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- 魔女か狼人間
- 日時: 2010/07/08 21:51
- 名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)
調子に乗った2作目です。
前の続きと言えば続きです。
主に千夏と千秋が出ます。
暇つぶし程度に見てやって下さい。
- Re: 魔女か狼人間 ( No.10 )
- 日時: 2010/07/17 15:09
- 名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)
カラマワリストさん、お久しぶりですー。
結構進みましたねー。
千秋と千夏、二人の視点から見えるからおもしろいですよー。
更新がんばって下さい。
- Re: 魔女か狼人間 ( No.11 )
- 日時: 2010/07/17 23:27
- 名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)
時雨さん、どうもです
千夏と千秋の視線にしたのはまあ、
単純に両方書きたかっただけなんですけどね。
応援ありがとうございました。
————————————————————
Minus stage
〜Old story〜
最悪、凶悪、人間失格と呼ばれる大犯罪人達が入れられる刑務所。
その名も、アウシュビッツ収容刑務所。
その、誰も出られないとまで言われた門から、
スーツ姿の男が出てきた。
一見、何も変哲もない金髪金眼に長身だが、
被っているシルクハットの天辺には大穴が開いており、
日光遮断を目的に被るには無理がある代物だった。
少しの間、ぼうっと立っていた男は、
何の前触れもなく右腕を振る。
その袖口から、仕込まれた鋭利なナイフが飛びだしてきた。
そのナイフを掴む。
虚空目掛けて、振る。
男——切り裂きジャック・ザ・リッパーは、呟く。
「予想通り、絶不調だ」
数時間後、駅にジャックはいた。
「えっと・・・4時だから、1時間後か・・・」
時刻表を見やり、呟く。
「んーじゃ、まその辺でゆっくりすっか・・・っと」
そこでジャックは動きを止め、
手に持ったトランクを地面に置く。
今、ジャックがいるところからかなり離れた二本の太い柱。
そこから、殺気を感じた。
「・・・ってか、やべーな。多分ホミサイダルだよな・・・
あのヤロ、部下の管理くらいきっちりやれよな」
刑務所出所直前まで話していた相手を思い浮かべる。
ぶん殴ってやりたいが、その相手は今ここにはいない。
2番線に止まった汽車の戸が閉まった所で、
ソレは動きだした。
二本の内、一本の柱と天井との接点付近から血が噴き出す。
「あれ?」
続いて、もう一本の方からも、血が。
血。
「きゃああああ!!!」
「ななな・・・!!」
「うっ、うわああああ!!」
群衆の叫びの中、ジャックはトランクを持ち直した。
「方向は、今出ようとしてるやつと同じはずだよな」
また、呟く。
「まったく・・・なんで【鬼】がここに来るんだよ」
ホミサイダルは今ので全滅かな、と
呟いて、跳ぶ。
走り出した汽車の上に乗る。
【ホミサイダル】の二人を殺した【鬼】が
走って追いかけてくるも、その差は伸びるばかりだ。
現代の電車程ではないといえど、
人間から比べれば汽車のスピードは遥かに速い。
当然の結果であろう。
【鬼】の思考もそこに行きあたったのか、
躊躇なく、先のジャックのように屋根に飛び乗った。
「あ、来ちゃった」
ジャックと【鬼】は相対する。
先に動いたのは【鬼】。
5m程度の間合いを一瞬で詰めると、
無数の拳と蹴りを繰り出す。
全てを避けるジャック。
一旦跳んで後ろに引き、体勢を立て直した【鬼】との距離を
今度はジャックが詰める。
ナイフの腹を手刀が弾く。
蹴りをナイフのグリップで受ける。
首を狙う一閃を屈んでかわし、カウンター。
体重を乗せた拳を蹴りで相殺しきれず、後すざる。
傍目から見れば、明らかにジャックが押されていた。
「ありゃま」
しかし、呑気そうにジャックは呟くと、
ナイフを捨て、【鬼】の腕をとると放り投げる。
再び2人の距離が開いた。
汽車は町中からもうずいぶん離れた。
「・・・・・・」
「お前、誰?」
「・・・・・・」
「黙秘かよ」
「・・・ぎひひひひ・・・」
「ん?」
跳びかかって来た。
「うぎゃ」
脇腹が抉れた。
自分の後方に蹴り飛ばす。
それでも【鬼】は、その両の手を使い、逆立つ。
「いって—な!もう!」
今度は叫び、逆立ち状態の【鬼】に跳びかかる。
蹴りで応戦する【鬼】。
汽車が峡谷に架けられた橋を渡り始めた。
明らかに不利な体勢の中で、
ジャックの頬を蹴りの風圧で裂く。
そんな【鬼】の腕を、
ジャックが払う。
「足払いならぬ、腕払いってか」
呟いて、
空中に浮いた【鬼】を、
思いっきり蹴飛ばした。
【鬼】は峡谷へと突き落とされた。
「ふう、殺人終了♪」
- Re: 魔女か狼人間 ( No.12 )
- 日時: 2010/07/18 19:17
- 名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)
第二ステージ
〜千秋サイド〜
・・・はっ!
