ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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━ESP『エスパー』━ アンケート調査♪
日時: 2010/09/10 22:59
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

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第1回アンケート調査>>31
用語集 パート1>>34


〜特別ファイル〜
01話>>29
02話>>30

〜第1章 断罪〜
キャスト>>4 >>21
00話>>1     11話>>23
01話>>2     12話>>24     
02話>>3     13話>>25
03話>>5     14話>>27
04話>>6     15話>>28
05話>>8
06話>>9
07話>>10
08話>>11
09話>>17
10話>>18

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Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜 ( No.25 )
日時: 2010/08/28 17:38
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

13【天馬の家族】

「い、いえ!!息子はまだ・・・・分かりました。」

天馬の母、由美子は受話器を置くとリビングのソファーに腰掛ける。
「どうだ?天馬はいたのか?」
「いないわ・・・あの子ったら・・・・」
防衛省に勤める天馬の父、英明はため息をつきながらスーツのネクタイを緩める。
「塔子ちゃんは?あの子には言うな。」
「分かってるわ・・・でも・・・」
由美子は液晶テレビの上に飾られた家族の写真を見る。
写真はどこかの遊園地で撮影したらしく、天馬と由美子と英明が笑顔で写っている。
「・・・塔子ちゃんを養子に引き取ったのが・・・間違いだったのか・・・・」
「あ、あなた!!!」
由美子は英明の言葉に腹をたて、思わず立ち上がる。
英明はすぐに自分の言ったことを恥じらい、由美子に謝りながら頭を下げる。
「・・・・とりあえず、俺は防衛省の仲間と探してくる。お前はここにいろ。」
「分かったわ。」
由美子はソファーに座り、英明は鞄を持って家を出て行った。
その時だった。

「ただいまーー!!」

玄関から聞こえる元気な声。由美子は暗い顔を無理やり明るくする。
「おかえり、塔子ちゃん。」
「ただいま!あれ、天兄は?」
‘天兄’とは、天馬お兄ちゃんの略称だ。
ショートヘアーに癖毛がつき、小柄な女の子は制服姿で全部の部屋を見渡す。
海藤一家の養子、塔子は由美子を見ると首を傾げる。
「天兄は?」
「えっと・・・学校で先生の手伝いをしてるの。」
「帰ってくるんだよね?帰ってくるんだよね?」
塔子は涙目になりながら由美子に聞く。
塔子は天馬のことを本当の兄の様に慕い、いつもくっついている。
「帰ってくるわ・・・」
由美子は塔子の頭をなでると、ベランダから沈みかけている夕陽を見る。
由美子は最悪な事態が起こらないことを願うのだった。


**********


‘アビリティ’ 社長室


由美子と同じ夕日を、天馬は見つめていた。
社長室には冥堂、算介、亜樹、三郎と天馬を合わせた5人が集まった。
「まずは御苦労。天馬君、傷は大丈夫かい?」
「はい。掠り傷程度です。」
冥堂はその言葉を聞いて胸を撫で下ろす。
「敵の一人を拘束した。君らAチームは引き続き、逃亡したクライムの後を追ってくれ。」
「だけど、どこに行けば?」
算介の質問に、冥堂は顎を触りながら振り向く。
全面窓張りの壁から、夕日が間近に見え、社長はシルエットにしか見えない。
「千葉支部にいる草屋君が情報を手に入れるまでは、百宮高校の警備についてくれ。」
天馬はその言葉に疑問を抱く。
それに‘草屋’という名前は前にも聞いたが、一体何者なのだ?
「あ、あの、千葉支部って、なんですか?」
天馬はとりあえず、ダイレクトに疑問をぶつけた。
すると、亜樹が天馬の肩に手を置いて首を横に振る。
「その話は後。あなたは、早く帰った方が良いわ。」
亜樹の言葉で、天馬は冷や汗をかく。

あの事件の後に消えれば、かなり怪しまれるのでは?

