ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 月下の犠牲-サクリファイス-
- 日時: 2011/12/31 11:27
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: vjv6vqMW)
- 参照: http://m-pe.tv/u/?farfalla632
こんにちは。霧月 蓮(ムヅキ レン)と申します。名前は変わっておりますが前にここで書いていたことがあります。
今回は前に書いていて、挫折したしまったものを一から書き直してみようと思います。
誤字、脱字が多い思いますので、気づいた方は教えて下さい。
下手ですが自分なりに頑張っていこうと思いますので宜しくお願いします。また、一話一話の長さがバラバラですがお気にせずに
目次
序章:出会いは始まり>>1
第一話:サクリファイス>>2
第二話:謎のサクリファイス>>3
第三話:リミット>>4
第四話:バトル開始>>5
第五話:圧倒的な差>>6
第六話:特殊>>7
第七話:悪夢幕開け>>8
第八話:時を見る者>>9
第九話:穏やかな過去>>10
第十話:消せない過去>>11
第十一話:動き始める時、ジャッジメントの目覚め>>13
第十二話:崩れる絆>>14
第十三話:レジェンド>>15
第十四話:始まる物語、最初の判断>>16
第十五話:加速する運命>>17
第十六話:二人の傀儡使いの出会い>>18
第十七話:強さと意志と>>19
第十八話:無力とレジェンド>>20
第十九話:無力の最強>>21
第二十話:記憶と力と>>22
第二十一話:一人の少年の苦しみの歌>>24
第二十二話:白と黒>>25
第二十三話:お見舞い>>26
第二十四話:天使型サクリファイス>>27
第二十五話:天乃、紅蓮>>28
第二十六話:傀儡使いの力>>29
第二十七話:衝撃の事実>>30
第二十八話:犠牲と審判者>>31
第二十九話:見え始める終焉に>>32
第三十話:ディバイス>>33
第三十一話:判断者が見る行方>>34
キャラ絵>>12
参照のHPにもまったく同じものが載せてあります。
- Re: 月下の犠牲-サクリファイス- ( No.20 )
- 日時: 2011/03/29 19:43
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: 0iVKUEqP)
第十八話〜無力とレジェンド〜
葵は困ったような表情で土砂降りの中飛び出した蒐を追いかけて、飛び出した流架を追いかけていた。先に飛び出した二人と違うのはしっかりと傘を飛び出した二人の分と自分の分、持っていることである。リーフィルが呆れたような顔で葵の周りを飛び回る。
「主様。何故紅蓮家の坊ちゃんじゃない駄目男達を追いかけねばならぬのですか?」
リーフィルの言葉を聞き思わず噴出して「んー何と言うか放っておけないのですわ」と言う葵。リーフィルはクスクスと笑い「紅蓮家の坊ちゃんは放置ですけどね」と言う。
しばらく歩いた所で少し向こうの方に流架の後姿を見つけ、葵は安心したように息を吐く。リーフィルはつまらなそうな顔をしているがそこは無視。
「まったく。土砂降りの中傘もささずに何してるんですの?」
そう言って持ってきた傘の一つを渡す葵。流架はゆっくり振り返り、驚いたような顔で「なんや追いかけてきてくれたん?」と言い傘を受け取る。葵は苦笑いを浮かべ「こんな雨ですもの。傘を差さずにいたら風引いてしまいますわよ」と言って静かに笑いかける。
「そんなこともわからないか駄目男。主様に感謝するといいです」
リーフィルの言葉に苦笑いを浮かべることしか出来ない葵と「なんや酷い毒舌やなぁ。リーフィルは」と引きつった笑みを浮かべる流架。心なしかリーフィルが流架を見る目が冷たい。それほど葵を慕っていると言うことであろう。
「ん……主様、駄目男様、伏せてください!」
リーフィルの言葉の後、葵は訳の分からないまま流架に掴まれて伏せる。リーフィルが目を閉じた後に無数の刃が飛んでくる。刃が飛んできた方には流斗と黒奈がいるからおそらくはこの二人が刃を飛ばしたのだろう。
