ダーク・ファンタジー小説

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喧嘩無双
日時: 2024/05/15 23:57
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

>>1- 一気読み用

・ストーリー編
チーム結成編
>>1 1話「繰り返す日々」
>>2 2話「族絡み」
>>3 3話「消えた愛人」
>>4 4話「偽物」
>>5 5話「怒り」
>>6 6話「デマ情報」
>>7 7話「逆恨み」
>>8 8話「新たな事件」
>>9 9話「新発見」
>>10 10話「決戦前夜」
>>11 11話「初陣」
>>13 12話「チーム結成!?」
扇堀豊おうほりとよ連合軍戦編
>>14 13話「謎のメッセージ」
>>15 14話「助っ人」
>>20 15話「決戦へ」
>>23 16話「敗北…?」
>>25 17話「喧嘩屋」
>>29 18話「悪英雄」
・関西連合傘下編
>>32 19話「傘下提案」
>>33 20話「決意」
・狩屋戦編
>>35 21話「不吉な予感」
>>37 22話「忍び寄る不穏な影」
>>39 23話「最悪の事態」
・武道戦編
>>41 24話「新たな敵」
>>43 25話「増援」
>>44 26話「釣り野伏」
>>45 27話「予想外の助っ人」
•八苦座戦編
>>47 28話「共同任務」
>>49 29話「接触」
>>50 30話「脱出」
>>56 31話「リベンジ」
>>58 32話「抗争開始」
>>59 33話「総長発見」
>>62 34話「50vs1」
>>63 35話「偽物」
>>64 36話「危機一髪」
>>65 37話「チャカ使い」
・悪英雄作戦会議編
>>69 38話「武器」
>>70 39話「徹夜の成果」
>>73 40話「チャカで暴走」 →「お悩み相談室編」へ続きます。
・魔異鼓護衛編
>>77 41話「護衛任務」
>>80 42話「野宿」
>>81 43話「急襲」
>>84 44話「地獄」
>>86 45話「壊滅寸前」
>>87 46話「まさかの援軍」
・内通者抹殺編
>>88 47話「内通者」
>>92 48話「取引」
>>94 49話「噂」
>>95 50話「犯人」
>>96 51話「説明会」
>>97 52話「戦」
・龍心誘拐編
>>98 53話「誘拐」
>>99 54話「最悪の予感」
>>100 55話「拉致」
>>101 56話「目印」
>>102 57話「涼達の作戦」
>>103 58話「公開処刑」
・悪英雄巨大化計画
>>106 59話「新しい仲間」
>>109 60話「正しい仲間の集め方」
>>111 61話「受付」
>>112 62話「悪英雄作戦会議2」
>>113 63話「構成発表」
・八苦座侵攻編
>>114 64話「司令」
>>115 65話「連れ去られた拓海」
>>119 66話「八苦座の目的」
>>120 67話「準備」
>>121 68話「全面戦争」
>>126 69話「暴走」
>>127 70話「止まらない暴走」
>>128 71話「酔拳」
>>136 72話「拘束された2人」
>>137 73話「2人を追って」
>>138 74話「同盟成立」
>>139 75話「解離性同一性障害」
>>140 76話「次の司令」
>>141 77話「模擬刀」

お悩み相談編
>>67 1話「悪英雄作戦会議」
>>68 2話「初めての客」
>>89 3話「後輩の頼み」(前編)
>>91 4話「後輩の頼み」(後編)

日常編
>>12 1話「寝起きドッキリ」
>>31 2話「パンチングマシーン」
>>72 3話「皆の休日」 今週の投稿予定
>>74 4話「拓海と華恋のイチャイチャデート」
>>93 5話「寿司パーティー」

勢力図
>>16 結成時

キャラクター紹介
・悪英雄
>>17 >>46 前田拓海
>>18 >>48 永瀬龍心
>>19 >>54 中嶋宗樹
>>21 渡辺宗四郎
>>22 植谷陽汰
>>24 槌井蓮
>>26 浅田淳平
>>27 福田荒
>>30 田口虎徹
>>34 木口華恋
>>105 長澤涼
>>108 谷山流加
>>116 菊下颯太
>>117 中川冬弥
>>118 紀田千尋
・関西連合
>>38 マクリーン・レオ
>>60 国崎智
>>61 坂本綾也
>>66 山本遥輝
>>124 泉幸太郎
>>125 吉田将太
・魔異鼓
>>78 西上瑠騎
>>83 北川達規
・八苦座
>>75 山下裕也
>>122 藤岡弘
>>123 高松香

