ダーク・ファンタジー小説
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- 幻影 ~魂の業/陽と陰~
- 日時: 2016/11/16 00:02
- 名前: 忌業 禍穢 (イミカリ カイエ) (ID: 9O29kkFK)
お初に御目にかかります。
忌業 禍穢と申します。
忌みられの業、禍つ穢れと書いて『イミカリ カイエ』と読みます。
以後お見知りおき下さい。
この小説は、この世とあの世を往き来できる力を得た主人公が、あの世の魂を通して、その裏に潜む闇を見つめていくというものです。
この世の、人間の、空虚さを憂う主人公が見たものとは……?
初投稿のため、何かと至らぬ点もあると思いますが、宜しくお願い致します。
- Re: 幻影 ~魂の業/陽と陰~ ( No.15 )
- 日時: 2016/08/16 01:02
- 名前: 忌業 禍穢 (イミカリ カイエ) (ID: 9O29kkFK)
堺理の首元から刃が離れる。堺理は無表情に立ち、紅花は関心を隠すような表情で背筋を伸ばして、互いに向き合う。
─その時、拍手と共に男の声が響いた。
「紅花に気に入られるなんて、大したものだね。紅花も関心を持ってもらえたみたいでよかったよ。これからよろしくね?」
「業、いつから居た?大方、コイツをここに案内した先約者というのも、お前だろう?」
遠慮の無い紅花の声に先程の男がはにかみ笑いを浮べながら堺理たちの前に姿を現す。もちろん、ほとんど最初の方から覗いていたことなどは言うはずも無い。
「流石は紅花だね。その通りだよ。」
そう言いつつ、業と呼ばれた男は堺理に向き直った。
「紹介が遅れたね。僕は業。因業の業と書いて“おき”って読むんだ。字の通り、魂の因業を量る者でね。僭越ながら、この隠り世のまとめ役みたいな立場をさせてもらっているんだ。」
そこまで言うと、着物の男─業は一度言葉を区切り、厳かな声で問うた。
「卯月 堺理。覚悟はあるか」
たった一言。されど、様々な意味を孕んだそれは、重かった。
「えぇ。」
それは静かに、しかし重く深い響きを持ってしばしその場に留まった。堺理の応えもまた言葉としては何にもまして短いものだったが、全てはそこにあった。
一時の静寂─おもむろに堺理の前に手が差し出される。
「恩に着るよ。ありがとう。君になら任せられる。」
業の手─それは隠り世に正式に認められた証でもあった。
「俺との契約も忘れるなよ?正式に許可も降りたしな。これから、よろしく頼む。」
続いて、紅花も口端を笑みの形に歪めつつ、手を延べる。
「詳しくは明日皆を集めて、その時に一緒に話そうと思うんだ。
で、これだけは先に言っておくけど、しばらくこっちでは紅花の元で働いてもらうね。」
堺理は慇懃に一礼すると、業、次いで紅花の手を取り、軽く握手を交わすと、抑揚の欠けた声で
「了解致しました。よろしくお願い致します。」
とだけ言った。
業がおどけた風に解散を意味する言葉を告げる。
「堅いなぁ、堺理くん。別にそんなに丁寧にしなくていいんだよ?そこの紅花も仕事を抜けてここに来てる訳だし。自由なものだよ、全く…。でも、そろそろ戻らないとね?
