ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 俺がおカしクなったあの日
- 日時: 2012/04/05 23:46
- 名前: 下母 (ID: SpLhUj83)
どうも、下母という者です。
読み方はガムです。
↓注意事項の様なもの↓
・不定期更新
・文章にまとまりがない
・少々流血表現アリ
・ガム食べたい
「ちょっとガム買ってくる」って方はぜひ読んでいただけると嬉しいです、買ってくれなくてもぜひ読んでいただけると嬉しいです
1章赤ずきん編—>>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>8 >>11 >>13 >>15 >>17 >>18 >>19
2章不思議の国のアリス編—>>22 >>24 >>28
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.1 )
- 日時: 2012/03/15 18:51
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
…
……
「ヒュー…ヒュー…」
空気が漏れたような音が響く
目の前に立っている女の子は、
どう見ても俺が小さい頃から知っている赤ずきんではない。
赤い頭巾をさらに赤い血で濡らし、喉と頭左半分にはぽっかりと穴が開いている。
「ヒュー…コホッ…ゴボッ…ヒュー…」
口から赤い泡を吹かし、右目が世話しなく動く。
なんでこんな状況になったんだ?
俺は情けなくその場に腰を抜かす
目の前にいる恐怖からできるだけ頭をそらし、記憶をたどる。
昨日まで、俺は確かに普通に生活していた。
そう、普通に。
朝起きて、学校に行って、いつものように雑用をこなす、そして家路に着く、その後も雑用がまだまだ残っている、父が帰ってくる、俺を殴る、母が帰ってくる、機嫌がいい日なんてない。
やっぱり殴られる、傷の治療を終えると自室に戻る。
そこでやっと自由な時間が得られる、俺は自分の世界に入る。
いつも通りだ。何も変わっちゃいない。
…その後は?
その後は、ベットに入るはずだ。
その後俺はどうした?
思い出せない。
なんでこんな所にいる?
気づいたら森の中にいた。
冷たい風が頬を撫でる。
後ろから声がした。
前からも声がした
後ろからは赤い頭巾の女の子が。
前からは銃士らしき人が。
一瞬で頭が真っ白になる。
今度は前から銃声と、後ろから何かがはじけた音が
振り返ると赤い頭巾は頭半分がもっていかれていた
それでも生きていた。
銃士は、もう一度引き金を引く
喉に当たった
なんで生きているんだ?
どう見ても立っていられる状態じゃないのに、生きている。
呼吸をしている。笑っている。残った右目が俺をとらえる
「ヒュー…ヒュー…あ…あぁ?…ゴボッ…ヒュー…ぁ…ヵ…き」
俺に向かって話しているらしい、でもわからない。
何を言ってるかわからない。
とりあえず俺も凝視する
成程、それでこんな状態に…って納得してる場合じゃないな
状況が呑み込めねぇぞ…
なんで俺は今こんなメルヘンチックな世界にいるんだ。
木には絵本にいるような小鳥が止まっていて、赤ずきん(?)は右手に可愛らしいバスケットを手にしているがその容姿ですべてを台無しにしている、銃士は銃士で赤い羽根がついた緑の帽子を被っていて大変目つきが悪い。
「ヒュー…ヒュー…う…ぎ…ゴボボッ…」
「あ…あの…」
相変わらず赤い泡を吹かしながらニタニタと笑う赤ずきんに話しかけてみる。夢かもしれないし…こういう体験もたまにはいいかもしれない。
「大丈夫スか?」
立ち上がってみると赤ずきんは、小学1年生ぐらいの背丈で俺を見上げている
「…ケポッ」
バスケットを手にしてないもう片方の手で喉を押さえはじめた。
手だけじゃ駄目だと思いバスケットからハンカチを出す。
あたふたする姿は可愛いけれどそのグロテスクな頭を先に処理してほしい…
意外と落ち着いてる自分に驚きを覚えながらも、赤ずきんを凝視し続ける
「そこをどけ、小僧」
背後から銃士の声が聞こえた瞬間、3発目の銃声が響いた。
「ガボボッ…ヒュッ…ヒューッ…ヒューッ…」
お腹の右下を少しかすれただけで済んだ様だが、出血量がはんぱない。
「ちょ…何してるんスか!?