チーム紹介
>>76 悪英雄
>>79 関西連合

武器説明
>>36 スティンガー
>>42 チャカ
>>82 ドス

お知らせ
>>28 投稿日数について
>>71 投稿日数について、金賞のご報告
>>90 イラスト投稿について
>>104 投稿日数、イラスト投稿などについて
>>107 キャラクター紹介、小説の変更などについて

その他の細かい設定
>>40 ソリーゾ
>>57 チームの種類
>>85 チームの人数

ありがたいコメント、その返し
>>51 >>52 >>53 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135

2022年 12/18 連載開始
2023年 1/15 閲覧数100突破!
     3/29 閲覧数500突破!
     4/17 閲覧数1000突破!
     5/1 閲覧数1500突破!
     7/12 閲覧数2000突破!
     9/26 閲覧数2500突破!
     11/5 閲覧数3000突破!
     2/8 閲覧数3500突破!
     4/24 閲覧数4000突破!

・変更内容 
詳しくは>>110

・余談
2022冬の小説大会
ダーク・ファンタジー部門次点
2023夏の小説大会
ダーク・ファンタジー部門金賞

この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは一切の関係はありません。

悪英雄会議 ( No.67 )
日時: 2023/08/25 16:06
名前: ミートスパゲティ (ID: lCrzzWFh)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

『宗樹のお悩み相談室!!』
「………。」
「何やってんすか…俺ら…。」
ーーーーーーーーー1時間前ーーーーーーーーー
「ふぅ…」
倉庫…いやヤサにつくやすぐにレオは椅子に腰を落とした。
「だから八苦座攻めはやめろと言ったんだ。」
その隣では綾也がブツブツと怒っている。
おそらくその理由は陸のことだろうがあえて言わないでおこう。
「悪かったって。」
そうレオは言っているがすまなさそうに思っている気配はない。
綾也はそんなことは聞いておらずまだ文句を言い続けていた。
「あの、俺らは…」
俺がそうレオに聞く。
本当にこのタイミングで良かったのかはわからないが綾也の文句はなかなか終わりそうにない。
「あぁ、そうだな。」
助け舟が来たと言わんばかりにレオはその話にがっついてくる。
「お前らはよく働いてくれたし休んでいいぞ。」
そう綾也が横から口を挟む。
確かに、今よくよく思い出してみればこの1ヶ月間ほとんど関西連合の抗争に駆り出されていた。
そのくらいの休みはもらってもいいだろう。
「りょ、綾也ちょっともう少し考えた…」
そうレオが綾也をなだめようとする。
「そんなことよりさっきの話だ。」
そう言うと綾也はまたブツブツ話しだす。
なかなか終わりそうにない。
そう思い俺たちはその場から退散した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「第一回、悪英雄会議ー!」
そう陽汰ができるだけの声をだしてそう言う。
「せっかく休みもらったんですし休めば…」
そう言おうおした宗樹の口を宗四郎が殴り飛ばす。
「で、具体的なことなんだが…」
前の方で殴り合っている宗樹と宗四郎を放っておいて陽汰が話を続ける。
「まずは構成員の増加、それで詳しい役割を決めたいんだが…」
陽汰にとっては珍しくまともで真面目な提案だ。
確かに、今のところ悪英雄の構成員はこの10人たらずだ。
そんなものでは他の大きなチームには太刀打ちできない。
それに、人数が増えたらもちろんそれをまとめる奴も必要だ。
今の悪英雄にはどちらも欠かせない。
「えーと…なんだっけ?」
そう龍心に尋ねる。
なるほど。
珍しくまともだと思ったら龍心に言われたことを言っていたらしい。
龍心は昔から人の前に立つことを嫌っている。
その性格だからだろう。
「まぁそれは後でいいか。で、まず構成員を増やす案なんだが何か考えある人ー。」
「学校で集めればいいんですのにねぇ。」
宗四郎との殴り合いを終えた宗樹がボソッと言う。
「それいいな。それで決定!」
そう陽汰が一瞬で決めてしまった。
流石にこれには俺も黙ってみていれない。
「せめてもうちょい詳しく考えてくれ。」
俺がそう言うと再び場が沈黙する。
「悩み解決とかでどうだ!?」
そう淳平が自信満々に言う。
「確かに、それはいいかもな。」
そう蓮も賛成する。
「よし!じゃあ淳平君頑張って〜。」
そう宗樹が笑顔で送り出そうとする。
「お前もだよ。」
そう龍心に背中を押される。
「え…?」
そう宗樹は理解が追いついていない様子だ。
「後、宗四郎。頼んでいいか?」
そう龍心は宗四郎に言った。
宗四郎は心底嫌そうな顔をしている。
「ゴミを見るような目で見ないでくだせぇ。」
「実質ゴミだろ。」
そう宗四郎は冷たく吐き捨てる。
宗樹のメンタルは完全に破壊されたらしい。
ただただ何も言わずうつむいていた。
「じゃあ俺らはこっちのことしとくわ。」
そう陽汰達は背を向けさる。
「……。」
取り残された宗樹達は無言のままだった。

