ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 人喰い物語
- 日時: 2010/06/12 22:02
- 名前: 花札 (ID: UTtYHGn5)
はじめまして。 初投稿でしかも投稿はちょっとおそいかもしれません。 しかも文章変かもしれません〔汗〕 それでもがんばらせていただきます!
- Re: 人喰い物語 ( No.5 )
- 日時: 2010/06/13 18:21
- 名前: 花札 (ID: UTtYHGn5)
・・・・どうして? どうしてなの? どうして・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ずるい ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい・・・・・・・・・ どうしていつでも人間が一番なの? どんなときでもどんな場所でもどんな時代でも・・・ 自然を荒らし・・・・無駄な物を作り・・・・ あたしの仲間を殺した。 ゆるさない・・・・・・・ 絶対にゆるさない・・・・・ゆるしてたまるものか・・・ 殺してやる・・・・・ この世の人間を全て殺してやる・・・・・・・ あたしが全員・・・・・食べてやる。 これは『人喰い』と呼ばれた少女の復讐の物語・・・
- Re: 人喰い物語 ( No.6 )
- 日時: 2010/06/13 18:59
- 名前: 花札 (ID: UTtYHGn5)
第一話 人喰いすぎた少女 この世界には名前がない。 古くから人々はただ「世界」としか呼んでいなかった。 「世界」には五つの大陸と九つの海があり、それぞれの場所でそれぞれの人々がそれぞれの伝統や文化をもって暮らしていた。
「世界」にははるか昔に魔法というものが存在していた。
魔法ははるか昔の時代ではだれもが使えたものだが、今の時代で魔法が使える人間は誰一人としていない。
しかし今もなお魔法が使える生命がいた。
それは人々からは『人喰い』と呼ばれていた。
人を喰らう人の形をした化物。
そう人々からは恐れられていた。
『人喰い』は人を喰らう魔法・・・いわば呪いを持つ。
人々ははるか昔から『人喰い』に喰われ、『人喰い』のエサとして・・・。
殺戮され続けた。
その行為は何百年・・・何千年と続き・・・・・
積もりに積もった人々の怒りは、いままで全くかなわく恐れの対象だった『人喰い』達に戦争として現れた。
そして一年前の創聖暦5604年・・・・
『人喰い』は全滅された。
『人喰い』は人々が作った凶悪な機械にやられた。
人々は『人喰い』がいなくなったことを喜び、新たに平和になった世界の繁栄へとむけて進みだした。
・・・・・・・・・・・・・しかし
『人喰い』にはたった一人の生き残りがいた。
その『人喰い』の少女は人々の復讐をしにきた。
仲間のかたきをとるために・・・・・
少女は動き出していた。
少女の名前はシンデレラ
不幸な姫の成り果て。
- Re: 人喰い物語 ( No.7 )
- 日時: 2010/06/13 20:37
- 名前: 花札 (ID: UTtYHGn5)
「おじょうちゃんはいったいどこからきたんだい?」
運送用の馬に乗りながらこげ茶色の髪の中年の男がい
った。
「えっとねえ・・・・あたしどこからきたのか自分でも忘れちゃったあ。」
運送用の馬にくくり付けられた荷物入れの馬車から十歳前半くらいの少女は男にそう答えた。
言い遅れた(?)がここは中央大陸アスマレルドの首都アストニアへと続く大平原セトルポックサ。
通称商人の道。
世界の中心の大陸の首都でもあり王国でもあるアストニアは世界一の貿易をもつ。
現在は世界統一されており、各大陸の王のなかでもアストニア王いわばシュトリームス・アース・アスマレルド王が最も最高格の権力と武力と経済力などをもっている。
なのでセトルポックサは各国の商人達の通り道に一番使われている。
