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魔女か狼人間
日時: 2010/07/08 21:51
名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)

調子に乗った2作目です。

前の続きと言えば続きです。
主に千夏と千秋が出ます。
暇つぶし程度に見てやって下さい。

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Re: 魔女か狼人間 ( No.20 )
日時: 2010/07/25 22:19
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)


昔、ある所に、4人の兄弟姉妹がいました。
彼らの祖母は彼らの内の誰か一人に
自分の道場を継がせようと思っていました。

1番上の長男は、才能はあったのですが、
両親の死をきっかけに一家の収入源になろうと、
道場に通う事をやめ、勉強ばかりするようになりました。

3番目の次男には、才能が全くありませんでした。
しかし彼は努力を積み重ね、
結果として4人の中では最も強い強さを手にしました。

4番目の次女には継ぐ気が全くありませんでした。
彼女は幼少の頃からずっと花屋になる事を夢見ていたからです。

2番目の長女にも、継ぐ気はありませんでした。

にもかかわらず、彼女には4人の中で、
否、最強と謳われた初代道場主をも凌駕する才能がありました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「それが、彼女・・・空波千秋ちゃん」

元解体鬼のおっさんが狼人間2人に
私の事を説明している隣で、
私は駅のホームに散らばった携帯の破片を拾い集める。

「そうなんかぁ、すげえなぁ、千秋って」
「いえいえそれほどでも」
「というか、本当に『努力』
 ・・・つまり訓練とかしてないのかい?」
「してませんが何か?」
「じゃあ、何で携帯電話なんか握りつぶせるんだ?」
「安物ですからね、本気で握れば誰でも潰せます」
「・・・・・・」
なんか、狼人間2人が黙りこんだが無視。
ああ、何で携帯電話にはこんなに細かい部品が使われてるの?
拾いにくいったらありゃしない。

「・・・あの、弧革さん。百円貸して下さい」
「いいけど何で?」
「公衆電話を使いたいんです」
「なるほど。分かった」
百円を受け取る。
まあ、自分のを使ってもよかったんだけど。
もったいないし。

「はい、空波春樹」
「先ほどは失礼しました、お兄様」
「ああ・・・何が起こった?」
「何も起っておりません」
「そうかい」
「で、千夏は?なんと言っていましたか?」
「そう焦るな・・・お前、結構ブラコンだよな」
「・・・何ですかそれ?」
「何でも無い。ごく普通の妄言だ」
「そうですか」
「けど、さっきお前に言った以外の事は
 何も言われてねえよ」
「本当ですか?」
「嘘ついてどうする」
「・・・そうです、か」
「あのな、俺やお前や美冬ならまだしも、千夏だぞ?
 あの、剣道全国大会において個人戦2位の千夏だぞ?
 心配せずとも、帰ってくるって」
「・・・そうです、けど」
「それとも、何だ?心配する要素があるのか?」
「・・・無いです」
「じゃあ、心配すんな。さっさと俺んとこ来い」
「・・・いや、やっぱり千夏が心配です。
 弧革さんに協力を要請して、探します」
「・・・なんで弧革さんが出てくるんだ?」
「実はすぐ近くに弧革さんがいるんです」
「何、やってんだお前?今どこだよ?」
「心配無用です。千夏と同じく、1週間ほどで帰りますから」
「まて、おい!千秋、落ち着け!いいから・・・」

電話が切れた。
百円ではここまで限界か。

Re: 魔女か狼人間 ( No.21 )
日時: 2010/07/27 22:23
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

第四ステージ
〜千夏サイド〜

・・・眼が覚めた。
でも、視界は開けない。

「起きた?」

あ、魔女の声だ。
生き残れたみたいだ。

「・・・・・・」

でも、声が出ない。

喉が痛い。

喋れない。

体中が、

痛い。

痛い。痛い。痛い。

「・・・・・・!!」
「あ、動かないでよ。全身大火傷してるから」
「〜〜!!〜〜〜!!」
「だから、喋ってもダメ。声帯も、髪すらも動かさないで」
髪なんか動かせねえよ。
つっこむ声すら出せない。

「えーと、覚えてるわよね?
 あんた、昨日の夜、焼け落ちようとするホテルから
 あたしを抱えて逃げてきたの」
「・・・」

思い出した。
【ジパング】の技・・・というか、武器の
【人魂爆弾】とか言ったっけ?
そんな火薬玉によってホテルの最上階にして最上級の部屋、
つまり俺達の止まっていた部屋から出火した。

