ダーク・ファンタジー小説
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- 喧嘩無双
- 日時: 2024/05/15 23:57
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
>>1- 一気読み用
・ストーリー編
チーム結成編
>>1 1話「繰り返す日々」
>>2 2話「族絡み」
>>3 3話「消えた愛人」
>>4 4話「偽物」
>>5 5話「怒り」
>>6 6話「デマ情報」
>>7 7話「逆恨み」
>>8 8話「新たな事件」
>>9 9話「新発見」
>>10 10話「決戦前夜」
>>11 11話「初陣」
>>13 12話「チーム結成!?」
・扇堀豊連合軍戦編
>>14 13話「謎のメッセージ」
>>15 14話「助っ人」
>>20 15話「決戦へ」
>>23 16話「敗北…?」
>>25 17話「喧嘩屋」
>>29 18話「悪英雄」
・関西連合傘下編
>>32 19話「傘下提案」
>>33 20話「決意」
・狩屋戦編
>>35 21話「不吉な予感」
>>37 22話「忍び寄る不穏な影」
>>39 23話「最悪の事態」
・武道戦編
>>41 24話「新たな敵」
>>43 25話「増援」
>>44 26話「釣り野伏」
>>45 27話「予想外の助っ人」
•八苦座戦編
>>47 28話「共同任務」
>>49 29話「接触」
>>50 30話「脱出」
>>56 31話「リベンジ」
>>58 32話「抗争開始」
>>59 33話「総長発見」
>>62 34話「50vs1」
>>63 35話「偽物」
>>64 36話「危機一髪」
>>65 37話「チャカ使い」
・悪英雄作戦会議編
>>69 38話「武器」
>>70 39話「徹夜の成果」
>>73 40話「チャカで暴走」 →「お悩み相談室編」へ続きます。
・魔異鼓護衛編
>>77 41話「護衛任務」
>>80 42話「野宿」
>>81 43話「急襲」
>>84 44話「地獄」
>>86 45話「壊滅寸前」
>>87 46話「まさかの援軍」
・内通者抹殺編
>>88 47話「内通者」
>>92 48話「取引」
>>94 49話「噂」
>>95 50話「犯人」
>>96 51話「説明会」
>>97 52話「戦」
・龍心誘拐編
>>98 53話「誘拐」
>>99 54話「最悪の予感」
>>100 55話「拉致」
>>101 56話「目印」
>>102 57話「涼達の作戦」
>>103 58話「公開処刑」
・悪英雄巨大化計画
>>106 59話「新しい仲間」
>>109 60話「正しい仲間の集め方」
>>111 61話「受付」
>>112 62話「悪英雄作戦会議2」
>>113 63話「構成発表」
・八苦座侵攻編
>>114 64話「司令」
>>115 65話「連れ去られた拓海」
>>119 66話「八苦座の目的」
>>120 67話「準備」
>>121 68話「全面戦争」
>>126 69話「暴走」
>>127 70話「止まらない暴走」
>>128 71話「酔拳」
>>136 72話「拘束された2人」
>>137 73話「2人を追って」
>>138 74話「同盟成立」
>>139 75話「解離性同一性障害」
>>140 76話「次の司令」
>>141 77話「模擬刀」
お悩み相談編
>>67 1話「悪英雄作戦会議」
>>68 2話「初めての客」
>>89 3話「後輩の頼み」(前編)
>>91 4話「後輩の頼み」(後編)
日常編
>>12 1話「寝起きドッキリ」
>>31 2話「パンチングマシーン」
>>72 3話「皆の休日」 今週の投稿予定
>>74 4話「拓海と華恋のイチャイチャデート」
>>93 5話「寿司パーティー」
勢力図
>>16 結成時
キャラクター紹介
・悪英雄
>>17 >>46 前田拓海
>>18 >>48 永瀬龍心
>>19 >>54 中嶋宗樹
>>21 渡辺宗四郎
>>22 植谷陽汰
>>24 槌井蓮
>>26 浅田淳平
>>27 福田荒
>>30 田口虎徹
>>34 木口華恋
>>105 長澤涼
>>108 谷山流加
>>116 菊下颯太
>>117 中川冬弥
>>118 紀田千尋
・関西連合
>>38 マクリーン・レオ
>>60 国崎智
>>61 坂本綾也
>>66 山本遥輝
>>124 泉幸太郎
>>125 吉田将太
・魔異鼓
>>78 西上瑠騎
>>83 北川達規
・八苦座
>>75 山下裕也
>>122 藤岡弘
>>123 高松香
チーム紹介
>>76 悪英雄
>>79 関西連合
武器説明
>>36 スティンガー
>>42 チャカ
>>82 ドス
お知らせ
>>28 投稿日数について
>>71 投稿日数について、金賞のご報告
>>90 イラスト投稿について
>>104 投稿日数、イラスト投稿などについて
>>107 キャラクター紹介、小説の変更などについて
その他の細かい設定
>>40 ソリーゾ
>>57 チームの種類
>>85 チームの人数
ありがたいコメント、その返し
>>51 >>52 >>53 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135
2022年 12/18 連載開始
2023年 1/15 閲覧数100突破!
