、何かを思い出した。

(攻撃が聞かないのなら、首を切り落とす。)

怪物の首を斬り落そうと考えたキースは怪物の攻撃を避けて首に左手の小型剣で斬り落そうとした。
その時、銃声が鳴り、怪物の脳天に穴が開くと同時にキースの剣が怪物の首を斬った。
怪物の首は地面に落ち、転がる。
キースは銃声のした方に振り向いた。

「ふぅ、やはり……ここにいましたか……」

医者が手術する時の恰好をしている男性がそう呟いた。
怪しい赤い瞳が煌めいていた。
見えるのは目だけで顔は完全に見えなかった。

「誰だ?」
「あぁ、これは失礼。私はガディウスと言います。エスタ帝国のエンジニアです。」

キースに睨まれて問われながらもガディウスは自分の名を語った。

「いや〜、随分前に探していたんですよ……」

ガディウスは手を頭に回して笑いながらキースに言うが、ファーナに顔を向けるとき、冷酷な瞳をした。

「ファーナ、研究所から抜け出すなと言ったはずだろう?」
「え、あの……その……」

ガディウスに睨まれてオドオドするファーナ。
ファーナの目は恐怖に満ちていた。

「お仕置きは何がいいかな?電流?それとも鞭かな?」
「ご、ごめんなさい!許して!!」

冷酷な瞳で睨まれて更なる言葉を言われ、ファーナは必死に懇願する。

「駄・目……」

ガディウスの言葉は残酷だった。
ファーナに近づこうと歩き出そうとした途端、キースがファーナの前に立った。

「待て、お前に話がある。」
「話ですか?」

キースの言葉にガディウスは首を傾げた。

「あの怪物は何だ?人間と同じ様だが明らかに違う。」
「ほぅ、あれですか……あれは私達《デアボラスタ》が作った機械人(ヒューマノイド)ですよ。」
「ヒューマノイド……あれが?」

ガディウスの話を聞いたキースは驚き始めた。

「えぇ、でもこの機械人は正直言って……」

突然不気味な笑みを浮かべながら、小さい笑い声出すガディウス。

「はっきり言って塵なんですよね。エスタ帝国の皇帝陛下が戦闘特化した機械人を出せとの勅命があったのですがね〜。」
「何だと……?」

ガディウスの言葉にキースは怒り震う。

「拒絶反応を起こしてしまうんですよ〜。それに自動にしたって7割で死んでしまいますし……丁度、いい機械人を見つけましたよ……」
「黙れ……」
「は?」

キースの言葉にガディウスは首を傾げた。
機械人の事を悪く言った事に怒ったキースは両手二刀をガディウスに向けた。

「貴様等人間がいるから、俺達機械人は何時まで経っても幸せが訪れないんだ!!!!」

怒りに満ちた叫びがサイレンを掻き消した。

episode04「vsガルディス」 ( No.5 )
日時: 2009/12/28 21:11
名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)

「あまり、暴れないでくださいね。出来れば上出来に仕上げたいので……」

ガディウスは懐から武器代わりにメスを二本両手に持つ。
怪しい動きをしながら、構えるガディウスを警戒しながら二本の小型剣を両手に持ってファーナを庇うように構えるキース。

「き、キース?」

ガディウスに怯えているファーナは恐る恐るキースに声を掛けた。
キースは怯えているファーナに半顔向ける。

「安心しろ、兎に角隠れてろ。」

そう言ってガディウスに顔を向けた途端、途轍もない早さでガディウスに近付く。

(もらった!!)

両手の小型剣を脇腹に突き刺そうとした途端、ガディウスは高く跳び上がり、キースの頭にメスを突き刺すように落下する。

「フンッ!」

キースは真上から襲いかかるガディウスの攻撃を右手の小型剣で薙ぎ払う。
薙ぎ払われたガディウスは体を回転させながら地面へと着地と同時にキースに襲いかかる。
が、キースも攻撃を受け止めて鍔迫り合いとなる。

「人間にしては中々やるようだな……」
「ふふふ、貴方こそ機械人にしては中々じゃないですか……」

不気味な笑みを浮かべるガディウスを無視し、キース両手の剣を薙ぎ払うと同時にガディウスから距離を取り、ファーナの前に立った。
キースの後ろに立っているファーナはキースの肩から流れている血を見て「あっ!」と声を出した。

