ダーク・ファンタジー小説

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廻る世界で。
日時: 2012/07/02 22:10
名前: +ふぁる+ (ID: 9cTKwbSo)

初めまして!
ふぁると申します!!
初心者ですが頑張っていきたいと思います^^
さっそくですが「廻る世界で。」の
オープニングです!!↓


〜オープニング〜




気がついたとき、世界は黒く染まってた。

・・・・いや、もともと色なんてなかったんだ。

そう思うことによって、自分を守った。
自分が正しいと思い込んだ。

だって、この世界は私がいることによって廻っている。
私は、この世界の軸となる中心のモノ。
私が踊ることをやめれば、世界も・・廻ることをやめるだろう。




Re: 廻る世界で。 ( No.18 )
日時: 2012/07/02 22:09
名前: +ふぁる+ (ID: 9cTKwbSo)


               ★


「あら?」

月の館をでてから、歩いて数分。町からは、決して近いとは、言い難い場所だ。そんなところに、一人の少年が倒れていた。

「大丈夫ですか?」

セレティアが声をかけると、かすかに少年が動く。
その様子を見て、もう一度声をかける。

「立つことはできますか?」

そう言って、少年の肩に手をかける。
少年は、意識があるのだろうか。心配になりそうなぐらい、反応がなかった。
セレティアは、少しため息をつくと、つぶやいた。

「・・・・・子供って、めんどくさいですね。」

そして最期に、もう一度声をかけた。

「死ぬつもりですか?」


               ★


僕は、もう疲れていた。
歩くことも、姉を探すことも、生きることも。
すべてに、疲れきっていたんだ。

だからその時は、幻覚が見えたんだと。
疲れすぎて、幻覚を見だしたんだと思っていた。
当然、声をかけられるなんて、思ってもみなかったし。

「大丈夫ですか?」

そんな声が聞こえたけど、僕は無視した。
喋ることにも、疲れたんだ。

「・・・・・子供って、めんどくさいですね。」

そう言われた時、少しだけカチンときた。
子供は、めんどくさくなんかない。大人のほうがめんどくさいし、うっとうしいし、それに、いらなくなったらなんでも、捨てるじゃないか。
そう思っていると、今までとは違う感じで、喋りかけられた。

「死ぬつもりですか?」

死ぬ・・・・・・?

その言葉が、妙に心のどこかで、引っかかった。
僕は、死ぬつもりなのか?というか、生きているという証を、僕は残したのか?僕は、ちゃんと生きていたのか?
そしてなによりも、僕はまだ、元気な姉の姿もみていないんじゃないか?
・・・・・そうだよ。僕はまだ、生きている間に、なにもしてないじゃないか。
その時点で、僕の心は決まっていた。

「・・・・・・ほっといてくれ・・・・。僕は・・・・生きる。」

Re: 廻る世界で。 ( No.19 )
日時: 2012/07/03 20:53
名前: +ふぁる+ (ID: 9cTKwbSo)


「・・・・・そうですか。」

そういうとその女の人は、僕にそっとなにかをかけてくれた。
暖かくて、ふわふわしたなにかを。

「ついてきなさい。私の館に、来てもらいます。」

そしてその女の人は、僕を抱き上げた。

「生きたいのでしょう?しっかりしたらどうですか?」

女の人の言葉はとても広く、そして深く心に染みていった。


             ★


——どこかの研究室にて——

「完璧だ・・・。」

男は、フフフと不気味に笑う。
すると、急に研究室の扉が開いた。

「み、見つけました!!アレです!アレが見つかりました!」

別の男が息を切らせながら、その男に言った。
男は、またもや不気味な笑い声をあげた。

「そうか・・・・・。フフフフフ・・・アー八ッハッハッハーー!!」

その声は、研究室内をこだました。


Re: 廻る世界で。 ( No.20 )
日時: 2012/07/04 21:47
名前: +ふぁる+ (ID: 9cTKwbSo)


             ★


「・・・・・そういえば、交代ってどういう意味ですか?」

その言葉を聞いてルナさんが、食べていたガーリックライスを飲み込む。

「あれ?話してなかったかしら?」

そういいながら、ワインを一口飲んだ。

「そのまんまの意味よ。交代するの。役をね。」

「役・・・・?交代・・・・?」

あまり、意味が分からない。

「つまりルナの代わりに、誰かを踊らせるってことだよ。」

ユースさんがそういうと、ルナさんも ま、そんなものね と、うなずいた。

「じゃあ、ルナさんにとっては、好都合なんじゃないですか?」

私がいうと、ルナさんは呆れたように首をふった。

「リアサ・・・・。これが、私にとって好都合?それ、本当に思ってるの?」

「・・・・・はい。」

ルナさんがはあ〜と、ため息をついた。

「そんなわけないじゃない。そりゃ、私にとってはいいのかもしれないわ。でもね、私の代わりになった子が、どんな思いをすると思う?私のように、苦しい思いばかりするのよ。」

