ダーク・ファンタジー小説

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Real-Game
日時: 2017/11/18 16:05
名前: オアシス (ID: x40/.lqv)

こんにちは、オアシスという者です。
Web小説はいくつか経験がありますので、精進していきます。
※一部流血描写や殺/人描写等が入ります。
それでもいいという方はどうぞ。
※異能力モノです。作者の痛い上に稚拙な文章にどうぞお付き合いください。
(感想・アドバイス等、どんどんお寄せ頂ければ幸いです。また、質問に関しましては答えられる範囲でお答えします)

Re: Real-Game ( No.1 )
日時: 2017/11/10 19:24
名前: オアシス (ID: x40/.lqv)

退屈だ。
誰も俺についてこれないのか。
高校生、神山昂太は窓の外の景色を見ながら物思いに耽っていた。
この退屈な人生を送ることに何の意味があると言うのか。
何か、刺激が欲しい。
例えば、革命のような。
「おい神山!」
教師の一喝で我に帰る。
そうだ、授業中だった。
「俺の授業でよそ見とはいい度胸だな…この問題を解いてみろ!」
すかさず神山は言い返す。
「こんな帰宅部のゲーマーにその問題を解かせる事自体間違ってますよ」
どっとクラスが湧く。
「それもそうだな! ハハハ…」
どうやら教師も冗談だったようだ。
しばらくして終了のチャイムが鳴った。
よし、これで帰れるか…
と、神山に近づく人間が二人いた。
「相変わらず不敵だな、昂太は」
「だよね。私はあんなこと言えないよ」
男の方は佐々木新、女の方は博多希。
どちらも同級生だ。変わり者の俺に近づく数少ない人間…といった感じ。
「いつものことながら学校ダリいわ。帰ろうぜ」
ぽつぽつと帰り始めた他の同級生を見て、神山は呟く。
そんな神山に苦笑いしながら二人が応じようとした時、放送が鳴った。
「…ったく、何だよ?」
舌打ちしながら大人しくしていると、耳を疑う文言が流れてきた。
「この学校は我々の管理下に置かれた」
は?
どの教師の声でもない。聞いたことがない声だ。
管理下に…ってことは、事実上の監禁か?
考えを巡らせている間にも、話は進んでいく。
「君達には殺し合いをしてもらう」
えっ。
見渡すと、新や希だけでなく他の同級生も凍り付いている。
「殺すことで出現する《カード》を集めなさい。それで解放される」
厳粛な男の声で、話は続いている。
「枚数は…150枚だ」
150。うちの高校は都会のでかい高校ではない。
だが全校生徒の4分の1ほどが死ぬ計算になる。
正気か…?
「この戦いは、君達2年生だけで行う。他の学年や教師には既に《退場》してもらった」
まさか。
他の学年や教師達は声の主に殺されたのか!?
いや待て。2年生だけで150…生き残れるのは…
50。
「君達には戦いに役立つ異能力を授けよう。脱出の期限は特に設けない。頑張ってくれたまえ」
放送は切れた。
とたんにクラスがざわめき始める。
新と希も捲し立てるように喋り始める。
「え、今の何? 異能力って何?」
「要するに監禁されて、仲間と戦えってことか?」
神山が新の考えに頷いていると、とたんに耐え難い頭痛が襲ってきた。
「!? …っが、頭が…」
視界に映ったのは、自分と同じように苦しむ仲間達。
頭の中を膨大な情報が駆け抜けていく。
数分後、ようやく頭痛が落ち着いてきた所で、神山は自分の視界に広がるディスプレイに唖然としていた。
表示されているのは、全てゲーム…
パンチングファイター、デンジャラスレーシング、ワイバーンハンター…
ゲーマーの神山が知っているゲームが網羅されていた。
無意識で、ディスプレイに手を伸ばす。
俺は…使い方を知っている?
まさか、さっきの頭痛は使い方と異能力が送信されたってことか?
指を横に振ると、ゲームが入れ替わる。
なるほど。だいたい分かった。
俺の能力はゲーム。だが今起こっているのは…現実だ。

Re: Real-Game ( No.2 )
日時: 2017/11/10 20:10
名前: オアシス (ID: x40/.lqv)

