ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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エンゼルフォール 二期スタートっ
日時: 2011/05/17 23:41
名前: 遮犬 (ID: KnqGOOT/)
参照: 二期スタートいたしましたっ!これからも宜しくお願いしますっ

クリックありがとうございます〜w
シリアス・ダークでは二作目となりますwはいw
まだ白夜のトワイライトが終わってないのに出すとか…って自分で思ったのですが…

息抜き程度&修行&何より書きたかったということもあり、書かせていただきますっ!

どうか暖かく見守ってくれると嬉しいです〜!


更新再開しました!色々ありましたが、更新続けたいと思いますw
閃光のテイルと掛け持ち状態ですが、どうぞ宜しくお願いしますっ!
物語を最初から読んでおさらいするのが面倒な方はこちら>>86




〜目次〜(ただいま各話修正を行っております)
一期イメージソング「二足歩行」(初音ミク)>>5
二期イメージソング「ラブアトミック・トランスファー」>>66
旋風のキャラソンとかどうですか?>>53
プロローグ…>>1
〜一期〜
第1話:僕はやがて、天使となる(修正完了。物語一部改変。誤字脱字、描写追加) 
♯1>>9 ♯2>>10 ♯3>>11 ♯4>>26 ♯5>>29
第2話:思い、悩み、そして(修正完了。誤字脱字、描写追加)
♯1>>32 ♯2>>35 ♯3>>36 ♯4>>39 ♯5>>40
第3話:異質と異能の交差(修正なう)
♯1>>43 ♯2>>48 ♯3>>62 ♯4>>64 
第4話:守るべき温もり(修正予定)
♯1>>76 ♯2>>79 ♯3>>83 ♯4>>84

〜二期〜
序章>>87
第1話:引き合う旋律
♯1>>88



お客さん一覧っ(オリキャラ応募してくださった方も含む)
阿嘉狐さん!
ZEROさん!
Nekopanchiさん!
さわさん!
青銅さん!
ヴィオラさん!
Neonさん!
るりぃさん!
狩人さん!
リコ☆さん!
三咲さん!
樹梨さん!
神凪和乃さん!
六さん! 
紅蓮の流星さん!
むーみんさん!
司露さん!
るぅらさん!
れぃなさん! 



〜オリキャラの方々〜

【天使代行】
友永 勇火(ZEROさん作)…>>19           木下 龍平(青銅さん作)…>>20
音野葉(狩人さん作)…>>22             小山 凛子(ヴィオラさん作)…>>57
罪木 耶麻(ヴィオラさん作)…>>57         アトラ・ダイダロス(ZEROさん作)…>>65  

【天使】
獄(ヴィオラさん作)…>>16             戦渦 (Neonさん作)…>>17
青生 命(るりぃさん作)…>>18           覚 (三咲さん作)…>>23         
暦(六さん作)…>>37                ルシファー(紅蓮の流星さん作)…>>41
燐光(るぅらさん作)…>>46             恩恵(駒犬さん作)…>>51        
氷水 冷華(沙癒或さん作)…>>56          

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Re: エンゼルフォール オリキャラ少々募集 ( No.39 )
日時: 2011/05/14 01:07
名前: 遮犬 (ID: KnqGOOT/)

急ぎ、空き地へと向かった陽嗚が向かっている中、炬鳥たちはその登場を今か今かと待ち望んでいた。
薄暗い誰も近寄らなさそうな空き地に人影が三つほど見える。そこには携帯電話から耳を離そうとしている炬鳥の姿があった。

