ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 白銀の少女 【完結!!】
- 日時: 2010/04/18 16:27
- 名前: 羽鳥 (ID: 0xGRiuWU)
───誰のためですか、それは。
少女は答えを求めるのです。
親しい友のため? 愛する者のため? 両親のため?
自分のため、と言えないまま。
◇ ◇ ◇ ◇
こんにちは、羽鳥です!
今回は鬼やら妖怪やらが出てくるお話になります。
ということで、頑張ります!笑
◆お客さま
・朝倉疾風さま
・nanasiさま
・ゼリーさま
・修也@さま
・椎名さま
・こたつとみかんさま
・禰音 鏡幻さま
◆目次
主な登場人物>>2
第一章 桜舞う、あの月の下で。
>>4 >>5 >>10 >>11 >>12 >>15 >>16 >>22
>>23 >>27 >>28 >>32
第二章 鬼狩りをする、鬼がいた。
>>33 >>36 >>43 >>44 >>45 >>46 >>51
>>52 >>57 >>59
二章までの解説>>64
第三章 時を越えて、守りし者よ。
>>65 >>68 >>69 >>72 >>73 >>78 >>79 >>80
第三章の解説>>81
第四章 守りたいと、想った。 護りたいと、祈った。
>>86 >>87 >>90 >>95
第五章 廻る時間と巡る運命
>>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107
最終章 永遠となれ、白銀の少女。
>>108 >>109
最後に>>110
キャラ絵
園原百合>>39
佐倉琴葉>>56
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- Re: 白銀の少女 ( No.68 )
- 日時: 2010/04/03 19:31
- 名前: 羽鳥 (ID: BlQGlUWP)
今夜も行くの?
……ねぇ、死なないでね。
────大丈夫。 わたしは死なないよ。
おれが護るんだよっ!
おれが、弱いかもしれないけどッ!
絶対に護りたい存在なんだ!
───そういう台詞は、普通の子に言ってよ……!
うわあああああ、鬼だあああああッ!!
もうやめて────!!
「……ッ?!」
突然、わたしは目を覚ました。
変な夢をみた。 自分で汗をかいているのが分かる。
しかも、外は真っ暗だ。
「うわ……、三時だ……」
時計を見ると、午前三時。 起きるのには、とても早すぎる。
昨日は色々なことがありすぎて、変な夢を見たんだろう。
考えすぎだ……。 そう、考えすぎ。
もう一回寝ようと、目を閉じた。
『……園原さん……。 園原さん…!』
耳元で、弱弱しい声がする。
ついでに、人じゃないような気がする。
ゆっくりと起き上がり、確認しようとした。
「………なッ、コハクちゃん?!」
『エンジュよ。 エンジュ!』
肩のあたりまであったはずの白銀の髪が、腰まで伸びていた。
普通だった瞳の色は、檸檬のような黄色になっている。
そして、頭からは二つの角。
「エンジュちゃん、なの……?」
『えぇ、そうよ。 エンジュ。 半分鬼になっただけ』
「本当に鬼なんだね……っ」
『言ったでしょう、鬼だって』
呆れたように、エンジュちゃんは言う。
次の瞬間、エンジュちゃんはニヤリと笑った。
『ほら、あんたも紫になったよ』
「え……?」
『鬼を見たり、妖怪を見たり、満月を見たりすると紫になるみたいだね』
へえ、そうなんだあ……。
「って、それより! どうしてわたしの家にいるの?!」
『鬼が出ました。 至急鬼狩りをして下さい。 by弥生と疾風』
はあああ?!
- Re: 白銀の少女 ( No.69 )
- 日時: 2010/04/03 20:19
- 名前: 羽鳥 (ID: BlQGlUWP)
「いや、あのね、エンジュちゃん」
『ごちゃごちゃ言わない! さっさと付いてきて!』
「わっ────」
ぐいとエンジュちゃんに腕を引っ張られ、窓から外に出る。
ちなみに、二階から。 ひょいっと、舞うように。
───落ちる!
そう思い、ギュッと目を閉じる。
『何目ぇ閉じてるの。 鬼のくせに!』
「わたしは鬼じゃなっ───!」
すとん、と普通にわたしは地面に着地した。
それから、びゅおっと再びわたしは飛び上がる!
しかも、家の屋根より高く!