子供なんですよ!?」
ここまで攻撃されて生きていられる子供なんて見たことないが…とりあえずは子供だ。
「………?」
首をかしげる銃士、本気の疑問顔だ
「な…なんで撃つんスか…
何をしたっていうんですか」
「楽しいからに決まってるだろう?」
まるで家に帰ったら手を洗うのが常識だとでも言うかの様な顔をして、銃士は話す。
「た…楽しいからって…そんな理由で…」
「君が望んだ世界だ、俺らは文句を言えんさ」
「俺が…望んだ世界?」
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.2 )
- 日時: 2012/03/15 18:50
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
「…」
「あっ」
「?」
銃士の呆けた声で後ろを振り返ると、赤ずきんはすごい速さで森の中に消えていった
あの傷であんなに走れるとか…
それより俺の望んだ世界ってなんだ、中二病かっ
あー、どうせ夢なんだし…余計なことは聞かないでおこう
「聞かないのか?」
「へ?」
「だから、聞かねぇのかっつってんだよ」
眉間にしわを寄せて俺に問う銃士
え、何イライラしてんだ。俺なんか悪いことした!?
「てっきり俺の望んだ世界って何なんですか?ってな感じに聞かれると思ってたんだが、違ったか。」
「い…いや、なんかめんどくさそうだし」
「めんどくさいっておま…」
何か言おうとしたのか口を数回パクパクさせてから呆れ顔でため息をつく
あれ…俺こんなまともに人と話したのっていつ以来だろう…
「あー…そうだ、お前行く所あんの?」
「え、いやないけど」
ガシガシと頭を2、3度掻き毟った後赤ずきんとは反対方向の森を指さす
「あっちに俺の家があんだけど、休んで行かね?」
「…あ、えっと…」
どうせ夢だし行先もなんもないけど、いきなり平気で子供を撃つ人の家にホイホイ行くってのもな…
俺が答えを出せずに戸惑っていると一人でさきさき森の方に歩き始めた
「まっ、待って」
とりあえず一人でいるよりは幾分マシだ。俺はついていくことにした。
30分ぐらい歩いただろうか、ちょっと疲れてきた…
夢の中なのに疲れるなんて変なの
「まだスかー…」
「もうすぐだ」
それにしても無口だなこの人…
俺が質問する時以外は黙々と歩いている
「…」
何を思ったのか足を止めた銃士
なんだ?道にでも迷ったのか?
「…お前、そこの茂みにでも隠れててくんね?」
「…は?」
「ホラ、早く隠れるっ」
「わ…わかったよ」
イラつきが混ざった怒声に思わずそのまま言うとおりにする
相変わらず怒鳴り声に弱いな俺…
茂みに腰を下ろして銃士の方向を見る
「静かにしてろよ…」
「?」
次の瞬間、すさまじい異臭が俺を襲った
な…なんだこれっ…獣の匂い?
おぇぇえっ…
「ちょ…移動…させ…」
「動くな、声も出すな、寝てろ」
んな無茶な。こんな異臭の中で寝れるとか超人だよ!
どんどん強くなっていく異臭に俺は気を失いそうになった
吐く…吐く…っ
「グロロロロロ……」
「?」
低いうなり声が森中に響き渡った
カエル?いや雷?それとも…
「見ィつけたァ」
ザザッと激しい音と共にやってきたのは、テレビとかでよく見る一般的なオオカミだった
喋ってる事以外は一般的なオオカミだ、うん
体も二周りほどでかいけど…
「おいおいおいおいおい、またやってくれたなァ
このヤンデレ銃士ィ…」
「お前に言われたかねぇよ、ロリコン」
状況がさっぱり読めない俺をよそに口で罵合う二人
「あの」
「!!」
俺の声を聴いた瞬間オオカミの目線がグリンと動く
「……テメェのせいでさァまだ俺ご飯にありつけてねェんだ
可哀想だろ?な?俺可哀想だろォ?」
「は…はぁ…」
このオオカミはもしかして赤ずきんで出てくるオオカミだろうか
「お腹が空いてるなら赤ずきんを食えばいいのに」
思わず口にしてしまった言葉にハッとした時には遅かった
オオカミはほっといて銃士の顔がみるみる歪んでいく
「食えばいいのに…だ?」
「え…ええ…?」
「ヒャハッ、話がわかるじゃねぇか
そうだよなァ?食えばいいのになァ?でもこのヤンデレ銃士さんが…」
パンッという銃声が響き渡りオオカミの話が中断される
ずっと銃士の方を見ていた俺はオオカミに方向を変えた
「…!」
その変わり果てた姿を見て思わず目をそらす
顔の口から上が吹き飛ばされていた
しばらく左右に体をユラユラ揺らした後姿勢を立て直して
オオカミは何事もなかったかの様に話し出した
「テメェ、すぐ撃つのやめろっつってんだろォ!?