「ったく……人がせっかく呼んでやったのに…なんやぁ? アイツ」

携帯電話を閉じ、ポケットの中に収める。ショートヘアの女性、炬鳥は頭を男っぽく掻く。

「うっ……!」

その前方には傷だらけの旋風の姿と槍のような棒状の武器を持っている男がいた。

「龍尾! 来るんやとよ。まだ物足りひんやろ?」

男に炬鳥は話しかける。すると男はその言葉に対して決して旋風から目を背けようとせずに、一瞬の隙も与えないように監視しながら返事を返した。

「あぁ……やはり、契約者たる者がいなければいくら"トップクラス級"の天使といえど弱すぎるな……」

龍尾と呼ばれた男は槍のような物を縦横無尽に振り回し、地面へと突き立てる。

「ま……天使の力をロクに使えこなせへんやつがきても全く面白みないけどなぁ? とりあえずー……」

少々短いショートヘアの髪を翻し、炬鳥は命じる。

「強かったら手に入れようかとおもたけど……弱かったから、いらんわ。龍尾、とどめ刺してええで!」

その言葉と同時に龍尾は槍を大きく構える。目標はもちろん、倒れて気絶しかけている旋風である。

「……お前とは本当の力同士でやり合いたかったが……仕方ない、マスターの命令だ。——御免!」

龍尾がものすごい速度で槍を振り落とそうとしたその刹那のことだった。

「やめろぉおおお!!」

「!?」

龍尾は槍を旋風の喉元で止める。そして声のした方へと目を向けた。
そこにいたのは、息を切らし、両膝に手を乗せている少年だった。片方の手には翡翠色に輝くネックレスを持っている。

「ようやくきたんかぃ! お前の"道具"はとっくにボロボロやでっ!」

炬鳥が興奮したかのように騒ぎ立てるがその言葉を無視して旋風にかけよる。
龍尾は何を考えたのか、無言で後退を行った。

「おいっ! 旋風! しっかりしろっ! 旋風っ!」

幾度となく呼びかけると旋風の目がゆっくり開いた。力の無い声を旋風は陽嗚の顔を見ながら発した。

「陽嗚……君……? どうしてここに……?」
「どうしてこうもないだろっ! 何で僕なんかのためにっ…!」

そう、旋風は自分のせいで傷ついたのだ。自分みたいな生きている資格もわからないやつのために。
その行動が陽嗚には理解出来なかった。昨日初めて会ったばかりのやつに、である。
何故ここまでする必要がある? 自分が傷ついてまで、何故他人のことを思いやる?
そんな心が陽嗚にはわからなかった。いや、わかってしまったら自分は何なのかが見失うような気がして、怖かったのかもしれない。
旋風を抱き締めて、声をかけたいはずなのに、言葉が出ない。傷ついた旋風はそれでも笑顔で言った。

「私は……陽嗚君の、天使ですよ? 天使は幸せにするってどこの童話にでもあるじゃないですか」

傷つきながらも、そう笑って言うのだ。
その言葉が、陽嗚の涙腺を刺激し、瞳から涙というものが零れ落ちる。
涙なんてものが、まだ僕にはあったんだ。そんなことを、陽嗚は思い浮かべながら。

「何……言ってるんだよ……! 僕なんかのために……!! 僕に、幸せになる資格なんて——」
「ありますよ。資格なら」
「え……?」

陽嗚はただただ驚いた。そしてやっと気付いた。
——旋風の手が、こんなにも冷たいことを。
どうして今まで、そんな些細なことにさえも気付かなかったのだろう。
旋風は、決して独りよがりで自分を励ましていたのではない。そう気付いたのだ。

「だって……ほら、今も温かいじゃないですか」

陽嗚の頬を触って言う。冷たい手が、僕の頬に染みていく。熱く火照った自分の頬を、冷ます手。
何で、こんなにも冷たいんだろうか。

「あなたは生きてるんです。ここにいるんです。幸せになれないはずなんてないじゃないですか」

笑って、陽嗚に言った。旋風は、一体何を思ってそんなことを言うのだろうか。
旋風は、自分は傷ついても構わない。そう言っているような気がして、陽嗚は怖かった。
何かが、怖かったのだ。

「——はっ! 何が"幸せ"やっ!」

炬鳥が真正面の方から怒りを混ぜた声を放つ。その声に陽嗚は反応し、前方を見た。

「大事なもん失って、何が幸せなんやっ! おどれらは何も知らんのやっ!」

炬鳥は大声を張り上げて怒鳴り声で陽嗚たちに向かって言う。

「おどれらは家族が目の前で殺された経験、あるんかいっ!」
「なっ……?」

炬鳥の口から出たのは、炬鳥自身の哀しい過去だった。それは、とても陽嗚に分かるものではない。

「知らんかったら教えといたるわっ! 天使代行の記憶はなぁ! 何も全部取られたわけちゃうっ! 憎しみ、憤怒、悲しみという負の記憶だけ残るんやっ!」
「負の……記憶……?」

陽嗚には最初からそんな負の記憶などというものは存在しなかった。ただ、空白が残るのみ。
文字などは頭にインプットされておらず、ただただスペースがあるのみなのだ。
何もない、真っ白な世界だった。だが、この女性は、忘れたいはずの過去だけが残っている。

果たして、どちらのほうが良いのだろうか?