堺理くんも一度現し世に戻った方がいい。僕が案内しよう。」
軽く全てを見透かされたような小言を受けた紅花は少々顔をしかめるが、すぐに門の方へと姿を消した。
業が一度、堺理の方を振り返り、「ついておいで」と元来た道の方へ歩き出す。
堺理もそれに習って歩を進めた。
- Re: 幻影 ~魂の業/陽と陰~ ( No.16 )
- 日時: 2016/07/26 00:00
- 名前: 忌業 禍穢 (イミカリ カイエ) (ID: 9O29kkFK)
「堺理くん、向こう…現し世に戻ったら、鏡を見てみたまえ。」
しばらくして、業が口を開いた。当然のように堺理は「何故ですか?」と返す。業は言葉を続けた。
「さっき、僕は魂の因業を量る者だと言ったね?僕には魂の業が見える。それに僕以外の住人も魂やその現状での罪なんかを見る力を持ってるんだ。まぁ、ちょっとづつ違うんだけどね。で、君には僕と同じ力を、少し与えさせてもらったんだ。」
業は自分の瞳を指差しながら、更に言葉を紡ぐ。
「僕たちは元々こっちの住人だから、そういう力が備わってるのは当たり前みたいなものだけど、君は違う。だから、特に肉体に変化が出るんだ。目や髪の色が変わる、とかね。それを確認して欲しいんだよ。」
堺理は途中で既に納得したようで、業の言葉が切れると、
「了解致しました。…私の仕事とは、その力を使うものなのでしょう?」
苦々しい含みを持って、自分の役割を確認した。
「いやぁ、理解が早くて助かるねぇ。大まかに説明すると、人の業は世界、特に現し世の穢れになるんだ。穢れは次の業を呼び、悪循環が生まれて澱みは広がっていく。それは魂の本体のように意思を持つこともあるし、隠り世に下らない魂の業が穢れとなることもある。生きている人間にも当然業はあるから、それが穢れとなることもある。でも、僕らは元々こちらの存在だからね。向こうの業や穢れに深くは干渉できないんだよ。そこで、元々現し世の人間である魂なら自然な存在として干渉できるし、上手くすれば説得とかだって出来ると思ったんだ。それに君は元々、こんな世界を、人間の空虚さを、憂えているんだろう?だから君にはそれを払って欲しいと思ったんだよ。」
ふざけているのか、真剣なのか。しかし、対して堺理は淡々としていた。それは、ある一種の活路を見ていたからだろう。
「明日皆に紹介するから、それから仕事をしてもらうね。あ、あと特殊な場合を除いて、此方には毎日来ること!でないと原理に背いて生き永らえることができなくなる。」
「了解致しました。…ところで、行き来は如何すればよろしいでしょうか?」
何言わん、そこが一番の問題だろう。
「うん。流石に僕も毎日一回死ね、なんてことは言わないからね。今、君の意識は隠り世と現し世の狭間にある状態なんだ。だから、どちらかに強く意識を偏らせれば、魂はそっちの世界に移動するんだ。ただ、隠り世では本体となる肉体は無いからね。必ず舟岩って呼ばれる岩の所に移動することになる。ほら、ちょうど見えるだろう?あれだよ。」
業が指差した先には、両端が突き出た寸胴の岩があった。全長約1m程度。確かに、ちょうど帆も櫂も無い渡し舟のような形に見える。
「あの近くに魂は降り立つんだ。まぁ、最初の頃は僕が案内するよ。」
この場所には目印になるような物はほとんど無く、平坦な道が続いている。確かに、覚えるのには中々時間がかかるだろう。流石の堺理にとっても、それは同じらしい。
「えぇ。お手数をお掛けしますが、お願い致します。」
そう言って首肯した。
いつの間にか、彼らは舟岩の付近に着いていた。
「言い忘れてたけど、現し世に戻る時も、できればここから、意識を移動するのが望ましいんだ。安定するからね。まぁ、それは“必ず”では無いけど。」
「…とりあえずは一回、向こうに戻ってもらえるかな?多分君なら、感覚を掴めてると思うからさ。さっき言ったこと、忘れないようにね。明日も、そうだな─…じゃあ、そっちの時間で24:00頃から。よろしくね?」
「ご指摘ありがとうございます。
了承致しました。では明日から、よろしくお願い致します。」
堺理がしばし目を閉じる。すると、彼の姿が消え、糸を引いたような残像の線を残して、舟岩に吸い込まれていった。
「流石だね。それじゃぁ、僕もそろそろ戻ろうかな。」
