ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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亡国の姫君 =END WORLD=
日時: 2011/03/16 02:46
名前: ユフィ ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)

おはこんばんちは☆
はじめましての人が多いと思いますが、彰緋です♪
小説はシリアスで2つということになりましたが、まぁ…無謀ですね。
今回は、私が書く小説で視点が全然違います。思いついたら即実行の私ですが、小説共々よろしくお願いします。
(題名がかぶりそうで怖い………)
アドバイスや、感想など書いていただければ光栄です。グダグダな小説ですが、マイペースで書いていきたいと思います。
でゎでゎゆっくりしていってね☆((殴

序章 >>1
人物紹介 >>2
世界観&用語説明 >>3

第一話 >>4 >>5
第二話 >>6 >>7
第三話 >>11
第四話 >>12 >>13
第五話 >>14
第六話 >>16
第七話 >>17
第八話 >>18 >>19
第九話 >>20
第十話 >>21
第十一話  >>26 >>27
第十二話  >>28
番外編part1  >>24
番外編part2  >>25
あとがき  >>8
あとがき2  >>15
あとがき3  >>22
あとがき4  >>29
☆お知らせ☆  >>23

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Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.24 )
日時: 2011/03/13 23:02
名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)

番外編part1 「人」との出会い

人じゃあない。みんな、へこへこ頭を下げて機嫌ばかっかりとればそれでいいと思ってる。
“くだらない”
この一言に過ぎる。こんな生活、退屈以外のなんでもない。しかも、国を滅ぼしてまで領地を広げたいとは。自分の父ながら、随分と傲慢極まりない。
しかし、もう関係ない。皇位継承権は破棄したし。これから、どうするか……
夕暮れのユリアルの街を歩き周りながら一人の元皇族……ライが思案に暮れながら歩いていた。

「はぁ……俺、どうすんだよ……」

ため息をついて肩を落とす。しかし、後悔はしていない。あの男……父である皇帝にはもう散々だった。
母親はもう昔に他界した。これも、父のせいでもある。本当に憎たらしい、あの男……
しかし、だ。今さら金もないし、帰る場所もない。
そのとき、後ろからある青年の声がした。

「おい、お前なにやってんだ?」

茶色の鎧……警備隊か。そう思考が巡ったとき、ガツンとおおきな音がした。

「ラァッッックス!そんな声のかけかたはないでしょう!?ったく……あなたはいつもそうやって……」
「ってぇ……レイラ……殴んなくてもいいだろう!アシルもなんとか言ってやれ!」
「お前が悪い」

ライは目を見張った。なんだこいつら……
ともかく、この会話からして三人の名前は分かった。
しかし、意外だ。今まで王宮の外から一度も出たことがなかっなのでこんなに個性豊かな人がいたとは……

「えっと……あのさ……」
「とにかく!!その物言いはやめなさい!」
「仕方ないだろう!癖だよ癖!」
「だったら、その癖を………!」

ライは思った。
これが世に言うシカトか………
やがて、笑いがこみ上げてきたライはこらえきれなくなって盛大に吹き出した。

「だー!おい!笑うことはないだろう!んだよ……はぁ」

一人、ラックスとかいうやつがそっぽを向いて、アシルは微妙に頬を緩ませた。女性……レイラはクスクスと笑っている。
こんなに笑ったのは初めてかもしれない。

「ごめんなさいね?私はレイラ。あなた、名前は?」
「ライ、だ。ライ=エルフォード」

レイラはエルフォード……と口を動かす素振りを見せると、次第に顔が蒼白になっていった。

「あの、皇帝陛下の………!し、失礼致しました!無知が故の非礼であったと、ご容赦ください……!」

その場で跪くレイラを見て、慌てて他の二人も頭を下げる。

「えっと……そんなにかしこまんないでいいよ……俺、今はもう皇族じゃないんだ。凡人--------一般人なんだ」

手を振って頭を上げるように言うと、はじかれたように三人は顔を上げた。

「そっか、んなら変な気遣いいらないよな。俺はラックスだ。そっちがアシルで……」
「こら、ラックス!それはやりすぎよ!」
「ああ、いいよ……俺もそっちのほうがやりやすい」