試しに「アメイジングスポーツ」をタッチしてみる。
体がオーラに包まれた。
…何が起こった?
軽くその場で跳ねてみる。
その時、自分でも予想しない程の跳躍をした。
危うく天井に激突するところで、手をついて難を逃れる。
他の同級生も自分達の能力に気付き始めたようで、色々と試している。
俺はスポーツゲームで身体能力が上がった。なら…
「パンチングファイター」をタッチする。
そして、全力を込めて教室の柱を殴ってみた。
轟音が響き、鉄筋コンクリートの柱に放射状にヒビが入った。
クラスメイトが唖然としてこちらを見ている。
そうか。俺の能力は「ゲームに応じた能力を得る」ってとこか。
なんとなく得意になって新と希の方を見ると、新が腰を抜かしている。
新は神山を見ると、ひたすらに希を指している。
何だと思って希を見ると、その姿に思わず後ずさってしまった。
「おい希…今日はハロウィンじゃねえぞ」
精一杯のウィットを効かせながら神山が事情を尋ねる。
「あ、これ? 私、動物の特徴を自分に反映できるみたいなの」
確かによく見ると完全な異形ではない。
鳥類か何かの翼に、肉食獣の四肢と胴体。顔は希のままだ。
キメラには違いないが。
「希…動物好きだもんな…」
ようやく立ち直った新が口を開く。
「そういや新、お前の能力は?」
「今は使わない」
「今はってことは、使うとまずいと。そういうことだな?」
「そうだ」
俺も希も充分まずいけどな。
「なら能力だけ聞いていい? 使い方とか知ってるでしょ?」
「時間を巻き戻す」
「「えっ」」
神山と希でハモる。
「正確には時間を最大で10秒巻き戻す能力だ。ただし、使うと巻き戻した時間+1秒のインターバルが必要らしい」
「巻き戻し続けることはできないってわけね…」
「でもそれ最強じゃねえか」
都合の悪い過去を何度かやり直せるということ。
未だに現実味の湧かないこの殺し合いを切り抜ける切り札になるかもしれない。
しばらくして、自分達の能力の確認を終えたクラスメイト達には、困惑が生まれていた。
まさか仲間を殺すわけにはいかない。クラスでまとまった方が生還率が高いのではないか。そういう考えだろう。
どうしたもんか。
すると、廊下から悲鳴が聞こえてくる。
それも断末魔の。
咄嗟に駆け出す者。硬直して動けない者。様々だったが、神山、新、希は前者だった。
ふとそこで神山は思い付く。
「新! 何秒か巻き戻せ!」
「わ、分かった!」
新が目を閉じて念じ始める。すると一瞬で景色が変わった。
先程の自分の位置だ。
なるほど、記憶は引き継ぐのか。
だがクラスメイト達は一切様子が変わっていない。
能力発動者に近しい存在でないと記憶の継承ができない…?
なんて考えてる暇はない。仲間の奇異の目に晒されつつ廊下へ飛び出す。
隣のクラスの生徒が剣で他の生徒を壁際に追い詰めている所だった。
「やめろ!!!」
神山は叫ぶ。
「生きて出るのは俺だ!! 死ね!!!」
生徒は神山の言葉など届いていないかのように剣を振りかざす。
神山は駆け寄ろうとしたが、時既に遅し。
振りかぶった剣を、降り下ろしたのだ。
先程と変わらぬ断末魔の悲鳴が響く。
斬られた生徒の体は瞬く間に霧散し、カードが出現した。
剣の生徒はカードを拾い上げる。
「生き残るのは俺だ…」
うわごとのように何度も呟く。
「てめえ…」
神山の目は憤怒の炎に燃えていた。
「なんだてめえ? ちょうどいいや。お前もカードにしてやるよ!」
剣を振りかざしつつ、生徒が走り寄ってくる。
まずい。
咄嗟にアメイジングスポーツを選択。反復横跳びの要領で、降り下ろされた剣をかわす。
「大人しくカードになりやがれ!」
剣を乱暴に振り回してくる。
それらも全て飛びすさって避ける。
「お前、何をしたか分かってるのか!?
人を殺したんだぞ!?」
「そうじゃねえと出れねえんだよ!」
確かに、そうだ。
これは殺し合い。非情になるしかないのだろうか。
母さん、父さん。許してくれよ。
「分かった」
神山は剣の生徒と距離を取り、「刀剣無双」を選択する。
手元に刀が召喚された。
「俺も…染まってやるよ」
神山は静かに続ける。
「確かにこの状況では致し方ないかもしれない。だけどな…葛藤はないのかよ!? 死者に敬意は払わないのかよ!?」
神山の剣幕に生徒は押し黙る。
いつの間にか神山の後ろには新や希、そして大量の野次馬が集まっていた。
「人間はお前のカードになるために死ぬんじゃない。命の上に立つ自覚を持て!!」
剣の生徒は黙って斬撃の体勢をとる。
「覚悟しろ」
それだけ呟き、神山は刀で抜刀斬りの姿勢を作る。
「ああああああああああ!!!!」
叫びながら剣の生徒が突っ込んでくる。
神山は素早く懐に寄り、
「許せ」
とだけ耳元で囁き、抜刀の勢いで首をはねた。
鮮血が噴出したがすぐに治まり、体は霧散しカードへ変わった。
これでもう戻れない。
神山は生徒の所有していた1枚と、彼の遺した1枚をそれぞれ拾い上げる。
あと、148枚。