いけない、いけない、
駅のホームのベンチで寝ていた。
「お目覚めぇ?」
「ええ、もう・・・」
はた、と気付く。
目の前に【ブーツ】君が立っていた。
「きゃあああ!!」
「何で悲鳴ぃ!?」
「ああ、申し訳ありません、反射的に」
「フォローになってねーしぃ・・・」
苦々しい顔の【ブーツ】君。
「まったくぅ・・・寝ぼけてんのぉ?」
「う・・・いや、そのぉ・・・」
赤面する。かなり恥ずかしい。
「ボディーガードしてやったんだよぉ?
あんたかなり可愛いんだから、襲われるぜぇ?」
「・・・・・・・・・」
何も言えない。さらに赤面した。
このヒト、自分の言葉の意味を分かって言ってる?
案外、分かって無いんじゃないかな・・・
「ん?あぁ、【トラ柄】はもう心配しなくていいよぉ。
ほぼ全快してるからぁ」
「両手両足の骨も?」
「うん」
「・・・あなた方、一体何ですか?」
「えぇ〜、どーしよぉ、教えよっかなぁ〜?」
にやにやする【ブーツ】君。
腹が立つ!
「だってさぁ、結構危ない世界なんだぜぇ?
お嬢さんはぁ・・・」
と、ここでふと気づいたように【ブーツ】君が言葉を切る。
「お嬢さん、お名前はぁ?」
「えと、千秋です。空波千秋・・・」
「——空波だとぉ!?」
瞬間、体が震えた。
痺れた。
気圧された。
「あ、うあ、あ・・・」
「ってっめぇ!!
お前っ、ジャックの子孫だってのかぁ!!あん!?
このぉ・・・」
「ひっ・・・!!」
思わず目を閉じる。
「・・・悪いぃ。ちょっと・・・熱くなったぁ・・・」
「え?あ・・・はい・・・」
眼を開けると、項垂れた【ブーツ】君。
「あぁ、そっかぁ、お前ぇ、
親戚筋であって子孫じゃねぇよなぁ。
第一ぃ、あん時にお前は生まれてもいねぇしぃ・・・」
「あ、あの・・・?」
ブツブツと何かを呟く【ブーツ】君に
思わず声をかけた。
「き、気にしてませんから。
その・・・護ってくれて、有難うございます」
「あぁ・・・いいよぉ、そんなのぉ・・・
じゃぁ、気をつけてぇ・・・」
そう言い残して立ち去ろうとする【ブーツ】君に
「あの、切り裂きジャックがどうかしたんですか?」
何で、声をかけてしまったのだろうか?
- Re: 魔女か狼人間 ( No.13 )
- 日時: 2010/07/19 22:21
- 名前: カラマワリスト (ID: nWdgpISF)
「俺が生まれたのはぁ、100年近く前だぁ」
「・・・そうは見えません」
「呪いだよぉ」
【ブーツ】君は自らの掌を、太陽に翳す様にして言う。
「とある魔女がなぁ、俺達を呪ったのさぁ・・・」
狼人間の村が、100年近く前のヨーロッパにあった。
その名の通り、住民は全員が狼人間だ。
狼人間といっても、満月の夜に変化するわけではない。
単純に、身体の動きや牙が狼に似ていたために
狼人間という名前を付けられただけのこと。
——人外ではあったものの、
そこそこ、平和に暮らしていたという。
そこに魔女とその二人の【鬼】がやって来た。
内、一人が切り裂きジャック——【殺人鬼】。
もう一人は【食人鬼】だったという。
その三人は、その村を荒らしていった。
まずは狼人間の子供が一人、殺された。
次に、老人たちが全員、殺された。
魔女の本拠地に乗りこんだ
【七人の最強の狼】と呼ばれる七人組は、呪われた。
村は紅蓮の炎に包まれ、
全員、殺される。
【七人の最強の狼】達を除いて。
彼らにかけられた呪いは、【未来無】——ミライハナシ。
その呪いの名前に反し、呪われた彼らは死ぬことが無かった。
死ねなかった。
しかし、同時に子供を作る事が出来なくなった。
彼らは、本当の意味で、最後の狼人間になった。
しかし、彼らにその気はさらさらなかった。
呪いをかけた魔女一派を殺すことで、
呪いを解こうとする。
【殺人鬼】は村人を道連れに死んでいた。
【喰人鬼】はつい最近、死んだと知った。
だから、あとは魔女を殺せば
彼らに未来が戻る。
ということらしい。
- Re: 魔女か狼人間 ( No.14 )
- 日時: 2010/07/19 23:07
- 名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)
喰人鬼ってあれですよね?
美冬と戦ったあれですよね?
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