「警察には知り合いがいるし、私から連絡をとっておく。早く帰りなさい。」
「は、はい!!」
天馬はそう言うと、大慌てでエレベーターに乗り込み、家へと戻った。


**********


家に着いたのは夜の7時前だった。
夏だから夕日が沈んでもまだ明るいが、玄関の前に来ると気持ちが暗くなる。
「た、ただいま〜ぁ・・・・」
天馬は小声で静かにドアを開ける。
その瞬間。

「天兄!!」

ドアを開けた瞬間、塔子が天馬に抱きついてきた。
「と、塔子ちゃん・・・・」
「天馬!!」
リビングからやってくる由美子と英明。表情はかなりピリピリしている。
「ご、ごめんなさい。ちょっと・・・・」

「全部聞いたわ。あなた、あの事件で頭を強く打って保健室で休んでたって。」

「え?」
天馬は由美子の言葉に一瞬言葉を失うが、亜樹や冥堂たちの仕業と察知した。
「そ、そうなんだ。心配掛けてごめん。」
天馬は心の中で亜樹達に感謝をする。
とりあえず、天馬は由美子と英明に謝ると、自分の部屋に入った。

小さなテレビ、勉強机、ベットに漫画がある本棚。
どこにでもあるような普通の部屋に、天馬は入るとベットにダイブした。
「疲れた〜あ・・・・」
学校を襲撃され、志村と戦い、家族に真実を知られる寸前というハプニングを全て乗り越えた。
恐らく、人生で一番疲れた日であろう。
天馬はそのまま眠りに入ろうとする。その時だった。

「天兄?」

ドアが開き、すでにパジャマに着替えた塔子が入ってきた。
「どうしたの?」
「大丈夫?学校、大変だったんでしょ?」
天馬は塔子を安心させるため、笑顔で頭を撫でながら言う。
「大丈夫。心配しなくていいよ。」
塔子は天馬の笑顔を見ると笑顔になり、天馬の腹に向かって抱きついてきた。
塔子は以前にも引き取られたらしいが、そこで虐待にあい、この家にたまたま引き取られた。
母の由美子がどうしても女の子が欲しいと言い、養子をもらったのである。

「天馬、塔子ちゃん!!夜ごはんできたわよ!!」

天馬は由美子の言葉が聞こえ、塔子と一緒に立ちあがる。
「飯食べたら、ゲームでもしよっか!!」
「うん!!」
天馬は塔子と約束すると、リビングに向かい平和な日所へと戻ったのだった。

Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜 ( No.26 )
日時: 2010/08/31 21:57
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

━大・大・大ニュース♪・・・かな?━

近いうちに、前のスレとは違う話へと発展します☆
まだ待っていてくれた人はありがとうございますm(__)m
もう少し、お待ちを・・・・

Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜 ( No.27 )
日時: 2010/09/03 21:50
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

14【移送任務】


百宮学園高校襲撃 翌日


天馬は学校を終えると、すぐ様会社へとやってきた。
朝早く携帯にメールが入り、新しい任務ということしか聞かされていない。
「おっ!天馬、大丈夫だったか?」
天馬が会社前に着くと、会社のエントランスで煙草を吸う三郎が立っていた。
「今から6階のAチーム専用ミーティングルームにこい。そこで、任務の詳しいことを話す。」
「分かりました。」
天馬は三郎に一礼すると、ロビーの中へと足を進めた。
会社内はクーラーが効いており、とても快適に仕事をできそうな気がする。
天馬はそんなことを思いながら、エレベーターに乗り6階を目指した。


**********


6階 Aチーム専用ミーティングルーム


デスクが4つに書類や資料が積まれた棚がある部屋に、天馬はノックをしながら入室した。
「よう、天馬!!」
部屋の中には算介しかおらず、天馬は算介に挨拶しながら椅子に座る。
「亜樹さんは?」
「学校じゃね?三郎先輩はタバコ吸いに行ったし・・・」
算介が言ったその時だった。

「おーす!始めるぞ!」

三郎は亜樹と共に入室し、そのまま三郎だけが3人の前に立つ。
「やあ、天馬君。」
「こんにちは。」
天馬は亜樹の純粋な目に胸を動かされる。いつ見ても綺麗な瞳だ。
「任務の説明を始める。今回は移送任務だ。」
「移送任務?」
算介が首を傾げながら質問する。
「先日、社長と円と紅月が捕まえた火山隼人。彼をNPSに移送し、速やかに入獄させる。」
天馬は‘NPS’という言葉に疑問を抱き、隣に座る亜樹に問う。
「NPSってなんですか?」


