ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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GAME 命をかけた殺し合い
日時: 2011/01/05 19:55
名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)

初めまして、山下愁です。
ちなみに、初投稿です!

その1…荒らしはお断りします。

その2…中傷、パクリ、お断りします。

その3…お客様、大歓迎です。


上記を守って、楽しく読みましょう。


目次

登場人物紹介>>01
プロローグ>>02
第1話>>03
第2話>>04


以下、もう面倒なので止め!

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Re: GAME 命をかけた殺し合い ( No.24 )
日時: 2010/10/29 17:01
名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)

「綾羽!!!」「如月!!!」
 紅月と翼が、同時に叫んだ。
 綾羽は、不思議な物を見るような瞳で、2人を見つける。そして、薄く笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。
「神が呼んでいる。最期のバトルロワイヤルよ、覚悟は出来ているかしら?」

 最期のショーの幕が上がった。

 生き残るのは、

 正義か、欲望か。


***** ***** ***** *****

 紅月が、最初に目覚めた噴水広場に来た。
 目の前には、あの大きな液晶画面がある。砂嵐の状態だ。
 紅月と翼は、綾羽を凝視しながら武器を構えていた。本気で戦うつもりだろう。
「フフッ、そう慌てないで。神からの話を聞いてからにして頂戴」
 綾羽は軽く笑いながら、液晶画面の方に目を向けた。
 紅月もつられて、液晶画面に視線を移す。
 すると、プッと音がして画面が真っ黒になった。
「やぁ、3年4組諸君」
 渋い声。まさしくそれは、最初に聞いた神の声だった。
「もう生き残っている者も少ない。よって、今から最期のバトルロワイヤルを始めよう」
 神の声は、楽しそうに言う。
 翼が、その神の声に対抗した。
「何でそんな事をしなきゃいけねぇんだよ!!! ふざけるな!」
 すると、綾羽がナイフを翼の首に突き付けた。
 翼はそれに反応して、綾羽を蹴り倒し銃口を向ける。そして、静止。
「ナイフをどけろ。さもなくば、撃つ」
 翼は、乱暴な言葉を吐きだした。
 綾羽は仕方なく、ナイフをどけた。
「正義の為に生きている紅月君に翼君。頑張ってね☆」
 神の声は、そこで終わる。
 と、同時に矢の嵐が2人を襲ったのだ。
 紅月は大太刀で、翼は銃で各々弾き返す。すると、茂みの中から数人のクラスメイトが出てきた。
「邦枝、霜崎、姫宮! どうして、お前ら!」
 紅月は、3人のクラスメイトの名前を叫んだ。しかし、残りの生徒は知らない。
 茂みから出てきた生徒の数は、約7人。残りの生徒は、4組じゃない。
「こいつら、3組の奴らじゃ……!!! しかも、あの不良軍団の!」
 翼が驚いた様に叫んだ。
 残りの奴らは、3組の生徒と判明。しかも、不良軍団。
 学校側にとっては、不良なんていらない存在。罪な存在。そう、まるで自分達の様な————。
 紅月は歯をギリッと強く噛み、大太刀を構え直した。
「許せねぇ……。ふざけんな!!!」
 紅月は、大太刀を振り上げて、どなった。
「お前らの様な奴らが、要らないとかマジふざけんな!!!」
「止めろ!! 紅月ぅ!!!」
 翼の声が聞こえた。
 紅月の目の前には、綾羽のナイフがあった。



 ザシュッ



———— 第18話

Re: GAME 命をかけた殺し合い ( No.25 )
日時: 2010/11/01 18:56
名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)

 紅月は目を疑った。
 目の前に広がる、鮮血。しかし、それは相手の物ではない。
 翼の物だ。
「翼!」
 紅月は、大太刀を捨て翼の名を叫ぶ。
 翼は、肩に傷を負っただけで死には至らなかった。が、そのうち大量出血で死ぬだろう。
 ハハ、と笑う翼に、紅月は涙をためた瞳で翼を睨みつける。
「んで、こんな事……」
「止めたかった。あんたに、こんな汚れ役をやらせるには惜しいからな」
 翼は、にっこりと笑う。
 今までにない、笑顔だった。涙が出る。
 最期の言葉みたいに、細々とした声で言った。
「だから、汚れ役は俺1人で良い」
 翼はそう言い、大太刀を拾い上げ紅月に渡す。
 同時に、紅月に向かって回し蹴りを放ち、森の奥まで吹っ飛ばした。
 紅月は気にぶち当たり、気絶する。
「つ、ばさぁ……」
 そんな紅月を、翼は苦笑しながら見ていた。そして、皆に向き直る。
 両手には銃を持ち、大きく息を吐く。