「忘れたって・・・おじょうちゃん・・・きみはセトルポックサのど真ん中にぶっ倒れてたんだよ?常人の足では首都まで一ヶ月と半月かかるんだよ?ましてやおじょうちゃんみたいな小さな女の子が徒歩でセトルポックサを渡るなんて死にいくようなもんだよ。ここは運送馬じゃないと渡れないよ。おじょうちゃんは誰かと一緒に首都に向かっていた途中に捨てられたんだろうに・・・私が見つけて拾ってあげなかったらどんなことになっていたか・・・。」
「ぶっぶーちがうよお。あたし一人でここを歩いてて疲れたから寝てたんだよーだ。」
少女は無邪気に笑った。
男は呆れてため息をついた。
「だいたいおじょうちゃんはどこの貴族なんだい?そんな豪華なおべべと靴はいて・・・」
男がいったとおり少女は一般人らしからぬ貴族のような服と靴をはいていた。
豪華な純白のワンピース。
宝石のような輝きを持つガラスの靴。
おまけに少女の髪は雪を連想させる曇りひとつない白色。
瞳は冬の澄んだ空のように深い青色。
見るからに貴族に感じる。
「おじょうちゃんはとってもかわいい別嬪さんだ。さらわれて来たってこともあるなあ。」
「だーかーらー違うってーあたし一人でここまできたの!」
少女は顔を膨らませる。
「ああもう!こんなおじょうちゃんは初めてだ!!」
男は苛立って自分の髪をくしゃくしゃかき混ぜる。
その十秒後くらいにその行動をやめて再び少女に向き直った。
「そういえばおじょうちゃんの名前は?まだ聞いてなかったな。」
「あたしの名前?あたしはシンデレラ!」
「シンデレラ?ずいぶん珍しい名前だな。」
「えーあたしはけっこう好きなのになこの名前。」
男はなんだか昔子供のころ読んだ物語の主人公みたいな名前だなと心の中で思っていた。
「あ、ちなみに私の名前は」
「言わなくていいよ。どうせお前はここで死ぬんだ。」
言葉の題詞を途中できられた男はシンデレラの言った言葉にポカンとしてしまった。
「お・・・おじょうちゃん・・・?・・・なにを言って・・・」
「あたし本当に一人でセトルポクッサ渡ってきたんだよ。お前は最後まで信じてくれなかったけど。途中でぶっ倒れたのはおなかが減ったから。だからお前があたしを拾ってくれて助かったよ。だってお前はあたしのごはんになってくれるんだもん!」
シンデレラは純粋に笑った。
本当に純粋に笑った。
「ひ・・・・・・・『人喰い』!?」
男は馬から転げ落ちそうな雰囲気で叫んだ。
「ばいばーい人間。死ね。」
シンデレラの笑みを作っている口の中に鋭い八重歯がのぞいた。
「ぎ・・・・・・・ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ヒヒーン!と恐怖におののいた馬が荷馬車ごと大平原のどこかに走り去ってゆく。
シンデレラは男の肉を食べていた。
喰らいついていた。
そこらじゅうに血が飛び散っていたがシンデレラにはまったくついていなかった。
純白なワンピース、曇りひとつない白い髪はそのまま美しさを保っていた。
「うえっまっずうい」
シンデレラは男の肉をまずそうに食べていた。
「まあこんなもんか。見た目からしてまずそうだったし。」
そしてシンデレラはまだ半分以上(残りの半分はもう骨)となった男の体を踏みつけた。
何度も何度も・・・・。
「人間め人間め人間め人間め人間め人間め人間め人間め人間め人間め」
呪詛のように何度もはき散らした。
「早く殺しに行かないと・・・一年かけてここまできたんだから。」
そしてシンデレラは進みだした。男の死体を踏み越えて・・・・・・・・・
首都アストニア
一年前の『人喰い』抹殺指令をだした王国。
- Re: 人喰い物語 ( No.8 )
- 日時: 2010/06/13 21:19
- 名前: くれは ◆2nq4FqQmFc (ID: Rk/dP/2H)
人喰い;
シンデレラ怖い><
男の人も親切なのに不憫だなぁ…ストーリーにインパクトがあってとても良いと思います!
