ダーク・ファンタジー小説
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- 喧嘩無双
- 日時: 2024/05/15 23:57
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
>>1- 一気読み用
・ストーリー編
チーム結成編
>>1 1話「繰り返す日々」
>>2 2話「族絡み」
>>3 3話「消えた愛人」
>>4 4話「偽物」
>>5 5話「怒り」
>>6 6話「デマ情報」
>>7 7話「逆恨み」
>>8 8話「新たな事件」
>>9 9話「新発見」
>>10 10話「決戦前夜」
>>11 11話「初陣」
>>13 12話「チーム結成!?」
・扇堀豊連合軍戦編
>>14 13話「謎のメッセージ」
>>15 14話「助っ人」
>>20 15話「決戦へ」
>>23 16話「敗北…?」
>>25 17話「喧嘩屋」
>>29 18話「悪英雄」
・関西連合傘下編
>>32 19話「傘下提案」
>>33 20話「決意」
・狩屋戦編
>>35 21話「不吉な予感」
>>37 22話「忍び寄る不穏な影」
>>39 23話「最悪の事態」
・武道戦編
>>41 24話「新たな敵」
>>43 25話「増援」
>>44 26話「釣り野伏」
>>45 27話「予想外の助っ人」
•八苦座戦編
>>47 28話「共同任務」
>>49 29話「接触」
>>50 30話「脱出」
>>56 31話「リベンジ」
>>58 32話「抗争開始」
>>59 33話「総長発見」
>>62 34話「50vs1」
>>63 35話「偽物」
>>64 36話「危機一髪」
>>65 37話「チャカ使い」
・悪英雄作戦会議編
>>69 38話「武器」
>>70 39話「徹夜の成果」
>>73 40話「チャカで暴走」 →「お悩み相談室編」へ続きます。
・魔異鼓護衛編
>>77 41話「護衛任務」
>>80 42話「野宿」
>>81 43話「急襲」
>>84 44話「地獄」
>>86 45話「壊滅寸前」
>>87 46話「まさかの援軍」
・内通者抹殺編
>>88 47話「内通者」
>>92 48話「取引」
>>94 49話「噂」
>>95 50話「犯人」
>>96 51話「説明会」
>>97 52話「戦」
・龍心誘拐編
>>98 53話「誘拐」
>>99 54話「最悪の予感」
>>100 55話「拉致」
>>101 56話「目印」
>>102 57話「涼達の作戦」
>>103 58話「公開処刑」
・悪英雄巨大化計画
>>106 59話「新しい仲間」
>>109 60話「正しい仲間の集め方」
>>111 61話「受付」
>>112 62話「悪英雄作戦会議2」
>>113 63話「構成発表」
・八苦座侵攻編
>>114 64話「司令」
>>115 65話「連れ去られた拓海」
>>119 66話「八苦座の目的」
>>120 67話「準備」
>>121 68話「全面戦争」
>>126 69話「暴走」
>>127 70話「止まらない暴走」
>>128 71話「酔拳」
>>136 72話「拘束された2人」
>>137 73話「2人を追って」
>>138 74話「同盟成立」
>>139 75話「解離性同一性障害」
>>140 76話「次の司令」
>>141 77話「模擬刀」
お悩み相談編
>>67 1話「悪英雄作戦会議」
>>68 2話「初めての客」
>>89 3話「後輩の頼み」(前編)
>>91 4話「後輩の頼み」(後編)
日常編
>>12 1話「寝起きドッキリ」
>>31 2話「パンチングマシーン」
>>72 3話「皆の休日」 今週の投稿予定
>>74 4話「拓海と華恋のイチャイチャデート」
>>93 5話「寿司パーティー」
勢力図
>>16 結成時
キャラクター紹介
・悪英雄
>>17 >>46 前田拓海
>>18 >>48 永瀬龍心
>>19 >>54 中嶋宗樹
>>21 渡辺宗四郎
>>22 植谷陽汰
>>24 槌井蓮
>>26 浅田淳平
>>27 福田荒
>>30 田口虎徹
>>34 木口華恋
>>105 長澤涼
>>108 谷山流加
>>116 菊下颯太
>>117 中川冬弥
>>118 紀田千尋
・関西連合
>>38 マクリーン・レオ
>>60 国崎智
>>61 坂本綾也
>>66 山本遥輝
>>124 泉幸太郎
>>125 吉田将太
・魔異鼓
>>78 西上瑠騎
>>83 北川達規
・八苦座
>>75 山下裕也
>>122 藤岡弘
>>123 高松香
チーム紹介
>>76 悪英雄
>>79 関西連合
武器説明
>>36 スティンガー
>>42 チャカ
>>82 ドス
お知らせ
>>28 投稿日数について
>>71 投稿日数について、金賞のご報告
>>90 イラスト投稿について
>>104 投稿日数、イラスト投稿などについて
>>107 キャラクター紹介、小説の変更などについて
その他の細かい設定
>>40 ソリーゾ
>>57 チームの種類
>>85 チームの人数
ありがたいコメント、その返し
>>51 >>52 >>53 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135
2022年 12/18 連載開始
2023年 1/15 閲覧数100突破!