———— 死ぬ訳には、いかない。

 翼は、ため息をつき銃口を皆へ向けた。
「俺1人だけなら、相手してやるよ」


***** ***** ***** *****

 静かになった。周りの音が、何も聞こえなくなった。
 紅月は、静かに瞳を開いた。
 翼に蹴られてから、どのくらい時間が経ったのだろうか。
 いや、まだそんなに時間は経っていないはずだ。
 ふらつく足で踏ん張りながら、紅月は地を踏みしめて森を歩く。
 動かない足を無理矢理引きずり、意識がハッキリしない頭を持ち上げてただひたすらに歩く。
 その向こうに、翼が生きている事を信じて。

            そして、願いは消えた。

 森を抜けた紅月の瞳に入ってきたのは、倒れた金髪少年。
 いくつかの、金色の銃弾。
 埃がついた、黒光りするピストル2丁。
 あぁ、これは何の悪夢だろうか。自分は、まだ意識を取り戻してはないのだろうか。
 紅月は、フラフラと翼の許により、体を抱き起こす。
 まだ温かく、人の体温が残っている。しかし、目を開ける気配はない。

—— まだ、俺がいる。

—— 約束だ。

 何が約束だ。何が、一緒にいるだ。
 約束なんて、守ってないじゃないか。何で先に死んでしまうんだよ。
 紅月の瞳からは、大粒の涙があふれ出す。そして、翼を抱きかかえて木の根元に座らせると、つぶやいた。
「待ってな。今、全て終わらせてくる」
 静かな声。そして、にっこりと笑う。
 皆の方を向いた紅月は、とても冷たかった。

「お前ら、全員皆殺しだ」


———— 第19話

Re: GAME 命をかけた殺し合い ( No.26 )
日時: 2010/11/02 17:07
名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)

 それは、ほんの一瞬の出来事。
 風が哭いた途端に、血飛沫が辺りを舞い紅月を濡らす。大太刀の白刃にも、血がついていた。
 襲いかかった3人が、一瞬にして殺された。ただそれだけ。一瞬で。
 紅月は、狂ったように笑いながら大太刀を振り上げた。
「紅斬月(クレナイザンゲツ)」
 紅月は大太刀を一閃する。何もない所で、横に薙ぐ。
 その途端、風がその場にいた全員を蹴散らし切り傷を作る。
 先頭に居た綾羽は、ナイフをすぐに構えたが紅月の右回し蹴りが細い体に直撃して鈍い音を立てる。
 綾羽の口からは、少量の鮮血があふれ出した。
「立てよ」
 紅月は、短い言葉を言い放った。
 しかし、綾羽はせき込み紅月を睨むばかり。
 紅月の手が綾羽の髪を引っ張り、自分の目の前に持ってきた。無理矢理立たせている状態で、紅月は冷静な言葉で話す。
「痛いか?」
 綾羽は、紅月の手を振り払おうとしたが力が強すぎて離れない。
 武器であるナイフですらも、今は手にはない。
 紅月は今もなお、綾羽に問う。
「痛いか? 答えろ」
「痛いよ」
 綾羽は答えた。
 紅月は、その答えを訊くと綾羽を地面に叩きつけた。
 白い首筋に、血で濡れた白刃を押しつけると、明るい声で言った。
「翼は、もっと痛かったんだよ?」
 そして、紅月の手がゆっくり上に上がる。
 きらりと、白刃が輝いた様に見えた。


———— 止めろ!


 紅月の中に、誰かが呼びかけた。
「?!!」
 紅月の手から、大太刀が落ちシャリンと音を立てる。そして、頭を押さえてうずくまる。
 何でだろう、何だろう。懐かしい声が、自分を読んでいる。
 止めろと叫んでいる。
 こんなのは、お前らしくないと叫んでいた。
 お前らしくない? 自分らしくない?
 誰の為に、こんな狂った事をやって、何をして、俺は? 誰、どこ? 何をしていたの?
 分からない、分からない、分からない。分からない分からない分からない。
 紅月の中に、ぐるぐると言葉が廻る。
「止めろ……!!!」
 紅月は、苦しそうに呻いた。
 耳を押さえ、頭を振り、言葉を掻き消そうとする。
「止めてくれ!」
 その時、紅月の首筋に大太刀の白刃が当てられた。
 綾羽が自分を見下ろしている。大太刀を持って。
 紅月の瞳が、ゆっくりと見開かれていく。
 だが、もう遅い。

「さようなら、二階堂紅月」

 紅月は、動けなかった。その場で固まっているしかなかった。

 キィン!!!!