「ひゃあああッ、どういうこと?!」
『ばか! ちゃんと制御しないさいよ!』
そう叫ぶエンジュちゃんは、軽く地面を蹴り、高く舞い上がる。
わたしと同じ高さまで来て、わたしの腕を掴む。
「制御って、どうすれば? って、どういうこと!」
『木下魄の鬼の魂が、外に出たんだろうね……』
「あんまりよく分からない!」
ふわりと再び地面に着地。
おや、次はちゃんと着地できたようだ。
続いて、エンジュちゃんも着地。
『仕方ない。 一応説明しておく……!』
エンジュちゃんは、鬼について説明し始めた。
鬼は並外れた体力、力を持つ。
そして自然治癒力。 怪我しても、すぐに治る。
あとは鬼によって違うが、何かの力。
この四つは、満月の夜になると特に強力になるらしい。
続いて、わたしと木下魄の魂。
エンジュちゃんの推測によると、瞳が紫になったら半分木下魄になるらしい。
つまり、瞳が紫になるとわたしは半分だけ最強の鬼になる、ということだ。
「へえ……」
『分かった? もう、はやく済ませて帰るんだから!』
「で、どこ行くの?」
『あと少し……。 あ、あそこ!』
エンジュちゃんは少し遠くを指差す。
それは、
「が、学校?!」
わたしたちの、中学校だった。
『よおく見て』
エンジュちゃんは言う。
幸い、わたしは視力が良かった。
グラウンドのあたりを、よく見る。
そこにいたのは、
「ひ……!」
一体の鬼でした。
- Re: 白銀の少女 ( No.70 )
- 日時: 2010/04/04 11:16
- 名前: 朝倉疾風 (ID: BLbMqcR3)
鬼が中学校にまで出没するとはっ。
夢の謎はなんなんでしょう。
- Re: 白銀の少女 ( No.71 )
- 日時: 2010/04/04 14:35
- 名前: 羽鳥 (ID: X96rB3AK)
朝倉疾風さん
鬼出没ですっ汗
夢の謎はまだ秘密で。笑
- Re: 白銀の少女 ( No.72 )
- 日時: 2010/04/04 16:23
- 名前: 羽鳥 (ID: X96rB3AK)
ちょうどグラウンドの真ん中あたりに佇む、鬼。
ギラギラと黄色の瞳で、睨む。
巨大なその体。 よく絵本とかで出てくる鬼。
それよりもっと迫力があり、とても怖い!!
『……あれを狩れば、いいんですよ』
「嫌だッ。 怖いじゃん! どうすればいいの?!」
『私も知らないわ! 木下魄じゃないんだし!』
「わたしも、知らないんだもん!」
『じゃあ、木下魄に訊け─────ッか!』
突然、エンジュちゃんがぶっ飛んだ。
「エンジュちゃっ……?!」
校舎の壁にぶち当たる、エンジュちゃん。
『かはッ、けへッ……! 気をつけろ!!』
ペッと血を吐きながら叫ぶ。
『飛べ!』
軽く、膝を屈折させる。
ひょうっと、わたしは校舎より高く跳ぶ。
下を見ると鬼が黄色の瞳で、わたしを睨んでいた。
そして鬼も、
「ひゃあああ! 来たあああああああ!!」
高くジャンプして、わたしのところまで来たのだ。
急いでわたしは急降下。
地面に着地すると、わたしはエンジュちゃんの場所へ走った。
「エンジュちゃん!」
『はやく狩れ!』
「だからっ、どうやって!」
『だからあ、訊け!』
ドシンドシン、と大きな足音。 鬼が迫ってくる音だろう。
「木下魄さあああああんッ、どうすればいいんですかあああ?!」
『……世界一のばかでしょう、貴方』
エンジュちゃんは、口元の血を拭いながら言う。
『仕方ない。 私は今、半分だけ鬼化しているわ。 だから、代わりにやる』
呟くように言うと、エンジュちゃんはわたしの横をすり抜けて行った。
「エッ………!」
腰まで伸びた白銀の髪が、ゆらゆらと揺らいでいる。
黄色になった瞳は、ギラギラと獣のように光る。
たんっ、と軽く地面を蹴る。
「!」
一瞬で、鬼の場所へ向かう。
やっぱり鬼の力は、すごいんだね……。
鬼と鬼の、戦闘が始まった。
エンジュちゃんは、すぐに鬼の正面に立った。
鬼はエンジュちゃんを殺そうと、大きく左腕を振る。
静かに、エンジュちゃんは両腕を上げた。
そして、
『儚く散りなさい、そう、花のように……』
静かに呟く。
鬼の大きな左腕は突然、砂のようにサラサラと風にのり、儚く消えた。
グラウンドに響く、鬼の奇声。
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