Re: Real-Game ( No.3 )
日時: 2017/11/10 22:09
名前: オアシス (ID: XnbZDj7O)

神山はこれで2枚のカードを得た。
野次馬のざわめきは収まらない。それもそうだ。目の前で殺人が2つも起こったのだから。
新が駆け寄ってくる。
「昂太…お前…」
「ああ、俺はもう戻れない。人を殺めてカードにした以上、俺は必ず生きて出る」
そして続ける。
「業を背負うのはそれからだ」
「お、落ち着けって。とりあえず、ここから離れよう」
新に半ば強引に引きずられるようにして野次馬の山から脱出した神山は、改めて自分の能力を確認した。
先程刀剣無双を選んだのはたまたま視界にあったからであって、咄嗟にゲームを選択していた訳ではない。
自分を知る必要がある…
「ひとまずこれか」
ディスプレイをスライドし、ゲームを選択する。
選んだのは「アサルトシューティング」。
自分の好きな銃を選び、世界中の人と対戦する人気ゲームだ。
パネルをタッチすると、手元にハンドガンが現れる。
「こりゃいい」
天井の照明を狙って撃ってみる。
狙い違わず、照明は甲高い音をさせて砕け散った。
「昂太」
新が語りかけてくる。
「無理をするな。俺が必要ならいつでも言え」
「…ありがとう」
神山の胸に何かがこみ上げてくる。
それを誤魔化すようにカードを取り出して眺める。
赤地に黒で何かの紋章が描かれている。
「あいつも人間だった。無駄にはしないさ。そのためにも生きる」
神山は決意を新たにする。
新もそれに同調する。
と、神山と新に近づく足音があった。
足音からして一人だ。確信に満ちた足取り。こちらに気づいているだろう。
先程の剣の生徒のような奴かもしれない。出会えば危険だ。
こんな時は…
あった。
「スリリングイントルード」だ。
気配を消して敵地に潜入するステルスアクションゲーム。
これなら隠密活動が可能になる。
時間がない。迷わずタッチする。
そして新を連れて物陰に隠れた。
間を置かず、足音の主が現れた。
「…? おかしいな。ここで物音がしたと思ったんだけどな」
あれは…
「おい昂太。原田だ。俺の幼馴染み。ゲームを解除してくれ」
有無を言わさぬ新の口調に、言われるがまま神山はゲームを解除した。
「猛、無事だったか!」
「!? おお新!」
猛と呼ばれた男のことは、神山もよく知っている。
なにしろラグビー部のエースで、次期部長にも推される程のスポーツマンだ。
猛…本名は原田猛か。味方か…?
「む? そっちの彼は?」
どうやら神山のことらしい。
「神山昂太だ。よろしく」
神山は自分から歩み寄り握手を求める。
「ああ、よろしくな!」
原田は迷わずその手を握り返す。
人を疑うことを知らない。裏表の無い性格だ。
「このデスゲームも何のおふざけかと思ったが…もう早速人が死んでしまったじゃないか。驚いたよ」
原田はどうやら先程の現場を目撃したようだ。
「誰がそんな惨いことを。今こそ協力すべきじゃないか」
…神山については何も知らないらしい。
「そ、それよりさ! 猛の能力は何なんだ?」
話題が殺人の方に行くのを防ごうと、新が強引に話題を変えた。
「俺の能力か。それはだな…」
扱いやすくて助かる。