更新楽しみにしています☆
- Re: 人喰い物語 ( No.9 )
- 日時: 2010/06/14 16:56
- 名前: 花札 (ID: UTtYHGn5)
第二話 人喰いと復讐の王国
シンデレラは『人喰い』の仲間のみんなが大好きだった。
本来なら『人喰い』は闇のような黒髪と血のような真っ赤な瞳をもっている。
しかしシンデレラの髪は白く、瞳は青で本来の『人喰い』と全く正反対の姿だった。
このようなことは他の動物だったらきっと迫害や差別や捨てられたりなどがほとんどだろう。
でもシンデレラは違った。
『人喰い』のみんなはシンデレラのことを不気味やら気持ち悪いやら何一つ言わなかった。
シンデレラは他の子供と同じようにみんなから愛された。
雪のような真っ白な髪を綺麗と言ってくれた。
冬の空のような青い瞳を綺麗と言ってくれた。
シンデレラはそれがとても嬉しくて『人喰い』の中で自分だけ髪や瞳が違うことを全然気にしなかった。
山奥の『人喰い』達の村で一番陽だまりのような笑顔で笑っていたのはシンデレラだった。
でも
もう『人喰い』のみんなはシンデレラの髪と瞳を美しいなんて言ってくれない。
もう陽だまりの笑顔なんかで笑えない。
村を人間達に焼かれ
みんなを殺された。
両親も兄弟も友達もおじさんやおばさんも・・・・・
愛する人も殺された。
シンデレラは何もかも失った。
残ったのは憎しみ、殺意、恨み、怒り、悲しみ、絶望
そしてシンデレラという名の『人喰い』の存在。
村を焼かれ、仲間を殺され、何もかも失ったシンデレラは誓った。
人間全員を殺す。
不可能なことかもしれない。
無駄なことかもしれない。
理想だけかもしれない。
それでもシンデレラは誓った。
みんなのかたきをとると・・・・・・・・・・・。
商人の男を殺したあと、シンデレラは再び歩きだした。(人喰いには人間をはるかにこえた体力と身体能力が備わっている)
セトルポックサに入る前に同じように商人を殺した時に盗んだ通行手形を使ってアストニアにはいった。
門番は白髪の幼い少女が一人でセトルポックサを超えてきたことに眉をひそめたがそれは一瞬で、シンデレラは難なく門をくぐった。
アストニアはとても広かった。
たくさんの人々が道を行きかい、建物はたくさんあり、何よりも城がとてつもなく大きかった。
シンデレラはこの一年で人間達の中で生きるすべを身につけていた。
憎しみの対象がたくさんうろついていて思わず喰らいつきそうになってしまった体をぐっと抑えた。
夕刻に近づいたと同時に宿をとり、シャワーを浴びた。
鏡に映る人間と同じ姿をしている自分を恨めしくながめていた。
シャワーからでて、部屋着に着替えて長い髪をまた一括りに結び、清潔なベットに座り考えた。
国王を殺す方法を・・・・
シンデレラがこの国に来たのは『人喰い』抹殺命令をだした国王を殺すため。
一番の憎しみの対象を殺すべくシンデレラは一年かけて真っ先にここに来た。
シンデレラは考えた。
この王国は「世界」の中心であり最も強い武力や経済力を持っている。
その中の最高権力者を殺すのは不可能に近いくらい難しい。
国王は城から出てこない。
全くといってもいいくらい出てこないらしい。
それは風の噂で聞いていたがどうやら本当らしい。
「まいったな・・・・こうなったら危ないけど城に侵入するか?」
と考えたが城の守りは半端なく堅かたい。
ハエ一匹も通さないかたさとも言える。
それは今日巨大な城を見たから分かる。
シンデレラは頭を抱える。
そんなシンデレラに睡魔が襲った。
『人喰い』と言ってもまだ子供だ。
「・・・寝よっかな」
シンデレラは部屋のランプを消してベットの中に潜りこむ。
暗闇の静寂の中でシンデレラは一人呟く。
「みんな聞いて・・・あたしここまできたんだよお。一人でだよ・・・偉いでしょー・・・」
少しだけ笑った。
でも分かっていた。
返事は誰もくれないこと。
ただ静寂
ただ暗闇
まるですべてが死んだように・・・・・・
一人。
「う・・・・・うううううううううう」
シンデレラは泣いた。
大粒の涙をこぼして泣いた。
一人ぼっちで一人悲しく泣いた。
「うううううう・・・・・・・みんな・・・・・・・
みんなあ・・・・・・・・・」
いつも夜は怖くて悲しくて寂しくて・・・・・そんなこと考えないで眠れた日はあっただろうか。
「・・・・・・・・・・・ルゥナ・・・・・!」
大好きだった少年の名前を呼んだ。
もうこの世にはいないけれど・・・・。
シンデレラは眠った。
人間への憎しみを膨らませ・・・・・・。
この一年で殺した人間八百七十五人。
もっともっと殺さないと。
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