ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- とある愛情と記憶を忘却したぼく。
- 日時: 2012/02/19 14:24
- 名前: イカ飯 ◆woH8nI2Q5A (ID: SyX71hU.)
————————あの日。ぼくは愛と記憶を失った。
こんにちは、またはこんばんは、またはおh(以下略。
駄作者ことイカ飯です、多分一年くらい温めていたアイデアを小説化しました。
この小説のテーマは『愛』です。まあ、形は数え切れないくらいあると思います。
それを主題に今回は書いていきます。ジャンルは『人間ドラマ』どうぞ宜しく。
※注意:結構グロテスクな表現も入る可能性があります。
微妙にドロドロな感じもあるかも知れません。気分を悪くした場合はは戻るをクリックして下さい。
荒らしは厳禁、軽くスルーです。駄文を読んだら嘔吐をする危険性もありますのでご了承ください。
—目次—
プロローグ
#>>1〆
第一章『愛というものを探求するぼく。』
#>>2#>>5#>>9#>>10#>>11#>>12#>>15#>>20#>>21#>>22#>>25#>>27#
おまけ
『イメージ曲』#>>19#
『プロフ』#川崎真人>>26#
—お客様—
Xatkas ああs Makiahuts 風猫(元:風s 夢姫s
さあ駄文の世界へご案内しましょう。
- Re: とある愛情と記憶を忘却したぼく。 ( No.20 )
- 日時: 2012/01/22 12:07
- 名前: イカ飯 ◆woH8nI2Q5A (ID: SyX71hU.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
……何故仮面?ぼくは突っ込みたくなってしまったが、この状況で突っ込みなんて入れたら正真正銘空気が読めない残念な男になる気がするので必死に耐えた。
金髪の仮面女はジャージに身を包んでいる。やはりジャージと仮面というのは全く合わない、正にナンセンス。
まあそんな事を言うのは礼儀作法がなっていない奴ぐらいなので、ぼくは口には出さない。
とにかくこの仮面女が加勢してくれれば戦況は少しだけ傾かせられる。——畳み掛けるなら今かもしれない。ぼくはそう直感した。
ぼくはまず戦闘態勢を整え、ファイテングポーズを軽くとった。
そして顔を上げる、今不良達は仮面女への対応で精一杯だ。仮面女も木刀の扱いが達人並みで巧みに不良達を翻弄している。
——よし、今だ!ぼくは拳を握り締めて戦場の中に跳んだ。最高の拳を構えて。
「——いっけえぇぇええええ!!」
「ん?何ぃ!!??」
完璧に意表をつくことができた、飛んだ拳はそのまま洗浄の渦中に振り下ろされた。
仮面女はさっとその場から退けているので問題はない。
その拳は幹部にぶち当たり、ドミノの様に他の仲間を巻き添えにして倒れていく。
狙い通りだった。しかし、これはぼくの実力なんかではない。仮面女が加勢してくれたおかげだ。
あの隙がなければ、ぼくは逆転の大技を決める事なんてできなかっただろう。
ぼくはこの仮面女に感謝している。その敬意を示して手を差し出し握手を求めた。
「ありがとな」
「…………」
……ああ、無言だな。まあ、いいや。感謝の気持ちは少しでも伝わっただろう。
ぼくは安堵してあの子の方に振り返った、どうやら少し奥に避難してたらしく被害は加わっていない。
しかし、最初あれだけの口論はしていたがそれは虚勢だったらしく少し身を震わせて怯えている。
そこでぼくはあの子をいたわるような言葉をかけた。
「おい、大丈夫か?」
「…………助けてくれて有難うございます」
「お礼は言わないでくれ、ぼくは当たり前のことをしただけなんだから」
「…………」
あの子はどこか不満気な感じに口を閉じた。
と、そこでぼくは軽く一拍置いて話を切り出した。
「ところで、名前は?」
「筑波八千代です……」
「ぼくは川崎真人だ。宜しくな、筑波。ところでさお前、何で不良達に追いかけられてたんだ?」
「…………。……実は——。危ないっ!」