 弾かれた大太刀。後ろに飛んでいく白刃。
 すかさず、駆け抜ける影。掴んだ大太刀の柄には、白く細い腕。
 紅月の目の前に現れた、金髪の少年。見知ったクラスメイト。
 星川翼。
 木下竜輝。
 浅古隆大。
 上原美咲の4人。

「な、んで————」

『お、俺らすげぇじゃん。幽霊じゃん』
『む? 何で幽霊なんだ。納得行かん』
『まぁ、良いじゃない。こうして、守れたんだから』

 透けている3人。
 そして、翼は紅月に手を差し伸べて薄く笑みを浮かべた。

「まだ死にきれてなかったみたいだ」

 紅月は、翼の手を借りて立ち上がり苦笑する。

「有り得るかよ、こんな事」


———— 第20話
 

Re: GAME 命をかけた殺し合い ( No.27 )
日時: 2010/11/04 15:07
名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)

 偶然。
 それは、単なる偶然ではない。なんか、神様が起こしてくれた奇跡?
 もしくは、このGAMEの創始者がやった事か。
「何で、こんな、嘘……」
 紅月は、小さく首を振った。
 しかし、目の前にいる者は全て本物。つまり、この幽霊ですらも本当の事。
 隆大はバツの悪そうな顔をして、紅月を小突く。もちろん、幽霊だから触れないのだが。
 しかし、ひやりとした感覚が紅月の頬に残る。
『夢幻の一言で終わらせたら、崇り殺すぞお前』
 やはり、本物だ。
 紅月は泣きたいのを我慢して、翼から大太刀を受け取る。そして、身構えて生きの調子を整える。
 綾羽は眉をひそめて、幽霊の美咲に問う。
「何であんたが生き返ってんの?」
『分からない』
 美咲は即答で返した。
 綾羽は呆れた表情をすると、傍に落ちていた細身の剣を拾い上げた。
「分からないんじゃ、しようがないよね」
 すると、キィンッと何かが弾かれる音がした。
 紅月のすぐ横には、黒い物体と白刃。薙刀の。
「いえ〜、俺登場」
「ッ……!!! てめぇ……!!!」
 翼は、銃身で薙刀の白刃を弾き、銃の引き金を引く。
 だが、銃の弾は呆気もなく弾き返されてしまった。
 薙刀を持っているクラスメイト、木村大介はへらへらと笑う。笑う。
 紅月は目を疑った。
 あの時、屋上からいなくなったはずの大介が何故ここに生きている?
「まだ死んでなかったのよね」
 綾羽が答えた。
 紅月の瞳が、綾羽を映す。
「死んでいなかったの。聞こえた?」
「……聞こえてるよ。じゃぁ、またここで殺せば良い話だろう?!! あんたごとな!」
 紅月は地面を蹴り、綾羽に近付いた。
 大太刀を振りかざし、蒼空を背に負い、真上へ飛ぶ。刃は、光に輝いて銀色に染まっていた。
 綾羽の瞳孔が、開かれた。
 しかし、時はもう遅い。綾羽の目の前には、刃が在った。

「You meet again」

 紅月の耳には、そう届いたのだ。
 綾羽は笑っていた。さっきのような、狂った嘲笑ではなく、綺麗で純粋な笑顔————。
 笑って返せばいいのだろうか? 彼女に、笑えば良いのだろうか?
 紅月は笑わなかった。
 これは、GAMEなのだから。
 人を殺すのが目的とした、殺人ゲームなのだから。
 だから、笑わない。彼女にとって、それが1番なのだから。
「あぁ、そうだな」
 仰向けに倒れ、そして死んでいった綾羽を見つめ、紅月は消えそうな声で言った。
 微かに、紅月の頬を伝う涙。
 青い空は、無慈悲に見ているだけで。何も言ってはくれないで。
 大切な、大切だった友人を次々に無くしていく自分。
 どれだけ、罪を重ねれば自分に平和が戻ってくるのだろうか。

「あぁ、また会おうな」



———— 第21話

Re: GAME 命をかけた殺し合い ( No.28 )
日時: 2010/11/04 15:29
名前: 安奈 (ID: U2CYkVcK)

がんばってください。結末がどうなるか楽しみにしてます


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