「どうやら衝撃を吸収して放出する能力らしい」
なるほど、RPGで言えばタンクって感じか。
「試しに神山君。俺を殴ってみてくれ。能力を使って構わない」
「じゃあ、遠慮なく」
神山は素早くパンチングファイターを選択し、全力で原田を殴った。
鉄筋コンクリートにヒビを入れる程のパンチ。本来なら骨が砕け散っているはずだが、原田はびくともしない。
さすがに神山もこれには驚いた。
「見ての通り、俺は無傷。そして…」
原田は壁を殴りつける。
神山のパンチと同じように、壁に大きくヒビが入る。
「俺はこういう力を手に入れたが、人は手にかけない。あくまで専守防衛に努める方針だ」
「そうなのか」
神山が無感動に返すと、
「だが君は信頼できる。何しろ新の友人だからな。なるべく君の方針に従うようにしよう。いざとなれば俺が盾になろう。そして君が攻撃だ」
と原田は捲し立てた。
だがそれはこちらとしてもありがたい。心強い味方だ。
「生きて出よう」
「ああ、俺もそのつもりだ!」
そんな会話をしていると、廊下の向こうから騒ぎが伝わってきた。
「何だ?」
「多分だけど、さっきのことに触発されて一斉に戦いが始まったんじゃないかな」
なるほど、新の推測が正しい可能性が高い。
事実、鍔迫り合いのような音や何かが砕ける音が聞こえてくる。
ここも危ないな。一旦離れようか…
神山がそう考えていると、廊下の向こうからこちらに向かって何かが進んできた。
白い棘。恐らく氷だ。
床から無尽蔵に生えながら進んでくる氷の棘を、三人は横っ飛びに避ける。
「三人か…一気に仕留めてやる」
氷に続いて生徒が現れた。おそらく氷を操る能力だろう。
「新! 下がっていろ!」
原田が指示を飛ばす。
「俺と神山君でやろう」
「へえ、原田か…戦いがいがあるな」
氷の生徒が挑発してくる。
だが原田は冷静に、
「殺さない程度に無力化しよう」
と神山に言ってきた。
神山が了解すると、
「舐めるなっ!」
と氷の生徒が叫び、四方八方から氷が飛んできた。
原田は仁王立ちで衝撃に備え、神山は自分に向かってくる棘をアサルトシューティングで撃ち落とす。
そして原田が氷の生徒に走り寄り、溜めた衝撃をパンチで返した。
直前に生徒が氷で盾を作ったため威力は減衰したが、それでも充分な破壊力。氷の生徒は紙切れのように吹っ飛ぶ。
「がっ…くそっ!」
勝ちの目が薄いと判断したのか、通路に氷を生やしながら生徒は逃亡し始めた。
「神山君!」
「分かってる!」
追撃しろ、ということだろう。
銃をスナイパーライフルに変え、伏せ撃ちの姿勢をとる。
スコープを覗いて、狙いを定めようとする。
通路に生えている氷が邪魔だ。おまけに廊下の幅員が広く狙いが定まらない。
まずい、逃げられる。神山が焦り始めた時、
「正面! 1時の方向!」
後ろから新の指示が飛ぶ。
それに応じて神山は銃口を動かし、迷わずに撃った。
狙い通り、足に命中。氷の生徒は派手に転倒した。
「よし、生け捕りだ!」
原田が快哉を挙げる。
「ふう…」
一仕事終えた神山は一息ついてから、生徒に走り寄る原田の後を、新と共に追った。

Re: Real-Game ( No.4 )
日時: 2017/11/11 17:36
名前: オアシス (ID: OypUyKao)