3/29 閲覧数500突破!
4/17 閲覧数1000突破!
5/1 閲覧数1500突破!
7/12 閲覧数2000突破!
9/26 閲覧数2500突破!
11/5 閲覧数3000突破!
2/8 閲覧数3500突破!
4/24 閲覧数4000突破!
・変更内容
詳しくは>>110
・余談
2022冬の小説大会
ダーク・ファンタジー部門次点
2023夏の小説大会
ダーク・ファンタジー部門金賞
この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは一切の関係はありません。
- 取引 ( No.92 )
- 日時: 2023/09/28 23:06
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「うおおおおお!」
宗四郎がそうゲーム機のボタンを押しまくる。
「拓海もやれええええ!」
淳平はそう俺に向かって叫ぶ。
「はいはい…。」
仕方なく俺もゲームに参加する。
今やっているのは某人気ゲームのような銃撃戦ゲームだ。
ーーーーーーーーーピロリンーーーーーーーーー
スマホの着信音が鳴る。
(何だ…?)
俺はそう思いゲーム機を一度置き、スマホを確認する。
送り主は綾也だった。
「何だろ…。」
俺はそうそのメッセージを確認しようとする。
「拓海相手えぇ!」
そう宗四郎の声が聞こえる。
あ、忘れてた。
ゲーム機を置きっぱなしだったのだ。
「ちゃんとしてくれよぉ…。」
淳平はなぜか泣き気味だ。
「ごめんて。」
俺はとりあえず謝っておく。
いや、今はメッセージを確認するほうが先だ。
ヤサに来てくれ
その一文だけが送られてきていた。
「綾也からヤサに来いって言われたんだが…行くか?」
そう俺が聞くと皆めんどくさそうな表情を見せる。
仕方がない。
俺ひとりで行こう。
「俺も行く。」
そう龍心が立ち上がる。
「俺もやることねぇしな…。」
それに続き陽汰も立ち上がった。
結局、まさに行くメンバーはこの3人になった。
「それにしても何だろうな。」
陽汰がそう言う。
「どうでもいいことだろ。」
龍心はそう答えた。
だが、俺にはどうもそう思えない。
不安な気持ちでヤサに一歩一歩近づいていくのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よく来てくれた。」
ヤサに入ると、そう綾也達が出迎えてくれた。
それだけではなく、レオ、智それに遥輝も待っていた。
「何だよ。こんなメンツで。」
そう龍心が皆に聞く。
「以前言ったと思うが恐らくうちの組に内通者がいる。それを見つけるのを手伝ってほしい。」
そう綾也が言う。
「何で俺達なんだ?」
陽汰がそう尋ねる。
「俺達は大体マークされてる。だからほぼほぼ行動パターンがバレてるんだ。」
智がそう言う。
なるほど。
それならあまり知られていない俺達が適任だろう。
「でもタダではなぁ…。」
龍心がそう悪そうに笑う。
「何だ?武器がほしいのか?」
レオがそう聞く。
「いや…それなら…。」
以前チャカの性能を試すために揉めた「大大阪連合」を滅ぼすのに力を貸してほしいとのことだった。
「「大大阪連合」か…。あいつらは歯向かってくるし丁度いいかもな。」
「大義名分にもなるし。」とか言い軽く承諾してくれた。
それならこちらも約束を守らなければならない。
また明日から忙しくなりそうだ。
俺はそう思った。
- 寿司パーティー ( No.93 )
- 日時: 2023/10/01 22:46
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「お前らにはよく働いてもらった!ってことで…。」
レオがそう言い、手を合わせる。
「寿司パーティーだ!!いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
そう回転寿司で叫ぶ。
周りの人に見られまくっているがお構い無しだ。
