ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 白黒人間。
- 日時: 2011/03/09 21:52
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: j553wc0m)
——彼が堕ちたのは、それからだ。
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初めまして紫です。ゆかりでもむらさきでも何でもいいです。
前の名前とはグッバーイ☆しました。分かる人には分かる…はず。気づかなくてもいいです。
今回の小説は似合わないファンタジー小説と更に最近やってない三人称。てか最近小説も書けなかったんですけど。
色々矛盾してたり誤字があったりと見苦しい所が多数あると思うのですが「こいつバカだろwww」と罵ってあげて下さい。
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目次、
序章【ホワイトブック】 >>1
一話 【ドリームワールド】
1 >>2 2 >>3 3 >>4 4 >>5 5 >>8 6 >>9 7 >>10 8 >>11 9 >>12
二話 【アイアム?】
10 >>13 11 >>15 12 >>16 13 >>17 14 >>18 15 >>19 16 >>21 17 >>22 18 >>23
おまけ
現時点のまとめ >>20
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お客様、
AW工作員さん
- Re: 白黒人間。 ( No.1 )
- 日時: 2011/02/19 22:14
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: VmnQ.FWP)
序章【ホワイトブック】
人生と言う物は、凹凸がありすぎる。
結果が届いて、いつも思い知らされる。これまでの努力と不安と期待が、全て別の感情へと変わっていく。
この青年の場合、その感情は負の感情——つまり、自称小説家である青年の頭を埋めるのは、苦悩と溜息が体全体を埋めて、出る。ただし、出るのは溜息だけ。
一回目ならまだしも、二回、三回……と続けばポジティブシンキングとも言ってられないわけで。何回になったのかも分からず、ただただ記録が伸び続ける。
机の上に、おもむろに置いてあった自分の作品を手に取り、目を通す小説家。だが。その良さも悪さも分からない。普通にどこにでもありそうな小説。
暫くの間、客観的に小説を読んでみるが、自分は自分。客になんてなれる訳がない。と言う小説家の無表情。次第に小説家の頭の中は、苦悩ではなく、疑問になった。
『何がいけないのか』と思考し、次々とめくられる紙。その作業を繰り返し続けると、物語はそこで終わった。
仕方なく次の作品を手に取り、目を通す。が、小説家は次第に眠気を催している。
限界だったのか、小説家は机に突っ伏している。紙のめくれる音も聞こえなくなり、部屋は、静寂とデスクの上にあるほのかなランプの光だけとなり、デスクの上には、先程まで小説家が読んでいた物語と、眠る小説家。
なんとなく平和と言う言葉が似合うこの部屋に、事件が起こる。
それは、光。小説家の辺りから、突如直視できない程のまばゆい光が出現。その光のもとは——小説家の物語。
小説家はと言うと余程睡魔がとりついていたのか、まだ目を開かない。
しばらく強い光を出した物語は、ゆっくりと消えた。
————小説家も、消えた。
次は別の舞台へと移る。
ある、小さな村にその青年は倒れていた。その青年を、珍しそうな目で見る。自分達とは違う、奇妙な格好をした青年。
皆で青年の周りを囲い、怪しげな目で見る。が、青年が目を開ける様子はない。
すると一人の少女が大きな声をあげる。
「はいはいはーい! この変な格好の人、私が引き取りたいです!」
そんな元気な大声に、村人は驚きと呆れの表情を見せる。
この世界との出会いが、彼を覚醒させる原因となったのだ。
- Re: 白黒人間。 ( No.2 )
- 日時: 2011/02/19 22:15
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: VmnQ.FWP)
一話【ドリームワールド】
彼の生活はつまらない。
午前六時、起床。午前六時半、朝食。午前七時、外へ出かける準備。午前七時四十分、自室に籠る。午前九時、家を出る。午前十時、店に着く。それから九時間程の間、接客業。ただしその内の二時間は休憩時間だ。そして午後八時二十分、帰宅。午後九時、テレビに顔を向けながら夕飯を食べる。午後十時、食器洗いから風呂、歯磨きなどの就寝準備。その後は自室に籠る。午後一時に、就寝。
