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魔女か狼人間
日時: 2010/07/08 21:51
名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)

調子に乗った2作目です。

前の続きと言えば続きです。
主に千夏と千秋が出ます。
暇つぶし程度に見てやって下さい。

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Re: 魔女か狼人間 ( No.1 )
日時: 2010/07/08 22:25
名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)

第一ステージ
〜千夏サイド〜

改札を通る。
電車に乗る。

国立静養学園を知らない人はそんなにいないだろう。
まあ、俺は知らなかったが。

静養学園とは小学校から大学院までが
1つの敷地内にあるという超巨大な学校の事だ。
中学校の時点で数種類の学科に分かれ、
高校ではおよそ50もの学科のうち一つを選択するらしい。
設備も一流。寮も完備。
日本中から才能ある若者が集う。
十年近く前にできて以来、
国の未来を背負うエリートを次々と育成してきた
・・・・・・らしい。
俺はよく知らない。

そんな半端じゃない学園に入るには
やはり半端なく難しい試験があるらしいのだが、
兄ちゃんはあっさりとクソ難解な転入試験をパスした。
しかも、成績優秀のため、学費免除。

強ぇ。

なんでも、
「リハビリやってる間に留年決定しちまったから、
 どうせなら学費免除狙ってやってみた」
らしい。

たった1カ月学校に行数に勉強したからといって
どうこう出来るようなレベルじゃないはずなんだけど。

そんなわけで今俺は、高校最初の春休みという期間を使って、
兄ちゃんの引っ越しの手伝いしに80km以上離れた学園へと
電車に乗っていく最中だ。

「あー何で千秋と別々なんだろ?」
千秋も行くはずだったのだが、
直前で千秋だけ遅れて行くことになった。
やはり一人はさびしい。
乗客が少ない事も作用して、寂しさ倍増だ。

本を読む性質でもねーし、
持ち込んだ漫画はもう読み終わった
(表紙が可愛い犬の4コマ漫画だ)。
音楽プレイヤーは電池切れ。

・・・暇だし寂しいこういう時、
殆どのニンゲンは眠る事を選択する。

俺もそうだった。

「おやすみー」

誰に言うでもなく、言って眠る。


——そこに魔女がやって来た。

Re: 魔女か狼人間 ( No.2 )
日時: 2010/07/08 22:32
名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)

時雨です。

新しいの書いたんですね。
千秋君の前に現れた魔女ですか。
どんなでしょうね。

Re: 魔女か狼人間 ( No.3 )
日時: 2010/07/11 12:49
名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)

時雨さん

初コメどうも有り難うございます。

ええ、無謀にも書き始めました。
なんか、色々申し訳ありません。ホント。

まあ、魔女も狼人間もこれから考えますよ。

———————————————————

彼女に会ってから約15分後。

俺は目の前の、どこか【喰人鬼】を思い出させる
猫背の男を前に、

魔女を背に、

カッコつけていた。

「こいつは俺が守る!」


男はダボダボのノースリーブシャツに古そうなジーパン。
トラ柄のバンダナを額に巻いてて、猫背。
でもその目は異常なまでにぎらついていた。

出来れば、人生のレール上に現れてほしくないタイプ。

まあ、服装だけで言えば、後ろの魔女も大概だが。

「何?」
「いえいえ何にも」
「ふーん」
「ああ、そうそう、このヒト何?」
「知り合い」
「お前には走行中の電車の車窓をぶち破って来るような
 知り合いが居るのか?」
「名前は【トラ柄】もしくは【バンダナ】と呼ばれてるの。
 良かったわね、これであなたも知り合いよ」
「良かねーや」
「守ってね☆」
「・・・へいへい」
可愛く言う魔女に若干ときめきながら、
(見た目は俺と同年代だ。若作りしてるんだろう)
【トラ柄】に向き直る。