3/29 閲覧数500突破!
4/17 閲覧数1000突破!
5/1 閲覧数1500突破!
7/12 閲覧数2000突破!
9/26 閲覧数2500突破!
11/5 閲覧数3000突破!
2/8 閲覧数3500突破!
4/24 閲覧数4000突破!
・変更内容
詳しくは>>110
・余談
2022冬の小説大会
ダーク・ファンタジー部門次点
2023夏の小説大会
ダーク・ファンタジー部門金賞
この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは一切の関係はありません。
- 戦 ( No.97 )
- 日時: 2023/10/16 23:15
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「よぉ。遅かったじゃねぇか。」
ヤサに着くやなんやレオがそう言ってくる。
「遅かったって…。」
細かい時間などは知らされていなかったから遅れないように6時には行こうとなり全員でかなり早く来たのだが、関西連合のメンバーは皆もう準備を終わらせていた。
「もう行くぞ。ほらお前らもこれ持て。」
そう遥輝が言い、一人ずつに木製サブマシンガンを手渡してくる。
「これって俺らにも戦えってことじゃ…。」
淳平はそうおそるおそる言う。
「バーカ。そんな物騒な事させねぇよ。」
そう綾也が言う。
今までに何度もさせられてきたのだが…。
そう言いたい気持ちをぐっと抑える。
「ほら。乗った乗った!」
いつの間にか単車に乗っていたレオがそう急かしてくる。
俺は「ほら。早く。」というレオの言葉に従い、レオの後ろに乗せてもらう。
龍心達も綾也や他の組員達の後ろに乗せてもらっていた。
「ヘルメットだけは被っとけ。」
そう手渡されたヘルメットを反射的に受け取ってしまう。
「そんなスピードださねぇならいらないんじゃ…。」
そう俺は聞く。
「バカ。飛ばすぞ。しっかり掴まっとけ!」
そうレオが言いエンジン音を鳴らす。
「おい。バカちょっと待てええええぇ!」
俺の声は虚しく風に消えていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「最悪だ…。」
単車から降ろしてもらった宗四郎がそう言った。
下道で飛ばしに飛ばしまくって終いにはスピード違反で警察に追いかけ回されるは散々な目にあった。
「てかお前ら免許持ってんのかよ。」
そう龍心が尋ねる。
「持ってねぇに決まってるだろ。」
そう綾也はあっさり答えた。
よくよく考えたら当たり前だな。
まずまず未成年だし。
これで警察に捕まったら未成年運転、二人乗り、スピード違反と道路交通法違反しまくってるし、それ以外にもいろいろやってるから少年院は確定だろう。
「止まれ。」
とかまぁ、いろいろ考えていると綾也の声を発する。
俺らは命令通り止まり、綾也は他の奴らにいろいろな命令を下していた。
「おいおぃ。組員達どっか行っちまいましたよ?」
そう宗樹が不安そうに言う。
「これも作戦だ。」
そうレオはニカッと笑う。
そこから見える白い歯はとても眩しかった。
「この配置は…魚鱗の陣か?」
少し遠くから様子を見ていた龍心がそう呟く。
「よくわかったな。」
そう綾也が答えた。
「てかさ、おかしくね?こんな近くにいるのに何で大大阪連合の奴ら出てこねぇんだよ?気づいてねぇのか?」
淳平がそう言う。
確かに。ヤサの目の前でこんな大人数が移動しているのに何故気づかないのだろう。
「気づいてるよ。恐らく奴らも中で陣を立ててるんだろ。」
そう智が言った。
「そろそろ行くぞ!」
そうレオが叫ぶ。
その声で皆が一斉に入っていった。
「今から連合対連合の戦い方を見せてやるよ。」
そうレオは言う。
見せたかったと言っていたのはこれだろう。
だが、俺達はまだそんな人数もいないのだが…。
そんなことを考えているうちに皆が次々と中入っていく。