ありきたりな生活を、毎日機械的に繰り返す。そんな苦しい現実の中、彼はしぶとく生きていた。
「お、手紙」
彼は、自身の家にあるポストに手を伸ばし、その感触を確かめる。
その感触が分かると、彼は顔を緩める。期待と不安が交ざるような、曖昧な、笑み。
そしてドアノブに手をかけ、いつも通りの帰宅。変わった所と言えば、右手に手紙がある事と、帰宅時間がいつもより早い位だ。
今日はシフトが変更したので午後六時に帰宅する事になった訳だ。
そして、彼はリビングにあるソファにもたれかかり、届いた手紙を開ける。紙の断末魔が静寂を破る。一枚の紙を見る彼は、顔を曇らせた。
「またかー……」
クッションに顔を埋めて、足をばたつかせる。新記録達成。だが新記録に良い意味なんて一つもない。むしろ、悪い意味しかない。
少しの間、沈黙だけが部屋を埋める。彼は立ち上がり、夕食の準備をしようと、台所へ向かう。だがその背中と顔はとても暗い。
- Re: 白黒人間。 ( No.3 )
- 日時: 2011/02/19 22:16
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: VmnQ.FWP)
そんな彼のつまらない生活が、どうしてこんなに楽しい生活になったのか。
——その理由は、彼の特殊能力にあった。
「ゆーうー! ちょっと手伝って!」
幻想的な紫の長い髪を金色の髪留めで下に縛り、夜空色の瞳が特徴的な彼女。背中に黄緑の、有色透明な羽があるのも特徴的だが……この村人達にとっては特徴どころか当たり前の事である。
田原優。紫髪の彼女が優と呼んだその青年は、——最近、行方不明で有名になっている小説家志望の青年である。
彼の背中には、羽もなければどこか特殊という訳でもない。黒髪黒目、少し背が高く、中性的な顔立ちの青年。特徴と言える場所は、体の半分以上を黒い洋服で纏っているぐらいだ。
別に、黒が好きである人ぐらいこの世には千万何万ぐらいいるから特徴でもないのだが。
閑話休題。
彼は今行方不明となっているのだが、何故こんな場所に居るのかと言うと。
彼が絶望に立った夜、本が白光した。気持ち悪い意味ではない。
その光はやがて消え去ったのだが、目を開いても閉じてもその空間に田原優は見えない。
田原優の部屋には居ない田原優が、この村にいきなり来た……と言うか、村の真ん中で眠っていた。外で居るのにも関わらず、彼はしっかり眠っていた。
村人は、その田原優の姿を見て警戒と驚きを隠せなかった。驚きは行方不明の人、という理由では無く、単に変な外見と格好だったから。警戒も前の理由と同じく。
田原優は村人から警戒されていたのだが、紫髪の彼女が田原優を助け舟に乗せたおかげで最近は打ち解けて来ている。だがまあ一部の人はまだ警戒している様なので、時々突き刺さる様な視線が向けられている。
そんな視線に気付かないフリをして、彼は淡々と紫髪の彼女を手伝う。
これが落ちこぼれの彼が生み出した嫌がらせからの回避方法だ。
- Re: 白黒人間。 ( No.4 )
- 日時: 2011/02/19 22:18
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: VmnQ.FWP)
「……起きた?」
紫髪の彼女は、田原優の顔の上に自身の顔を近付けて言う。間は、十センチ程。
その顔の近さに驚いたのか、田原優は多少間を空け、呆れ顔で感想を言葉に出す。
「近いよ……」
「いいじゃーん、別に減るもんじゃないし!」
「俺のプライドが減るわ」
好奇心の三文字でしかない彼女が不満そうにそう言うが、呆れ顔の様な無表情の様な顔で田原優は言葉を出す。
「それより、朝ご飯」
不満そうな顔はすぐにいつもの表情へと変わり、言う。田原優の部屋を出る前に、彼女は振り向いて笑う。
「早く来ないと私が食べるからねー」
「お前に乙女心と言う感情の名はないのか」
「何それ」
大食いしようとする彼女をからかうかの様に田原優は笑って言うが、それは彼女に通じなかった。冗談での言葉でなく、本当に知らない言葉。
「……だから、ダイエットしねーのか」
「だから何それ」
田原優は頭を掻き、少し考えてから言い直すも、また通じない。
溜息を吐き飛ばし、簡潔に、単刀直入に言葉にした。
「そんなに食べると豚みたいになるぞ、って事」
「ひっどい! 女の子にこんな事言っていいの!?」
田原優は一回殴られ、頭を擦る。彼女は怒りを露わにしてその部屋から出る。
殴られた本人はと言うと、溜息と共に疲労を吐き出した。
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