「国家機密刑務所。英語で略してNPS。」


天馬はその言葉を聞き、あることに気付いた。
国家ということは、政府は能力者の存在を知っているのか?
質問しようとしたが、三郎は任務の説明を続けた。
「火山隼人は社長たちの戦闘で両手の神経を負傷し、能力は使えない。まあ、安全のために手足は拘束する。」
「雪里ちゃんの能力使えば早くないですか?」
亜樹の言葉に、三郎は首を横に振る。
「あいつは任務で北海道にいる。こちらに戻るのは1週間後だ。武器重装備の移送車で運ぶ。」
三郎は自分のデスクの上にある資料を取り、目を通しながら説明を再び始めた。
「NPSは千葉港にある。そこまでは渋滞に出合っても3時間はかかるが、そこまで注意ポイントを言うぞ。」
三郎はデスクの上にある数枚の写真入りの紙を、部屋の前にあるホワイトボードに付ける。
天馬たちもそれを目で追う。
「まず、一つ目はレインボーブリッジ。移送車は目立つので、狙われやすい。」
三郎は次の写真を指さす。
「2つ目は千葉マリンメッセスタジアム。ここは移送当日にアイドルのコンサートがあり、かなり混み合う。奴らも紛れている可能性が高い。」
天馬は三郎の言葉で、朝友人の日高がそんな話をしていたことを思い出した。

「今度、千葉でRIGHT Nineのコンサートがあるんやで!!」

天馬はアイドルに興味もないし、そこまで関心も持てない。
すると、算介は大声を出してポケットから一枚の紙切れを出した。
「お、俺、そのコンサート行く予定・・・」
「任務が優先だ。あきらめろ。」
算介は三郎の言葉がかなりショックらしく、一瞬で暗い状態になった。
そんな算介にもかかわらず、三郎は説明を続ける。
「後は細かいポイントを注意して見といてくれ。メンバーはこのAチームと、村佐円、木枯紅月だ。」
天馬は任務予定日を見ると、夏休みにすでに入っている時だと気付く。
高校に入学して早8ヶ月。
こんな非日常が自分に来るとは思ってもいなかった。

しかし、今が人生一番楽しい時だ。

天馬は資料を手に取り、笑顔で窓から外を見る。
「任務、頑張るぞ!」

Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜 ( No.28 )
日時: 2010/09/05 20:12
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

15【いざNPSへ】


夏休み初日


天馬は家族に‘友人の家に泊まる’という口実を言い、この日は会社の任務に励んだ。
集合場所である会社地下駐車場に着くと、すでに全員が集まっていた。
「よし、天馬は移送車に乗れ。俺と算介は移送車の後ろから別の車で護衛する。」
天馬、亜樹、算介、三郎の4人は真っ黒な大型移送車の前にいた。
移送車は見るからに頑丈そうで、ちょっとした攻撃では傷がつきそうにない。
天馬が移送車の後ろに乗り込むと、手足を拘束され、目隠しをされた火山が乗っていた。
火山は衰弱状態で、顔色も良いとは言えない。
「やあ。君が天馬君か、社長から色々と聞いてるよ。」
火山の隣には腰に刀を持つ木枯紅月が座っていた。
天馬は先輩である紅月に一礼すると、火山と向かい合うように座った。
天馬の隣に亜樹が座り、最後に村佐円がドアを閉めながら入ってきた。
「亜樹、念のためにあなたは助手席に移動して。」
円は腰につけていた刀を外し、手入れを始めながら言う。
「なんで?別に大丈夫じゃない?」
「念のためよ。社長もかなり警戒してるし、絶対に成功させるの。」
円の言葉で、亜樹は渋々助手席に移動した。
天馬は火山をチラリと見ると、以前高校を襲撃した時のことを思い出す。
「こいつも・・俺と同じ能力か・・・・」
火山は天馬と同じ発火能力を持つ能力者。天馬は同じ能力者が対立するを不思議に感じた。

「え〜っと、それでは今からNPSに向けて出発します。運転は三木がしまーす!」

運転席から聞こえる若い声に、天馬は呆気を取られる。
すると、向かいに座る紅月が笑顔で天馬にしゃべりかけた。
「あいつはいつも陽気なんだ。君とは入社1年しか変わらないしな。」
円はその言葉を聞くと、なぜかクスクスと笑い始める。
天馬は円になぜ笑っているのか質問した。
「え?だって、あなた三木と全然違うから・・・」
「三木はな、入社当時かなり緊張して先輩のお荷物だったんだ。それに比べて、天馬君は頑張り屋だな。」
紅月の言葉に、天馬は頬を赤らめ照れる。
そして、移送車は千葉にあるNPSに向けて出発した。