同じ人間なのに、身分とはこういうものか、と実感したライは普段ほとんど意識をしていなかったことに改めて気づいた。

「何故こんなところに元皇族が?」

今まで黙っていたアシルが口を開く。

「さっき、名を返上したんだ。父の……皇帝のやり方がいろいろ気に食わなくてな」

苦笑しながらも一名を除いて表情豊かな人を目の当たりにしたライは、これまで生きていて初めての「人」に会ったと思った。

    *    *    *

「あ〜…あったなぁ、そんな事が……」
「それが初めての出会いだったわよね?」

そういえば、あの後、軽い手合わせをして、その腕前に驚かされたラックスは、ライを引きずって警備隊に所属させた、というエピソードもあった。

「あっ!そういえばまだセラに話してないんでしょう?あなたの父親のこと……」
「時がきたら話すさ。まぁ、そのうちw」

あの娘がここに来てから早二週間。今は、奥の部屋で眠っている。同じ皇族ではあっても、育った環境についてはうらやましいと思う。

「まぁ、俺らは結構気楽で良かったけどな♪」
「私は警備と街での仕事両立してるんだけど……」
「うっ……分かったよ。なら、なんか手伝えることがあれば……」

外はもう暗い。夏とはいえ、夜は冷えるこの街に小さな談笑する声が聞こえた。
あの日、初めての「人」と出会った。
家族のようなものかもしれない。実感は湧かないが……
それでも、こいつらといると疲れないし、退屈しない。
やっぱり出会えてよかったと、思った。

Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.25 )
日時: 2011/03/14 23:38
名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)

番外編part2 一輪花

これは昔、私がまだ幼かったころの話-------

「ほら!これ、触ってごらん?……分かる?」

小さい紅葉のような手に乗せられていたのは、一つの香り玉だった。
このリンシア国では、こうして小さいガラスの玉の中に、自分の好きな香りを調合して、大切な相手に渡すのを日課としていた。

「いい香り……それに、何か模様がついてますね?」

目の見えない彼女……ミリィは体が弱いので、外に出ることはおろか、立ち上がることさえ困難だった。
指先で確かめるようにして、なにやら赤い花の模様を触っていたミリィは、ふわりと微笑んだ。

「よく分かったね!それは、私が花油を使って描いたの。優しい色であなたにぴったりだから……」
「本当ですか……?嬉しいです!見ることができなくても、こうして触ればいろいろなことが分かるんですよ?」

決して見ることのできない香り玉を、嬉しそうに眺めていたミリィはしばらく、それを大切そうに、ずっと握っていた。

それからミリィが寝静まったのを見てとったセラは、ふいに窓の外へ視線を向けた。
すると、そこにはきちんと毎日手入れされている花畑が広がっていた。
この光景をミリィが見ることはできないものか………
そう考えたセラはふと、目を見開いた。
“こうして触ればいろいろなことが分かるんですよ?”
そうか、触ることができれば……
そこまで考えたセラは、急いで部屋を飛び出して階段を駆け下りた。

「セラ様?お出かけですか?」
「庭に出るだけ!」

途中、驚いて行く先を尋ねる女中の問いを適当に受け流して、大きな扉を開けたセラは、太陽の光と心地よい風を受けて深呼吸した。

「えっ……と、この辺かな?」

ガサゴソと花畑を掻き分けて何かを探す素振りを見せるセラに、女中たちはうろんに首を傾げた。

「……あった!」

そう叫んでにぱっと笑うと、そっと一つの花を摘んで、再び城の中に駆け込んでいった。

「ん〜……花瓶は……あった!あとは水、か……」

ミリィの部屋に戻ってきたセラは、なにやら花瓶のようなガラスのつつを取り出し、そこに水を入れた。

「ん………お姉さま……?」
「あ、ごめん……起こしちゃったね」

まだ眠そうに目をこするミリィに、苦笑を投げかけたセラは、とてとてと花瓶にさした赤い一輪花を持ってベッドまで走った。

「これ、触ってみて……分かる?」
「これは………花ですか?」

花の形が崩れないように、意識しながら触っていたミリィを横目に、セラは楽しそうにして笑った。

「さっきの香り玉に描いた花よ?花畑から摘んできたの♪」
「まぁ………」

すると、少々驚くように声をあげたミリィはクスリと微笑んだ。

「お姉さまのプレゼント……大切にします」

そう言うミリィの表情は、この一輪花のように優しく、温かいものだった-------

Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.26 )
日時: 2011/03/15 09:24
名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)