「行くぞ。」
そう言う龍心の声に反応し、俺も中へと入った。
「オラっ!」
「死ねっ!」
「守れ!陣を崩すな!」
中に入ると大勢の奴らが叫んでいる。
「相手は方円の陣…まずいんじゃねぇのか?」
そう龍心は不安そうに綾也に聞く。
「何で不安そうにしてんだよ。」
そう宗四郎が問いかけた。
「魚鱗の陣は正面突破に長けてるが側面からの攻撃には弱えんだよ。対する方円の陣は円形の陣。俺らを飲み込んで袋の鼠にしたいようだがそう簡単にはさせねぇよ。」
そう綾也が軽く説明する。
「けどこのまま待ってても側面から破られて終わりだぞ!?」
龍心はそう不安そうに言う。
龍心がここまで焦るとは珍しい。
それほどのことなのだろう。
「まぁ待て。今に見とけよ。」
そう綾也は自信ありげに言う。
「別動隊!今だ!」
そう綾也の甲高い声に思わず耳を塞ぐ。
その命令でどこから現れたのかわからない組員達が側面の奴らを背後から撃退していく。
だが、数が多いからかなかなか打ち破れそうになかった。
これもレオ達が言っていた「お上」の仕業なのだろう。
「けどな、戦はそこが目的じゃねぇんだよ。」
そう綾也が呟く。
綾也の目線の先を見るとそこでは一人の小柄な男が大柄の男を倒していた。
そのうちの小柄な男はよく見るとレオであった。
「お前らの総長は俺が倒した!速やかに降伏せよ!」
そう叫ぶレオの声に反応し皆次々逃げていく。
「す、すげぇ…。」
こんな大きな戦いを一瞬で終わらせてしまった。
「どうだ?面白かったか?」
そう綾也がこちらを向き聞いてくる。
「まぁな。けど、俺達はまだまだこんなことしねぇと思うけどな。」
俺がそう言うと綾也は小さく笑っていた。
ここから敵の総長を叩き起こして降伏させ、正式にこの領地を渡すことを証明させるなどやることはまだまだ沢山あるようだが、俺達は特別に返してもらった。
「すごかったなぁ〜。」
帰り道の途中、荒がそう声を漏らす。
「てか、レオ強すぎだろ。」
そう陽汰が言った。
それには本当に同情する。
地方連合の総長だからそれなりの強さなはずだが気づかないうちに一瞬で倒してたからな…。
「そういや最近見ねぇけど虎徹は?」
そう蓮が急に話を逸らす。
「あいつは完全に豊崎の奴らを統一したらしい。そろそろ会いに来るって。」
最近忙しくて完全に忘れていた。
一人で学校中制覇って…。
まぁあの強さだからあり得るか。
なんとなくだが、また忙しくなりそうな気がした。
- 誘拐 ( No.98 )
- 日時: 2023/10/17 23:13
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「…んでさ。」
俺の名前は永瀬龍心。
レオ達に戦いを見せてもらった1週間後、俺はつかの間の平和を楽しんでいた。
今は友人の田口虎徹、冬弥と千尋と拓海達と待ち合わせしているところまでバスで移動していた。
「もうそろそろじゃないっすか?」
そう千尋が声を出す。
「そろそろ降りるか。」
そう俺は言う。
そして皆立ち上がり、順番に精算していく。
バスの運転手のおっさんに軽く会釈してからバスを降りる。
「ここからは歩きだな。」
そう虎徹が言う。
「この調子なら10分以内に着きそうっすね。」
そう冬弥が言った。
バスを降りてからずっと真っすぐ行った所に拓海達と待ち合わせしているところがあった。
「正式に豊崎占領したからな。その報告しに行かねぇとダメだよな。」
そう虎徹が呟く。
「お前は真面目すぎるっつーの。そんなんしなくてもいいのによ。」
俺はそう言った後、小声で「まぁその方がありがたいが。」と付け足す。
「それにしても一人で学校中制覇ってすごいっすよね〜。」
そう千尋が言った。
「ほんとほんと!俺等じゃ到底無理っす!」
そう冬弥も重ねるように言った。
「そんな褒めても何も出ねぇぞ?」
そう虎徹は言うが顔は嬉しそうな表情をしていた。
(何だ…?この気配?)