業はそれを見届けると、踵を返した。
- Re: 幻影 ~魂の業/陽と陰~ ( No.17 )
- 日時: 2016/10/02 09:41
- 名前: 忌業 禍穢 (イミカリ カイエ) (ID: 9O29kkFK)
堺理は目を閉じ、研究施設を、資料室を、自らの研究データを、そして最後に─自らの死体を、想像した。意識の天秤が、はっきりと此岸に傾く。
次の瞬間 ─彼が目を開けた時─ 彼は、資料室の床に横たわる自身を自覚した。
「はぁ…戻って来てしまいましたね…。」
どうやら独り言の多いらしい彼は、嘆かわしそうにそう呟き、立ち上がった。ふと、崩れた足元を見遣る。彼の中で、現在の最優先事項は、一度死んだ後でも、どうやら研究と資料であるらしい。資料が折れたり、縒れたり、バラバラになったりしていないか。彼にとって、最も不安なのはそこだった。
『バラついている程度なら、揃え直せば良い話なので、助かるのですがね…』
そんな事を考えつつ、再び足元に屈み込む。
彼の身体は何処までも正確に出来ているらしい。
資料を蹴散らすことなどは全く無く。
上から順当に、雪崩るように資料は崩されていた。
彼は「ふっ…」と息を吐くと、床に落ちた、最上部にあったであろう資料だけを拾い上げ、他は全て崩された分だけを寄せて揃え直した。続いて、次々と未整理分の資料も編集し、重ねていく。
去り際に業が言っていた。身体の外面的変化を確認するようにと。まぁ、ここに鏡などは無いので、帰宅後にでも確認しようと思っていた。
そろそろ資料整理も終わる。あとは薬剤等の臨床物を再確認して用意するだけだ。試薬トレーを手に取る。
瞬間、薬瓶に反射して、一筋の光が過ぎった。映り過ぐ銀の光に堺理は柳眉をひそめる。薬瓶の表面の反射だけでは、全貌は分からなかった。
確認を急ぐ必要を感じた彼は、最寄りの洗面所に足を運んだ。普段は使わないので忘れがちになっていたのだが、あそこになら鏡がある。
「……」
鏡を覗き込んだ彼は、思わず顔色を曇らせた。
左の眼が、虹彩があるのかすら疑わしい程の黒色から一転、光源の無い中でも鈍い光を放つ銀に変わっていた。
『このままでは、私が恰好の研究対象になりかねませんね。』
胸中に、そんな考えが浮かんだ。
この研究所では、非科学的な事象も対象にして研究が行われている。むしろ、そういった例外的な事例の方が好まれる風潮さえあるのだ。今の堺理の眼など、まさに興味深い事例に違いないだろう。ここでは、下手をすれば、質問攻めだけでは済まない。実験だろうと何だろうと大概のことが罷り通ってしまうのだ。彼は別段それに不快感を感じているなどと言うことは無かった。彼自身が対象となったとしても、先程自分が死んだ事と然して変わらない事象だと思っていた。しかし、彼はそういった面倒事が苦手であった。合理性に欠けると思っていたし、何よりそのような事が彼の手を煩わせるなど全くの不都合しか生み出さないのだから。
彼は資料室に戻ると、後片付けだけをして早々に帰り支度を始めた。珍しいにも程がある。それ程までに、これは由々しき事態だった。
時計を尻目に部屋を出る。
その光は12:19を示していた。
早すぎはしないか。そんな事を考えながら、車をまわす。
最後に時計を見たのは22:47、上司と別れ、資料室へと向かった時だった。それから、移動時間も含めおよそ20〜30分程作業したように思われる。そして、此方に戻って来てから30分は作業した。22:47からの1時間32分の内、50〜60分は作業をしていたことになる上、自身の異常に気付いてからおよそ15分が経過している。つまり、隠り世と云う世界に居たのは、多く見積もっても27分間ということになる。しかし、彼方には少なくとも1時間はいたはずだ。そうでなければあれだけの行動と釣り合わない。
24時間営業の大規模店の駐車場に車を停める。
「キィッ」というブレーキ音と同時に、彼の中で一つの結論が導き出された。『此方と彼方では、時間の流れもしくは流れ方が違うのだ。』と。
非科学的なことで、根拠も無い。だが、それは仮定ではなく、結論として浮かんでいた。そうでなければ説明がつかないというのもある。しかし、人智の及ばぬ所など、実は及ぶ所よりもずっと多く存在するのだ。それを最も痛感するのは、皮肉にも科学者だ。彼も、それをよく知る者の一人だった。