第十一話  皇帝陛下

「……それじゃあ、行ってくる」

軽く身支度を整えたライは、どこか緊張感を漂わせ、背を向けたまま手を振って家を出た。

「でも、やっぱり心配よ………」

そわそわして、落ち着きのないセラを横目に、残った幹部は顔を見合わせた。
セラは知らない。ライと皇帝の関係を……。いずれ話さなければならない時が来ると思っていたが、すっかり後回しにしていた。話さなかったライも悪いが、それを伝えない自分達にも非があると、彼らは自覚していた。
しかし。そうは言っても、細かいことは全く知らない。皇帝の名前が出ると、ライの表情は険しいものになり、殺気立つ。
故に、無理に聞き出すことでもないと判断したのだった。

    *    *    *

この門をくぐるのはとても久しい。
歩いて王宮の前まで来たライは、深く深呼吸した。すると、門の前に立っていた兵士に鋭い目つきで睨まれる。

「貴様……何者だ?」

そう問うと、持っていた槍の先をライの首元へと据えた。しかし、彼は全く動じない。

「この度は、皇帝陛下直属、騎士団総長の命により、警備隊幹部ライが直接、かの「実験」について目撃したことを伝えに参りました。陛下には許可をとってある、との知らせを受けたのですが?」
「実験………だと?」

実験といえば、陛下が直属部隊を作って、内密に進められていると聞いたことがある。自分のような下級の者にはその詳細を伝えられない。ということは、この人物は陛下直属の……
そこまで考えた兵士は、門に手をかけた。
ライは、ぎぎぎぎと大きな音をたてて開いた門を一礼してから入る。
あとは、あの部屋に行くだけだ。うっすらだが、記憶には残っている。
やはり、王宮の中には沢山の兵士がいた。何者だ、と問われるたびに上手くごまかして進んで行く。
やがて、他の部屋とは違う、大きな扉の前まできた。この中にあの男がいる。

「陛下に、客人であらせられる者が参りました」

自分のとなりに居る兵が声を上げる。すると、扉はゆっくりと開いた。
中は昔とほとんどたがわない。豪華絢爛な宝石やら飾り物で彩られ、気味悪いとさえ思う。

「--------人ばらいを」

その部屋の奥に座っていた人物が、厳かに命じた。すると、兵士や女中は一礼して部屋を後にした。
ライはその場で跪く。

「この度の訪問につきましては、何の前触れもなく、無礼は承知の上でありますが……」
「いらぬ。貴様が伝えたいのは別のことであろう?」

ニヤリと笑う皇帝に、ライの表情がさらに険しくなる。

「では、本題に。……何故ロザリア国へ戦線布告の書状を?」

冷たく、冷淡に問いただすライに、皇帝は顔色を変えず言った。

「別段、深い理由もない。邪魔だからだ」
「……っ!?」

これには、ライもはじかれたように顔を上げた。
邪魔だから滅ぼす?この男は情の欠片もない物欲の化身だ。しかし、ここまでとは。

「そうですか……では……っ!」

出来るだけ冷静に、今まで悟られないようにしてきたライの目が見開かれ、懐からナイフを取りだす。
彼の首元を狙って、地を蹴ったライは凄まじい勢いで間合いを詰めた。
-------今なら殺れる。
そう直感した直後、ナイフを持った手に激痛が走った。