**********


千葉 県境


出発から2時間.....
最初の注意点だったレインボーブリッジは、何事もなく通過し、第2の注意点に追突した。
「ったく・・・渋滞だ・・・・」
運転する三木は、果てしなく続く渋滞を見てため息をついた。
「マリンメッセでアイドルのコンサート・・・まったく・・・・」
亜樹もため息をつき、窓を開けて涼しい風にあたる。
後ろに乗る天馬達は、クーラーのおかげで快適な任務となっている。
あまりの気持ちよさに、円は刀を枕に転寝をし、紅月は刀の刀身を丁寧に拭いている。
「アイドルってそんなに人気があるのか?」
紅月は面倒くさそうに天馬に質問する。
「分かりません。でも、個人差じゃないですか。こっちの身にもなってほしいですよ。」
「だな!!」
紅月は笑いながら天馬を見る。
天馬は自分の後ろにある小窓を開け、外を見渡す。
確かに渋滞は結構距離があるものだ。
この様子だと、目的地につくのは夕方頃か・・・。
「この進み具合だと、ホテル泊まりか・・・」
紅月はそう呟きながら、携帯を取り出しどこかに電話をかけ始めた。

『あ!社長ですか?お疲れ様です。ホテルの手配お願いしたいんですけど・・・』
『そうか・・・やはり渋滞が原因らしいね。分かった、頼んでみるよ。』
『ありがとうございます。』

紅月が携帯をポケットにしまう。
「ホテルですか!?」
「あぁ。・・・なんかうれしそうだな。」
「え?」
天馬は自分が若干笑顔でいることに気付く。
無理もなかった。まるで、修学旅行みたいで面白そうだしこんなワクワク、中学の時以来だ。
天馬は上機嫌になり、小声で鼻歌を歌い始めた。


移送車の後方 算介と三郎の乗る車


会社専用の車に乗っている算介と三郎は、移送車を見失わないように気をつけていた。
理由は簡単。渋滞にはいれば、移送車を見失う可能性があるからだ。
助手席に座る算介は、iPodで音楽を聴きながら悠長にも漫画を読んでいる。
「おい、気を引き締めろ!」
「大丈夫でしょ。向こうにはベテランが3人に天馬もいる。それに、運転手も能力者でしょ?」
算介は何故か笑いだす。どうやら、漫画が良いところらしい。
三郎は注意するにも呆れ、ため息をつきながら外を見た。
マリンメッセスタジアムが見え、その向こうから渋滞が消えかかっている。
「やっと渋滞から抜けれる・・・」
三郎が安堵の息を漏らした。
すると、算介が漫画を閉じてある質問をぶつけた。
「そう言えば、NPSって超能力者専用なんですか?」
「まあ、表向きは普通の犯罪者専用だよ。刑務所の署長と社長が知り合いで、裏では超能力者の犯罪者も収監されている。それも、地下深くのレベル0という場所だ。」
三郎のその言葉に、算介は首を傾げながら復唱する。
「レベル・・・・ゼロ?」
「まぁ、普通の牢屋とは違って、特注された防弾ガラス。鉄でできた壁と床。最強の牢屋だ。」
三郎は笑いながら言い、算介は唖然とした表情でその話を聞いている。

NPS_______

そこは、犯罪を超能力者にとって______


地獄となる場所であった_______

Re: 〜アビリティ・ワールド 第1章 断罪〜15話UP♪ ( No.29 )
日時: 2010/09/06 19:53
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)