「確かめの時間か。俺は手出しできんから一人で頑張るんやな」
流架に言われて訳が分からないというような顔をする葵。リーフィルが静かに閉じていた目を開いて「分析完了。超能力と判定。能力値測定不能、よって防げないと判断し、主様を逃がすことを最優先します」と呟く。流架は真面目な表情で「葵、お前親とかに何か言われとらんか? 力とか、レジェンドとか」と葵に問いかける。
「レジェンド……? ああ言われましたわね。其の力を持つ者の中で最も優れた者のことだとか。で私がそれの候補だとかなんだとか」
葵が答えた後すぐに「なら頑張るんやな。すぐ終わるから」と言ってフッと笑う流架。葵はすっかり慌てたように「ちょちょ……ちょっと待ってくださいまし!! 私には何の力も無いのでありますわよ!?」と半ば叫ぶように言う。
流架はもう何も言わずに伏せているだけで、リーフィルはいつの間にか鳥籠の中。必死に出ようとしているがどうやら無理なようだった。ため息をついてどうすれば良いのかを考え始める葵。
しばらくの沈黙の後小さな声で「私みたいな無力な人間がレジェンドになれるわけありませんわよ」と呟く。それを聞いた流架は無言で首を横に振る。でもそれだけで励ましたり、ヒントを与えたりは絶対にしなかった。
「やはり、まだ覚醒はしていませんか……」
遠くから刃を飛ばしながら呟く流斗。黒奈が「まぁ覚醒したばっかりのときは力が弱いから、その時でどれ位やれるかだねぇ」と言ってケラケラと笑う。流斗は笑い事じゃないと言うように黒奈の頭を叩き「覚醒する前に死なないと良いのですが……」と言う。
すっかり混乱してしまっている葵と必死に鳥籠から出ようとするリーフィル。どうやら鳥籠の中では力が使えないようだった。
無言で起き上がった流架の手に運悪く突き刺さる刃。流斗が目を見開いて「ヤバ……傀儡使いがいきなり立ち上がるから……刺さっちゃった」と呟く。黒奈がヘラヘラしながら「まぁ良いんじゃないかなぁ? もしかするときっかけになるかもよぉ」と言うと同時に葵の周りに凄まじい風が吹くのだった。
- Re: 月下の犠牲-サクリファイス- ( No.21 )
- 日時: 2011/03/29 19:43
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: 0iVKUEqP)
第十九話〜無力の最強〜
葵の周りを吹く風がどんどん強くなっていくのを感じ、サッと杖を構え黒奈の脚を払い伏せさせる流斗。流架はとっさに葵から距離をおく。葵は「今ここに発動されている能力を全て不要と判断し無効化しますわ」と呟くように言った後、流斗達がいる方向を指差す。
勢い良く葵の手元から風が放たれリーフィルが閉じ込められている鳥籠を最初から無かったかのように消し去り、飛ばされていた刃と流架の腕に突き刺さった刃も同じように一瞬にして消える。
「覚醒したばっかりだっちゅーのに豪い力やな」
流架は先ほどまで刃が突き刺さっていた腕を動かしながら、驚いたような顔で呟く。黒奈は伏せながら心配そうに杖で葵の力を防ぐ流斗を見つめている。
「ったく……流石と言いたいところですが……この程度の能力者、過去に何人もいましたよ」
流斗がそう呟き、杖を半ば強引に振ると同時に消されたはずの刃が再び現れて宙を舞う。流架は退屈そうな顔をしながらも、刃が刺さらないように動き回っていた。
葵はすっかり不快だというような表情をし「なるほど……お婆様の真似をしてみましたが……これが私の力ですのね」と流斗達がいる方向を睨みつけながら言う。
「っ!?」
突然、葵の回りから鎖が流斗に向かって伸び、一瞬にして流斗の目の前に迫る。いきなりの出来事に対応できずに囚われる流斗。葵と流架は驚いたような顔をして硬直する。
「おいおい、ありえへんて。何やねんあの鎖」
そう呟く流架に葵は半ば怒鳴るように「知りませんわよ! 私が聞きたいですわ!!」と言う。流斗は無言で自分を縛り付ける鎖を見つめ「なるほど……サクリファイスの力を鎖に変えたものですか」と呟く。
「ありゃー。気付くのはえーぜ」