「……っ!?」

銀色の髪をなびかせ、間合いに何者かが滑り込む。その人物は……

「……魔女!?」

この人物は、前にセラと共に本で見た。
ライの表情が驚愕で彩られる。
刹那、その魔女の手が彼の頭を無造作に掴み、床に叩きつけた。

「くっ………」
「陛下、この者、如何いたします?殺しましょうか?」

魔女の表情は見えない。しかし、声からして楽しんで笑っているようにしか思えなかった。

「---------詫びよ」

皇帝も、先ほどと変わらない声色で、その顔には笑みが宿っていた。

「………申し訳……ありません、陛下」

苦痛と、怒りで震える声に、またもや満足そうに笑った皇帝は椅子から立ちあがった。

「こざかしい……上に、無能な我が息子……」

ゆっくりと歩みよってくる皇帝は、その足を上げ、彼の頭を踏みつけた。
床が赤く染まっていく。しかし、ライはその痛みを表情には出さない。

「これで分かったであろう。さっさと去ね」

なおも、不気味な微笑みを浮かべている皇帝にライは殺気を隠さず、しかし、痛みや怒りをやはり表情には出さずに一礼してその場を去った。

Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.27 )
日時: 2011/03/15 09:23
名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)

「さっさと殺しちゃえばいいのに。今からでも殺しますよ?」
「不要だ。好きに泳がせていればいい」
「相変わらずつれないんですね。あ、でもちょっと格好よかったかも♪あんなにしなくてもよかったかな〜♪」
「お前は下がれ、魔女」

皇帝にぎっと睨まれてもなお、その魔女の表情は変わらずニコニコと楽しそうに笑っている。

「はいはい、分かりましたよ♪」

上機嫌で部屋を後にした魔女に彼は、険しい表情を見せながらも、すぐに微笑みを浮かべて、近くの兵に命じた。

「兵の準備を。三日後には出陣する」

   *     *     *

「ただいま」
「!おかえ……り」

嬉しくなって顔に出さないようにしていたセラは目を見張った。

「ちょ……どうしたの、その額の傷!」
「ん……あぁ、ぶつけた」
「ぶつけたって……血が出てるじゃない!レイラ呼んでくる!」
「え、おいっ……」

ぱたぱたと幹部とメイリの部屋に急いで向かうセラに、ライは苦笑した。
さすがに、ぶつけたじゃまずかったか……

「ライ!無事でよかった……額の傷、見せて」

レイラが手に薬箱を持ってこちらに向かってくる。その後に、幹部とセラ、メイリが続いてきた。

「見た目ほど大した傷じゃないよ。それより………」

ふっと顔を曇らせてライはメイリと向き合う。

「駄目だった。本当にごめん」

そう言うと、彼女ははっと目を見開いて、しかし無理に笑いながら言った。

「いいえ、どうもありがとうございました」

彼は、殺される覚悟で、取り次いでくれたのだ。
それをきちんと理解していたメイリはこんなときなのに、胸が温かくなったのを感じた。
すると、後ろからアシルが怒気をはらんだ声で言った。

「ライ……後で話がある」

それだけ言うと、アシルは再び部屋に戻っていった。

「はなしってなんだろ……」

全く訳のわからないようにして首を傾げたセラは、これからどうするべきか考えた。

「とにかく、今日はおそい時間だから、寝ましょう?ほら、セラとメイリ様」

レイラが二人を促す。レイラは?、と目で問うセラに苦笑を浮かべて扉を閉めた。

「まぁ、何はともあれ無事でよかった」

ふぅ、とため息をつくようにして微笑みを浮かべるラックスにライも同じようにして肩をすくめる。

「とりあえず、アシルの所に行くか」

もう、何を問われるか分かってはいるが。
そして、ライは夜おそくまで今日の出来事を幹部に明かした。

Re: 亡国の姫君 =END WORLD= ( No.28 )
日時: 2011/03/16 02:50
名前: 彰緋 ◆xPNP670Gfo (ID: 9nPJoUDa)