俺は急いで後ろを振り返る。
誰かに見られているような気がしたからだ。
虎徹を見てみるも何も感じていなさそうだ。
もちろん。冬弥と千尋もだ。
だが、やはり見られている気がする。
俺は注意しながら道を進む。
少し細い道に入った時、その気配はより大きくなる。
「今だ!龍心を捕まえろ!」
そう聞いたことのある声がする。
「何だ!?」
俺と虎徹は瞬時に反応する。
少し遅れて冬弥と千尋も反応した。
だが、反応した時にはもう遅い。
大勢の奴らが飛びかかってきていた。
俺は瞬時に横蹴りをかます。
虎徹はぶん殴ってふっ飛ばしていた。
相変わらずどんなパワーしてるんだよと思う。
だが、こんな狭い所で、しかも大勢に襲われてしまったら勝ち目がない。
ふと後ろを見ると冬弥と千尋が殴られかけていた。
二人共尻餅をついて動けない。
「オラっ!」
俺は瞬時に駆けつけその腕を弾き返す。
だが、そこに隙が生まれ取り押さえられてしまう。
「龍心!」
そう虎徹がこちらに駆け寄ろうとしてくる。
「逃げろ!」
俺はそう叫んだ。
「龍心を捕まえろ。」ということはあくまで俺が目的なのだろう。
「でも…。」
虎徹は何か言いたげだ。
「でもじゃねぇ!拓海に伝えてくれ!」
俺はそう必死に訴えかける。
俺の気持ちが伝わったのか、虎徹は冬弥と千尋を連れ走り出す。
「もう誰もいねぇよ。さっさと出てこいよ。」
俺は先程命令し誰かに向かって取り押さえられたまま問いかける。
「久しぶりだな。」
そう一人の男が後ろから出てきた。
「お前は…!」
俺はそう言おうとしたが首根っこを叩かれ意識を失ってしまった。
- 最悪の予想 ( No.99 )
- 日時: 2023/10/19 22:58
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「龍心の奴ら遅いなぁ…。」
俺は思わずそう呟く。
虎徹が正式に豊崎を治めたということで報告しに来るので連れてくるという話だったのだが、待ち合わせ時間をとうに超えているのに来る様子は無かった。
「何かあったんじゃねぇか?」
そう荒が心配そうに言う。
「どうせただの遅刻でさぁ。まぁ万が一何かあってもあの龍心だ。大丈夫でしょう。」
そう宗樹が言う。
確かに。簡単にやられることはないと思うが…。
「やっぱ不安だよなぁ…。」
あの龍心だ。
遅刻することなど滅多にない。
結局俺は不安な気持ちで待つことになってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから30分後、結局龍心は来ない。
「本当に今日来るように言ったのか?日にち間違えたんじゃねぇの?」
陽汰がそう聞いてくる。
「あぁ。確実に今日だ。朝、龍心にも連絡を入れた。」
そう俺は答える。
「クッソ!電話も出ねぇぞ?」
そう電話をかけていた宗四郎がそう言う。
「おいおい。これそろそろ本当にやべぇやつなんじゃねぇの?」
淳平がそう言う。
「縁起でもねぇ事言うなよ。」
そう蓮が言った。
「いや。案外あり得るかもだぞ。」
そう陽汰は言う。
「あれ?案外ガチな感じ?」
淳平は冗談で言ったようだが、他の皆はかなり不安に感じていた。
「おーい。遅れてごめん!」
そう颯太がこちらに駆け寄ってくる。
ちなみに今回は妹は来ていない。
それを見て宗四郎が何かを思いついた様子を見せる。
「颯太。お前家豊崎の方角同じだったよな?」
そう颯太の肩をガシッと掴み宗四郎が言った。
「え?そうたけど…。何で?」
訳がわかっていない颯太は混乱している。
「来る時龍心達見なかったか?」
そう宗四郎が興奮気味に聞く。
「見てないよ。」
「そっか…。」
そう颯太が答えると宗四郎は頭を抱える。
「龍心君に何かあったの?」
そう颯太が聞く。