「キース!血が出てるよ!!」
「掠り傷だ、気にする程度の事じゃない。」
「ちょっと待って、今直すから……」

ファーナは両手をキースの肩の前に出すとファーナの両手から光が溢れ出た。
それを見たキースは驚きを隠せず、ファーナに釘付けだった。
それだけではない、肩を見れば、何事もなかったかの様に傷は無くなっている。

「ふぅ、治ったよ。」

一息吐いたファーナは微笑んでキースに言った。

「ファーナ……」
「あっ……」

ガルディスに名を呼ばれ、ビクッと体を震わすファーナ。

「魔導の力を無断で出すとはね……この方を倒して研究所に帰ったら、廃棄処分させてもらうよ。どうせお前では“あの方”の計画に役立てないと思うし。」
「えっ、そんな……」
「安心しろ、ファーナ。」

キースは構えを解いてファーナに声を掛ける。

「俺はお前を壊させはしない、お前を守って外の世界に行かせる。」
「キース……」
「はあぁぁぁぁ!!!!」

キースは大声を出して腰を横へと回して力を溜めて構える。
構えを解いて腰を戻した時には消えていた。
一方、ガルディスも攻撃を避けた様に違う場所にいた。

「瞬影脚か、だが……」

キースがそう呟くと同時にガルディスの右腕から大量の血が溢れる。

「あがあぁぁぁぁ!?」

突然の激痛と溢れ出る血を抑えるかの様にするガルディス。

「私の腕がぁ!」
「貴様は機械人を馬鹿にした。だから、もう貴様の手から機械人が生み出されない様にした。」

腕を押えているガルディスに冷酷な瞳をしながら言うキース。

「ぐぐぐ、例え片手を壊されても私は機械人を生み出しますよ!覚えてなさい!!」

キースを睨みながら、ガルディスはその場を消え去った。
ガルディスを退けたキースはファーナに駆け寄る。

「凄いよキース!ガルディスさんを倒しちゃうなんて!!」
「大した事はない、だが……(ガルディスが何故、瞬影脚を使えたかがだ。」

尊敬するかの様な瞳で言うファーナに軽くあしらうキースだが心の中でガルディスが自分と同じ技を使えた事に驚いていた。
その後、コントロール室へ行き、サイレンを止め、入り口のシャッターを開ける。
そして入り口に戻ってドアノブに手を出した時……

「待って!」

ファーナが突然大声出してキースの手を止める。

「どうした?」
「久しぶりの外だから……怖いの……」
「大丈夫だ、安心しろ……」

ファーナの手を払ってドアを開ける。
研究所から出る二人を迎えたのは眩しい光だった。
夜空ではなく、青い空と白い雲で眩しい光は太陽の光だった。

「わぁ〜!!」

青空を見たファーナは感激の声を出した。

「久しぶりの空だ。どうだ?」
「うん!物凄いよ!!」
「そうか……」

施設から離れた崖の上で二人は空と太陽を見ていた。
ファーナは喜んでいる時、キースの顔を見た途端、笑みが消えた。

「どうした?」

ファーナの視線に当然気付き、顔を向けるキース。

「今、キース笑ったよね?」
「俺が……笑った?」

微笑んでもない筈の自分に驚きながら、ファーナに問うキース。
ファーナは頷く。

「俺は笑ってないぞ。」
「ううん、一瞬だったけどニコッてしてたよ。」

首を横に振りながら、笑顔で言うファーナ。

「何を言ってる。アルカトラル帝国に戻るぞ。」
「アルカトラル?何それ?」
「付いて行けばわかる。」

首を傾げて問うファーナに曖昧に言うキース。
アルカトラル帝国に戻る中、ファーナに様々な事を聞かれながらキースはアルカトラル帝国へと向かった。

episode05「逃避」 ( No.6 )
日時: 2009/12/28 21:12
名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)

謎の研究所でガディウスを退け、研究所を出たキースとファーナ。
外の世界を見て喜んだファーナ。
そのファーナを見たキースはフッと笑ってしまい、ファーナに笑顔を出したと言われ、笑みを消す。
そして二人はアルカトラ帝国へと向かった。