第十二話 ヴィルデの石

ライから、全てを……額の傷以外の事を、聞いた幹部の三人はそれぞれ表情に険を宿していた。

「まさか、伝説だと思っていた魔女が出てくるとはな」
「なんてったって五百年だものね……」

昨日まで、その存在をほとんど信じていなかったため、その事実は彼らに驚愕を与えた。

「あぁ、だが見た目はレイラ、お前くらいだったぞ?」

そう。何百年と年を重ねているにも関わらず、今目の前にいる16歳の彼女とさして変わらなかった。

「しかし、ここまでの事実があるのだから、存在を否定することはできまい」

アシルがいつもと変わらない口調で話す。これに頷いた他の三人は、しばらく沈黙したままだった。

    *     *     *

「メイリ様、寒くはありませんか?」

半分、追い出されるようにして部屋へと押し込まれた、セラとメイリは、布団にもぐりながら話しをしていた。

「いいえ、大丈夫です。それと、セラ様……あの、この状況ですし「様」はつけなくて結構ですよ?」
「そうですか!……では、メイリさ…じゃなくて、メイリもセラと呼んでください?」
「では、そうさせていただきます」

苦笑しながらも、二人は昔からの友人のようなものだったので、二人の会話は、敬語を使っても、堅苦しい会話ではなかった。

「そういえば、セラはなぜここに?」

隣国のリンシア国の王女、セラは処刑されたと聞いていた。しかし、こうして目の前にいるのは正真正銘のセラだ。

「そ、その……実は、探しものをしていて……」
「探しもの?」

先ほどより、歯切れが悪くなったように感じる。探しものとはなんだろう。そう、問いかけると、彼女は困ったようにしてここに来た全てを語った。

「久遠の宝………ですか。少し、聞いたことはあります」
「えっ、知ってるんですか?」
「はい。母が少し……なんでも、それはもともと一つの石だったらしく、エルフォードの魔女が四つに分けて封印した、と」

セラはその魔女の名が出てきたことに絶句した。そこまでは知らなかった。そういえば、この家に前ライが見せてくれた本があったはず。あれに載っているだろうか。

「よく、ご存知で………」
「聞いた話なので、本当かどうかは……それらは、ある道順となる石と接触させると黄金色に輝くのだとか………あっ!」

突然、目を見開いたメイリは自分のしている緑の色のペンダントに触れた。

「まさかとは思いますが……セラ、あなたのペンダントの石、少し貸していただけませんか?」
「は、はい。どうぞ?」

セラは、恐る恐るペンダントの石を外すと、それをそっとメイリに渡した。
すると、その二つの石が玲瓏の響きを打ち出し、メイリの緑色のペンダントが金色に光った。

「やっぱり……!」
「え、えぇぇぇぇ!?!?」

思わず声を上げてしまったセラは慌てて口を抑えた。すると、そこにライ達が駆け込んできた。

「な、なんだ?なんか、今すごいすっとんきょうな声が聞こえたんだが……」
「ちょ……これ、メイリの、こっこのい、いぃ」
「さっぱり分からん」

アシルは、呆れた表情で変わりの説明をしてもらうべく、視線をメイリに移した。

「悪いが、説明してもらってもいいか?」
「は、はい」

未だに心臓の音が大きくなっているのを自覚しながら、なるべく冷静にと心掛けて彼女は言った。

「このペンダントの石は、誕生日に母からもらったものなのですが……何か不思議なものを感じながら、綺麗なのでこうしてお守り代わりに持ち歩いていたのです。この石………実は……」
「実は……?」

ごくりとラックスの唾を呑む気配が見て取れた。

「久遠の玉の一つ……ヴィルデの石でした……」

          間。

「「な、え、えぇぇぇぇ!?!?!?」」

真夜中のユリアルの街に、ラックスとライの驚きの声が響き渡った。

     *     *     *

窓から外をぼんやりと見ていた、美しい女性……エルフォードの魔女と呼ばれる彼女は、誰もいない部屋の中でふぅっとため息をついた。
つまらない。何もすることがない。
一応、この身は皇帝陛下のお膝元にある。が、とにかくつまらない。
何も面白いことがないし、やることがない。このままばっくれるのもありか……

「この生活もそろそろ飽きてきたしな〜………っ!?」

そう呟いた瞬間、彼女の華奢な肩がぴくりとはねた。そして、と頬を赤く染めて楽しそうに笑う。

「へぇ……なんだか、面白いことになりそうね………♪」


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