そしてそれは、彼の眼も然り。そもそも、隠り世という存在自体が説明がつかないのだ。今、彼の周りは人智の及ばぬものに取り囲まれ、彼はその領域に片足を踏み入れていた。
彼は一旦思考を切り上げ、度無しの黒のカラーコンタクトを手に取り、レジへと足を運んだ。バレてはならない。(まぁ、いざと言う時は何とかするしか無いのだが。) 長髪で左眼を隠し、無事に買物を終え、帰路につく。
彼はその日、研究所に勤めてから初めて、帰宅後にPCでの作業をしなかった。
- Re: 幻影 ~魂の業/陽と陰~ ( No.18 )
- 日時: 2016/09/17 01:06
- 名前: 忌業 禍穢 (ID: 9O29kkFK)
一方、業は。舟岩からあの門まで引き返した所だった。急がなければならない。彼は神速と呼べるであろう速度で移動する。彼の言葉の裏を正しく理解しているなら、彼女は仕事場で待ってくれているはずだ。彼女も、何も感じていない訳では無いだろう。
門を潜る。
彼処への門の方へ。
気が急く。
歩はあまり進んでいない。
早く。確かめなくては。
「業、俺はここだが?」
突如降ってきた声に、思わず足をとられる。
「く、紅花!?仕事はどうしたんだい?」
動揺を悟られぬよう、精一杯の抵抗を試みる。しかし、長い付き合いのある彼女のことだ。その辺りも、既に分かっているのかも知れないが。
「仕事?ふっ…詭弁だな。俺に話があるんだろう?だったら何も、彼処でなくてもいいじゃないか。こちらから出向いた方が能率的だろう?」
はぁ…やっぱりか。してやられた。全く、こういう所は敵わない。まぁ、助かってもいるのだけれど。
「ありがとう。まさか、先読みしてくれているとはね。助かるよ。」
「ふん…当たり前だな。真っ先に仕事をほっぽり出して出歩くお前が、他人にとやかく口を出すなんておかしいからな。」
相変わらずだ。
「耳に痛いことを言うね。まぁ、それも仕事の一環なんだけどなぁ。」
「で、用は何だ?」
こういう所は誤魔化すし。
「あぁ、もう見当はついてると思うけど…」
「卯月 堺理、か。」
「うん、ご名答。」
「俺も少し気になってはいた。だが、お前がそんなに焦るとはな…。何があった。」
「これ。」
持っていた書簡のような物を差し出し、彼の持つ笏を見せる。
「なっ…!業が、無い!?」
「違うよ。業が無いんじゃない。業の示される欄が…つまり、業という概念が、存在しないんだ。」
「バカな!それでは人間として成立しないだろう!?
……ッまさか…」
「うん。彼には感情が無い。そしてそれは、彼がそうしている訳じゃ無くて、感情を持てない魂だからなんだ。だから、それに伴って、業という概念すら、無いんだよ。」
「お前…それは確証があって言っているのか!?」
「もちろんさ。」
一見飄々として、落ち着いて見える業に対して、紅花は焦りと動揺を隠せていなかった。
「……ッ!!だとしたら、何故だ!?」
「それは、今は僕にも分からない。ただ、少なくとも、彼の抱える闇が関係してることは、間違い無いと思うよ。」
「ならば何故、その闇が業にならない!?」
彼女の焦りは頂点に達し、その声は怒気さえ孕んでいた。
「紅花、落ち着いて!
…理由の一つは、さっき言った通り、彼の魂にその存在自体が無いから。二つ目は、彼自身が、それらを“無きもの”として抑えているから。抑えてなければ、ある程度は上書きされるからね。そして三つ目なんだけど…」
そう区切って、彼は笏を返して見せた。
そこには、
『不穏分子』
『依代』
『絶無』
の文字。
「──……ッッ!!?」
紅花の顔から血の気が引いた。
息を飲み、青ざめる彼女の肩を叩く。
「ま、さか…」
掠れた声が聞こえた。
「うん。これから見ると、堺理くんは、仕組まれた存在…そういうことになる…」
「何故!?在り得るのか…こんな、ことが…!?」
僕だって、信じられないし、認めたくは無い。
殊に、『依代』という文字。これでは、彼は何者かの代えの器となるべく、用意された魂ということ。僕が知る限り、魂を換え、乗っ取ることなど不可能なんだ。
それにそれがもし真実なら、魂を、その中身を自在に操ることが出来る者が存在するということになる…。
それでは、全てが覆る…!
