ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 俺がおカしクなったあの日
- 日時: 2012/04/05 23:46
- 名前: 下母 (ID: SpLhUj83)
どうも、下母という者です。
読み方はガムです。
↓注意事項の様なもの↓
・不定期更新
・文章にまとまりがない
・少々流血表現アリ
・ガム食べたい
「ちょっとガム買ってくる」って方はぜひ読んでいただけると嬉しいです、買ってくれなくてもぜひ読んでいただけると嬉しいです
1章赤ずきん編—>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>8 >>11 >>13 >>15 >>17 >>18 >>19
2章不思議の国のアリス編—>>22 >>24 >>28
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.4 )
- 日時: 2012/03/16 16:04
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
「……」
「……」
無言で見詰め合ってる俺と赤ずきん
あぁ…相変わらず左顔の穴と喉からの出血量が半端ない…
俺の服もとっくに血の色で染まっていた
血の臭いで酔いそうだ
安定感のない小さな手で抱かれていてそろそろ落ちそうな俺に気付いたのか赤ずきんは丁寧なのか雑なのかよくわからない下ろし方をしてくれた
「…あ…ありがとう」
礼の言葉を聞くと赤ずきんは少しだけ笑みを浮かべた
フードの方を見てみると赤ずきんを見て泣いてるようだった
「…あぁっ!!赤ずきん!!どこに行ってたの!
まぁっ!血だらけ穴だらけじゃない!誰にやられたの!?
あぁぁぁ…今すぐその野蛮なオオカミから離れなさい!
おばあさんの所には寄り道せずに行ったでしょうね?
あぁ…無事でよかったわ赤ずきん…
これ以上お母さんに心配をかけさせないで頂戴。
さぁそこをどいて!そのオオカミは今日の夕食と赤ずきんの洋服代になるのよ、うれしいでしょう?」
そう言ってフードを脱いだ
顔はどことなく赤ずきんに似ていて、年齢は30〜35ぐらいだろうか
涙を拭ってニコッと赤ずきんに向かって笑うと、俺の方に歩み寄った
「え…」
動揺しているとかわしてる暇もなくナタを俺の心臓に向けて突き刺した
そこを赤ずきんが素手で止める
指こそは切断されなかったが手から勢いよく血が噴出する
「…赤…ずき…ん!?
何してるの!?危ないじゃない!!」
危ないどころか完全にアウトしてるけど…
「あぁぁぁぁっ私の可愛い赤ずきんの指から血が血がぁあぁあ!!」
顔を真っ青にして、赤ずきんに駆け寄る多分お母さん
「…」
自分の指から絶えなく流れる血を無言で見つめる赤ずきん
あんなに怪我してんのに悲鳴ひとつあげないって…
「…あ…あなたのせいよ、私の赤ずきんがこれ以上怪我したら
私もう生きていけないわっ
腐れオオカミィイッィイィイッ!!!!!」
これ以上ない奇声を発しながらナタを乱暴に振り回す多分お母さん
「うぉっ!っぶね!!落ち…落ち着けって!」
色んな事がありすぎて頭が混乱してるから思うように動けない
何度かナタが頬をかする
ま…まだ覚めないのか!?もう十分だっての!冷や汗でビッショリだっての!!
ガクガクな足をなんとか動かしてせっかく抜け出したばっかの森に逃げ込む
「うぅ…なんで俺がこんな目にぃぃいいぃいっ!!」
「待ちなさいっ!!待ちなさいっ!!待ちなさぁああぁああああ!!」
声が大きい割に足は意外と遅い多分お母さん
わかりやすく言えば50m11秒ぐらいの遅さだ
「…」
「!?」
必死に逃げてると後ろからクイッと服を掴まれた
後ろを振り返ると赤ずきんがついてきていた
「な…なんだっ?ついてこなくていいって!!」
「…」
無言で俺についてくる赤ずきん
まぁついてきても害はな…ってあるな…あの多分お母さんまでついてくるだろう
「…」
「…仕方ねぇな」
表情一つ変えない赤ずきんにはもう何を言っても聞かないだろうと判断し顔を前に向き直しひたすら走った
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.5 )
- 日時: 2012/03/16 16:04
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
「…っ…カハッ」
走ったせいで余計に喉が渇いた…
もうあの人は追いかけてこない事を確認してその場に腰を下ろす
疲れた…足痛いし喉乾いたし…
そうだ、ここら辺の森は赤ずきんの方が断然詳しいだろうし、泉の場所ぐらい知ってるかもしれない
俺は少しだけ希望を取り戻し赤ずきんに問う
「なぁ、ここら辺に水飲む所とかある?」
赤ずきんは相変わらずの無表情で右手を俺の前に差し出した
「…ん?」
どうゆう事?俺の後ろに泉があるのだろうか?