「マグロうめぇ!」
そう淳平が豪快に一口でマグロを食べる。
横にいる龍心は黙々と寿司を食べ続けていた。
もうすでに結構な量を食っている。
(意外と大食いなんだな。)
そう思いながら俺も好きを頼む。
今日の寿司パーティーはレオ達が日頃の疲れを癒やすために企画したパーティーだ。
その他にも他の奴の顔も覚えておきたいとのことだった。
他の奴とは、宗樹達がお悩み相談室で集めた他のメンバーのことである。
実は俺ももう二人のことは知らない。
誰かと思い少し期待している。
「ん、ほおときまひた。」
そう宗樹が口に寿司を頬張りながら何かを言っている。
まぁ、何を言っているのかは全くわからないが。
「悪英雄って…ここですか。」
そう一人の男子が俺に尋ねる。
「颯太!」
俺はその男に見覚えがあった。
同じ6年の知り合いだ。
「拓海!悪英雄だったんだ…。」
颯太は少し驚いたような素振りを見せる。
驚きたいのはこっちもだがひとまず颯太を席に座らせる。
その後ろにちょこんといた小さな女の子は颯太の妹らしい。
颯太と一緒に入ったとか。
大丈夫なのか…。
俺は少しそういう不安を抱いている。
そしてそのさらに後ろにいた男二人組が冬弥と千尋だ。
この二人はこの前の依頼で会ったことがあるため知っていた。
「え?四人だけ?」
そうレオが不思議そうな顔をする。
逆に後何人来ると思っていたのか。
てか、もう椅子ギュウギュウ詰めだし。
「お前ら、どんな集め方してんだ?」
綾也がそう尋ねてくる。
俺は相談室制度について話すとレオ達が皆顔を見合わせる。
「そんなんじゃいつまで経っても増えねぇぞ?」
遥輝がそう呆れたように言う。
「じゃあどうすればいいんだよ。」
宗四郎がそう問いかけた。
「関西連合とか大きなチームになってきたら張り紙だけで1日で10人は集まる。」
そう智が言う。
1日で10人…。
俺達は一ヶ月ほどかけてようやく4人なのに…。
だが、関西連合程の知名度はない。
地道にやるしかないな。
俺はそう思いレーンに流れてきた寿司を取る。
「うまい。」
思わず声が漏れる。
回転寿司など久しぶりに食べた。
恐らく最後食べたのが父親とだろう。
「父さん…。」
今どこにいるのだろう。
この世にいるかもわからない。
だが、必ず会えるということだけ信じている。
俺は他の寿司を食べる。
(何か…辛い?)
気づいた時にはもう遅かった。
舌中に辛さが走り鼻がツーンとする。
わさびだ。
誰がいれたのか。
俺はそう思い周りを見渡す。
陽汰と龍心は無言で食っているし、蓮も荒も宗四郎も寿司を食っていた。
淳平はなぜかラーメンをすすっているし、関西連合のメンバーと新参四人ははまずまず手が届かない。
となると残っているのは一人だけ…。
すぐ隣を見てみると宗樹がわさびを持って笑っている。
「てめぇ…。」
俺は怒りが爆発しそうなのをこらえる。
宗樹はニマニマしながら寿司に手を伸ばす。
そしてその寿司を口に入れた瞬間宗樹に異変が起こる。
「かっっっっら!」
そう宗樹は水を一気に飲み干す。
今度は龍心が宗樹の寿司に大量のわさびを塗っていた。
このわさび合戦が続きすぐにお開きの時間になってしまった。
今日は関西連合の奢りらしい。
「そのかわり、この前みたいな時はすぐに来てくれよ!」
綾也がそう俺の肩を叩く。
「そんなことがなければいいがな。」
俺はそう言う。
こうして、俺達の少しの間の楽しみの時間は終わったのであった。
- 噂 ( No.94 )
- 日時: 2023/10/10 22:58
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「なぁ、知ってるか。」
「何をだよ。」
「この組に裏切り者がいるらしいぜ?」
「そんなまさか。」
そう男達の話し声が聞こえる。
「俺も聞いたぞ。なんたって、他の組に情報を渡してるとか。」
「エゲツねぇ奴だな。」
そんな会話を遠くから見つめていた一人の男が笑う。
「ほらな。すぐ広まった。」
そう言ったのは龍心だ。