憎しみだけの、復讐の記憶の宿ったもの。真っ白な、何も覚えていないもう一人の自分のもの。

「お前らみたいなやつが……! あたしは一番ムカつくんじゃっ! 龍尾!」

男の名を叫んだ瞬間、ものすごいスピードで陽嗚たちに迫ってきた。

「くっ!」

気絶した旋風を抱えているため、身動きが取れない。
せめて旋風だけは守ろうと、旋風をかばうようにして抱き締め、陽嗚は目を瞑った——が、その刹那。
刃物と刃物が交じり合う音が聞こえた。ゆっくりと陽嗚が目を開けるとそこには

「……!? まさか、お前は……!」

龍尾が驚きの声を示している。
陽嗚の目の前にいるのは、黒いコート、黒いマフラー、全てを黒で装った銀色の髪の男だった。
その男は龍尾の槍を長く、厚い長刀で受け止めていた。

「れ……レイヴン……!」

炬鳥がその男の名を呼んだ後、男はゆっくりと口を開いた。

「こいつらを殺らせるわけにはいかない。……どうしてもというのなら……俺が相手をしよう」

龍尾はすぐさま後退する。さっきまでとは一変し、顔をさらに凄みを増して真顔になっている。

「……炬鳥。分が悪い」

その一言を炬鳥へと龍尾は言葉だけで告げる。
それはこの男から目を離した瞬間、どのような攻撃を仕掛けてくるのか分からないためである。
もし一瞬の隙でも許せば、首が飛ぶかもしれない。そんな緊迫感の中でいた。

「あぁ! わかっとるわっ! ……なんでこんなところにレイヴンが出んねん……!」

と、悔しそうに一言漏らし、炬鳥と龍尾は去っていった。

「あ……あの! ありがとうございます!」

陽嗚はレイヴンと呼ばれた男に深く礼を言う。
赤く光るレイヴンの目はどこか不気味で、何かを感じさせられるようなものだった。

「……礼はいい。それより、お前のパートナーが危ないと思うが」
「ッ!? 旋風? すごい熱がある……!? 今すぐ家に戻って休ませないと!」

額を触るとものすごい高熱を出していることがすぐにわかった。その様子をまるで見下しているかのようにしてレイヴンは口を開いた。

「すぐに手当てしたほうがいい。早く家に帰って休ませてやれ」
「あ……はいっ! あの……?」

陽嗚が旋風から男に顔を向けると、そこにはもう男の姿はなかった。

「一体、何者なんだ……?」

陽嗚はそう呟いた後、高熱を出している旋風を背負って家へと歩き出した。
その道中、陽嗚はあの炬鳥という女性の言葉が気になっていた。
"負の記憶しか持たずに、復讐の念を残したままの記憶"。
そうだとしたら自分はまだ良いほうだったのかもしれない。

だが、炬鳥の言葉は、奥深くまで、陽嗚の心に響き続けていた。

Re: エンゼルフォール オリキャラ少々募集 ( No.40 )
日時: 2011/05/14 14:44
名前: 遮犬 (ID: KnqGOOT/)

眩しい光が顔に浴び、旋風はゆっくりと目を開けた。
視界が多少、ボヤけてはいたが、だんだんとハッキリと開けてくる。

「……ここは?」

旋風が目を覚ました場所は、陽嗚の部屋のベッドの上であった。
隣では寝息をたてて眠っている陽嗚の姿があった。その姿を見て、旋風はホッとする他、笑顔になる。

「こんな私でも……守れたんでしょうか?」

旋風はその寝顔を見て呟く。だが、旋風にとっていつまでもこうしてはいられないのが現状だった。

「……私には、時間がない……時間が……」

旋風は遠くを見るような目をしながら、続けて呟いたのだった。
目の前で寝ている、陽嗚の気持ちよさそうな、幸せそうな寝顔を見ながら。




「うぅ……」

陽嗚は目覚めて、背伸びをする。随分と寝てしまっていたようだった。
周りをキョロキョロと見回し、ベットの上を確認する。すると、そこにいたはずの旋風の姿がなかった。

「あれ……? 旋風っ!?」

ベットの下や、色々部屋の中を探したが、どこにもいない。だんだんと不安になってくる。

(もしかして……!?)