「お話、終わり?」
「あーあー、終わり終わり」
「あ、そう」

【トラ柄】は。
どこからともなく、マラカスの様な形状の棍棒を
右手に3つ、左手に2つ構える。

「いくよ、いい?」
「・・・いや、俺、素手だよ?」
「何で?あんた、刀持たせたら天下一じゃない」
「何で兄貴の寮に行くってのに刀を持って行くんだよ!」
「使えない」
ぼそりと言う魔女。使われてたまるか。

「まあ、ドンマイ」

跳びかかって来た。

「うお!」

右手の3つを屈んでかわす。

顔面をけられた。

「!!!」

俺の顔面にヒットした右足をひっつかみ、

足を背負い、背負い投げ。

床に人間が叩きつけられる音。

「——!」

そのまま【トラ柄】の右腕を取り、腕を固める。
手を開かせ、棍棒を落とす。

「おっしゃ!捕まえた!!」
「おーすっごーい」
手を叩いてはしゃぐ魔女。
女子高生か貴様は。

「で、こいつは何だ?」
「言ってなかった?」
「守れとしか言われてねーよ」
「そうだっけ?」
「そうだ」

「まあ、説明する前に、
 四肢の骨折って窓から捨てて」

Re: 魔女か狼人間 ( No.4 )
日時: 2010/07/10 23:20
名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)

数分間の議論の末、言われたとおりにした。

すなわち、四肢の骨折って窓から捨てた。

耳に残る悲鳴を、俺は忘れることはないだろう。


「・・・で?何なんだあれ」
「狼人間」
「へえ、そうかい」
「驚かないの?狼人間よ?」
「目の前に魔女が居たら驚こうにも驚けねーよ」

そう返してから割れた2つの窓を
(片方は入ってきたとき、もう片方は出すときに割れた)
ちらりと見やる。

「でもさ、あいつ、どう考えても狼じゃなかった。
 ・・・・・・むしろ、【鬼】みたいな」
「んーま、【鬼】と似ているけど、
 それ故に全く違うわよ」
「は?」
「【鬼】は発現するもの。いわば一代限りの突然変異。
 それに対し狼人間は遺伝するもの。いわば一つの種族。
 ・・・理解できる?」
「——分かりにくいな」
そもそも、俺の一家は何だよ。【鬼】が遺伝してんじゃねーか。

「あんたんちが『異常』なの。『特例』よ」
「だろーな」
「まあ、だいたいあんたんちみたいな感じ。
 ただ、全員に発現するのよ」

全員にか。
俺んちがそうじゃなくてよかった。

「そいつらの特徴は?」
「野生化」
「へ?」
「筋肉が『人間』よりかはむしろ『狼』に近い構造になるわ。
 あとは、五感ね。五感が異常なまでに発達するし、
 それに爪も牙も鋭く、硬くなる。」
「・・・うげげ」
「でも、まあ、それだけっちゃぁそれだけ。
 殺人衝動とか喰人衝動なんてものは無いから
 むしろ【鬼】よりも精神的に人間らしいわ」
ふーん。

肉体的に人外の狼人間に、
精神的に人外の【鬼】か。

『間も無く〜美吉〜美吉〜お出口は〜右側になります』

お。

「じゃ、俺は乗り換えなきゃいけないから。
 また会おう。see you!」
「逃げるな」

ぐえ。
襟を引くな。首が閉まる。やめてくれ。

「守ってくれるって、言ったのに」
「うるせえ。俺は家族以外の人間なんざ、
 ぶっちゃけどうでもいいんだよ」
「いいじゃん。守ってよ。
 こんな可愛い女の子を見捨てるって言うの?」
「黙れこのババぁ」
「殺そうか」
「すみません」

「・・・だったら、家族になろうよ」
「は?」
「結婚しない?」
ぶっ!!
「だだ誰がお前なんかとするか馬鹿野郎!」
「冗談よ。何顔赤くしてんのよ」
「五月蠅い!」
「守ってくれないの?」
「守らない」

魔女はこれ見よがしにため息を吐いた。

「・・・あなたのお父さんとは全然違うわね」


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