「本当に。気持ち悪いほどすぐ広まりましたねぇ。」
俺達はレオ達からのお願いで、関西連合内の裏切り者を探すことになった。
だが、一人ひとりに聞き込むのも面倒なので何かいい案がないかと考えていた時に龍心がだしてくれた案がこれだ。
まず、一人に裏切り者がいると言う。
するとそいつも他の奴にその事を言う。
そして次々広まっていくという作戦だった。
初めはそんな上手くいくはずないと思っていた。
だが、その予想は外れ、見事作戦は成功した。
「けどこれじゃあ皆に噂が広まるだけで裏切り者は見つからねぇぜ?」
そう宗四郎が言う。
確かに。そんな噂を流すだけならば裏切り者は出てくることはない。
「まぁ。あと1日待ってみろ。」
龍心はそう悪そうに笑った。
龍心のことだ。何か考えがあるのだろう。
俺はそう思うことにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
龍心が言ったその翌日、早速変化が起こり始めた。
何故か噂がピタリと止んだのだ。
陽汰が聞きに行った所、誰かに「その噂はデマだ。」と言われたらしい。
レオや綾也、幹部の皆はともかく、他の奴もそんな事を言ってメリットがあるとは思えない。
ということは…。
「誰が消してんな。」
そう蓮が呟く。
蓮が言った通り誰かが自己的にやってるとしか思えない。
「こっからは聞き込み祭りだ!」
そう龍心が言う。
皆明らかに嫌そうな顔をしたが、契約なのでしないといけない。
「しゃーねぇな。」
そう皆が聞き込みを始める。
嫌そうにしていたが、意外と皆真面目に取り組んでいた。
そして聞き込みが始まり3時間ほど。
集まった情報を整理するために皆を集める。
そして皆が言う奴を順番に並べていけば、黒幕にたどり着けるという作戦だった。
龍心が無言で作業を続けること数分。
龍心は驚いたような顔で1枚の紙を見つめる。
そこにはレオ達から貰った組織図の一つに大きな丸がつけられていた。
「おいおい…こいつって…。」
その人物は俺達が予想にもしないような人だった。
- 犯人 ( No.95 )
- 日時: 2023/10/12 23:20
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「最後にもう一度聞くが、本当に噂を消せっていう命令はだしてないな?」
そう俺はレオに聞く。
今俺達は聞き込みの結果を霊体に報告しに行っていた。
「あぁ。神に誓う。」
そうレオは答えた。
「俺らが聞き込みでたどり着いた犯人が…こいつだ。」
そう1枚の写真を取り出す。
「おいおい…。」
そう綾也は予想もしていかったという声を出す。
「噓だろ…。」
智さえもそう言っていた。
その写真に写っていた人物。
それはそう。泉幸太郎だった。
「こいつならたしかに情報を持ってるな。」
そう遥輝が言った。
「今から幸太郎のところに行ってくるけど…。」
そう言いレオ達の方を見る。
二人共頭を抱えていた。
「すまん。今は無理だ…。頭がおかしくなりそうだ。」
そう綾也が答えた。
レオに関しては幸太郎を人一倍信用していた。
ショックがかなり大きいようで、黙ったままうつむいている。
「おい。行くぞ。」
そう宗四郎が俺の方を叩いた。
「あぁ。」
宗四郎は単純なように見えて、実はちゃんと周りの奴のことも見ている。
今回の行動はレオ達の事を考えてだろう。
「それじゃあ行ってくる。」
そうレオ達に伝え、俺達は幸太郎の下へと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
予め幸太郎には来るようにと言っておいた。
もしここで逃げたとしたら確信犯だろう。
俺は複雑な気持ちを抱え、約束の場所へ向かう。
「よ。」
だがそこには当たり前のように幸太郎が立っていた。
俺は少し驚いたが平静を保つ。
「単刀直入に言う。噂を消すように言ったのはお前か?」
そう俺は幸太郎に向かって言った。
「あぁ。俺だ。」
幸太郎は否定する素振りもなくそう答えた。
