ダーク・ファンタジー小説

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暗闇を黒く塗り潰せ【短編集】
日時: 2017/01/30 14:07
名前: & ◆p1kEDHfk2I (ID: Zodo8Gk0)

&という者です。
短編集書きたいな…なんて思ったらスレ建ててました←

題名からして物凄い暗そうですが、暗いです((何の捻りも無い
ハッピーエンドもバッドエンドもループエンドもオチなしも何でもアリです。多分。

そんなものに付き合っていただけるなら、暇潰しにでもご覧ください。

ちょっとした宣伝です。
SS大会で作品を投稿させていただきました。「すきー!」を押してくださった方、ありがとうございました!作品名は「あおいろ」で、3部構成なので全3スレです。ちょっとリメイクとかしてから、このスレにも載せようと思っています。

それでは。

目次
縛 >>1-5
柱の陰に >>6-10
cigarette >>11-16
おもちゃばこをあけてみて >>17-22
華やかな世に結末を。>>23-28

オチが無さ過ぎて困るこの頃です((

Re: 暗闇を黒く塗り潰せ【短編集】 ( No.1 )
日時: 2016/02/02 14:41
名前: & (ID: bUOIFFcu)

縛-1

「おはよう」
「もう起きてたんだ」
「んー、いい天気」
「ねぇ、今日は何処に行く?」
「外がいいよね、天気いいし」
「ねぇちょっと、聞いてるの?」

「...聞いてるよ」

外に行くなんてやめてくれ。
「檻」に入れられたこの姿で連れ回されるなんてたまったものじゃない。君は気づいていないのか?

檻の中に入れられた「彼氏」と、それを連れ回す「彼女」というこの関係が、あまりにも異常であること。

「じゃあ何か案でも出してよ」
「何処行きたいの?」
「あ、どこでもいいとかダメだからね」
「私が折角こうして訊いてるんだから」
「ねぇ、何処がいい?」

「...桜の、公園...」

「おお、言うと思ったぁ」
「あそこ好きだよね」

好きなんじゃない、人が少ないんだ、あそこは。
滅多に新しい人も来ないし、例え人がいても「ああ、またあいつらか」って感じだからそこまで苦しくない。君が場所を指定するときは人の目なんか気にしないから、俺に決めさせてくれる貴重な時にはちゃんと自分で選ばないと。

そうして連れ回されて3年間。外行くのに思いっきり部屋着のままだし、なんて、服を気にすることも出来なくなっていた。
精神的にも疲弊し、一時は狂って喚いたりもしたが、もうそれすら億劫になるほど無気力にさせられる閉鎖空間。

「じゃあ行こっか」
「ふふ、今日も楽しみだなぁ」
「ね!...どうしたの?」

「...、...」
「.........何でもない」

目に入る君の顔。
気力を振り絞って何か大事な事を言おうとしたが、振り絞ったところでそんなものを喋れるほどの気力は無かったようで、台詞が霧散する。

手錠、足枷、そして首輪———。
錆びれた金属がついた手首を、からんっと音をたてて床に投げ出した。

どうして君は俺をこんな風にしたんだ。
どうして君はそうなってしまったんだ。

どうして君はあの時、俺を手放さなかった?

どうして君は...。

Re: 暗闇を黒く塗り潰せ【短編集】 ( No.2 )
日時: 2016/02/02 14:55
名前: & (ID: bUOIFFcu)

縛-2

それは3年前の冬。
俺の彼女、未來が浮気をした。
なんでも職場の男に誘惑されたらしい。会ってみれば、俺なんかよりはるかにイケメンで優しそうな男だった。会社では部長らしく、それなりに経済力もある。収入も少なく特に顔立ちが良いわけでもなかった俺なので、まあ当然かと諦め、未來に別れを告げられるのを待った。

だが、未來はそれを許さなかった。

未來がいつまでも俺にはっきりとした別れを告げないものだから、未來の家に行って思い切って訊いてみたのだが...未來はそれに激昂した。

「何でよ」って。
「悔しくなかったの」って。
「盗られてもなんとも思わないの」って。
「どうしてそんなに簡単に諦めるの」って。
「私のことなんてどうでもよかったのね」って。

どうして未來が俺に怒ったのか、俺にはさっぱりわからなかった。わからなかったが、言われた言葉ひとつひとつは、何故だか鮮烈に俺の記憶に残っている。それをこの3年、暇があれば頭の中で反芻していたものだから、余計に焼きついてしまった。それでもまだわからない。

今でもわからないものを当時わかるはずもなく、未來が急に怒ったことも相まって俺は混乱してしまっていた。そして言ってしまった、
「何で怒ってるんだよ」って。

それを聞いた瞬間、未來は怒って叫ぶのをやめ、酷く冷めた目をした。

「...もういい」

ぽつりと未來は呟き、「ここにいて」と俺を部屋に残してどこかへと出かけて行った。

Re: 暗闇を黒く塗り潰せ【短編集】 ( No.3 )
日時: 2016/02/13 17:16
名前: & (ID: bUOIFFcu)

縛-3

30分ほど経ったあと、未來はビニール袋を2つ持ってなんてことのないように帰ってきた。

ただ、その顔は満面の笑みだったのを強く覚えている。

「まずは不完全だけど、まあ、それなりに満足だよ。それに、1ヶ月もすれば届くって言ってたし」

何が?
何が不完全?何が満足だって?届くって何が?

頭の中を「?」が埋め尽くす中、未來はビニール袋の中からある物を取り出した。
カシャン、と音がした。結構重たい音。

出てきたのは手錠。

「は…?」
「あのね。君が私を諦めたのはよーくわかった。けど、私は君を諦められなかったの」

こちらを見もせずに、カシャン、カシャンと手錠を取り出し、床に置く。それから、同じ袋から足枷、もう一つの袋から首輪ーーー。

「ちょ…み、未來?その、て、手錠…?」
「うん。君はもう私に興味なんて無いかもしれないけど、私は違うの。私はどんな手段を使っても君を愛する。君と一緒にいる」

じゃあどうして浮気なんか…と思ったところで、満面の笑みを浮かべたまま、未來が近づいてきた。

「だからね、私、君を私に縛り付けることにしたの」

そして、俺の手に手錠をした。

あまりに予想外すぎて突然すぎて、何も理解出来ずに動けなかった俺は、それをただただ見つめるしかできなかった。

「ほら。これでもう君は自由に動けなーーー
「ちょっ…ちょ、ちょっと待てよ!手錠!?何でだよ!不完全って…、一ヶ月後に届くってのは!?何が!?」

数秒遅れて言葉が出る。
どうして手錠なんか、さっきの言葉の意味は、未來、どうしたんだ、と問うが、彼女は聞こえていないかのように無視した。

「…私が君を縛るだけだよ、安心して。これからもう一生君を離さない」

そしてまた笑みを浮かべ…酷く冷たい声で言った。

「物理的にね」

それから俺は、抵抗虚しく、手錠に続いて足枷と首輪をつけられ…そのまま現在に至る。


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