「くそ! 離せ!」
氷の生徒を原田が馬乗りになって拘束している。
本来なら危険だが、原田の能力があれば心配ないだろう。
「俺らがこんな感じなんだから、もう既に派閥か何かは出来上がってるんじゃないか?」
「かもな」
新の推測に神山が頷いていると、氷の生徒が口を開く。
「…お前達の思う以上に、もうかなりの生徒がそれぞれでまとまっている。統率力はピンキリだが…」
なるほど。俺が火付け役になってしまったって訳だな。
おおよそ仲の良い奴とかで固まっているに違いない。
あとは不良派閥とかか。
「お前らなど、すぐに淘汰される…」
「よく喋るな君は。その口振りだと君も集団で動いているのか」
原田が問い詰める。案外冷静だ。
「ああそうだ…少人数だがな。今に仲間がやってくる」
そうか。集団で動くということは仲間が助けに来る。
まずい。
「神山君。新。じっとしちゃいられん。こいつの処遇はどうする?」
「あまり言いたくないが…どうせ死ぬんじゃここで逃がしてもメリットは無いと俺は思う」
「昂太の意見がもっともだな…この状況だからこそだけれど」
決まりだ。
「俺がやる」
神山が進み出る。
なるべく苦しまないようにしよう。
それが俺にできるせめてもの慈悲だ。
刀剣無双を選択。
氷の生徒は観念したのか、原田が退いても大人しくしている。
「眠れ、安らかに」
神山は囁き、首を目掛けて刀を降り下ろした。
「おい…何やってんだ」
はっと振り向く。そこには殺意をみなぎらせた三人の生徒が立っていた。
「よくも氷川を…許さねえ!」
三人の生徒が一斉に襲いかかって…こない。
「巻き戻した。先手を打とう」
新が時間を巻き戻したのだ。
生徒の姿は見えない。先手を打てる。
「原田! そいつを抑えててくれ」
「分かった!」
原田に氷の生徒を任せ、神山は走り出す。
刀剣無双でまず出会い頭に一人仕留めよう。
そこからは…分からない。
なにしろ一対多は初めてだ。勝手が分からない。
曲がり角から三人の姿が見えた。
走り寄る神山にやや驚いているようだ。
神山は走り寄る勢いをそのままに、刀で一人の脇腹を貫いた。
「がっ…ごほっ!」
突然のことに状況が飲み込めないまま、生徒は霧散し、カードが残った。
「何すんだてめえ!!」
二人のうち一人が殴りかかってくる。
アメイジングスポーツで避けると、生徒は瞬間移動で詰め寄ってきた。
いくら避けてもキリがない。その度に瞬間移動で距離を詰められる。
神山の集中力が切れてきたところに、とうとう一撃もらってしまった。
鈍く広がる痛みに動揺していると、神山と生徒の間に影が現れた。
「ここにいたんだ。後は任せて!」
人間かと疑うようなシルエット。その声と姿の持ち主を、神山は一人しか知らなかった。
「希…」
突如現れた博多希は瞬間移動の生徒を熊の手で引っ掴むと、思い切り壁に投げつけた。
避ける間もなく叩きつけられた生徒は鈍い音と共に意識を失った。
「なっ、お前は…」
希は動揺しているもう一人にカンガルーの足で飛びかかり、熊の手で数回殴りつけた後に先程の生徒と同じ場所に首根っこを掴んで投げ飛ばした。
「がぁっ!!」
今度は意識を失いこそしなかったが、おそらく脳震盪を起こしたのだろう。立ち上がることさえままならないようだ。
そこに、復帰した神山が折り重なって倒れている二人をパンチングファイターで壁とサンドした。
バキバキと骨が折れる音が響き、二人は呆気なくカードへと変わった。
それを拾い上げながら、神山は礼を言う。
「助かった、希」
「何か…昂太の戦い見て吹っ切れちゃったみたい」
苦笑いしながら希が言う。
「俺が戦闘能力無いの気にしちゃうよ、いいな二人は」
「おいおい、遊びじゃないんだからな」
軽口を叩く新を軽く諌め、カードを懐に入れ神山は立ち上がった。
「さて、原田の所へ戻るか」
あと、145枚。


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