初めての客 ( No.68 )
日時: 2023/09/05 16:50
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「ふぅわあぁ…」
俺は「宗樹のお悩み相談室!」と書かれた机の椅子に座りながら大きなあくびにをした。
「なかなか来ないもんなんですねぇい…。」
今淳平と宗四郎の二人は買い出しに行っている。
まぁ宗四郎はそのままフラフラしてどこかにいくだろう。
そのため、ほとんどここには帰ってこない。
「ちょいと寝ますか。」
そう俺は机にうつ伏せになり目を閉じる。
「…の…。」
そう声が聞こえたような気がする。
目を開け前を見てみるとまだ幼い娘が立っていた。
恐らく小3程度だろう。
まぁ、このくらいの歳のこの悩みなど限られている。
恋愛相談か宿題を手伝ってほしいなどだろう。
だが、その娘の相談は一風変わっていた。
「さて、どんな悩みだい?」
そう俺は尋ねる。
「お兄ちゃんを助けてほしいの!」
そうその娘は大声で言う。
俺は想像の斜め上の相談を言われた一瞬戸惑うが、その娘の目は本物だった。
「お兄ちゃんって?」
俺は冷静に聞いてみる。
「6年生の菊下颯太。いじめられてるの。」
菊下颯太というのは宗樹の同学年だった。
あまり関わりは深くないがいじめられているような様子はなかった。
(バレないようにやってるんでしょうねぇ。)
だから先生も何も言わないし誰も目撃者がいない理由がわかる。
普通の奴なら自分の評価が下がるのを恐れて見つけたとしても見て見ぬふりをするだろう。
「こっちは評価なんか気にしてませんからねぇ。」
そう独り言を呟く。
「ところでそのいじめられてる奴らってわかるんですかぃ?」
そこから探さないと行けないとなるとかなり時間がかかる。
「その人たちなら知ってる!」
そうその娘は答えた。
そこまで知っているなら自分でもできそうな気がするが。
思わずそう思う。
「じゃあ俺はそいつ等をしばくだけですねぇ。」
初めの依頼にしては簡単だ。
これならすぐに終わらせれる。
「それと今日はもう遅いんで帰りましょう。」
そう俺はその娘を家に帰そうとする。
遅いのもあるが、本当はできるからこんな幼い娘に殴り合うところなど見せたくなかったからだ。
「はい…。」
そうその娘は渋々といった感じで帰っていった。
俺はそれを最後まで見守った後娘からもらった写真をもう一度見る。
その写真に写っていたのはクラスでも数少ない真面目なめぐるだった。
こんな奴が本当に…。
そんな事を考えているうちにある重要な事に気づく。
「やべ、どこにいるのかわからねぇ…」
うっかり聞き忘れていた。
「結局時間がかかりますねぇ…。」
探そうと思い校舎に入る。
(ん?)
俺は思わずそこを2度見する。
誰もいないはずのクラスの教室に電気がついているのが見えたのだ。
(もしかしてあそこに…)
バレないうちに早く行こうと急いで校舎の中に入り、上の階へと続く階段を駆け上る。
電気のついていたクラスは4階の教室の6年のクラスだった。
3階の踊り場まで来ると誰かがいる声がする。
俺は更に駆け上がりその声がする教室の扉を蹴破る。
「誰だ!」
そう一人の男が叫ぶ。
そう言われてもこちらは一言も声を発さない。
(なるほど…複数人でリンチってわけか…)
胸クソ悪いことをする。
その複数人の男を見渡す。
そこには巡の姿もあった。
巡の下には丸まってうめいている颯太の姿があった。
「てめぇ、そいつを離せ…」
「お兄ちゃん!」
俺がそう言おうとした時後ろから甲高い声がする。
あの娘だった。
「帰ってなかったのか!?」
俺は動揺を隠しきれない。
「そいつ等も捕まえろ!」
そう巡が他のやつに指図する。
俺一人ならいいのだが娘を守りながら戦うのは少しキツイ。
まずは俺の方に来た奴らを殴り飛ばし娘を守る。
そう思っていたので構えていたが奴らはとんでもない行動に出る。
娘を二人がかりで捕らえようとした。
「てめぇ…!」
どこまでも胸クソ悪いことをすると思う。
(この距離からは間に合わねぇ!)
俺は咄嗟に落ちていた鉛筆を投げ一人の男の気を向ける。
「なんだ!」
簡単にその男は乗ってくれた。
その声に反応してもう一人もこちらに気を向ける。
「オラァ!」
俺は体を丸めそのままタックルしそいつ等を吹き飛ばす。
「うごぉ!」
吹き飛ばされた二人は壁にぶつかりあえなく倒れた。
「や、やべぇ…」
そう巡はビビり散らかしている。
「いじめた代償、払うんだな。」
そう俺はいい握りしめた拳を巡の顔面に向けて放つ。
しっかりと手応えを感じ巡はそのまま後ろ向きに倒れた。
「大丈夫ですかい?」
そう俺は颯太に言う。
「あ、ありがとう…」
颯太は弱々しくそう言った。
「お兄ちゃん!!!」
娘は勢いよく颯太に抱きついた。
「ごめんな…心配かけて…。」
とても傷つけられていたのだろう。
涙がそれを表していた。
「あー…お代の件ですが…。」
流石にこの娘に族に入れなどは言えない。
「か、代わりに僕が受けます!」
そう颯太は言う。
「それなら私も!」
娘も颯太と同じように言った。
「わ、わかりました…。」
俺はその気迫に負け簡単に許可を出してしまう。
そう俺が言ったのを聞き兄弟は嬉しそうに顔を見合わせる。
こうして心強い(?)仲間が二人も増えたのだった。