嫌なことを連想してしまう。まだ朝方だというのに、陽嗚は大きく声を上げて「旋風!」と呼んだ。

「はい? 呼びましたか? 陽嗚君。あ、おはようございます!」

と、旋風は部屋の扉のノブを握りしめながら顔だけ覗かせて陽嗚を見ていた。

「あぁ、よかった……。なんだ、もう起きてたんだね……って! 熱は?」

旋風がいてくれたことによる安堵感に浸されたせいもあって熱のことやら、陽嗚は色々忘れかけそうになった。

「あ、はい! 陽嗚君の看病のおかげで随分と良くなりました! ありがとうございます」

旋風は笑顔で陽嗚にお礼を言った。陽嗚はいつまで経ってもこの笑顔には負けると心から思う。

「……とにかく、よかったよ。……で、その右手のお玉ってー……?」

そして、もう一つ、恐怖の思い出が蘇って来た。感覚的に腹元がキュゥっと押さえつけられてる気がする。

「ご飯作ってたんです! 冷めちゃいますから早く食べましょう!」
「え……あ、うん……」

予想は的中してしまった。陽嗚の腹元でまたあれを食べたら酷いことになる、と信号でいう黄色を差していた。
どうしたものか。断るに断れない。しかし、昨日自分が体調を崩したのは旋風の料理のせいでもある。
男、陽嗚は迷った挙句に食べると決断した。またぶっ倒れる覚悟を決めて。
だが、陽嗚の予想は大きく外れることになる。
一階へ降りて、食事が色とりどりに並んでいる場所へと鎮座する。そして、おそるおそるその料理を一口、口にした。

「う、美味い……!」
「本当ですか? よかったです!」

素直に旋風は喜んでいる。陽嗚は昨日との違いにただ驚くばかりだった。
昨日とは比べ物にならないぐらい、ものすごい美味しかった。昨日のアレはなんだったのだろう? と、不思議に思うほどだった。

「私、勉強したんです! 陽嗚君の寝ている間に頑張って料理の本で!」

と、いいながら陽嗚に何冊もある料理本を見せてきた。だとしても……この変わり様は大抵の人間では出来ないだろう。それに、陽嗚が寝ている間に勉強したとしても、結果がすぐ出るのは当然、不可能に近い。
しかし、ここまでプロ並み……といっては何だが、遥ぐらいの料理が一日未満で作れるとなると、陽嗚は純粋に凄い、と思った。

「でも短時間でよくここまで……あ、昨日のも美味しかったんだけどっ!」

陽嗚は慌てて昨日のご飯のことを誤魔化そうとする。しかし、それを見透かしたかのように旋風は苦笑する。

「昨日の料理、全然ダメでしたよね? だから私勉強したんです! 陽嗚君が二度と体壊さないように!」
(え……バレてた?)

演技をしたつもりだったが、やはりあの激痛は表情に出るようだ。隠しきれようがなかったみたいだった。

「ご、ごめん……」

謝らなければならない気がし、陽嗚は頭を下げて謝った。せっかくの手作りを食べておいて不味い、だなんてバチがあたるだろうと思ったからだった。

「いえ……こちらこそ申し訳ございません! 今日からはもう大丈夫ですから!」
「でも……すごいね? よく覚えて……」
「料理本見れば、作り方書いてますし……私は人間ではなく、天使ですから」

旋風が少々ためらいがちに言った。それが人間ではないから出来た、ということを意味しているものだと重い、陽嗚は自分自身で後悔した。

「あ……いや、そんなつもりじゃ——」

その時、家のインターホンが鳴り響く。少しの沈黙の後、「出てくるよ」と言って陽嗚は扉へ向かった。

「はい、どちら様……遥?」

扉を開けると、そこにいたのはいつも自分のご飯を作ってくれたり世話を焼いてくれている遥だった。

「朝、いけなくてごめんね? 昼はまだ食べてないでしょ?」

と、遥が遠慮がちに言う。その表情は本当に申し訳無さそうである。逆に、こちらが申し訳なくもなってくる。

「えーっと……」

どう答えようか迷っていた。旋風は自分の存在はみんな知ってるって言っていたが、実際、陽嗚は旋風が皆に知られてるところ、見てない。そのためにいまいち確証が持てないのだ。
それに持てたとしても、同居しているなんてこと、遥はどう思うだろうか?