俺が後ろを振り向くとグイッと襟を掴んでさらに手を前に突き出す
なっ…なんつー力っ…
「あ…の…離してくんね…?くるしっ…」
必死に頼み込むとようやく赤ずきんは離してくれた
何がしたかったんだ…赤ずきんまで敵になったのかと思ったぞ
何回か咳込んでから先ほど突き出された右手を見る
確かさっき俺をかばって出血した方の手だ
乾燥されきってない血がまだドクドクと出ている
まさか、その血を飲めってか!?
「血…血以外のモノで!!」
それを聞くと赤ずきんは一瞬だけ驚いた顔をしてから俺の裾を引っ張る
ついてこいって事か?
しばらく歩いて俺は沈黙に耐えれず話しかけた
「お前いつも自分の血飲んでんの?」
我ながら失礼な質問だと後から気付いたが
赤ずきんはそんな事気にしてないようだ
右手で自分の喉を指さした
「…あ、の…喉穴開いてるから飲めない…って事かな?」
それを聞いてコクンとうなずいた
「痛くねぇの?」
赤ずきんは少し考えてる素振りを見せてから首を横に振った
「へぇ…」
夢の中だからなんだっていいもんな…でも俺いまだに足が少し痛いし、息切れもするし、えらくリアルな夢だな?
「…」
「…」
しばしの沈黙に耐え、やっと森を抜けた
あたり一面お花畑で日差しがまぶしい
天国かと疑うほど綺麗な光景に見入っていると赤ずきんがお花を摘みだした
そしてグイッと花を俺に向け突き出す
「え?…あの…っ…俺花の蜜なんか飲まねぇって!!!!!」
涙目でイヤイヤする俺にやっと花をどけ少し落ち込む赤ずきん
ド…ドSかっ!!
「俺は水が飲みたいんだっ!!」
そう叫ぶとかなり呆れた顔でまた裾を引っ張る
今度はすぐに着いた。お花畑をすぎ、小さい森を抜けある一軒の小屋にたどり着いた
「お前の家?」
そう聞くと首を横に振り、躊躇なく入った
おいおい、人の家にズカズカと…
俺もつづいて入るとどうやら一人暮らしらしい
家具は絶対的に必要なものしか置いていなかった
それなのに結構ギュウギュウだ、小屋自体が小さいからな
赤ずきんは、慣れた手つきでどこから出したのかコップに水を入れて俺に差し出した
「ん、ありがと。でもいいのか?これ人ん家だろ?」
やっとありつけた水を2、3度口にふくみ喉を潤す
赤ずきんは木でできた椅子に腰を下ろし、窓を見つめていた
しばらくするとドアが開き誰かが入ってきた
「あぁ、帰ってたのか」
俺からも向こうからもタンスが邪魔で姿が確認できない
でも聞き覚えがある声だった
なんとなく出ずらくてそのまま突っ立っていると
向こうからやってきてくれた
「ん?おぉっさっきの小僧じゃねぇか」
やっぱり、あの銃士だ
俺は自分の意識が遠くなっていくのを感じだ、アレ?これ…気絶ってやつかな?
そりゃそうだもんな、あの銃士の姿を見たら誰だって気絶するよ…って赤ずきんは平然としている!?あぁ…慣れてる…の…か…
ぐるんと世界が逆回転したかの様な錯覚に落ち、俺は床に崩れた
銃士の左目はえぐれていて全身がズタズタに引っかかれていた
傷口からは血が絶え間なく出ていて赤ずきんより何倍もの血の匂いを漂わせている
右手は食いちぎられたのか、肘から下が無かった
それでも生きていて最初に出会った時のように不気味に笑っていた
- 俺がおカしクなったあの日 ( No.6 )
- 日時: 2012/03/16 18:08
- 名前: 菜の花 (ID: TaF97fNV)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=22047
面白いです!
私は幼稚園くらいの頃「赤頭巾ちゃん」が好きだったから尚更。
続き待ってます♪
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.7 )
- 日時: 2012/03/16 22:57
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
菜の花様≫コメントありがとうございます
いいですよね赤ずきんっグリム童話大好きで!