武器 ( No.69 )
日時: 2023/09/07 18:34
名前: ミートスパゲティ (ID: 16oPA8.M)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

宗樹が依頼をこなしていたその時、龍心はあることを考えていた。
(武器がほしい…)
そう考えていた。
武器があるだけでかなり戦闘が楽になる。
大人数の場合ならなおさらだ。
そこで拓海に相談しようと考えていた。
『プルルルルル…』
電話をかけてみたものの数回コール音が鳴り響くだけだった。
音を消しているのだろう。
そう思い、拓海の家まで行き、インターホンを鳴らしてみることにした。
「……。」
やはり反応はない。
出かけているのだろうか。
待っている時間もないので、一人で行くことにする。
俺が向かうのは関西連合のヤサだ。
倉庫のシャッターをノックするとすぐに綾也が出てきた。
「どうした?一人で。」
そう綾也は俺に尋ねる。
「武器について知りたい。」
俺がそう言うと綾也は黙って中に入れてくれた。
ヤサの中は案外広い。
リビングのように使っているところもあれば武器庫のために使っている部屋もある。
作戦会議のための個室もあった。
「レオは?」
俺がそう尋ねる。
「今は一人で喧嘩ふっかけに行ってる。」
一人でって…。
相変わらずやることが恐ろしい。
「で?どんなことが知りたい。」
綾也はある部屋の前で立ち止まって俺にそう聞く。
「種類、数、値段とかだな。」
俺はそう言う。
「そうゆうの系なら実際に見てもらった方がいいな。」
そうその部屋の扉を開け中に入れてもらう
「やべぇな…」
俺はその景色を見て思わず呟く。
部屋の中にはありとあらゆるところに拳銃が落ちていた。
単純にピストルのようなものもあればアサルトライフルのようなものもあった。
もちろん全て木製だが、黒塗りにしてあるためパッと見なら本物に見える。
「種類はこんなもんだ。」
扉の前で立ち尽くしていた俺に綾也が話しかける。
「だいたい何丁くらい持ってんだ?」
俺はそう綾也に聞く。
「これでも200丁あるかないかだ。もちろん、壊れたら即処分だ。」
これでもって、200丁もあれば十分すぎる。
「値段は…買うならアサルトなら安くても3000くらいはするな。」
思っていたよりは安かったが、それでもまだ高い。
まぁおそらくそれほどの高度な技術が必要なのだろう。
「ん?」
そこで俺に一つの疑問が浮かぶ。
「そんな金どこでも仕入れてんだ?」
中学生でもバイトはできるが、生活費や食費、その他諸々合わせてかなりの額になる。
バイトだけなら稼ぎきれると思えない。
「こっちだって売ってるからな。」
そう綾也が俺の問いかけに答える。
「売ってるって…作れるのか?!」
俺がそう驚いて尋ねる。
「俺らアホにそんな大層なことはできねぇよ。他の奴がしてんだ。」
そう綾也が言う。
「他の奴って?」
俺は気になり問いかける。
「俺らの仲間だよ。腕のいい奴がいるからな。」
これを作れるとは相当な腕の持ち主なのだろう。
まぁ何はともあれ勉強になった。
一度してみるのもありかと思う。
「まぁ少し譲ってやってもいいが…。」
そう綾也が言い出す。
「本当か!?」
俺は思わず食い気味に聞く。
タダほど良いものはない。
「あぁ。いいぞ。その代わり…」
そう綾也がニヤリと笑う。
そして大量の資料を持ち出してくる。
「これ、よろしくな!」
そう言いその資料とパソコンを俺に渡してきた。
まとめろという訳か。
まぁ何もせずもらえるわけないよな。
そう思い俺は渋々その仕事を始めた。

