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魔女か狼人間
日時: 2010/07/08 21:51
名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)

調子に乗った2作目です。

前の続きと言えば続きです。
主に千夏と千秋が出ます。
暇つぶし程度に見てやって下さい。

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Re: 魔女か狼人間 ( No.15 )
日時: 2010/07/20 22:23
名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)

あいつです。
個人的に気に入っているので出しました。

—————————————

「・・・あなたは、狼人間・・・?」
「そぉ。信じられないぃ?」
そう言って苦笑いする姿に狼の面影は無い。
だが、そういう「復讐」をするにあたって、
その刀を帯刀していてもおかしくないというか・・・
いや、おかしいか。

「でも、今この現代まで、(あなた方はともかく)なんで
 【喰人鬼】や魔女は生きているのですか?」
「あぁ、あの魔女、自分と自分の家来どもに
 【不老の呪い】をかけたんだぁ・・・
 奴等は歳をとらなかったぁ。
 多分【殺人鬼】もあそこで死ななきゃ今も生きてたはずだぁ」
「でも死んだんでしょう?」
「そうだぁ」
まあ、
自分の祖母の兄弟がかなり若い姿で家に居るのも
どうかなって思うし・・・

「でも、じゃあ、何でここにあなたはいるん・・・」

・・・あ、そうか

「この辺りに、魔女が?」

「そうだぁ・・・しかも【トラ柄】の話だと
 かなり強い協力者がいるらしいんだぁ」
「協力者・・・?」
「そうだぁ。【トラ柄】は俺達の中じゃぁ、
 どっちかって言うと【バトル】より【ストーキング】に
 特化した奴だからなぁ・・・」
「でも、普通の人間には劣らないはずでは?」
「まあぁ、そうだからぁ・・・」
「ちなみにあなたは?」
「【七人の最強の狼】の中では一番強いんだぜぇ?俺ぇ」
「そうですか」
どうでもいいけど。

「・・・何してる?【ブーツ】」

また変な人が来たか・・・と思って声の方を見る。

二人の人影が階段の方から、来るのが見える。

一人は見覚えがある顔だ。
もう一人は知らない顔。
真っ黒なコートにニット帽を深くかぶり、サングラスをした
いかにも怪しい男だ。
だけど、サングラスを外すと、そこには優しげな青い眼。

「ん?誰だこのめちゃくちゃ可愛いコ」
「俺が既に貰ってますぅ、ダンナぁ」
「上塗りしてやろうか?」
「そういう話はやめてもらえませんか」

とりあえず知らない人もそっちの人らしい。

「【ブーツ】君、このヒトは誰でしょうか?」
「俺よりよえぇよぉ」
「お前、俺に勝った事ねえじゃん」
「あるよぉ。何回も勝ったぁ」
「うそつけ」
「とりあえず、名前だけ教えて黙って下さい」
「・・・・・・」
「・・・・・・み、皆からは旦那と呼ばれてます。
 一応、最年長者です」

何か怯えてるような感じ。
少し地が出たかな・・・
最近は直ってきたというのに。

「ねえねえねえねえねえ!!千秋ちゃ〜ん!
 な〜んで僕をシカトするのかな〜?」

・・・・・・

「ああ、これはこれは・・・
 すいません、【ブーツ】君【旦那】さん、
 今日はこれで失礼します、また今度」
「放置プレイ?」
「五月蠅いです」

彼の名は弧革演義【コノガワエンギ】。
私のお兄様の専属医師。
近親相姦大好きなただの変態。
そして【元解体鬼】——つまりそっち系。

私はこのヒトには会いたくない。

Re: 魔女か狼人間 ( No.16 )
日時: 2010/07/21 22:49
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

第三ステージ
〜千夏サイド〜

一人は・・・空波千夏。あんたのお婆さんの兄・・・
つまりは切り裂きジャック。
それと同時期にもう一人いるんだけど、
ま、あんたには関係ない赤の他人ね。
一人はあんた。
最後の一人はあんたのお父さん・・・
つまり、空波夕暮【カラナミユウグレ】。

「そういや、何でお前、俺の名前を知ってるんだ?」
「あんたのお父さんに写真見せてもらった事があるの」
「・・・あのファミコンが」
「ファミコン?」
「ファミリーコンプレックスの略。
 シスコンとか、ブラコンとかみたいな意味」
「それ、あんたの造語?」
「そのつもり」

ふーん・・・ま、いいわ。
ああ、そういえばあんたのお父さんとは
飛行機事故で死ぬ・・・3、4カ月前に初めて会ったの。
中国でね。
パンダに襲われてるところを助けてもらったのよ