「あれ? 陽嗚君、どなた様ですか?」

——しかし、最悪のパターンがきてしまった。
旋風が陽嗚を心配して玄関まで来たのだ。遥と旋風の目が合う。

(だ、大丈夫だよな……? 僕の知り合いはみんな旋風と知り合——)

そんな安易な考えを陽嗚は混乱しながらも思い悩む。しかし、遥の口からはその考えを崩す言葉が出た。

「——誰?」

その場が凍りついたような感じだった。

「え?」

旋風は驚きの声をあげる。どうやら旋風にも理解不能のようだ。
もう一度確認するが、陽嗚の知り合いは皆、旋風は元々いた、という設定にされているという。
遥はもちろん、陽嗚の知り合いだった。いや、知り合いよりも親しい関係である。
だが——遥は旋風を知らないという。

「陽嗚? 誰……なの? この人……」

遥の声が震えていた。さらには顔が俯きも始める。

「え……? ほら、あの、俺の親戚の……」
「陽嗚に親戚なんていなかったじゃない!」

それは陽嗚にとってもわからないことである。何せ前の自分ではないのだから。
その言葉は陽嗚の心を傷つけた。だが、この状況はどう説明すればいいのか、考えるのが先だった。
旋風は驚きすぎて声も出ないようだ。その場を呆然と見ているばかり。

「えっと……」

陽嗚が言い訳の言葉を試行錯誤しながら見つけようとするが、遥は耐え切れなかった。

「……もういい。私以外にちゃんと大事にしてくれる人いるのね! ……陽嗚のバカッ!」
「え! あ、ちょっと! 遥!」

陽嗚は叫んで呼び止めようとするが、遥は涙の流れ落ちる顔を拭いながら走り去っていった。

「……どういうこと?」

呟き、陽嗚はへたりと座り込み、呆然とする。凄く申し訳ないことをしたような気分になる。
何より、ずっと自分のことを気遣ってくれた遥を泣かせてしまった。

誤解とはいえど、説明して何になるだろうか?

旋風が天使で、自分はその天使の契約者たる天使代行で……一回死んでいる。
こんなこと、いえるはずがない。むしろずっと黙っていたいことだった。
こういうことを避けるために、旋風とは既に知り合いといった形にさせているみたいなのだが……。

「記憶上書き(メモリーダウンロード)がされていない……?」

旋風が驚いた表情をしながら呟いた。

「記憶上書き?」
「はい……。通常、契約がされたら自動的にその契約者との何らかの関わりを持つ者にされるシステムです」

記録上書き、と呼ばれるシステムによって通常は記憶の改変が行われるらしい。

「……遥の他のクラスメイト、登とか未来とかは適用されていたのか?」
「はい……。会って普通に話しをしたりしまして……その時、あの炬鳥という人から連絡を……」

どうやら登たちには適用しているようだ。だが、何故遥だけがされていないのか。

「遥とは一番面識あるはずだよ? なのに何で……」
「……考えられることは……」

旋風は深刻な顔をする。良い情報ではなさそうだった。

「……何か、あるのか?」

旋風はその言葉に頷く。陽嗚はそんな旋風に向かって詰め寄り、口を開いた。

「教えてくれ。何が原因なんだ?」

だが、聞いても旋風は答えてはくれなかった。ただ、深刻な顔をして黙っていた。
そのことが、陽嗚にとってはとても嫌な感じがして——その場からすぐに、消え去りたい気持ちに駆られたのだった。

Re: エンゼルフォール オリキャラ少々募集 ( No.41 )
日時: 2010/10/13 00:47
名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: .RPx9Kok)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=YGUmlenmnas&feature=related