徹夜の成果 ( No.70 )
日時: 2023/09/09 23:17
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「ただいまー、って誰もいねぇよなぁ…」
そう抗争から帰ってきた俺は真っ暗な倉庫で一人で呟く。
そこまで大きいチームではなかった。
だがまぁなんとも粘り強かった。
それに加えてスマホの電源が切れてしまい帰るのにも一苦労した。
昼には帰ると言っていたのにかなり遅れてしまった。
「このチャカもダメか…。」
俺はそう今回の抗争で使ったチャカを床に捨てた。
その投げ捨てたチャカが光を反射し俺は警戒の体制を取る。
俺はそのままおそるおそる近づく。
「綾也か…って龍心!?」
綾也かと思って声をかけたのは龍心だった。
「労働労働労働労働労働。」
龍心は休む暇もなくそう言い続けながらパソコンをキーボードをひたすら叩き続ける。
「モ〇スターって…。どんだけだよ。」
俺がそう呟くとようやく龍心は気がついたらしい。
「お前のとこの副総長イカれてるな。」
そうこちらを振り向き一言だけ言うとまた目線をパソコンに戻し操作し始める。
(綾也か…)
関西連合は地方連合と言うだけあって、仕事も多い。
普段は下の奴らが大人数でしてるけど、今はほとんど抗争に貸し出されているため綾也が一人でするしかなかったのだろう。
それを龍心に押し付けたってわけか。
「てかなんでお前がここに?」
俺はそう龍心に聞く。
のこのこめんどくさい仕事をわざわざしに来るやつなんかこの世界に誰一人もいない。
何か理由があるのだろう。
「悪英雄から転職して社畜になりました。」
そう訳のわからないことを言いながら必死にキーボードを叩き続けている。
「話通じねぇな。」
俺はそう呟き理由を聞くことを諦める。
まぁ、仕事中の綾也もいつもこんな感じだからもう慣れているが。
腕時計を見てみるともう夜中の2:00だ。
「家に帰るまで時間がかかるし…。」
ここで寝るしかないな。
そう思い俺は地面に布を引き簡易の布団を作る。
俺はその布に寝転がりまぶたを閉じる。
キーボードの音だけが聞こえる中、俺の意識は暗闇へと落ちていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「んおぉ…。」
俺は体を起こす。
「痛ててて…」
やはり失敗だったか。
布が薄すぎたせいか、体中が痛む。
外を見てみると太陽はかなり高くまで上がっていた。
もう昼頃だろう。
寝すぎたなと思いつつも痛めた体をもみほぐす。
「龍心は…」
そう思い俺は再び中に入る。
龍心はというと結局昨日一睡もしなかったのだろう。
仕事を終えパソコンをつけたまま寝ていた。
「って、データ飛ぶぞ!?」
俺は急いでそのデータを保存し電源を消し充電コードを繋げた。
パソコンの充電は残り2%。
本当にデータがとぶところだった。
「あ。」
結局何でここに来たのか聞いていなかった。
聞こうと思い起こそうとするが随分と気持ちよさそうに寝ているため起こそうとは思えない。
「待っててやるか。」
そう思い俺は龍心の寝ている隣の椅子に座る。
「グゥ~…」
俺の腹の音だ。
朝飯を食っていない上にもう昼だ。
当たり前だろう。
コンビニで何か買ってこようと思い俺は立ち上がる。
「よぉ。」
ちょうどその時、綾也がビニール袋を持って倉庫に入ってきた。
「やっぱここにいたか。」
そう綾也が言うと「ホイ。」といいビニール袋事投げてきた。
中にはおにぎりがいくつか入っていた。
「流石だな。」
