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ポゴリツァ戦史
日時: 2010/03/20 17:18
名前: ポゴリツァ脱走兵 (ID: fjWEAApA)

どうも、ポゴリツァ脱走兵です。
前の作品、消されてしまったのかと思っていたら実はエラーで一時的に見えなくなっていただけのようです。
早やとちってすみません。
よろしければ『タホ戦争 ある兵士の記録』と並行して見てってやってください。

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Re: ポゴリツァ戦史 ( No.9 )
日時: 2010/03/29 00:37
名前: ポゴリツァ脱走兵# (ID: fjWEAApA)

同日 ウル=カレン 南西部イヴィ=ザード軍陣地

アージルはあの後、運良く敵に見つからずにイヴィ=ザード軍の陣地まで戻ることができた。
あの戦闘の中生き残ることができたのはそう多くはなかった。
既に、同じ訓練所をでた仲間は半数以下に減っていた。

皆疲労し、明るい会話はなされなくなっていた。
夜は敵の散発的な夜襲に怯えて不眠の日々が続いていた。
もう肉体的にも精神的にも彼らは追い込まれていた。

翌日、仲間が発狂した。

いきなら見張りに後ろからナイフで襲い掛かり、もみ合いの末射殺されたのだ。
襲われた方は怪我はなかったが、それからというもの誰かが後ろに立つたびに怯え、刃物を見るとヒステリー状態になった。

あんまり症状が続くのに苛立った何人かがそいつをリンチにかけていた。

次の朝、皆の騒ぐ声が聞こえたので見に行ってみると、そいつは上官のホルスターから抜き取った拳銃で自殺していた。

Re: ポゴリツァ戦史 ( No.10 )
日時: 2010/03/29 01:01
名前: ポゴリツァ脱走兵# (ID: fjWEAApA)

2938年3月25日 ウル=カレン 南西部イヴィ=ザード軍陣地

とうとうイヴィ=ザード軍が反撃する時が来た。

同盟国のミン=グァンも本腰を入れてきたようで、北部では大攻勢がかけられ、こちらの戦線にもミン=グァンの戦車旅団が送り込まれてきた。

アージル「見ろよ。あんなに戦車がいっぱい・・・。これなら勝てるよ。」
ディッキス「アーティール戦車だな。聞いた話じゃああいつらが先陣きっていくから俺たちは後についていくだけでいいんだってよ。後始末なんて楽な仕事だぜ。」

同期のディッキスは割と情報通で、言う事が間違っていることは今まで一度もなかった。
今回のことも信用していいだろう。

各地でイヴィ=ザード軍が攻勢に転じる中、士気もいくぶん回復してきたようであちこちで兵士の顔にも余裕の笑顔が見られるようになった。

この攻勢が終われば故郷に帰れる。

皆気合が入っていた。

Re: ポゴリツァ戦史 ( No.11 )
日時: 2010/04/07 22:28
名前: ポゴリツァ脱走兵# (ID: fjWEAApA)

見たところかなりの数のアーティール戦車が投入されていた。
1個1個の戦車は思っていた戦車像よりも大分小さいように感じられたが、その数に圧巻された。

それらが一斉に砂煙を上げながら進んでいく。
カメラがあれば収めてみたい光景だった。

ディッキス「俺らもそろそろ出発みたいだぜ。」

アージルは仲間の呼び声に軽くうなずき、水筒を腰のベルトに引っ掛け立ち上がった。

今は自分のできることだけをやればいいんだ・・・。
無理して危険を犯す必要なんて・・・。

気持ちにもある程度収集がついていた。
自分が死んだところで何にもならないのだ。
生き残ることを最優先に考えよう。
名誉や栄光は二の次だ。

アージルは戦列へと歩いていった。

Re: ポゴリツァ戦史 ( No.12 )
日時: 2010/04/08 00:07
名前: ポゴリツァ脱走兵# (ID: fjWEAApA)

戦闘開始から1時間が経過していた。

これまでにない規模の反撃でポゴリツァ軍は動揺しているようだった。
一時は町の中心をも手中に収めていたポゴリツァ軍だったが、イヴィ=ザードとミン=グァン両軍の攻勢にじりじりと押され始め市街中心部からの撤退を開始していた。

部隊長「戦車隊の後に続いてミン=グァン兵を援護しろ。前進!!」

前を行くのはミン=グァン軍のアーティール6台。
一列になって路地を行くそれぞれ戦車の後ろに5、6人ずつミン=グァン兵がかがみながらついていく。

最後尾の戦車と20メートルほど離れてアージルたちはついていった。
建物の陰から陰へと間をあけないように小走りになり、砲撃が強まるとその場にふせた。

しばらく戦車は機銃を撃ちながら進んでいたが、交差点に差し掛かるときに突然止まりだした。

ミン=グァン兵「向こうにポゴリツァの戦車いる。応援を呼ぶ。しばらく突発戦闘に注意し待て。」
なかなか流暢なズーディー語だった。

Re: ポゴリツァ戦史 ( No.13 )
日時: 2010/04/24 17:28
名前: ポゴリツァ脱走兵# (ID: fjWEAApA)

皆が待機している間に仲間のミン=グァン兵が支援要請をしている。
意外に敵との距離が近いので少々下がらなければ巻き添えを食らうかもしれない。
しかし、このときアージルは何故こちらの戦車で一気に攻めないのか疑問に思っていた。
その答えはすぐに解決されることになるのだが・・・。

ミン=グァン兵A「こちら第18部隊、旅団本部・・・1-23-6地点に砲撃支援を・・・繰り返す・・・・・・。」
ミン=グァン兵B「ポル人どもがこっちに気づいたぞ!!」
ミン=グァン兵C「こっちも反撃だ!一気にやっちまえ!」

縦に並んだアーティールが次々と交差点内に入っていき、ちょうど1台目が交差点中央に差し掛かったときに1,2,3代目のアーティールの主砲が火を吹いた。
アージルはさっとポゴリツァ戦車の方を向いたが、ポゴリツァ戦車の損害は装甲版がはがれた程度だった。

次の瞬間爆裂音がして前から2台目のアーティールの砲塔が吹き飛んだ。
その戦車の後ろに隠れていたミン=グァン兵たちが衝撃でなぎ倒される。
2台目の後ろを走っていた3台目のアーティールは止まりきれずに撃破された2台目に乗り上げてしまった。
こうなるともうだめだ。1台目は交差点の向こう側に逃げ込み、乗り上げた3台目は動けないまま機銃の攻撃を受けて撃破されてしまった。
唖然とするアージルの前で、アーティールの装甲がまるで紙であるかのように機銃弾が突き抜けていった。


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