「それ、中国のどこだよ!」
「中国奥地」
「何でサラリーマンがそんなところいるんだ!?」
「知らない・・・トラの油でも探してたんじゃない?」
「・・・確かに親父は万屋を営んでるとか言ってたけど」
「はっはっは〜」

そんときよ、『守る』って言われたのは。
いやー夕暮が妻子持ちじゃなきゃ惚れてたわね。
スーツよ?
スーツ姿でパンダに勝ったのよ?
・・・そういえばジャックもいっつもスーツだったわね。

「それだけ?」
「それだけ」
「いや、せめてもうちょっとだけでも」
「例えば?」
「んーと・・・別れまでの経緯とか」

別れまでって言っても・・・
ああ、その後、あたしが魔女だってばれて、
だったらミスリル鉱石を捜しに行こうってなって。

「どこがどうなったらそうなったんだ!?」
「色々語りあったのよね〜」

で、ミスリル鉱山を探索中に落盤があって、
あたしと夕暮は分断されちゃったのよ。

あたしは鉱山で、5年間の間ずっと埋まってたわ。
・・・そりゃ、死んだと思われても仕方ないかもね。
多分、夕暮は絶望したんでしょ。
あたしは息出来なくて辛かったけど、
夕暮はもっと・・・辛かったと思う。
自分だけ息している事が、辛かったんじゃないかな。
そういう、優しい馬鹿だもの。

5年かけて、岩を掘ってトンネル作って外に出れた。
それが1週間前。
けど
外に出たら、夕暮が死んでたって聞いたのよ。
それが、3日か4日前。

え?
そんなことないわ
ただ、悲しかっただけよ。
心配しなくていいわ

Re: 魔女か狼人間 ( No.17 )
日時: 2010/07/22 22:18
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

「・・・そうなんだ」
「そ。ま、これが夕暮との馴れ初めよ」
語り終えて一息、魔女がため息をつく。
「いいやつだったのにな・・・」
「ふーん」
何か引っかかる。

「!お前!5年間埋まってたって!?」
「え?そうだけど」
「マジでか!」
すげえ。
酸素とか、栄養とかはどこから?

あ、魔法か。
こいつ魔女だもんな。

「あ〜、そうそう。魔法つかったのよ」
肯定する魔女。
肯定しながら、部屋の隅のワインセラーから
なんかフランス語かドイツ語のラベルが貼られたボトルを
手に取ってベッドにまた寝転がる。

「そこらへんにコルクスクリューとか無い?」
「何それ?」
「・・・コルク抜き、無い?」
「ああ、これ?」
それっぽい物体を魔女に向かって放る。
「さんきゅー」

それでコルクを抜き、ラッパ飲みを始めた。

「・・・」
「何?飲みたいの?」
「いや、俺、未成年だし。
 ってか、ホテルとかのワインって高いんじゃねーの?」
一番高い部屋だし。
「まあ、高額よね」
「・・・」
こういうの、ブルジョワって言うのか?

「・・・うーん、せめてもう1ランク上の奴、
 用意して欲しかったわね」
「さあ、寝ようぜ」
なんか、
これ以上会話すると俺の中で何かが壊れそうだ。

「一緒に寝る?」
「結構です」
断ると、魔女の寝ている隣のベッドに寝転ぶ。

寝よう。





「千夏、狼人間来た」

Re: 魔女か狼人間 ( No.18 )
日時: 2010/07/23 22:48
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

「来た・・・?」
「そうよ」

魔女は既に外着つまりはパンクファッション
に着替えている。ちなみに俺は外着のまま寝た。

体を起こす。

窓の外の景色はまだ、夜。時間は不明。
電気は一つも点いていない。

ドアの方に3つの人影。

真ん中の一人はかなり大きい。
2mあるんじゃないだろうか?
暗くて分かりにくいが、コートを着ているらしい。
背中から棘の様なものが生えているように見える。
多分、剣2本を背中に交差させて背負ってるんだろう。
「真ん中のが【大男】」、と魔女が隣で囁いて教えてくれた。

俺から見て右側の一人は、
髪が床に届くほど長い。色は分からない。
鬼が持つようなこれまた長い棍棒を2本、片手に1本ずつ持っている。
「右のが【ロング】」とまた教えてくれた