俺はそう言うと早速おにぎりを食い始める。
「ところで何で龍心がいるんだ?」
そう綾也に尋ねる。
倉庫にいたのは綾也だけだから知っているはずだ。
「武器がほしいって言ってたから仕事終わらせたらやるって言ってさ。」
そう綾也が俺の隣の椅子に座る。
「鬼かよ。んなもんいくらでもあげたのに…。」
龍心が気の毒で仕方ない。
「まぁ、それは置いといて本当に1日で終わらすとはな…。」
綾也も少し引いている。
元はと言えばあんたがやれって言ったんだろう。
そう言いたい気持ちをこらえ俺も頷く。
「ん…。」
そんな話をしていると龍心がムクリと起き上がった。
「ヤベ!データ!」
起きたと途端真っ先にパソコンを見てそう言った。
「安心しろ。俺が保存しといた。」
俺がそう言うと龍心は安心したように机にうつ伏せになった。
「お疲れさん。」
そう綾也が手をたたきながら言う。
その途端、また龍心は凄いスピードで起き上がり綾也の方を見る。
「さぁ、武器だ。」
そう言う龍心の目は血走っていた。
どんだけやらされたんだよ。
「こっちだ。」
俺がそう思っていると綾也が立ち上がり倉庫の方に向かう。
「チャカ10丁、サブマシンガン5丁、アサルト3丁。それぞれ弾を2000発ずつ付ける。」
そして扉を開きそう言った。
綾也にしてはかなり良い褒美だ。
まぁ、徹夜で働かしたんだからそれくらいがちょうどだろう。
龍心は黙ったまま首を縦に振った。
綾也がトランクケースの中に入れて龍心に渡した。
紙袋か何かに入れてサツに見られたらおしまいだ。
「ケースは今度返せよ。」
そう綾也は龍心に警告する。
龍心は背を向けたままこちらに向かい親指を上に立てる。
「また頼むわー!」
そう綾也が去りゆく龍心の背中に向かい大声で叫ぶと龍心は歩みを止めこちらを振り返る。
「二度とゴメンだ。」
口ではそう言っているが顔は笑っていた。
そして再び歩きだす。
その背中はおもちゃを手に入れた子供のようだった。
俺はそれを見て複雑な感情になる。
「何をぼやっとしてんだよ。」
そう綾也に背中をたたかれる。
「痛えよ。」
そう俺は言った。
武器を貰った子供が喜ぶ。
そんな世界聞いたことがない。
だが今の日本ではそれが当たり前に起きているのだ。
こんな時代は早く終わればいい。
俺はそう思った。
だが待っていたら誰かがやってくれるというわけではない。
自分で変えないといけないのだ。
この世界を。時代を。
そう思い俺は拳を強く握りしめる。
二度とあんな悲劇が繰り返されないために。
俺は歩みを止めてはいけない。
そう思い俺は綾也のあとを追いかけた。

作者からの報告 ( No.71 )
日時: 2023/09/11 22:51
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

こんにちは!
ミートスパゲティです。
この作品を読んでくださっている方に報告です。
なんと今回!夏の小説大会にて金賞をいただけました!
この作品に投票してくださった皆様、本当にありがとうございました!
これからも皆様が面白いと思えるのような作品を書き続けていこうと思うので今後とも皆様、ぜひともお願いします。
そして小説の内容についての報告で毎週月曜、1話とその中の投稿予定を書いていきます。
投稿日はズレることもあるのでそこはご了承ください。
以上、ミートスパゲティからの報告でした!
これからもこの作品を読んでいただけると幸いです。
では!!


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