葵の後方3キロメートルほどの所に立っている、肩より少し上ぐらいまでの茶髪に、赤い瞳の少年が呟く。服は真っ黒で膝位までの長さのコートのようなものとジーパンで胸の辺りには六芳星のバッチがつけられている。少々たれ目気味で幼いようなそんな印象を受けた。名を翔炎と言う。
「……この程度簡単に壊せます」
流斗が呟くと同時に粉々に砕ける鎖。一瞬だけ驚いたような顔をしたが、すぐに面白そうで楽しむような表情に変え「わお、予想外だぜ」と呟く翔炎。
「何だか良く分かりませんけど……今ここに発動されている能力全てを不要と判断し、無効化しますわ」
宙を舞う刃の存在を思い出したように言う葵。一瞬のうちに刃が消滅にし、しばらくの静寂が訪れる。翔炎がトンッと地面を蹴って垂直に飛び上がり「あははーレジェンド試験の邪魔しちったみたいだぜ」と笑いながら呟く。
「まったく……とんだ邪魔が入りました。まぁ合格と言うことで良いでしょう。覚醒したばかりであそこまで使いこなせれば十分です」
ため息混じりに呟く流斗に向かって「もう一人の方はずっとおどおどしてるだけだったしねぇ」と笑いながら言う黒奈。ゆっくり起き上がって服の汚れを払っている。
スッと葵の前に姿を現し「……初めまして。負のジャッジメント流斗です」と軽く頭を下げながら言う。キョトンとした表情の葵を見てクスクスと笑い「正のジャッジメント黒奈ですぅ!」と言う黒奈。
「……今の試験の結果により、貴方にレジェンドの資格があると判断し、証を授けます」
静かに葵の手に透明な石を握らせる流斗。透明な石を見て「奇麗ですわね……」と呟く葵。流斗はそれを見て薄い笑みを浮かべ「その石は出来るだけ持っていてください。力を制御するためのものです」と言う。
「そんでぇ、これあーげるぅ。これを使えば1度だけアタシ達に命令することが出来るよぉ」
黒奈がニコニコしながら紅い液体の入ったビンを葵に差し出せば、少々躊躇った後ビンを受け取り「有難う御座いますわ」と言う葵。
「それで……私みたいな無力なのがレジェンドでいいんですの? 無効化するだけですし……」
流斗は不安そうな顔をする葵の頭を優しくなで「……貴方だからレジェンドになれるのです。どうぞ自分の力に自信を持ってください。貴方は無力であり、最強でもあるのですよ」と静かに言う。
その光景を見ていた翔炎は「また新たなレジェンド誕生ー。先輩に伝えねーとな」と呟き、姿を消すのだった。
- Re: 月下の犠牲-サクリファイス- ( No.22 )
- 日時: 2011/03/29 19:43
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: 0iVKUEqP)
第二十話〜記憶と力と〜
「ねぇ……僕いつになったら出してもらえるの?」
牢屋の中に響く不安そうで、消えそうな紅零の声。紅零が見つめる先には無表情で壁に寄りかかる桜梨の姿がある。桜梨は紅零の問いかけに「時が来れば出してやる……まぁいつになるかまったく分からないがな」と素っ気なく返しチラッと紅零の顔を見る。
暗い顔で手を握ったり、開いたりを繰り返す紅零。流石の桜梨でも可哀想だと思ったのか、何処かから飛んできた真っ白なフクロウ、動物型サクリファイスのクラルを紅零と同じ牢の中に入れてやる。
「出してはやれない。……でも一人よりはましだろう。僕も出来るだけここに居るしな……監視役としてだが」
自分の肩に止まるフクロウと無表情で立っている桜梨を交互に見つめた後クスリと笑い「優しい」と呟く紅零。桜梨はどこか薄い笑みを浮かべ「勘違いするな。監視が僕の仕事なだけだ」と言う。
「先輩。また新しいレジェンド誕生だぜー。無効化のレジェンドだとさ」
突然、翔炎が現れてやる気の無いようなそんな声で言う。レジェンドと聞いた途端に顔をしかめ、頭を押さえる桜梨。翔炎はそれに気づかずに「おー? 君がSacrifice under the sky……空の下の犠牲?」と紅零に笑いかけながら言う。
「いや……それより桜梨さんが凄く辛そうな顔をしてる……」
良く分からないというような顔をした後、桜梨を見て静かな声で言う紅零。翔炎は間抜けな声を出した後に桜梨の顔を覗き込み「あれれぇ? 先輩、顔色悪いぜ?」と言った後、桜梨の肩に手を置く。
「っ!?」