これからも見てくれると嬉しいです((`ω´
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.8 )
- 日時: 2012/03/17 01:23
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
…
……
長い夢を見た…
「…はぁ…」
俺はベッドからのそのそと起き上って赤ずきんの事はやっぱり夢だったことを確認する
まだ血の臭いが鼻に残ってる気がする
完全に上がりきってないまぶたを擦り学校の支度をした
「…行ってきます」
父も母もとっくに出かけていて一人ぼっちの家にポツリと言ってから玄関のドアを開け出発する
いつもの道をボーっと歩いていると前から何人かの小学生が歩いてきた
「…?」
なんとなく視線を感じ小学生の方をチラッと見ると一人だけ明らかに学校に行くような恰好じゃない生徒がこっちを凝視していた
赤い頭巾…
「!?」
次の瞬間激しい頭痛に襲われ息苦しくなる
鼓動も無駄に早くて吐きそうだ
「…ぅ…っはぁ…はぁ…」
その場で体勢を崩し俺は地面に手をつく
「お兄ちゃんだいじょーぶー?」
「人よぼーかー?」
「ひどい汗、気分わるいー?」
心配そうに駆け寄る小学生
それにいちいち返事してやれるほどの力もなかった
涙が出そうになった所で誰かに肩をポンッと叩かれた
小さい手だった
「…あ…れ?」
その手がどかされた時さっきまでの痛みが嘘みたいにすぅっと引いていた
急いで後ろを振り向くと誰もいない
「さっ、さっき俺に肩に手置いた子誰?」
目の前にいる何人かの小学生に問うと不思議そうな顔をして首を横に振った
「私たちずっと前にいたよー?誰も後ろになんかいってないよー?
変なのー」
そう言ってクスクス笑うと手を振って行ってしまった
確かに肩を叩かれたんだ…ちゃんと感触が残ってる…
…
モヤモヤを抱えつつ学校を終え家路に着く
父も母も帰っていなかった、今日は多分朝帰りでもするんだろう
お腹も特に空いていなかったので風呂に入ってすぐ寝た
…
小鳥の鳴き声で目を覚ます
なんだ、もう朝か?
重たいまぶたをゆっくり上げて天井をみると
明らかに自室の天井じゃないことを確認する
「…はぁ!?ここどこだよ!!」
寝ぼけていて半ギレ状態だ。ベットから勢いよく起き上る
「あ、覚めたか。大丈夫か?」
「えっ!?あっ…えぇっ!?」
目の前には椅子に腰を下ろしてる銃士と赤ずきんがいた
昨日の夢の続きか!?銃士も赤ずきんも血は出ていないが相変わらずエグい。
「だ…大丈夫かって何が…?」
「頭」
「へ?頭?」
「だから頭痛だよ頭痛!」
「えっ…あ、だ…大丈夫…です」
夢の中で現実の体の心配されてるなんて変な感じだな
「そうか…よかったよかった」
安堵の表情を浮かべて俺にスープを出してくれた
「すまねぇな昨日は、お前血の臭い苦手だったな」
さすが夢の中俺のなにもかもを知っている
「ハハ…そうスね、なんでかわかんないけど…」
「まぁ血の臭いが好きなんて奴の方が変わってるだろうな
お前は普通の反応をしただけだよ、そう皆と変わらないさ。」
皆と変わらない。その言葉がやけに俺の頭に残った
スープを飲みながら赤ずきんの方をチラッと見る
赤ずきんは、スケッチブックに何か書いているようだ
俺が覗き込もうとすると首を横に振られた
どうやら見せたくないらしい
「何…描いてんの?」
なんとなく気になったので聞いてみると赤ずきんは俺を指さした
「俺を描いてんのか?できたら見せてくれる?」
ニコッと笑って見せ赤ずきんに問うと小さく微笑んでコクンとうなずいた
あ…なんか癒される…右半分だけ見れば
左はもうそんな笑顔を出せる力がどこにあるんだって聞きたいぐらい負傷している
「手当…しようか?」
ずっと言いたくても言い出せなかった言葉を発する
手当なら毎日怪我してくる父で慣れてるけどここまでの傷は見たことなかったからなかなか言う勇気が出てこなかった
それを聞いて赤ずきんはパァッと一瞬だけ喜びの表情を見せたがまた首を横に振る
「ハハッ、大丈夫大丈夫俺ら手当しなくても自動回復するから」
「えっ!?自動回復!?」
「そうそう、ほっといても気付いてたら治ってるし
気にすんな」
子供を安心させるような声で言われてなんとなくムッとする
そうか…自動回復するのか…さすが夢の中なんでもあり
数分後
外から物音がして窓を覗くと銃弾の跡がびっしりついているオオカミを発見し逆流しそうになるスープを必死に押さえこんでから声にならない声を上げた
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