最後の一人、左の奴は多分、女。
女物の着物を着ている。
目立った武器は持っていなさそうだ。
「左のは【ジパング】」との魔女の囁き。

「おーおー居た居た・・・殺してやるか」
髪の長い奴・・・【ロング】の優しそうな声。
セリフと合ってねえ・・・
「・・・見つけたぞ、魔女」
【大男】の予想通りの野太い声。
「死んでもらうから覚悟するように」
【ジパング】の予想通りの女の声。

「・・・ここって最上階だっけ?」
「そうだけど?」
「魔法で飛び下りたりできるか?」
「残念だけど。
 もうあたしの魔力は若さを保つので精いっぱいなの」
「じゃあ、ここで死ぬか?」
何が若さだ。この若作りマニアが。
「・・・倒すしかねえってか?」
「そゆこと」

そう囁いた魔女はベッド脇に置かれた
旅行鞄の中から木刀っぽい物を取り出す。
俺に手渡した。

木刀って言うか、真剣だった。

「銃刀法違反んんんんんん!!!」
ガタガタ震えだした俺に向けて、魔女は笑顔。
「頑張ってね☆」
「・・・・・・・・・」
頑張れと言われたら頑張らないわけにはいかぬ。

「・・・分かったって・・・お前は俺が守るから」

これは恥ずかしいので聞こえないように呟いた。

「きゃー!カッコいー!!」

聞かれてた。
顔が真っ赤になったのを感じた。

頭をぶんぶんと振って、刀を抜く。
刀身が暗闇の中で白く、薄く見える。

とりあえず、先手必勝とばかりに【大男】の懐へ飛び込んだ。

Re: 魔女か狼人間 ( No.19 )
日時: 2010/07/24 20:16
名前: カラマワリスト (ID: 6Ex1ut5r)

第三ステージ
〜千秋サイド〜

「弧革さん、何故ここに?」
「君に会う以外に理由が要るのかい?」
とりあえず顔面にハイキックを喰らわせる。

「・・・あの、お嬢さん?どうしたの?」
「どうという事もありませんよ、【旦那】さん」
白目をむいて倒れたおっさんは無視。

「で、何故このヒトがここに?」
「ああ、俺が協力頼んだんだよ」
「・・・魔女探しでしょうか?」
「いや、それとは別件・・・仲間の一人が腕を失くした」
「腕・・・ですか」
弧革さんの職業は医師だが、その専門は『義肢』作り。
彼の義肢は『本物よりも本物らしい』との評判だ。
勿論、このヒトの属性からその顧客のほとんどは
裏世界の人々である。
祖母の昔からの知り合いらしく、
その繋がりから兄の腕も作ってもらえた。

「魔女の所に3人で襲わせたんだけどな・・・
 かなり強いボディーガードがついてるらしいんだ」
「・・・」
今度は千夏みたいだ。
まさかね。

「この義肢師を連れて来る時この駅を通ったんだけどさぁ、
 なんと千秋が見えてよぉ、ビックリしたぜぇ」
【ブーツ】君の説明。
「・・・まあ、知り合いが駅で寝てたらね・・・」
そりゃビックリするわな。
今度からは気をつけるとしようか。

「・・・あれ?という事は、もう彼の仕事は終わったのですか?」
「ん?ああ、終わった」
今度は【旦那】さんが答える。
「一晩で?」
「いや。3時間もかからなかった」
・・・さすがに仕事の腕はすごい。

「素晴らしい腕だよ、あいつは」
「はぁ・・・」
いや、どうでもいい。

「・・・千秋ぃ、お前はこれからどうするぅ?」
「え?いや、そうですね・・・
 とりあえず兄と連絡をとりますよ。
 実は今、兄の引っ越しの手伝いに向かう途中だっんです」
「ほうほぅ」
「それで、この駅で・・・
 一緒に手伝いに行く予定の弟を待ってたんです」
「へえ」
「でぇ、一晩待てども来なかったってかぁ?」
「そういう事です」

そう言うと、携帯を取り出す。
千夏も確か持ってたような気がするが、
仮に千夏が電車に乗っていたなら周囲の人に
迷惑だろうと思い、かけなかった。
とりあえず、千夏ではなく兄にかける。


「ハイもしもし、空波です」
「お兄様?千秋です」
「あ、千秋?」
「千夏はもう居ますか?」
「いや〜その、まあ、なぁ?」
「疑問に疑問で答えないで下さい・・・どうかしたんですか?」
「え〜まあ、その」

何かを決心したのか、うんうんと頷く気配。

「1週間ほど、俺の寮に居る事にしてくれ、
 ちょいとトラブルに巻き込まれた、
 大丈夫、1週間以内に帰る・・・だってさ」

私は電話を握り潰した。


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