「え?」
ぼくは筑波の声で後ろに振り返る。そこにはさっきとは違う不良が拳を固めて詰め寄っていた。多分、さっきの不良達の仲間か何かだろう。
それにしても、まずい。体力が底をついていて全く動けない。このままだと真正面から重い一撃を喰らってしまう。
絶体絶命、ぼくはもう倒される覚悟をした。せっかく筑波を助けたのに残念な事だな。そして拳は一直線にぼくの顔面へと向かってくる。
と、その時。
ぼくは拳を喰らわなかった、何故かって?それは仮面女が木刀でその攻撃を受け流してぼくを守ってくれたからだ。
そして仮面女はぼくと筑波に大声を張り上げて言葉を紡いだ。
「ゴー、アウェイ!!」
「……あっちにいけ……?」
そうか、仮面女はぼくと筑波に遠まわしに逃げろって言ったのか。
けど、そしたら——。ぼくは仮面女の方をもう一度見た。そこにあったのは自信に満ち溢れた武士のように勇敢な女の姿であった。
ぼくはその背中に全てを託す事を決意して、逆方面から逃走を図った。
「逃げるんじゃねえぞ!」
「…………」
不良には仮面女という大きな壁を越えることはできなかった。
——仮面女の時間稼ぎも合って、何とか逃げる事ができたらしい。
ぼくはこの時、少し力不足な自分を少し悔やんでいた。
- Re: とある愛情と記憶を忘却したぼく。 ( No.21 )
- 日時: 2012/01/22 20:07
- 名前: イカ飯 ◆woH8nI2Q5A (ID: SyX71hU.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
ぼくと筑波は路地裏を只管走り続けて、やっとの思いで道に出る事ができた。が、そこは全く見当違いの場所であった。
この道はどうやら周りを見渡す限りでは商店街である。しかし、静けさに包まれていて人気が全くなかった。
古ぼけた商店街で、故障している電灯がチカチカと光を発しているがそれは返って逆効果。チカチカ光を発している電灯を見てると、とにかく目が痛くなる。
そしてこの商店街に並んでいる店は七、八割が閉まっていてシャッターが下ろされていた。
残りの二割ぐらいの店も店内から仄かな光を放っていたが建物はボロボロである。
本当にここはどこなんだ……。ていうか、あの路地裏は何でこんなところに繋がってたんだ。
「おい、筑波。お前、ここがどこだか分かるか?」
「あっ……、はい。知ってますよ、榊原商店街です。昔お婆ちゃんの家に泊まったりした時によくこの商店街にはよく来ました。しばらく来ていなかったけど、どの店も見たことありますし買い物したところもいっぱいあります」
「へえ、そうなのか。……じゃあ、帰り道知ってるか?」
「覚えていません」
ナチュラルだ、ナチュラルに言ったな。
「え、けどお婆ちゃんの家に泊まりに行ったことあるんだろ」
「全部親の送り迎えがあったので、あまり気にしてませんでした。さらに家遠いので」
「そうかっ」
すごいな、すんごい幸せだなっ。毎回送り迎えというのはとってもいい両親だ。その慈愛の心は賞賛に値するだろう。
ぼくは筑波の両親に感心した。まあ、過保護というようにも捉える事もできるような気がするが女の子というのは大抵そういうものなんだろ。
——そういえば、ぼくの両親って誰なんだ。まだ一回も会ってないな。どんな人なんだろう。
しかし、安物件のアパートで四人暮らしというのはありえないんじゃないだろうか。
現実的に考えていくとはっきり言って無理だし。そもそも同居してるのか。
と、そこで筑波が口を開いた。
「あの……、やっぱり少しお礼をさせて下さい」
「——筑波。さっきも言ったけどぼくは何もして無い。あくまでも当事者だ」
「……そんな事言わないで下さい。だって私の為に体を張ってくれたじゃないですか、お礼の一つもできないのは嫌なんです」
「お礼なら、あの仮面女に言ってくれ。お前が助かったのはあの仮面女のおかげだから」
「機会があれば、お礼はしますけど……。先に川崎君にお礼させてください」