火の勢いはとどまる事を知らず、
ホテルは丸ごと焼け落ちた。

俺は火の海の中、魔女をお姫様だっこして
さながら王子様のようにホテルから脱出したのだった。
いや、王子はそんな事しないだろうけど。


で、その結果がこの火傷か。

まあ、「ありがとう」の一言が聞けただけ満足だ。

「あんたは今、喉まで焼けちゃってるから・・・
 呼吸だって苦しいだろね」
「・・・・・・」
「眼にも包帯巻いたから、目も開けられないでしょ」
「・・・・・・」
「勿論、答えなんて求めてないから・・・えっと」

右の方からガサゴソと何かを探す音。
と、体にぬるりとした、何かを塗られる感覚。

「いま、軟膏塗ってあげる」

てことは今肌に感じられるこの触感はあれか、
魔女の指か。
魔女の指が俺の体中を撫でまわしているわけか。
いや、勿論魔女にはそんな気はないだろうが、
しかしこうやって動けない俺に付き添って
精一杯看病してる姿を想像(というか妄想)すると
かなりゾクゾクというかなんというか、
いや落ち着け、俺。
何考えてやがる。
落ち着け、まず落ち着け!とりあえず落ち着け!

「あの、千夏くん?」
「・・・・・・」
「あ、黙りこくってると思ったら、喋れないのか」
「・・・」

その間にも魔女の指が俺の体を撫でまわす。
じゃなくて、軟膏を塗りたくる。
ああ、この心地よい感覚・・・

「ハイ終わり、っと」
終わってしまった。
畜生。

「あんたの怪我が治るまで、ここに居候するから」
居候て。一体どこだよここ。

「おやおやおやおや千夏君!心配したよ!」
 
——ああ、俺はこの声を知っている。
元解体鬼にして義肢師、俺の模擬戦相手を務める男

弧革演義!

Re: 魔女か狼人間 ( No.22 )
日時: 2010/07/28 20:13
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

「何であんたがここに居る!?」

と、叫びたいのだがしかし、声が出せない。
嗚呼くちおしや・・・

「ああ、このヒトとあたしは昔の知り合いなのよ」
「そうそう、昔愛の巣を築きあった仲・・・」
「うるさい」

誰かが誰かの顔面当たりを蹴る音。

「うぎゃう!!」

・・・・・・

「このヒト、腕は確かでしょ?だから治療してもらいに来たの」

そうなのか。
まあ、義肢師だけど、一応は医師免許だって持ってるだろうしな。

「聞いたよ?ハートを命懸けで助けたんだって?」

・・・誰だよハート。

「このコの名前なんだけど・・・知らなかったのかい?」
「・・・・・・」
「あ、あたし【そっち】の名前は名乗って無いの」
「じゃ、どっちの名前?」
「っていうか、名乗って無い」
「そうかい」
「そうなの」

・・・・・・弧革には名乗ってるのに俺には名乗って無いのか・・・
ショック。
無念。

「ねえ、千夏」

なんですかい?魔女様。

「お疲れ様。良く頑張ったね」

「・・・・・・」

その声を聞けるだけで満足でございます。
ああ、素敵。

「・・・お礼に、いいこと教えてあげる」

耳元に、息がかかる。
これはあれか、こしょこしょ話スタイルか。
なんだ、魔女が俺に顔を寄せているというわけか。
・・・まて、落ち着けよ。
なんかさっきからこんなことばっかり考えてねえか?
これは、あれだ。
眼が見えないために与えられる情報がごく僅かなので、
自分で色々想像するしかないので仕方ないのだ。
俺は悪くない!!


魔女の囁く声が、俺の鼓膜を優しくふるわせる。


「あたし、人殺しなんだよ?」

Re: 魔女か狼人間 ( No.23 )
日時: 2010/07/29 22:35
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

Minus stage
〜Old story〜

「・・・ハートフル・フレイマ・キャロラインどの」
「何?切り裂きジャック・・・ってかその名で呼ばないで」
「何で?」
「あたしがつけた名前じゃないもの。気に入らない」
「じゃ、何と呼べばいい?」
「・・・そー、ねぇ」
「今考えてない?」
「その通り・・・よし、じゃあ、エクレア」
「・・・何それ」
「知らないの?エクレール・オ・ショコラ」
「知らん」
「お菓子よお菓子・・・あ、そっか、何年か牢獄入ってたんだっけ?」
「そうなんだよーん」
「美味しいわよ、あれ・・・
 あんたの事は何て呼べばいいの?」
「んじゃー、ジャックでいいよ」
「オーケー」
「で、エクレアどの」
「何?ジャック」
「貴女に惚れた。俺を貴女の奴隷にしていただきたい。」