アルカトラ帝国第三都市ムガル入口前

「わあぁぁ〜、大きい門!」

数メートルある巨大な門を見たファーナは目をキラキラと輝かせていた。
走り出そうとした途端、キースの腕が前に出た。

「どうしたのキース?」
「様子が可笑しい、何時もなら門番が数十人いる筈なんだが……」

ファーナの問いにキースは答える。
第三都市ムガルは犯罪者と難民と機械人の街。
機械人は主人の許可を取れば、出れるものの一人が通ると同時に犯罪者と難民が脱出しようとする為に門番は第二都市と第一都市とは違い、門番の数はおよそ15人である。
しかし、今いる門番は5人。
大人数で来れば、必ず脱出出来るだろう。
二人は黙って立っていると一人の門番が二人の姿を見て駆け寄った。

「お前等、少しの間第三都市は封鎖だぞ。」
「どうしたんだ?」
「実は義賊が第一都市に来てな、貴族の財産を奪って行ったんだ。」

門番は困ったような声で説明を始めた。

「皇帝陛下は義賊を捕まえようと兵隊を送り出すが腕のある奴等でな……」
「ねぇ、キース。ぎぞくって何?」

可愛らしい声でキースに問うファーナ。

「義賊は貴族や金持ちから奪った金品を貧しい者に与える奴等だ。しかし、貴族や国の政府によっては邪魔者だがな。」

“義賊”の意味を教えるキース。

「そうなんだ〜。」
「まぁ、そんなところだから第三都市に入れるのは夜ぐらいだな。」

門番が手を顎に当ててそう言った。

(夜までか……そう言えば、アグニムにファーナを見せたらどうなる?ファーナは何処かの国の機械人だ。)

キースはファーナの事を考えた。
ファーナは自分とは違い、人と機械の中間である『半機械人』であり、アグニムは『半機械人』の事を知らない。
アグニムはキースを開発した人物であり、知らない事は何でも調べてしまう。
もし、ファーナを見て改造するとしたらファーナは間違いなく死んでしまうだろう。

(戻らない方がいいな、だがそれではアグニムの奴に狙われる。)

逆に逃げようとする手も考える。
しかし、キースの思う通り、逃げればアグニムは他の機械人を使って、キースを狙う事もある。
どちらにせよ、思い通りにはいかないと思っていたがファーナを見ると“逃げる”方向に向く。

(ファーナをアグニムに殺させる訳にはいかないな……)
「キース?キース!」

考えに夢中になっているとファーナに声を掛けられ我に返る。

「どうした?」
「何を考えてるの?」

首を傾げながら問うファーナにキースは真剣な顔をして顔を近づけた。

「ファーナ。」
「えっ、ひゃあ!何!?」

キースの顔が近付き、ファーナは顔を赤くして驚いていた。
その時、キースはファーナに耳打ちする。

(第一都市に行って船に乗って違う国に行くぞ。)
(えっ、どうして?)
(それは教えられない。悪いが第一都市に行って港に向かうぞ。)

キースは強く言うとファーナの腕を引っ張って第一都市へと向かった。


第一都市アスルブ

貴族と僧が住む都市アスルブ。
第三都市のムガルとは違い、高級住宅や教会が建てられている。
歩いている住民達も高級そうなスーツやドレスを着ている。
そんな、貴族や僧が歩いている中、キースとファーナは港へと歩いていた。