「何でそんなことしたんだよ。」
そう荒が尋ねる。
「だって。俺は裏切り者じゃねぇからな。」
幸太郎はそう答えた。
「情報を流したってのは?」
そう龍心が問いかける。
「……それは本当だ。」
少し間を開け幸太郎がそう言った。
「やっぱり裏切ってんじゃねぇか!」
宗四郎がキレ気味に言う。
「すまん。だが、関西連合を裏切るつもりじゃなかったんだ。」
そう幸太郎が言った。
「そんな言い分、信じれるはずがねぇ…」
「おーい!兄ちゃん!」
そう聞き覚えのある声が宗四郎の声を遮る。
「佑…樹?」
兄ちゃんと言っていたのは佑樹だった。
「ちょうどいいところに。」
幸太郎がそう佑樹に言う。
「あれ?皆?ってこれどういう状況…。」
佑樹はこの状況を理解できていないらしい。
「俺は佑樹に頼んで情報を流した。けどそれは妹のためなんだ。」
そう幸太郎が言った。
「妹の…ため?」
俺は訳がわからず思わず声を漏らす。
「俺と佑樹には妹がいる。その妹を助けたかったんだ。」
そう幸太郎が言った。
「俺と佑樹って…佑樹は関係ねぇだろ。」
そう淳平が言った。
「いや、同じ妹…こう言ったほうがわかりやすいか。俺と佑樹は兄弟…いや、兄弟だったんだ。」
「は?」
突然の告白に場が呆然とする。
「兄弟だったってのは?」
龍心が冷静に尋ねた。
「俺らの親が離婚した時、離れ離れになった。だから名字が違うんだ。」
確かに。それならさっき佑樹が幸太郎に向かって兄ちゃんと言っていたのも辻褄が合う。
「頼む。自分勝手だというのは重々承知だ。俺達の妹を…救ってくれ!」
そう幸太郎が頭を下げる。
それを真似て佑樹も頭を下げた。
「……わかった。レオ達に言っておく。」
レオ達がどのように言うかはわからない。
だが、俺もその気持ちをわからなくはなかった。
なぜなら俺…いや俺達だって同じ理由で暴走族になったのだから。
幸太郎がやったのは許されないことだ。
だが、俺はレオ達がそれを許してくれるよう心の中で願っていた。
- 説明会 ( No.96 )
- 日時: 2023/10/14 23:11
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ってわけで幸太郎は情報を流したらしい。」
そう幸太郎に言われたことを全てレオ達に伝える。
「妹のために…。」
そう綾也は小さく呟く。
ブラコンの綾也だからこそ共感できることもあるのだろう。
「幸太郎と会ってくる。」
そうレオは立ち上がった。
「それなら俺達も…」
「一人で行かせてくれ。」
そう智が言おうとしたがレオがその言葉を遮った。
「……わかった。」
智は渋々といった様子で椅子に座った。
レオは無言でスタスタ歩いて行く。
俺は気になりそのままバレないようについて行く。
もちろんその後ろからは龍心達もついてきていた。
レオは幸太郎が待っている部屋の前まで来て一度立ち止まった。
そして息を整えるとその中に入っていく。
俺は気になり扉の隙間から中の様子を伺う。
「…レオ…!」
レオを見た幸太郎がそう言う。
「お前が情報をバラまいたんだって?」
レオは強い口調でそう言う。
表情は見えないが怒っていることは確かだった。
「そのことは本当にすまなかった!」
そう幸太郎が深々と頭を下げた。
「いくら妹のためだからって勝手に情報をバラまかれたら困る。」
そうレオは言う。
「っ…!」
幸太郎は何も言わずに唇を噛み締めた。
「だが、お前という存在はうちの組には必要不可欠だ。だからな…」
レオは急に優しい口調になり幸太郎に歩み寄る。
「これからも頼むぞ。」
ということは許してくれたということだろう。
それを見ていた俺はそっと胸を撫で下ろす。
龍心達も同じように少しホッとしていた。
「ありがとう……!」
そう幸太郎はボロボロと泣き崩れる。
「おいおい。そんな泣くなよ〜。」
そうレオは笑いながら幸太郎の肩を叩いた。
「もうこんなことすんなよ。」
レオはそう言った。
幸太郎はまだ泣き続けていた。
「それと…。」