名前【ルシファー】
読み方【】
性別【男】
性格・容姿【『神』を心の底から憎んでいる堕天使。目的の為なら手段を選ばない。他人も自身さえも利用する。
基本は快楽主義者、日和見主義者、神出鬼没、冷静沈着、そして傲慢。笑い方は『ククク・・・』。
黒い髪、漆黒の瞳、外見は19歳前後の青年。服装は黒のブレザーとベストとネクタイ、ワイシャツ、
深い色のジーンズ。それとアクセサリーを幾つか。ブレザーは前を開けている。
元は天使達の中でも1、2を争う上位の天使だったらしい。
異名は『堕ちた明星』。戦闘時は黒く巨大な六つの翼が生える】
武器【黒、或いは白の槍のようなもの(光、闇の槍)】
天使の力【光、及びそれを応用して作りだす闇。
技の応用例:光の熱による対象の切断・焼却、光速移動、対象の視力の喪失、
闇による対象の吸引、技の無効化等々】
目的【ゴッドイレギュラーの破壊、つまるところ神の抹殺】
サンプルボイス【土くれより生まれし小さき者共よ・・・私を楽しませてくれよ?】
       【滑稽だな・・・何時の時代も、人間は、天使は・・・神は】
       
       戦闘時
       【さあ、宴を始めよう・・・】
       【眼に見えぬものしか信じられぬのなら、其れを映す光さえも奪い去ってやろう。
その眼に映るものが心に希望の光となり差すのなら、その光さえも闇で覆ってしまおう。
・・・闇に、絶望に身を委ねるが良い、人の子よ、虚無の者よ】
何か一言あれば…【没おkです。久々に私のメガテン病兼厨二病が暴発した結果です。
あんまり良い小説だったもんでやっちまいました。こんなキャラでスイマセン。
ちなみに私のHNの一つの『堕ちた明星』の元ネタはコイツです】

Re: エンゼルフォール オリキャラ少々募集 ( No.42 )
日時: 2010/10/10 16:21
名前: 遮犬 (ID: cLZL9WsW)

>>紅蓮の流星さん

オリキャラありがとうございますー!
おぉ…wなんか敵キャラっぽくて目的は敵ではないww
いいキャラですなぁwなるほどw堕ちた明星はここからきていたのですかw
了解しましたっ!採用させていただきます!ありがとうございました!

Re: エンゼルフォール オリキャラ少々募集 ( No.43 )
日時: 2011/08/11 03:52
名前: 遮犬 (ID: hF19FRKd)
参照: 諸事情により本来とは異なる物語の進め方をしております

とある大きく都市の中に聳え立つビルの最上階にて、霊体ともいえる体を持ち、力も無さそうな若い男が一人、部屋の中で優雅に外の景色を眺めていた。
格好は黒いスーツに身を包み、髪は舞踏会にでも行くのかと思わせるほどの格好ぶりで、オールバックに仕上げている。
その男が持っているもの。それは、この世の知識を全て脳の中に詰めている。それは人ではない、"堕天使"と呼ばれる存在。
広い部屋の中で一人はとても心細く感じさせる。本棚が横側に数個並べられており、どこか知的な感じが漂わせる。デスクが男の前に置いてあり、その上には一台のノートパソコンがおかれてあるだけで、他には何もない。
一つの会社の社長室のような振る舞いだが、雰囲気はそれとは全く違う異質なものだった。

「情けないものだな……私がこのような状態にいるとは」

ただっ広い部屋の中から下に広がる景色を眺めながら呟いた。
自分の軽そうな体など軽く包み込むぐらいの椅子に座り、優しそうに、だがどこか鋭い目線で世界の風景を見つめていた。

「……亭主様」

突然、部屋の中へと入り、紳士服を着こなしている黒いシルクハットを優雅に被っている"女"がそう呟いた。
一見、男に見える女は膝を地面につき、彼に頭を下げながら申し出た。

「まもなく……世界改変……いえ、貴方様の望みの世界に変える時がきたようです」

女がそう言うのにも関わらず、以前同じ表情で彼はずっと世界の景色を眺めていた。

「そうか……"あのシステム"が遂に……」

男はゆっくりと椅子を回転し、机においてあったパソコンに向き合う。
いつの間にか光を失っていたはずのパソコンは起動しており、タイマーが表示されていた。
現在の時刻は、午後、11:59。

「……始まる。——全てを、終わらせるために」

彼は、その指で、ゆっくりとキーボードにあるエンターキーを押した。
画面に表示されたのは『エンゼルフォールシステム起動』と、書かれた画面がパソコンを埋め尽くしていた。




一方、陽嗚と旋風は近くの商店街を歩き回っていた。
陽嗚は昨日、思い出した一枚の写真のことが気になっていた。どうにも何かがありそうな気がする。
遥と会った後、写真を調べてみた。だがそこには、