「キャー!ひったくりよ!!」

歩いている途中女性の声がし、二人の目の前に鞄を持った怪しい男が走り通って行った。

「ふぅ、人間も不便なものだな。」

哀れむかの様に溜息を吐くキース。

「ファーナはここで待ってろ。すぐに追いつく。」
「あっ、ちょっと待って!」

制止の声を掛けようとするがキースは既にいなくなっていた。

「一人にしないで欲しいのに……」

そう言って悲しげな顔をして待っていると一人の少女がファーナの前で止まった。

「もしも〜し!」
「はい?」

声を掛けられ顔を上げる。
目の前にいる少女は桜髪にエメラルドの瞳、そしてファーナと同い年の少女。

「こんな所で一人で立って何をしているのかな?」
「あ、えっと……人を待ってるんです。」
「ふぅ〜ん?」

疑心暗鬼と言えるかの様な顔をしながら少女はファーナの周りを歩いてファーナを見ていた。

「あの、私に何か?」
「その服で満足してる?」
「えっ?」

少女の問いに目が点になるファーナ。

「私の奢りであの店にある服を選ばせてあげる!何でもいいわ!!」

少女は胸を叩いて強気で言った。

「あ、えっと、その……」
「迷ってないでさっさと来る!」

少女はファーナの腕を引っ張りながら、洋服店へと向かおうと歩き出した。

「あ、ちょっと!ひゃあ〜〜〜!?」

突然の少女の行為と引っ張られる力に敵わず、ファーナは少女に引っ張られながら洋服店へと入って行った。

episode06「高飛び?離陸?」 ( No.7 )
日時: 2009/12/28 21:13
名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)

ひったくりを追いかけに行ったキースを待つファーナ。
その時、謎の少女に腕を引っ張られながらも洋服店へと入って行き、服を選んでいた。

「わぁ〜、これ可愛い。」

様々な服を見て同じセリフを繰り返していたファーナ。

「どう?ここの生地は全て高級品だから迷うでしょ?」

威張るかの様に腕を組んで仁王立ちをして鼻を鳴らす謎の少女。
目を輝かせながら、次々と服を調べていくファーナだが少女の声を聞いて顔を向けた。

「そう言えば、貴方の名前は?」

ファーナの言葉に少女は組んでいた両腕を解いた。

「あ、私はリア・ライトネス。神王教団の神官護衛隊の一人よ。」
「神王教団?神官護衛隊……?」

少女リアの自己紹介を聞いたファーナは“神王教団”と“神官護衛隊”の言葉を口にしながら首を傾げた。

「神王教団はね。この世界《レジヴァール》を生んだ神《ラピス》様を慕う宗教よ。」
「《ラピス》様……女神様の事?」
「そう!」

首を傾げながら問うファーナにリアは首を縦に振った。

「女神ラピス様を慕う教団、そして女神様を目覚めさせる為に私達は神官様を護衛しながら封印を解いて行ってるの。」
「リアは大丈夫なの?」
「えぇ、私は魔法を持ってるからね。そこら辺の魔獣は簡単よ。」

満面の笑みで言うリア。
そして話し合っているとファーナは一つの服が見入る。
その服は上が青く、下は白いズボン。
見ているとリアが首を出してきた。

「それにする?」
「え、でも……」

困った顔をするファーナを見てリアはファーが見ている服を見る。
値段は3千位でどう見ても貴族にしか買えない値段だった。
しかし、その値段を見ていながらもリアはニコッと笑顔を向けた。

「大丈夫!この程度のお金は楽勝だから♪」
「えぇ!?そうなの?」

驚きながら問うファーナ。
リアは笑顔で頷く。
そしてリアはファーナが見入った服を手にし、カウンターへと向かった。
そして服の値段を払い、ファーナは試着室で着替えてカーテンを開けた。

「ど、どうかな?」
「凄く似合ってるよ。このまま教団に入っても可笑しくないくらい。」

買った服を着て出てきたファーナの問いにリアは驚いた表情をしながら感想を述べた。
そして洋服店から出ると同時にファーナはある事を思い出す。

(そ、そうだ。キースに“待ってろ”って言われたんだった。)

キースに待てと言われながらもリアに引っ張られて服を買ってもらった。
当然、キースがひったくりを追っかけたとしても戦闘能力を特化している機械人であるキースにとっては簡単なもの、キースが怒っている顔を思い浮かべると早くその場に急ごうと行動をし始めた。