そうか・・・・。私はなにかを、勘違いしていたのかもしれない。
ルナさんだけが助かればいい。
そう思っていたけど、ルナさんは、ちゃんと他の人のことも考えていたんだ。

「ルナさん・・・・」

私が感動しかけてると、ユースさんが口をはさんだ。

「交代したくない理由は、それだけじゃないでしょ。」

ユースさんが、苦笑まじりに言う。

「え・・・・?どういうことなんですか?」

「私が交代したくない二つ目の理由は、世界が私のものじゃなくなるからよ。」

「・・・・・・・・・はい?」

耳を疑った。私のものじゃなくなる?

「だって今まで世界は、私が踊ることによって廻っていたのよ?つまり、世界は私のものだったの。なのに交代なんてしたら、今までのが全部パアじゃない。」

その言葉を聞いて、ユースさんがクククと笑う。
私は、ポカンと口を開けてしまった。

「そんな理由で・・・・・」

「そんな理由ってなによ。私にとっては大事なことよ。」

・・・・・・ルナさんって、少し変わってる?

Re: 廻る世界で。 ( No.21 )
日時: 2012/07/05 21:18
名前: +ふぁる+ (ID: 9cTKwbSo)


             ★

「目が覚めましたか?」

女の人が、僕に話しかける。
あたりを見る限り、白で統一された、おしゃれな部屋だ。

「ここは・・・・・?」

「ここは、静寂の城です。簡単にいうと、私の家です。」

そう言って、にっこりとほほ笑む。
そうか・・・・。この人が、僕を助けてくれたのか・・・・。

「お腹、空いていませんか?一応食事を作ってきました。洋食ですけど・・・・。食べれます?」

僕はコクンと、うなずく。

「それは、良かった。・・・・・そういえば、名前を聞いていませんでしたね。何という名ですか?」

「ルイト・・・・。ルイト=フェルエ。」

「ルイト・・・・・。そう、とても良い名ですね。私は、セレティアと申します。セレティア=イリエル=ユスアです。呼び捨てにしてしまって、かまいませんよ。」

ほほ笑むセレティアは、まるで天使のようだ。
僕は、無言で食事を食べ進める。

「・・・・どうして、あんな所に倒れてたのですか?」

唐突にその質問をされ、僕の箸が止まった。


Re: 廻る世界で。 ( No.22 )
日時: 2012/07/22 21:35
名前: +ふぁる+ (ID: 9cTKwbSo)


とりあえず、食べていた物を飲み込んで、僕は答えた。

「・・・・・今は、言いたくない。」

っていうか、言ったってどうせ、憐みの言葉しか返ってこないんだ。
大変だったね、とか、かわいそうに、って。
そんな言葉は、もう聞きあきた。

「どうせ、言ったって意味ない・・・・・・。」

ボソッとつぶやいたつもりだったが、セレティアには聞こえていたらしい。
大きなため息をついた後、めんどくさそうに言った。

「意味ない・・・・ですか。そうやって、いろんなことから逃げてきたんですね。」

「!!・・・・別に、僕は逃げてなんかない!」

「逃げてないんだったら、なんなんですか?どうせ、どうせって、自分に酔っていたのは事実でしょう?」

そう言われて、僕の顔が赤くなるのが分かった。
違う・・・・違うんだ。僕は、僕は・・・・・。

「誰からも必要とされていない。だから、僕は悲しい子。哀れな子なんだって思ってたんではないんですか?」

「・・・・僕は・・・・・・僕は・・・・・」

「いいかげん、現実を見てください。今、自分が置かれている状況を。世界は、あなたのために廻っているのでは、ないのですよ。」

そう言われて、僕はがたっと立ちあがった。
あなたのために、廻っているのではない・・・・。その言葉は、以前姉にも言われたことがある。
僕が、わがままを言って言うことを聞かなかったとき。
姉はやさしく、僕に語りかけてくれた。

『あのね、ルイト。世界は、ルイトのために廻ってるんじゃないんだよ?世界は、みんなのために廻ってるの。だから、ルイトのわがままが、何でもとおるわけじゃないんだよ?』

・・・・どうして僕は、そんな大切なことも忘れていたんだろう。
とても大切な、大事な記憶なのに。
気がつけば、涙が止まらなくなっていた。


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