特別ファイル01【神谷零 暴走事件その1】


時は遡り20年前______


「これにて、就任式を閉会する!!」
アメリカのとあるシークレットルームで行われた就任式がちょうど終わる。
壇上の上には、まだ若い冥堂とマルコの2人が立っていた。
「では、これからよろしく頼むよ!!」
アメリカ合衆国大統領ライリー・ロックウェルは2人に握手をしながら満面の笑みで頷いた。
冥堂とマルコも笑顔で握手をすると、大統領にお辞儀をしながら壇上を降りた。
「ついに、社長まできたな。冥堂。」
「あぁ。マルコスは千葉支部だろ?私は東京支部だし、何かあったら助け合おうな。」
冥堂の言葉に、マルコは微笑む。
「ま!そんなに大きな事件も起きないよ。能力者だって、最低でも殺人までしか犯すことはない。」
マルコスはそう言うが、冥堂は首を横に振る。
「分からないだろ。世界征服やとんでもないことを企む奴も何れ出てくる。」
冥堂の言葉に、マルコスは腹を抱えて大笑いした。
「そんな時代遅れの奴、今どきいるか?」
この時、冥堂もつられ笑いした。

しかし、2人はその後気付くことになる。

現実になるとは思いもしなかった______


***********


就任式から10年後


「ほ、本日から入社しました神谷零です!!よ、よろしくお願いじまっ!!」
冥堂の前に立つ新人社員、神谷零は舌を噛んで涙目になる。
零の隣には、当時のAチームリーダーである山本優輝が立っていた。
「かなり頼りないですが、能力や実力は本物です。」
「ほう・・・何が使えるのかね?」
冥堂の言葉で、神谷はポケットから蝶の亡骸を出した。
「僕の能力は、命を取り戻す死者転生という力です。」
神谷がそう言うと、ピクリとも動かなかった蝶は元気よく羽をばたつかせて飛びまわった。
冥堂は驚いた表情で感心すると、神谷に左手を差し出す。
「君の能力で、世界を、みんなを助けて行こう。」
「はい!!」
冥堂と神谷は握手をし、山本はそれを横で見守っていた。
冥堂はこの時、神谷が将来良い能力者になることを確信した。
だが、それは思い込み。
そして、事件は神谷が入社して5年後に起こったのだった。


**********


「山本リーダーが死亡!!!メンバーも全員絶命しました!!!!」
雨が降る中、アメリカの砂漠地帯に任務で訪れていたAチームに問題が発生した。
冥堂は東京支部でその連絡を聞くと、情報部の人間に何があったか聞く。
「砂漠地帯で任務帰りのヘリコプターが墜落。神谷以外のAチームは全員死亡です!!」
情報部の言葉を聞き、冥堂は顔色を変えて立ち上がった。
「今から向かう!!瞬間移動を使える者はいるか!?」

「俺でいいならいいすよ。」

頼りない返事をしたのは、冥堂の隣に立っていた星宮海斗だった。
星宮は腰に刀をつけ、円と紅夜の職についている感じだ。
「アメリカの砂漠地帯に急げ!!緊急事態だ!!」
「りょうか〜い〜ぃ」
緊急事態にも関わらず、星宮はだらしのない声を出すと冥堂の方に触れ、そのまま砂漠地帯へと瞬間移動した。


**********


アメリカ 砂漠地帯


閑散とした砂漠の真ん中、青い空に延びる黒い煙。
燃え盛るヘリコプターの近くに、うずくまって倒れている神谷がいた。
「神谷!!」
瞬間移動で現れた冥堂と星宮は、すぐ様神谷に駆け寄る。
その時だった。

「ひゃっはぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

神谷が突然起き上がり、両手から黒い雷を出してきた。
「なっ!!おわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
星宮は刀でガードするも耐えきれず、そのまま10メートルほど弾き飛ばされた。
冥堂は言葉が出なかった。神谷の能力は死者転生のはず。
なぜ、両手から雷など出せるのだ?
それに、普段の神谷ではない。

「なぜだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!晴香ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

神谷は両目から涙を流し、ヘリコプターの方を向く。
「あいつさえいなければ!!晴香は死ななかったのだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
神谷は泣き叫び、両手から黒い雷を出して燃え盛るヘリコプターを攻撃する。
冥堂はただ、その光景を呆然と見ることしかできなかった。
「一体なにがあったんだ!!!!」
冥堂は大声で神谷に叫ぶが、神谷の耳には届かない。
完全に理性を失い、闇雲にヘリに向かって攻撃を続ける。
中にはAチームの3人の遺体がある。
「これ以上・・・・させるものか!!!!!」
冥堂は両手から光を放つと、眩い光の中から金色に光る槍が出てきた。
「ホーリースピア!!!」
冥堂は光の槍を神谷に投げつけ、2人の戦いが始まった。





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