「ご、ごめんね。私、行かなきゃならない場所があるから!服ありがとう!」

ファーナは大急ぎでリアにそう言いながらその場を去って行った。
颯爽に去ったファーナを見てリアは呆然とその場を突っ立っていた。


「はぁ……はぁ……」

急いで走っていたせいか息が切れそうになる。
何とか、自分が先程いた場所に着くがそこにキースがいた。

「き、キース?」

恐る恐る声を掛ける。
聞こえたのかキースはファーナに顔を向けて駆け寄ってきた。

「何処に行ってたんだ?待ってろと言ってた筈だぞ……」
「あ、そ、その……」

睨まれながら問われて心の中で怯えながら何を言うか考える。
しかし、その睨みは一瞬で消えた。
服が気になったからだろう。

「どうしたんだ?その服は……」
「あ、これ?神王教団の神官護衛隊のリアちゃんが買ってくれたの。」
「神王教団か……」

“神王教団”の言葉を聞いたキースは目を細めた。

「どうしたの?」
「何でもない、早く港に向かうぞ。」
「あ、ちょっと……」

手を引っ張って港へと向かうキース。
港に辿り着くと木製の大型船が何隻もある中、キースはファーナの手を引っ張りながら、カウンターへと向かった。

「今、何処行きの船が早い?」
「あと5分で離陸する《宗教都市レオール》だな。大人二人で200だよ。」

受付人の話を聞いたキースは懐から200ガイン(200G)を出して切符をもらい、《宗教都市レオール》行きの船に乗り、切符に書いてある部屋へと向かい入った。

「わあぁぁぁ!」

中は普通でベッドやテーブル、椅子がある。
初めて目にした物を見たファーナはベッドに飛び込んでトランポリンをするかのように上で跳ねていた。

(レオールに着いたら、どうするか……)

今まで暮らしていた国から離れたら何をするか考えるキース。


一方その頃、第3都市ムガルでは……



日差しが照らさない第3都市ムガルの空に一話のカラスが飛んでいた。
カラスが向かった場所はアグニムがいる屋敷。
三階の窓を嘴で突く、そこはアグニムの部屋である。
窓が開かれ、カラスは部屋に入る。
丁度、アグニムもいた。

「さて、何かあったかな?」

アグニムがそう尋ねるとカラスは一声鳴いてアグニムに背中を見せて背中から一枚の紙の様な物が出てくる。
カラスも改造していたようだった。
一枚の紙を取り出してアグニムは見る。
その紙を見たアグニムは手に持っていたカップを落とし、紙をクシャクシャにしてゴミ箱に投げ捨てた。
その顔は怒りに満ちていた。

「あの機械人め、私の手下でありながらも逆らうとは……」

そう言いながら電話を取り出す。

「私だ。試作の125を開放し、裏切り者の始末を頼む。」

そう言って電話を切る。

「あの裏切り者めが……後悔するがいいわ。」



宗教都市レオール行き船

「わあぁぁい!!!」

一時間経っていながらもファーナはベッドをトランポリンの様に遊んでいる。
キースはレオールに着いてからの後を考えるが何も思い浮かばない。

「ふぅ、ファーナ。俺は外に行ってくるから、しばらくそれで遊んでいろ。」
「は〜い!」

気に行ったのか子供の様に夢中になっている。
キースは部屋を出て甲板に出て景色を眺める。

(追手が来るのは時間の問題だ……もしこんな時に来られたら間違いなく……)
『おい!何だよあれ!?』

反対側の方から声がし、気になって向かうキース。

「どうした?」
「誰かが追ってきてるんだよ。」
「……!!」

男が指を指している所を見ると、そこには大きい鳥に乗った一人の男がいた。
男の目は狂気に満ちていて両腕には刃が付いている。
男を見たキースはすぐに男が何なのかに気付く。

(アグニムの試作品か!バレたか!!)

アグニムの試作品と分かったキースは両手に小型剣を二丁持って構える。
男は船の上に近付くと大きい鳥から降りてキースの前で合間を取って着地した。

「俺の名はエクステルミ、お前を殺しに来た。」

狂気に満ちた目でキースを見て構える刺客エクステルミ。
キースはエクステルミを睨みつける。

「殺せるものなら、やってみろ。出来ればの話だがな。」
「へへへ、刃が疼くぜ……死ねぇ!!」

エクステルミはそう叫んでキースに飛び掛かった。

episode07「vsエクステルミ」 ( No.8 )
日時: 2009/12/28 21:14
名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)

「ひゃはははは!!!」

笑いながら、両腕に付いている刃(ブレード)で交互に攻撃する刺客エクステルミ。
その攻撃を受け止めて隙を窺うキース。
両腕の刃や踵蹴りでの攻めは変則的であるが力はそれほど強くはない。
しかし、長時間攻撃を受け止めているキースに限界がきていた。

「てあっ!」

一瞬の隙が出来ると同時に片手の小剣を横にスイング。
しかし、エクステルミは寸でにバックステップで避けられる。

「オマエ、やるな……!」

不気味な笑みを浮かべて何時襲い来るか分からない構えを取るエクステルミ。
言葉を聞いていながらもキースは目を細めて構える。
その二人の勝負の行方を船乗りや乗客達は見ていた。