そう言い急にレオが俺達が隙間から見ている扉の方を睨む。
俺は反射的に引っ込んでしまった。
「そかにいるんだろ。出てこいよ。」
いつからかはわからないがバレていたようだ。
「完璧な作戦だったはずなんですけどねぇ…。」
そう宗樹がノコノコと出ていく。
「嘘つけ。お前作戦も何もなかっただろ。」
それに続き宗四郎も出ていってしまった。
「お前らならやると思ったよ…。」
そうレオが頭をポリポリかく。
「それと、お前らもな。」
そう言いレオは俺達の後ろを睨んだ。
「な、隠れるのは無理だって言ったろ。」
気づけば後ろに綾也がいた。
「拓海達はともかく、何でお前らもいんだよ…。」
そうレオはやれやれだといった様子で首を振った。
「俺はやめとこうって言ってたんだけど智がどうしてもってさぁ〜。」
そう遥輝が明らかな嘘をつく。
「は?お前が行こうって言ったんだろ!」
智ももちろん反抗する。
こうやって見てるとあまり俺達と変わらない気がした。
「ところで、幸太郎の妹は何されてんだよ。」
そう陽汰が尋ねた。
「大大阪連合の奴らに誘拐されちまったんだ…。」
そう幸太郎は悔しそうに言う。
「!!」
それに一番に反応したのは綾也だった。
「それはちょうどいい。奴らを潰すための大義名分を考えてたところだ。」
関西連合は俺達との契約で内通者を探る代わりに大量の武器と大大阪連合の処分を約束していた。
そんな関西連合にとって仲間の身内が誘拐されたというのは好都合だった。
「てか、まず大大阪連合ってどこの奴らなんだよ。関西連合の傘下でなければ関東連合の傘下でもないんだろ?」
そう龍心が聞く。
確かに。いくら連合レベルの組と言えど関西連合との差はかなりある。
後ろに誰かいるのは当然だろう。
「それが一番厄介でなぁ…。」
そう智が苦虫を噛みつぶしたような表情になり言う。
「お上の回し者なんだよ。」
そう遥輝が言った。
「お上?」
俺は聞き覚えのない言葉を聞き、思わず声を漏らす。
「それは何かの組か?」
そう蓮が尋ねる。
だが、その問いには遥輝が首を横に振るだけだった。
「この際だから説明しておく。」
そう綾也が言った。
「暴走族の頂点は知ってるか?」
そう綾也が俺たちに問いかけてくる。
「関西連合…いや、関東連合か?」
そう荒が答えた。
「もっと上がいる。それがお上達の「COJ」だ。」
そう綾也はまたしても聞き覚えのない単語を挙げる。
「そのしーおーじぇい?ってのは何なんだよ。」
そう淳平が聞く。
「conqueror of japan。略して「COJ」だ。直訳すると「日本の覇者」って意味だ。」
随分と壮大な名前だなと思う。
「で、そいつらの何が厄介なんだ?」
俺はそう問いかける。
そこそこ大きい連合だとしても関西連合は日本トップクラスに大きい組だと聞いたことがある。
それ以上の組などなかなかないだろう。
「全暴走族界の頂点。いわば天皇や朝廷みてぇなもんだ。」
そう綾也が答えた。
「全暴走族の…頂点…?」
あまりにも壮大すぎて頭が追いつかない。
「まぁ、そんなところだ。」
そんなところだ。じゃない。
(そんなやべぇところに喧嘩売りに行こうとしてんのか…。)
俺は思わず頭を抱える。
「明日、大大阪連合を早速潰しに行く。お前らもついて来い。」
そうレオから集まるよう命令がかかる。
まさか戦わされるのではと思い俺は思わず顔をしかめる。
「そんな顔したって戦えとは言わねぇよ。」
そうレオが笑いながら答えた。
「お前たちにとってもいい経験になると思うしな。」
そうレオは言った。
後ろではいかにも怪しそうな綾也と龍心の取引が行われていた。
まぁ、チャカを渡しているところだから怪しいのだが。
「ま、何でもいいから絶対来いよ。」
そうレオに言われ追い出された。
なんて自分勝手な奴だと思う。
だが、レオがそこまで言うものだというのは少し期待していた。
俺は変な気持ちで家に帰った。
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