だが、つい先程、彼を見送った時にこれを見てしまったのだ。これに書かれた全ては絶対…それは、揺るぎない事実だった。
そして今、僕自身の動揺を紅花に悟られてはならない。これ以上、彼女に刺激や負担を与えてはならない。だが、敢えてここまでは知らせた。でなければ、僕がおかしくなりそうだった。それに、こんなことを相談出来そうなのは、残念ながら本当に数人しか居ない。そして、その中で最も信頼を置いているのは彼女だったのだ。とにかく今は、彼女に落ち着いてもらうしかない。
彼女のことだ。こちらが落ち着いていれば、おそらくじきに冷静さは取り戻すだろう。
しばらくして、(僕の読み通りに) 紅花は落ち着きを取り戻した。
「すまなかった。しかし、これは本当に在り得るのか?」
「うん。残念だけど。この笏が示すのは何時だって絶対的事実だからね。」
「だが、納得はできないぞ?」
「うん、分かってる。僕にだって、分からないんだ。それに、僕もこんな…全てを覆すようなことに納得なんて出来ない。ただ、堺理くんのことは、これも含めて受け入れて欲しいんだ。」
「あぁ、分かってる。あれほどの人材をこんな訳の分からんことで手放すのは惜しいしな。何より、こちらの方が万一の時にも対応できるだろう。かえって良かったかも知れんな。」
流石と言うか、彼女は切り替えが早い。すぐに現実を受け止め対策を立てる、実戦的な力を持っている。だからこそ僕は、少なくとも表面上は平静を保っていられるのだ。
「だがこの事、他の連中には…」
「うん。一先ず、君と剛毅を除いて、他言無用だよ。」
「…分かった。
…剛毅は大丈夫なのか?」
「彼のことだよ、多分理解は示すと思う。ただその先は少しばかり、彼の豪放磊落な性格に賭けるしか無さそうだけどね。」
「他のは、これを知ったら、まず間違い無く難色を示すだろうな。」
「仕方無いさ。まぁ、何にせよ、こちらが先手を打たなくてはいけないね。堺理くんへの対策とかも含めて…ね。」
「そうだな…」
胸中には様々な思いが渦巻くが、それを考えている程の時間は無い。少なくとも、僕と同じ考えを共有し、なおかつ隠り世の中枢に位置する彼女は頼りになる。
それを得られたことで、業の中の動揺の色は、少しだけ薄まっていた。
「僕の方で色々と調べてはみるよ。剛毅には、明日堺理くんを紹介してから言うことにしよう。」
そう言って、業は紅花を、その門を、後にした。
無駄に出来る時間など無い。普通感じないそれを、彼は今、重く実感していた。
急ぐ彼の脳裏にちらつくは、彼らと同じ“だった”仲間の影─
何故今思い出されたか、今の彼には分からなかった。
だが─
彼─いや、彼らは、その理由を、今後身を以て知ることとなる。
【序章 終】
- Re: 幻影 ~魂の業/陽と陰~ ( No.19 )
- 日時: 2016/09/17 01:10
- 名前: 忌業 禍穢 (イミカリ カイエ) (ID: 9O29kkFK)
序章完結
と言うことで、長かった序章が終わり、ようやく本編に入るのですが、ここでオリキャラを募集させて頂きたいと思います。
隠り世の各部署で働く人々についてアイデアが思いつかず…皆様のお力をお借りしたいと考えております。出来る限りで結構ですので、ご助力下さる方は是非ご提案頂けるとありがたいです。
《募集要項》
【名前】
【性別】
【容姿】
【性格】(主人公に敵対あるいは味方する等の設定がございましたら、それもこちらにお書き下さい。)
【所属】(長の名前)詳しくは登場人物紹介へ
【何が見える力か】
(人の業、過去、転生先、魂の思考、etc……)
【サンプルボイス】
(口調が分かるもの。多い方がありがたいです。)
【その他】
(要望等、何かございましたら、お書き下さい)
出番はあまり多くはなくなってしまうかも知れませんが、それでもよろしければ、是非ともご参加下さい。
最多10人で締め切りたいと思います。応募が無い、または少ない場合も、次話 (約一ヶ月後) で締め切ります (その場合はこちらで頑張って考えます) ので、よろしくお願い致します。