ビックリするんだよォ、おいっ
何も見えねェじゃんかよォ!!」
「そりゃ、目玉吹っ飛ばしたからな
口を狙ったはずなんだが、最近よく外す…」
「ヒャハハ、老化じゃねェ?」
「ははは、死ねばいいのに」
2人が仲良く会話してる頃、血の匂いと異臭が混じった森に限界を覚え会話そっちのけでいつの間にか俺は出口を求め全速力で走っていた
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.3 )
- 日時: 2012/03/15 18:47
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
「…ッハァ…ハァ…」
危うく吐くところだった…
「…ここ…どこだろ」
無我夢中で異臭がしない方に走ったからか、あたり一面真っ暗な森の中にいた
上を見上げると木と木が重なり合って空が拝めない
こんな所にずっと立っていてもしょうがない…
俺は乾ききった喉を潤しに泉でも探す事にした
…
ぼーっとただ前を目指して歩いていると鼠色のフードをかぶった人がきょろきょろしながらこっちに向かってきた
顔はよく見えないが、白い肌と長い金髪がチラチラとフードから覗かせている
とりあえずなんか困ってそうだし話しかけてみるか。
「あのー…探し物…スか?」
「…っ!!」
声を聴いた瞬間ビクッと大きく体を震わせるフードの人
「……あなたこそ、何か探してるんではなくって?」
「あー、えっとここら辺に泉とかってないですかね?」
「クスクス…しらばっくれなくていいのよ…あなたの探してる物、私にはちゃんとわかってる…」
「へ?」
思わず呆けた声を出す
しらばっくれた覚えなんてないが、むっとした顔を向けると突然俺の肩をガシッと掴んできた
「わかってるわ…わかってるのよ!あなたもでしょう!?あなたも私のっ私の可愛い娘を狙ってるのね!?あぁっわかってるわ!!そんな嘘で私を騙せるとでも思ってるの!!そんな姿に化けても無駄よ!!この人食いオオカミ!!汚らわしいったらありゃしないわ!!いい!?これ以上私の可愛いあの子に近づこうってもんならこの場でミンチにしてあげるわ!!今ならまだ助かるわよ!?私が3秒数えるうちに視界から消えて頂戴ぃいぃいぃ!!」
「…?…っ!?」
息継ぎをいつしてるのか疑うほどの速さで喋り終えたフードの人はブルブルと肩を震わせる
え…えーっと…話が読め…
「いーち…にーぃ…」
「うぁ!?ちょ…ちょっと待って!!俺はっ別にっっっ!!」
「さぁー…」
駄目だ、何故かわからないけど殺される気がする
ってか逃げたいのにこんなガッチリ肩を掴まれたら逃げようにも逃げられないしっ!!
夢だけど…夢だけどっ、あぁあぁあ覚めてくれぇえぇええ!!
「…ん…3秒…たったわよ?ふふっ、バカなオオカミさん
大丈夫あなたの肉はちゃんとスープにして…食べてあげる
毛皮もたかぁく売ってあの子に立派な服を買ってあげる
あなたは死んだ方が役にたつのよ…」
肩から片手を離す、涙目で声も出せない俺は逃げ出す力もなくなっていた
スラッと器用にフードからナタらしき物を出し始める
こ…ころっ…殺される…っっ…
ブンッとナタを俺の頭上に振り上げた
…
あ…あれ?
痛く…ない?…そうか夢から覚めたのか!
恐る恐る目を開けるとまず目に入ったのは見覚えのある血の滴る赤い頭巾だった
「…?…?」
落ち着いて状況確認するとどうやら俺は赤ずきんに軽々とお姫様抱っこされてるらしい
小1が高1の俺を抱っこしてる…だと!?
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