「龍心が来ねぇんだよ。もしかしたら何かあったんじゃないかって。」
「何かあった…。」
そう宗四郎が答えると颯太は何かを思い出したように考える素振りを見せる。
「何か思い出したか!?」
そう宗四郎が食い気味に聞く。
「関係あるかわからないけど、路地で喧嘩してる人達がいたなーって。大柄な人と小さい子二人と皆と同じくらいの人が一人。」
そう颯太が言う。
「それって…。」
そういい宗四郎が俺の方を向いてくる。
「あぁ。龍心達の事だな。」
恐らく大柄な奴は虎徹、ちっこいの二人は冬弥と千尋。そして俺らと同じくらいの背の奴が龍心だろう。
「拓海!」
そう大声を出しながら寄ってくる奴がいる。
「虎徹!?」
そう俺は驚きの声を上げた。
「どうしたんだよ。そんな焦って走ってきて。」
そう陽汰が声をかける。
後ろには冬弥と千尋もいた。
「龍心が…誘拐された!」
「!!!」
俺達の最も当たってほしくなかった予想は当たってしまった。
「とにかく、急いで助けねぇと!」
俺らはそう言い、走り出した。
- 拉致 ( No.100 )
- 日時: 2023/10/21 00:04
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ぅあぁ…。」
眠りから覚めた俺はそう唸り声を出し、体を起き上がらせる。
(ここは…?)
そう思い周りを見渡す。
そこは薄暗く灰色の壁と所々何かを加工する機械のようなものが置かれていた。
もう使われていない工場か何かなのだろう。
(そうだ…俺はあいつらに捕まえられて…。)
何故自分がこんなところにいるのか、少しずつ思い出してきた。
"奴ら"に捕まえられ、ここに拉致られたのだろう。
ここに虎徹達がいないということは恐らく逃げ切れたのだろう。
それだけは不幸中の幸いだ。
「とにかく、ここから逃げねぇと…。」
そう俺は手足に縛られた縄を解くためにジタバタと動くが、縄は外れそうにない。
「お目覚めか?」
そう一人の男がドアを開け、部屋の中に入ってくる。
「いつ見てもムカつく面してんな。」
俺はその男を軽く挑発する。
「それはお互い様だ。」
男は俺の挑発を受け流し、そのまま近づいてくる。
「涼…。何のために俺を拉致る?」
俺はそう男…いや、元扇堀豊連合軍の総大将の一人であり天使の総長、長澤涼に尋ねる。
「単純な話だ。お前ら悪英雄をぶっ壊すためだよ。」
そう涼は俺の前に座り言う。
なるほど。俺を人質に取ったって訳か。
だが、俺はスマホもポケットにあることは確認済みだ。
「甘いな。あいつらはすぐここを特定して来るぞ。」
幸太郎も佑樹もいる。
幸太郎は情報屋のため、殆どの情報は耳に入るはずだ。
そしていざとなれば佑樹が俺のスマホをハッキングして特定してくれるだろう。
「それを利用するんだよ。」
そう涼は俺の予想していた斜め上の答えを出す。
「お前、永瀬龍心という存在は悪英雄にとって必要不可欠。必ずお前の仲間はお前を助けに来る。」
「そこであいつらを潰そうってわけか?無理に決まってんだろ。あいつらはお前らなんかに負けねぇ。」
「当たり前だ。俺だって奴らに勝てるなんて思っちゃいない。そのためのお前だ。」
そう涼は言い終えると懐から何かを取り出す。
「おいおい…。」
嫌な汗が流れるのがわかる。
涼が懐から取り出したもの、それは紛れもない刺身包丁だった。
「これでお前の首を跳ねるか、悪英雄を解散するか。奴らに選ばせてやる。せいぜい楽しみにっているんだな。」
涼はそう言うと部屋から出ていく。
(さっきの刺身包丁。何か引っかかる…。)
俺はそう考えを巡らせる。
だが、少し経つとそれが無駄だということに気づいた。
今は何もできないのだから。
「今は気長に待つしかねぇよな。」
そう俺は思い、縄を解くことを諦めて再びコンクリートの硬い床に寝転んだ。