「どういうつもりだ、切り裂きジャック!!」
「どうもこうも。君には関係ないよ」
「関係あるね。フレア様に何するつもりだ!!」
「フレア様?」
「・・・真ん中のフレイマから取った呼び名だ」
「その名前で呼ばれるの嫌いなんじゃ?」
「語感が気にいったらしいんだ・・・じゃねえ!!」
「そう猛るなよ、【喰人鬼】グラトニー」
「お前がその名で俺を呼ぶんじゃねえ!!
 それはフレア様専用だ!!」
「・・・ゴメン」
「話を戻す・・・お前、フレア様を殺しに来たんだろう?」
「いや、最初はそうだったんだよ。
 無罪放免の条件がこの辺に巣食う魔女の駆逐だったし」
「じゃあ、何でその家来なんかになってやがる!?」
「だから猛んなっての・・・」
「お前が何しようが勝手だが、フレア様に危害を加えて見ろ・・・
 俺がお前を、殺す!」
「お前じゃ無理だろ。お前より俺の方が強い」
「それでもだ!!お前を殺してやる!!」
「・・・ま、気をつける事にしよう。
 心配しなくとも、エクレアに危害は加えないさ」


「ジャック、グラトニー」
「何でしょう?」
「どうした?」
「狼人間って知ってる?」
「一応、少しは」
「俺も。そういや、ホミサイダルは全員鬼か狼人間だっけな」
「何その団体?」
「魔女狩り作戦執行部隊。魔女専門の殺し屋さ」
「危険なのと関わってるわね・・・ま、いいわ」
「狼人間がどうかしたのでしょうか?」
「あのさ、少し遠くに狼人間の集落があるらしいの」
「それが、何か?」
「その集落に住む奴とさっき会って来たんだけど」
「はあ」
「事もあろうかあたしを老いぼれ扱いしたの」
「んだとコラァぁぁぁぁ!!!!」
「落ち着いてよグラトニー・・・で、ムカついたから」

「その集落、潰すことにしたわ」

「ついては、2人で集落の子供一人、拉致って来て」

Re: 魔女か狼人間 ( No.24 )
日時: 2010/07/30 23:06
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

第四ステージ
〜千秋サイド〜

狼人間のアジト。
住処。
巣。

6人の狼人間・・・【トラ柄】さん、【ブーツ】君、
【旦那】さん、【大男】さん、【ジパング】さん、【ロング】君の6人。
6人の狼。
【七人の最強の狼】、マイナス、1人、イコール現状。
一人は47年6カ月28日前に、魔女達に殺された。
【鎌鼬】・・・【喰人鬼】に喰い殺された。
無残に、無惨に殺されたらしい。

「で?千秋のお嬢さん?どうしたの?」
紅一点の【ジパング】さんの問い。きれいな人だ。
「可愛い子じゃんか・・・どこで見つけたよ?」
多分同い年ぐらいの【ロング】君の問いは
【ブーツ】君に向けられたもの。
まあ、2人とも100年くらい生きてきたみたいなんだけど。
私の何倍なんだよって感じだけど。

「ああ、ちょっと。
 総力挙げて、このコの弟探してあげよう」
【トラ柄】さんの説明。
「まあ、俺はいいと思うぞ。
 人助けすることで狼人間の株をあげるのも大事だ」
【旦那】さんの意見。
「不本意ながら、旦那に同感」
【ブーツ】君の声。本当に不本意そうな声。
「うん、ま、いいんじゃね?
 どうせ魔女はしばらく見つからないだろうし」
「そうね。魔女探しついでに弟君も探せるでしょう」
【ロング】君と【ジパング】さんの意見。
「・・・よかろう」
重い【大男】さんの意見。
弧革さんはこのヒトの義手を作りに来たと言っていた。

「・・・いいんですか?」

「いいよ、別に」「暇だし」「遠慮しないで」
「美少女歓迎!」「うるせえ!」「・・・」

・・・友達のいない身としては、少し嬉しかった。


「で、具体的にどうするか・・・」
「ローラー作戦かしらね」
「だろね」
「・・・妥当だろう」
「それで、いいだろう」
「結構適当ですね」
「それでいいんだよ、人生楽しまなきゃな」
「はぁ・・・」
「弟の容姿は?」

「えっと、少し金の入った茶髪?かな。
 背は私ぐらい、パーカーにジーンズ。
 剣道の達人です」


・・・あれ?何でみんな黙るの?


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