急に顔を強ばらせ、翔炎の手を振り払う桜梨。そこでスゥゥッと雨龍が姿を現し「あー。記憶が戻りかかってるだけだな」と呟く。
「雨ちゃん居たんだ。記憶って? サクリファイスになる前の?」
翔炎が自分をちゃん付けで呼んだことに苦笑いを浮かべながら「ああ。そうだろうな。翔炎は最初からサクリファイスだから、そんなことはねーけどな。桜梨はちげーんだから」と答える。小さな声で「でも信じられねーんだぜ。最初からサクリファイスではない、サクリファイスがいるってことがね」と呟く。
「血……あぁぁぁぁぁぁ……」
きつく手を握り締めて、悲鳴とも言えるであろう声を上げる桜梨。紅零が心配そうに桜梨を見つめ、翔炎は困ったような顔をする。黙って腕組をして立っている雨龍。
「あのさ雨ちゃんなら何とかできると翔は思うんだぜ」
ボソリと呟くように言う翔炎。雨龍は翔炎の言葉を聞いて呆れたような顔をし「無理。つか僕の能力は幻術を見せ、洗脳状態や様々な状態にするだけだし。しかも一時的で記憶などの操作は出来ねぇよ」と言って頭を掻く。
力なくその場に座り込み唇を噛む桜梨。そこでしばらくの沈黙が訪れる。桜梨以外のこの場にいる全員が顔を見合わせため息をつく。
三十分ほど経っただろうか? あの後しばらく横になっていた桜梨が体を起こし、どこか悲しげな表情を浮かべ牢屋の中を見渡す。
「ほら。紅茶飲みなよ。少しで良い。何があったのか話してごらん」
雨龍は静かにそう言いながら桜梨に近づいて紅茶を渡す。透けてるのに物は持てるんだなと言うような顔をした後に笑う翔炎。桜梨は震える手で紅茶を受け取り、少し喉に流し込み「記憶……消えてた嫌な記憶を思い出した……」と呟くように言う。
「そっか……全部嫌なことだったか?」
雨龍に問いかけられ、桜梨は小さく首を横に振り「全部嫌なわけじゃない……優しい兄が三人居たそのうちの二人は僕と三つ子で」と言って、懐かしむようなそんな顔をする。そんな桜梨を見て雨龍は薄い笑みを浮かべ、優しく桜梨の頭を撫でてやる。
「あ。それと僕が絶対の能力のレジェンドだと言うことも思い出した」
空気が凍った。どこか上擦った様な声で「そ、そうなんだ」と言う雨龍。ちなみに絶対の能力と言うのも超能力の一種である。超能力の中では最強と言われており、実際に絶対の能力のマテリアルは他の能力のレジェンドにも匹敵することが分かっている。レジェンドについてはその力は……未知数。
絶対の能力者が“絶対”と言ったことは大抵は絶対に起こる。ただし例外もあり、その例外は絶対に変えることができない。たとえば絶対の能力で人の生自体を無かったことにするのはタブーだし、死を無かったことにするのについても同じだ。
更にいえば絶対の能力を使い、他人に絶対の能力と同じような力を持たせるのもタブーとされている。タブーと言うと罰は受けるが、命は落とさない程度のものにも感じるが、そんな甘い物では無かった。
ただでさえ絶対の能力を使うと何らかの形で何かを失うのだ。それが視力の者もいれば、友の者もいる。酷い時には自らの命の場合も有るのだ。そんな危険な能力でタブーを犯せばどうなるか……自らの死、破滅が待っているだけだと安易に想像出来るだろう。
「っははは……僕の大切な家族に二人も絶対の能力を持った奴がいるなんてね……こりゃぁ傑作だ……」
しばらく無言になった後、小さな声で呟く雨龍。そんな雨龍の表情は傑作と言う言葉とは裏腹に完全に引きつった、ぎこちないものだった。
- Re: 月下の犠牲-サクリファイス- ( No.23 )
- 日時: 2011/03/29 19:45
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: 0iVKUEqP)
一話〜十九話までの用語まとめ
*サクリファイス*
人間と契約を結ぶことで特殊な力を発揮し、主を守る者のこと。一般的には動物型、妖精型が広く知られている。人間型は非常に強く、普通の人間と区別するために六芳星がデザインされたものを身につけることが義務づけられている。
・動物型サクリファイス:兎などの小動物、鳥類などの形をしたものがほとんど。戦闘能力は比較的に低いが、危機察知能力が高く、確実に主を安全な所へと連れて行くことができる