意固地だな。まあ別にお礼をしたいという事に意固地になるのは悪い事では全くといっていいほどないのだが、ぼくはお礼をされることに嫌気が差した。
当たり前だ、実際彼女を助けたのは仮面女なのだから。ぼくにお礼をされる筋合いなど全く無いのだ。
しかし、このままだと一日中同じやりとりのループになってしまう。
この状況から脱するにはどうすればいいんだ。ぼくは思案しだす。
と、思案しだして数秒でぼくは思考の海から帰還を果たした。そして、見出した案を言葉にした。
「——ああ、お腹空いたな」
「……え?」
「あっ、そうだ。筑波、この商店街の店で惣菜とか売ってるところあるか?」
「えっえっ、ちょっと待ってください」
と、筑波は明かりのついている店の方を向いて目を凝らして店を見極めていた。
——作戦成功。『話を適当にそらす作戦』、まさかの成功。成功確率一%と世間で謳われている気まずい時に遂行する作戦を成功させられるなんて。
ぼくは吃驚仰天、いや吃吃驚驚、仰仰天天であった。普通なら失敗するだろ、これ。
……まさか筑波って鈍感なのかとぼくは心の奥底で思った。
まあ後でもう一度迫られるだろうが、対応する時の口実はゆっくり考えよう。
と、そこで筑波は簡単な声を上げた。
「川崎君、あの商店の惣菜は確か絶品ですよ。らっきょうの漬物とか、コロッケとか。もちろん全部手作りですよ」
「へぇ。興味深いな、それ。じゃあそこで惣菜買うか。筑波も食べるのか?」
「もちろんです」
と、言い切るとそのお店に元気に小走りしていった。
ああ、何か和むなあ。ぼくはその時思った。
そして、その後を追ってぼくも商店に向かった。
- Re: とある愛情と記憶を忘却したぼく。 ( No.22 )
- 日時: 2012/02/08 23:38
- 名前: イカ飯 ◆woH8nI2Q5A (ID: SyX71hU.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
そして、少し屋根がツギハギになっている商店の前に着いた。
筑波はやはり慣れている店という事もあって引き戸になっている扉に手をかける。
そしてゆっくりとその扉を開いた。防犯防止のためでもあるのか、鈴がつけてありリンリンと音を鳴らす。
店内は少し埃が目立つが、構造は簡素で木材を使っている事もあり温かみがある。
店頭に並んでいる惣菜は多分客の人数が低迷している事も多分あり、結構少なかった。見たところ、店主はカウンターにも見当たらない。
どうしたものだろうか。そう思っていたが、店内の奥の方から白髪の眼鏡をかけた年配の女性が姿を見せる。多分店主だ。
「こんにちは!……っじゃなくてこんばんは!おばさん、お久し振りです!」
「もしかして、その綺麗な黒髪は……。八千代ちゃんかい……?大きくなったねえ。けどいきなりどうしたんだい、しかもこんな時間に?」
「少し事情があって、その成り行きでここに来ちゃってお腹も減っちゃったので、お惣菜を買いに」
「おお、お惣菜かい?ごめんねえ、まさかお客さんが来るとは思ってなくて品揃えが悪いんだけどそれでもいいかい?」
「はい大丈夫です!おばさんのお惣菜はどれも絶品ですから!」
まあ、どれも美味しそうだからな。全く問題なし。
「ならいいけど……。ところで、その男の子は八千代ちゃんの彼女かい?」
「!?!?」
筑波さん、仰天度二百%ですよ。いや、三百、四百、……まだまだ上がるぞ、仰天度。
筑波の顔はりんごになっている。そして、内側からりんごが砕け散りそうなぐらいパニックになっていた。
まあ、女子ならありえるのかも知れないな。いや、草食系の男子でもありえるだろうな。
こういう展開でパニックになること。
しかし、ぼくには全く共感なんて出来なかった。
何でそんなことで戸惑うんだよ。別に直ぐに撤回すればいいだけの話ではないか。
まあぼくがそんなくだらない事を言ったところで、どうにもなりやしないだろう。
まず、ぼくは年配の女性の誤解を解こうと口を開く。
「あ、すみません。ぼくはただの付き添いです」
「——。っそうですよ、おばさん!私の彼氏なんかいるわけないじゃないですか」