「なぁ、あの狂ってる奴に勝てるのかアイツ?」
「さぁな、あの狂人の攻撃を受け止めながら隙が出来た途端に剣を振ったけど避けられてるしな……」

エクステルミに聞こえないような小声で話し合っている船乗りと乗客達。
金属音が鳴り響くと同時に全員二人の方に顔を向けて見る。
双剣とトンファーの刃の部分が弾き合う中、二人は攻撃を止めない。
片方が攻撃しようとすれば、弾き。
もう片方が攻撃しようとすれば、弾くの繰り返しだ。
時間は一時間を超えていながらもお互い身を引かない。

「でやあっ!」

エクステルミの両手のトンファーが振り降ろされると同時にキースは右手の小剣で弾く。
あまりの衝撃かエクステルミは後ろに仰け反り大きな隙が出来る。

「これで……」

キースがそう言うと左手の小剣をエクステルミの胸を切り……

「止めだぁ!!」

その叫びと同時にキースの小剣がエクステルミの心臓に突き刺さった。

「ガハァ!!!!」

口から少量の血を吐いてスローモーションが掛かったかのように倒れようとするが木の床に倒れる途端、エクステルミの片手がキースの剣を掴んだ。

「……!?」
「ひひひ……」

剣を掴みながら立ち上がるエクステルミ。
狂気に満ちた目の灯は消えていなかった。

「オマエ強いな!」

心臓に小剣が突き刺さっているのを関わらずにエクステルミはキースから間合いを取って身構えた。
心臓から血が流れながらも何事もなかったかの様に構えている。

「ふぅ……」
「キース!!」

一息すると同時にファーナの声が響き、後ろに振り返る。

「キース、どうしたの?」
「下がってろ、コイツは俺を殺しに来た奴だ。」
「キース……?」

ファーナの問いに簡潔に答えるキース。
その時、エクステルミがキースの名を呟いた。

「……?」
「キースか!覚えたぞ!!」

心臓から血を流しながら、エクステルミはキースを指指しながら叫んだ。

「キース!!俺の刃の餌食になって死ねぇ!!」

そう叫ぶと高くジャンプし頭上から襲いかかろうとするエクステルミ。

「ファーナ下がってろ……!」

ファーナにそう言ってジャンプするキース。
腕をクロスさせてエクステルミの方へと向かってゆく。

「死ねぇぇぇ!!!!」
「はあぁぁぁ!!!!」

二人の叫びと同時に攻撃を放つ。
しかし、先に放ったのはキースであり、クロスさせていた両腕を開くと同時に二つの小剣の攻撃により、エクステルミは大きく弾かれ……

「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

大海原に響きそうな叫びを出して海へと落ちるエクステルミ。
勝ったのはキースだった。
船に着地するとエクステルミが落ちた方に向かって見るが上がって来なかった。

「ふぅ、嫌な奴だった。」

そう言って両手の小剣を鞘に納めるとファーナに駆け寄った。

「キース、あの人は?」
「海に落ちたが、生きてるだろう。」

キースはそう言って海を見ていた。

「アイツ勝ったぞ……!」
「船が壊れなくて良かったよ。」

キースの勝利に船乗りと乗客達は安心していた。
乗客の一人は自分以外の者にバレぬよう、静かにその場を去り、自分の部屋と言える場所に入ると同時に懐から何かを取り出した。

「こちら、《デアボラスタ》016。例の娘はキース・アンバートと共に宗教都市レオールに逃走、及び、Drアグニムが試作品を開放しましたが結果は敗北です。」

その何かは小型無線機だった。
男016は何者かに報告していた。

「そうですか、レオールに逃げられては不利ですね……しばらく様子を見るように。」
「了解!」

報告していた相手の返事が返ってきて返事を終えると同時に無線機の電源を切って懐にしまった。
と、同時に鐘が鳴った。
到着する合図である。

「ファーナ、あれが宗教都市レオールだ。」
「わあぁぁ〜〜〜〜!!!」

甲板に出ていた二人、二人の先にあるのは沢山の教会とその中に巨大な大聖堂があった。

そこは二人が向かう場所『宗教都市レオール』だった。


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