・妖精型サクリファイス:小さな人間に羽根が生えたようなもの。感情が無いものがほとんどであり、力については、バラつきがある。
・人間型サクリファイス:ほとんど人間と同じような見た目をしている。感情などもあり、最も人間に近いサクリファイス。戦闘能力、身体能力が以上に高い。
*リミット*
ランクA以上のサクリファイスにつけることが義務づけられている、力を制御するためのもの。アクセサリーなどの気軽につけられるものの形をしているものがほとんど。
*トリプルS*
サクリファイスのでSランク以上の力を持った物に与えられるランク。このランクだけに限り人間型だけではなく、妖精型、動物型にも与えられる。
*時渡り*
超能力の一つ。その名の通り、時を渡って過去や未来へ行くことの出来る能力。リロードで過去に、ロードで未来に行くことが出来る。ただし出来るのは見ることのみ。過去は絶対的に変えることができず、未来は時渡りの者が生きる“現在”で頑張るしかない。
*レジェンド*
おおよその能力の基盤となる力を持った、マテリアルと呼ばれる十二人の中から選ばれた六人のこと。各能力の頂点に立つ最強の能力者たち。レジェンドになることで今まで出来なかったようなことが出来るようになる。
・時渡り:時間を止めることが出来るようになる。時渡りのさいに自分のほか九人を連れて行くことが出来る。五分ほど前まで時間を戻せるようになる。
・傀儡使い(くぐつつかい):一度に百までのものを操ることが出来るようになる。有効範囲が無限になる。
・絶対の能力:効果の範囲が自在に変えられる様になる。
・無効化能力:相手の能力を把握できるようになる。また、力の発動などを事前に察知できるようにもなる。
・創作の能力:一度に四種類までのものを実体化できるようになる。
・夢幻使い:幻や夢を使い、他人の記憶を操作出来るようになる。幻覚や夢を見せ、相手をありとあらゆる状態にすることが出来る。
*マテリアル*
おおよその能力の基盤となる力を持った、十二人のこと。力はレジェンドよりは弱いが、それでも強力。普通の能力者が出来ないようなことが出来る。
・時渡り:一度で好きな時間に渡ることが出来る。
・傀儡使い:一度に五十までのものを操ることが出来る。有効範囲が半径五十kmになる。
・絶対の能力:タブーを犯さなければ能力で、ありとあらゆる場合を作り上げることが出来る。
・夢幻使い:夢や幻覚で一時的に相手をありとあらゆる状態にすることが出来る。
*傀儡使い*
超能力の一つ。様々な物を操ることが出来る能力。唯一他の能力に影響されない能力。
*無効化能力*
超能力の一つ。「〜を〜と判断し、無効化〜」でありとあらゆる超能力を打ち消すことが出来る。超能力で作られた物ならば破壊も可能。
*絶対の能力*
超能力の一つ。各超能力の中では最強といわれている能力。実際にマテリアルの時点で他の能力のレジェンドに匹敵する力を持っている。“絶対”と言った、大抵のことを実際に起すことが出来る能力。ただし使うと何らかの形で、何かを失う。
また、絶対の能力で人の生自体を無かったことにすること、死を無かったことにするのはタブーとされている。。
更に、絶対の能力を使い、他人に絶対の能力と同じような力を持たせるのもタブーとされている。
____________
とり合えず今まで話の中に出てきた物をまとめました。若干超能力についてはネタバレも混じっているのですが……。
- Re: 月下の犠牲-サクリファイス- ( No.24 )
- 日時: 2011/03/29 19:45
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: 0iVKUEqP)
第二十一話〜一人の少年の苦しみの歌〜
両目を包帯で隠した一人の少年、梨兎は桜梨達の居る牢屋の入り口に立っていた。いつからここに立っていたかは本人もわからないようで、ただ寒さと孤独に震えていた。
牢屋の前に立っていること自体は全然孤独だとも、苦痛だとも感じなかったのに……。それ以前に孤独だと感じたのも何年ぶりだっただろうか。中から聞こえて一つの言葉が少年を孤独に突き落としていた。