「あっ、あっそうかい……。勘違いして悪かったねえ、ゆっくりして御行き」
おばさんは少し困ったような顔をして応答し、カウンターへ歩いていき腰を下ろした。
ぼくはこの時胸の内に不思議なものを感じた、凍ったように冷たい何かを。
ぼくはとにかく惣菜を選ぶ事にした。惣菜といっても多種多彩であり個性も強いので選ぶのには凄く困る。
悪い意味ではなくいい意味での困るなのであまり問題性は感じられないが。
どうしようか、どれも出来栄え完璧だし凄い迷うな。多分迷わない奴の方がおかしいだろ。
ぶつくさそんな事を心の中で呟きながら、店内を見回す。
その時、ぼくの目が何かを捕らえた。
唐揚げだった、何だか凄い美味そう。唐揚げのパックには特製秘伝のタレ使用等と客の目を引くような物が記載されている。
そして、そのタレが使われているからなのか唐揚げが輝きを見せていた。
それはぼくの食欲をそそる。よだれが出そうなぐらいだが、さすがに食事前には下品なので何とか我慢する。
さらに値段を見ると、150円ポッキリでそこらの惣菜より(あくまでうろ覚えだが)安くてお手頃である。
ぼくはこの時確信する。ぼくはこの唐揚げに選ばれたんだ。
さっきの不良達との喧嘩もコンビニで弁当を買おうと思い立ったのも全てこのためだったんだ!
——と、さすがにそれは嘘なのだが。まあ、そんな事はお見通しだろうとは思うのでいうまでも無いだろう。
ぼくは唐揚げのパックを手にとって、レジへと持っていく。
そして年配の女性にから揚げを手渡した。
「150円ねえ」
小銭を取り出してピッタリ150円を払う。それから唐揚げとレシートを受け取る。
ぼくは商店を出ようとしたが筑波のことを思い出して、店を見渡した。
しかしぼくと年配の女性以外商店には誰もいなかった。
「あの、一緒にいた子知りませんか」
「ああ、八千代ちゃんならとっくに会計して出て行ったよ」
「選ぶの早いなあ、あいつ」
と、ぼくは呟いて商店を後にした。
- Re: とある愛情と記憶を忘却したぼく。 ( No.23 )
- 日時: 2012/01/24 21:24
- 名前: 夢姫 (ID: blFCHlg4)
はじめまして。夢姫と言います。
正直に、面白かったです。
最初はちょっと硬さがあるゴツゴツした文章でしたが、読み進めるにつれて滑らかに流れるようになっていくのを感じました。他の方もおっしゃるように先が楽しみです。
一人称視点でよくあるパターンだとだんだん発狂していくというものですが、定番の発狂パタンは安易な流れで正直がっかりするといいますか……、今のように、わりとニュートラルでどちらかいうと3人称寄りの1人称視点で描かれているほうが、安心して読めますね。
何が言いたいかというと、3人称寄りの1人称視点の位置取りが結構この小説のセンスを感じられて気持ちよいですということ。これ褒めてます。
- Re: とある愛情と記憶を忘却したぼく。 ( No.24 )
- 日時: 2012/01/27 22:07
- 名前: イカ飯 ◆woH8nI2Q5A (ID: SyX71hU.)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
夢姫s>
コメント有難うございます。面白いといってもらえ何よりです。
何だか細かく感想を書いてくださったのでとても嬉しいです、正にグラッド。
っと、意味が二重してしまいましたね。サーセンw
まあそのぐらいうれしいという風に受け取ってもらえれば光栄ですw
一人称小説はほぼ書いたことがなかったので、最初はゴツゴツでしたね。見直してみるとわかります。
それと、……危ない危ない、自分もこのアイデアを早く掘り出してたら発狂しまくりでした。主人公は正気ですけど、周りが……w
と、色んな事に気づけたのでその点に関してもお礼を言わせていただきたいです、有難うございます。
頑張って執筆していくので応援宜しくお願いします!
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