「あれ……? 確かにここにいたはずなのに……」

見知らぬ少女の姿は消えていた。いつもの陽嗚を含む、遥、登、未来と写っている写真でしかない。
これは一体どういうことなのか。この写真を見つけたのは昨日のことで、それも旋風がここに来る前のことである。

「旋風に聞いてみるか……? いや、何か様子がおかしいし……また日を改めるかな」

そういってポケットに写真をしまいこみ、陽嗚はどこか悩んでいるような表情をしている旋風に

「外にでも出かけないか? 色々と調べてみたいこともあるし……」

陽嗚の言葉に旋風は珍しく一回で反応しなかった。「旋風?」と再び声をかけると、

「え!? あ、はい! す、すみません……」

と、動揺しながら答えた。どこか様子が変な感じがした。少なくとも、いつもの旋風ではなかった。
陽嗚はそんな様子に、首を傾げながら考える。

(ちょっとでも気分転換させたほうがいいかな……? それと、遥の件もどうしようか……)

遥は自分のことをよく思ってくれているみたいだがそれは前の自分のことを、である。
今の自分を遥は見てくれていない。そう思うだけで胸がものすごく痛むような気がした。

(とにかく今は……平然を装わないと……。記憶を全て、取り戻すまでは)

そうして現在に至るわけだが、未だ俯きながら元気そうに無く歩いている旋風に目を向けた。

「んー……あ、そういえばもう昼だね? 何か食べよっか」

どう話しかければいいのかわからなかったため、少し悩んだ挙句、こうした発言をする陽嗚だが、そう言っても返事を返してはくれない。
現在の時刻は、11:59。そろそろ昼ご飯を食べていい頃だと思ったのである。

「今日はせっかくの休日だし、旋風も行きたい所があったらいいなよ?」

陽嗚は自分なりにできることを探し、旋風に声をかける。
どうにも自分はこういうことが慣れていないみたいだ。頭の中が真っ白になりかけていた。

「——私、行きたいところがあるんです」

いきなり旋風が顔を上げて、陽嗚を真っ直ぐと見つめていった。

「どこに?」

真っ直ぐと決意したかのような目に多少の戸惑いを感じながら問う。

「それは——」

旋風が口を開いて、言葉を発する刹那、突如、世界が変わったような気がした。
時刻は12:00。商店街は未だ賑わいを無くさない。いや、"無くさないのことがおかしかった"。

「始まって……しまいましたか……」

旋風が真剣な表情で呟いた。どういうことだか分からない陽嗚は、辺りを見回して驚いた顔で旋風を見つめながら呟いた。

「これが……?」

目の前に突如として現れたその世界が変わったと錯覚させられた"モノ"を見て、言う。

「はい。とうとう……エンゼルフォールシステムが作動されたのです」

目の前に現れた景色、それは——天使の羽を背中に纏ったものが前方に何十体と待ち構えていた。

「なんだ……これ……!?」

陽嗚は恐怖で足が震え、微笑みながらこちらに歩んでくる天使を見つめる。
ゆっくりと、確実に自分たちの方へと歩いていく天使の姿。
混乱している頭の中、考えられることは一つ。
——このままだと、殺される。
そんな狂気に満ちた考えが足を竦ませる。

「陽嗚君! 行きますよっ!」

旋風は陽嗚の手を取ったその瞬間、陽嗚たちは翡翠色の光に包まれた。
旋風が旋風でなくなる瞬間でもあり、戦闘を行う体勢であることがわかった。

「しっかりと掴まっていろ」

翡翠色の髪をひるがえし、見る者を魅了するかのような凛々しい者。
6本の翡翠の翼を生やして大きく空を飛翔した。

「どうして……? 商店街の人たちは……?」

陽嗚はおそるおそる自分の手を引いて飛んでいる旋風に聞く。

「この街の住人の中に紛れ込ませていた。この街は……既に、戦場だ」

と、旋風が呟いたのを陽嗚は聞き逃さなかった。

「それって……」

陽嗚はそこで押し黙る。怖くて言えなかったという方が正解だろう。
自分の頭にふと過ぎった考えはとてつもない威力で陽嗚に衝撃を与えた。

「今どこに向かっているんだ?」

出来るだけ下を見ないように旋風の後ろ姿を見つめながら言うが、その問いに、旋風は答えなかった。

これは単なる始まりだった。

——エンゼルフォールシステムは世界の今、本当の姿を現す引き金だったのだ。


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