- 目印 ( No.101 )
- 日時: 2023/11/07 22:28
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
その時、俺達も龍心を探し回っていた。
「走ってんのはいいんですけど…本当にこっちであってるんですかぃ?」
そう宗樹が虎徹に聞く。
「うん。多分だけど…。」
そう虎徹は小声で答えた。
多分って…。
一番信用性のない言葉だな。
俺はそう思いながらも戦闘を走る虎徹について行く。
かなり細い路地に入ったり曲がったりと、完全に迷路状態に陥っていた。
「あ!ここだ!」
そう突然虎徹が足を止め、言う。
「確かに。さっきまで誰かいたんだろうな…。」
そう蓮が言う。
蓮の言う通り、そこには誰かがすぐ先程までいたことを表す物があった。
ヤニだ。
まだ火はついたままで恐らく捨てられて5分も経っていないだろう。
「やっぱここにいたのか…。」
先程虎徹に龍心を誘拐したのは涼達だと聞いている。
となると扇堀豊連合軍の奴らか天使の奴らだろう。
前者のメンバーはあまり知らないが後者なら少し知っている。
俺が知る中で涼達の仲間でヤニを吸う者…。
「流加…。」
恐らくそいつだろう。
うちの学校の中でヤニを吸っている唯一の人物だ。
それに、流加は涼達とも仲が良かったような気がする。
「けど、ここにいたのはわかってもそっからどこ行ったかだよなぁ…。」
荒がそう呟く。
荒の言う通り、痕跡はここまででどこに行ったかはわからないからだ。
「ん?」
そう陽汰が声を出す。
「どうしたんだ?」
宗四郎がそう尋ねた。
「何か甘い匂いしねぇか?砂糖みたいな…。」
そう陽汰が言う。
確かに、少し甘い匂いがするような気もした。
「この液体からかな…。」
そう颯太が言う。
そこには何かが溢れて濡れたアスファルトがあった。
「確かに…これからですねぇ…。」
そう宗樹が地面に鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。
てか、抵抗もなくよくそんな事できるなと思う。
「本当だ。コーラみたいな匂いするな。」
そう淳平も同じように匂いを嗅ぐ。
「コーラ…。」
そう冬弥が呟く。
「そういや、龍心先輩さっきまでコーラ飲んでました!」
そう千尋が思い出したように言う。
「本当か!」
俺は思わず食い気味なって聞く。
もしそれが本当ならかなりのヒントになるからだ。
「はい。絶対です。」
そう千尋が確信したように言う。
「それならこの後を辿って行ったら龍心の所に着くってことだよな。」
そう陽汰が言う。
「あぁ。多分な。」
幸いなことにまだまだ奥に同じような後が続いていた。
「けど、それだけじゃわからなくない?たまたま違う人が溢したって可能性もあるし…。」
そう颯太が言う。
「言われてみればな…。」
俺は思わずそう言う。
冷静に考えてみれば確かにそれだけでは証拠として薄い気もした。
「なぁ…これ矢印みたいになってねぇか?」
そう荒が言う。
確かに、言われてみれば矢印に見えないこともない。
「ほら、それにこっちも。あれも…。」
そうその先にある溢された所も次々と見に行く。
「本当だ…。」
荒の言う通り、全て矢印のような形をしていた。
「それじゃあさ、これ辿ってけば龍心とこに着くんじゃね?」
そう淳平が言う。
「多分な。」
他の奴が何の理由もなくそんな事をするとは思えない。
それに、もう時間があまりなかった。
「急がねぇと何されてるかわかんねぇ。早く行くぞ!」
俺はそう皆に言う。
皆、首を縦に振りその矢印を辿って行った。
だが、俺達はこの時はまだ知らなかった。
これが罠だということに。
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