ダーク・ファンタジー小説
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- トランプゲーム。 実.況.者
- 日時: 2015/10/05 21:11
- 名前: 泉 (ID: H9DI71mW)
こんにちは、泉と申します。
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さぁ、命がけのゲーム……start→
- Re: トランプゲーム。 実.況.者 ( No.20 )
- 日時: 2015/11/01 19:21
- 名前: 泉 (ID: H9DI71mW)
〜スペード:5〜
モニターに映し出されたのは別の部屋。
つわはすが居た箱と同じ素材でできた大きめの箱に、拘束されて入っている……
キヨ君。
次の鍵はキヨ君……君だった。
じっと見つめていると、ドバドバッという嫌な音が聞こえた。
キヨが拘束されている箱の中に勢いよく水が注がれる。
「は………っ!?」
つわはすが息を飲む。
[皆さん御待ちかね、ブラックジャックタァーイム!!]
直後に響くスピーカー音は、頭痛をもたらす。
[三人で協力して、21にトランプを揃えて下さい。一人の手持ちは5枚。そのうちの3枚を使って数字の合計を21にすること。3回21を作る事が出来ればゲームクリアとなります!さぁ、頑張って…?]
ブツッという音と共にスピーカー音も消えた。
その時だった。
キヨが急に眼を覚まし、暴れ出したのだ。
気付けば、キヨの足首は水に浸かっていた。
- Re: トランプゲーム。 実.況.者 ( No.21 )
- 日時: 2016/03/13 19:20
- 名前: 泉 (ID: wVDXtEbh)
〜クラブ:4〜
「・・・っは、あ、っ、・・・」
目の前で友人を殺されそうになる、恐怖。
恐い、という感情が平常心をみるみる内に蝕んでゆくのが身にしみて感じられた。
冷や汗がたらり、一粒垂れた。
「手持ち、教え合おうか。」
レトルトが発した言葉への返答も一瞬遅れる。
あのモニターからは流水の音しか聞こえない。
だが時々かすかに「助けて」というキヨの悲痛な叫びが混じり、それがまた心臓をばくばく言わせるのだった。
震える指先をどうにか押さえ、カードをテーブルに並べる。
よく見れば、いつもは冷静なP-Pですら目に焦りの色を浮かべていた。
「じゃあ数字、揃えるで・・・。の前に、」
ちら、とレトルトを見る。
その行為を確認した彼は、あんな、と話し出した。
「キヨ君、見てくれへん?」
咄嗟に無理、と言葉があふれる。
P-Pも首を横に振った。
その直後だった。
「現実から目ぇ背けたあかんのや!!」
いきなりの大声に少し驚いてしまう。
「恐いのは分かってるんや。せやけど、そしたら、キヨ君死んでまうんや。だから、」
レトルトは弱弱しい声で
「泣いたあかん。」
と言った。
そこでやっと、頬に伝う冷たい何かを感じ取った。
あぁ、俺、泣いていたんだ。
そして、
「俺ら、何も変わらんなぁ。」
口をきゅっと結んだP-Pと、鼻をすするレトルト。
ふと振り返れば、必死に箱を割り砕こうと体当たりをするキヨの姿が視界に飛び込んできた。
前を向き直したときには、誰一人として涙を流していた事はなかった。
- Re: トランプゲーム。 実.況.者 ( No.22 )
- 日時: 2016/03/14 12:11
- 名前: 泉 (ID: wVDXtEbh)
〜ダイヤ:5〜
何で…何でこうなったのだろう。
つい昨日まで4人でわいわいゲームで盛り上がっていたじゃないか。
何をどう間違ったって言うんだ。
俺も、レトさんも、P-Pも、つわはす君も、ちっとも悪くない。
なぜ今急に命を天秤にかけられなくてはならないのだ。
どうして…どうして…。
幾ら考えても答えは見付からない。
今まで力の限りできていた箱への体当たりも、水圧のおかげでままならなくなった。
そろそろ、水も腰あたりに到達してしまう。
あぁ、もう俺死んじゃうのかな。
そんな考えさえも浮かんでくる。
3人の様子を此方から伺うことはできないが、スピーカーのような物があるのか
必死にクリアを目指す声が微かだが響いていた。
「駄目だ。俺だけ諦めんのはずるいしな。」
決死の言葉を口にし、また箱を割ろうと試みるのだった。
- Re: トランプゲーム。 実.況.者 ( No.23 )
- 日時: 2016/03/16 17:58
- 名前: 泉 (ID: wVDXtEbh)
〜ハート:6〜
「・・・だ。・・・ん・・・ずるい・・・・・・な。」
はっきりとは聞き取れなかったキヨの呟き。
でもそれは、俺ら『プレイヤー』の思考を活性化させるのには
十分だった。
だって、彼は、
「何があろうとも諦めない」
そんなことを口にしたから。
「ねぇ。5と6、10の組み合わせはどうかな。」
まだ目を腫らしているつわはす。
さっきまで泣いていたのかと疑うくらい、決意の色を瞳に浮かべている。
「まって。その組み方でも成立するけど、ここは4、6、11にしよう。残るカードを考えると、そっちの方が良いかも。」
メンバーの中で飛びぬけて頭の良いP-Pは、
このゲームをクリアする為に最大限の力を尽くそうとしてくれている。
生贄となったキヨを助け出す為、全員が脳をフル回転させていた。
「5、7、9はどうや?」
「駄目・・・だね?」
「1、8、12だったら・・・ええと・・・」
「出来ない・・・よね。」
ああだこうだと考えるが、どれも正解でない。
時間、無い言うてるのに。
- Re: トランプゲーム。 実.況.者 ( No.24 )
- 日時: 2017/04/21 21:27
- 名前: 泉 (ID: TKvpVzsu)
〜クラブ:5〜
あれもダメ、これも違う…。
いよいよ煮詰まって来てしまった。現在完成した組み合わせは2組。あと1組、というところまで辿り着いた。
しかし、問題はここからだ。
残りのカードは、どういった組み合わせでも21にならないような数の小さいカード。どう頑張ってもこのままではクリアは不可能だ。
だからといって諦める訳にもいかない。俺達が諦める、それはキヨ君を殺す、ということ。
「どうすれば、どうすれば良いんだろ…!?」
「あかん、どれにしても21には足りん…!」
水は既にキヨ君の胸元まで来ている。その光景が俺らの冷静さを更に欠いていくのだった。
「…けて!諦め…!」
キヨ君も叫び過ぎてだんだん声が潰れて来ている。こちらはこちらで完全に思考停止。
今度こそ、仲間を失う…?
嫌な汗がだらだらと溢れた。