“嫌な記憶を思い出した”この言葉が梨兎の胸を容赦なく抉る。その後の全部嫌な訳ではないという言葉も嘘に聞こえてしまう。そんな自分が嫌で深いため息をつく梨兎。
「やれやれ……さてあの子は誰に憎しみを向けるのやら……」
小さく呟いて、その場を後にしようとする。本当なら中に入って声を掛けてやるつもりだった。でも桜梨が憎しみを全て自分に向けてきたら? 自分を蔑むような冷たい目で見てきたら? そう考えるだけで耐えることは出来ないと感じていた。
「ごめんね……桜梨」
小さなその声は自分自身の足音で掻き消される。大きな音は立てていない。それなのに桜梨がひょっこりと姿を現し梨兎の後を歩く。それに気づいていながら無言で歩き続ける梨兎。それは“ついてくるな”の合図だった。
普段の桜梨なら大人しく姿を消すのだが今日の桜梨は違った。何かを言いたげにずっと梨兎の後をついて歩く。そっと梨兎が自分の胸に手を当てて立ち止まる。
「今、君は僕についてこれない……絶対にね」
ビキンという嫌な音が響いた。桜梨はそのまま耳を押さえてしゃがみこむ。梨兎は桜梨の姿を確認しようともせず再び歩く出す。グッと握った手は微かに震えていて、何時も口元に浮かべている笑みは完全に消え失せていた。
「天仰ぎて破滅願うなら、マテリアルそろえ、道探せ」
自らの部屋にたどり着いた梨兎は、壁に寄りかかり、歌うかのように呟く。それは桜梨が空き地で呟いていたものだった。しばらく考えるような顔をし、ため息をついた後、包帯を取りソファに倒れこむ梨兎。
ソファに体が沈むのを感じながらまた言葉を紡ぎだしてゆく。
「扉、開けるはレジェンドの祈り。道を示すは二人の判断者……。扉、開かれ、判断者が破壊を認めたとき、善か悪かを確かめることなく全てが無へ帰るだろう……か」
クッションに顔を埋め、馬鹿馬鹿しいと考えても、完全に否定をすることはできない。今呟いたことは自らの母の家に伝わる言い伝えだ。だからこれを否定すれば、大好きな母も、その家系も否定することになるのではないかという考えが頭を支配していた。
突然梨兎の部屋の外が騒がしくなる。黙ってクッションに顔を埋めたまま耳を澄ます。騒ぎを聞いている限りは誰かが倒れたらしい。梨兎は、桜梨かエリカあたりが倒れたのだろうと考え、体を起こしソファに足を組んで座る。
そこで吐き気に襲われ、とっさに自らの口に手を当てる。口の中に広がるのは鉄の味。その不快な味に顔をしかめている間に口を押さえた手の隙間からボタボタと赤い液体がこぼれる。
このままだと変な誤解を受けるなと判断し洗面台でうがいをする。吐き気と口に広がった不快な味が消えたことを感じ梨兎は深くため息をつく。
「視力の次は命か? ……上等上等。そんなのとっくに覚悟してる」
まるで自分に言い聞かせるように言った直後にノックの音が響く。再びため息をついてソファに再び足を組んで座る。
「どうぞ。開いていますよ」
いつものような優しい声で言う。「失礼するの」と言って入ってきたのは肩位までの緑の髪に、黒の瞳の少女、ミーシャ。白と赤を基調とし、紫のリボンがついたワンピースを着ていて頭には白いフリルのカチューシャと猫耳と呼ばれるものをつけている。
梨兎が優しく「おや。ミーシャ。何かあったのですか?」と問いかければ、輝きのなく濁ったような青い梨兎の瞳に戸惑いながらでも「はい。桜梨ちゃんが倒れたの」と告げる。
ミーシャの言葉の後、梨兎が何かを考えるような動作をしていると、腰より下位までの緑の髪に黒い瞳の少女、リーシャが現れて「失礼。梨兎の坊ちゃん、あの銀髪の坊ちゃんが呼んでいたわよ?」と言う。リーシャは白と水色のワンピースを着ている。
「ふぅ……多分桜梨は、休まずに行動していたので疲れが出たのでしょう。ゆっくり休ませて上げてください。リーシャ、了解しました。今から行きますとあの方に連絡を入れてください」
息を吐いた後に一気に指示を出す梨兎。リーシャとミーシャは指示を聞けば、スカートの裾をそっと掴み軽く頭を下げ「了解」とだけ言い残し部屋を去ってゆく。
梨兎はドアが閉まった音を聞いた後、外出の準備を始めるのだった。
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