ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

『完結』些細な嘘から始まった
日時: 2014/02/19 21:39
名前: 碧 (ID: RnkmdEze)
参照: http://enq-maker.com/gMwtJbb




はじめまして。または、こんにちは!
この小説を書いていきますみどり&碧祐と申します。
※更新遅く、駄作ですが、見逃してやってください…((殴

コメをくださると、感激して泣きます。
【碧は、名前を〈琴 〜コト〜〉にかえました!】

罪と輪廻シリーズ第一弾!
「些細な嘘から始まった」
どうぞ、ご閲覧くださいませー。
□■プロローグ■□
些細な嘘だった。
本当に、小さな。
それが間違いだった。
なぜ僕らはこんなことをしたのだろうか。
そう思った時はもう遅かった。
なんて辛いのだろう。僕らがこんなことをしなければ、きっと辛い気持ちにはならなかった。
ねぇ、君。この悲劇をもう一度聞いて見ないかい?
なんども、聞いて。そうしたら、やっとわかるはず。
僕らがどうしてこんなことをしてしまったのか。
まぁ、君たちには必要ないことかもね。
「ごめんなさい」
赦さないよ、絶対に、ね。

■□■□■□■□■□■□■



■登場人物■
・白咲 葵 しらさき あおい(17)女
母が世間からの重圧により自殺した事から世間を自ら避け、冷たい視線でみる悲観的少女。
ごく一般の少女。

・鈴木 一斗 すずき かずと(25)男
頭がよく、機転が良く利く人気No.1俳優。明るい。坂本の使用モデル。

・如月 霞 きさらぎ かすみ(18)女
常に明るく、世界にピッタリ寄り添うタイプ。若手人気No.1女優。彼女は、誰かの過ちにより、生まれてしまった。

・赤坂 雄一 あかさか ゆういち(30)男
白咲のクラスの担任であり、如月の父。かれの過ちにより、妻が自殺したことを、自分の二人の子は知っていない。

・美空 舞花 みそら まいか(21)女
「amanda」のオーナー。
坂本家の親戚であり、明るく穏便。

・坂本 光 さかもと ひかる(17)男
明るいお調子者。ツッコミ役。坂本財閥御曹子。
『梅次郎様』

・坂本 日子 さかもと にこ(不詳)女
光の母。一度離婚したらしい……
情報網が凄く、何でも良く知っている。赤坂、紫音となかがよく、知り合いである。

・清水 乙 しみず おつ(20)男
一斗のマネージャー。めんどうくさがりやだが、哲学好き。二人の男と関係をもっている。ある男の過ちからできた子供。

・水城 鈴 みなしろ りん(17)女
葵の数少ない親友。どMで、たまに鬱陶しい。ある人物と関係をもっている。
『ハナミズキ様』

・水城 拓 みなしろ たく(19)男
鈴の兄。優しいらしいが、いつもは冷たい態度で口数も少ない。ある人物と関係をもっている。

・白咲 紫音 しらさき しおね(41)女
今は亡き葵の母。かなり葵を大切にしていたが、ある秘密を持っている。彼女の過ちにより、子供は葵だけではない。

・坂本 寿樹 さかもと ひさき(41)男
日子の夫。沢山の人と関係をもっており、紫音と赤坂とは知り合いである。彼の過ちにより、彼の子供は光だけではないことを、日子は知らない。

■目次■
〈本編〉
第一話 >>1-3
第二話 >>4-6
第三話>>7-16
第四話>>21-24

【参照100!】番外編>>32-35
【参照200!】番外編>>46-47
【参照1000!】番外編>>125-126

第五話>>24-42
第六話>>43-67
第七話>>68-73
第八話>>74-101
第九話>>102-127
第十話>>128-135
第十一話>>136-147
第十二話>>148-149
第十三話>>150-152

〈あとがき〉
>>153
碧祐 >>154

<長編を読むのが嫌な方、 全て読み終わった方へ>
NGネタ集 >>156-158
↑ふざけてます。
(話以外の事が混ざって読みにくいかもしれません。すみません)

完結記念のイラスト募集中です。>URL
・書いてくださったイラスト
>>84 (葵)
>>161 (葵)

無事に、完結することができました。
これは、皆様のおかげです!
心から感謝致します。

罪と輪廻シリーズ第二弾は、
「必要のない少年と世間に忘れられた少女」
です。
些細な嘘から始まったと関連性がありますので、暇な時にでもそちらもご覧ください。

Re: ■些細な嘘から始まった ■感想 大歓迎 ( No.147 )
日時: 2013/08/17 13:05
名前: 琴 ◆ExGQrDul2E (ID: wA2Rnx1Q)

私は、ハサミを刺そうと、勢いよくハサミを前にやった。
しかし、その時に刺した感触はなかった。なぜなら、その時には、赤坂はすでに倒れて、息をしていなかったのだ。
「え、え?」
流石の私も、これは混乱。
なんで? あれ? 私、サシテナカッタヨネ。
ハサミを見つめる。 少しずつの積み重なりで赤みがかかってしまった刃にも、まだ生々しい血はついてはいなかった。
……やばい。 なんで、いきなり死んじゃったの?
「やってくれますねぇ、葵さん。 僕としたことが、失敗だなぁ」
は?私はなにもしてないし!そんな反論もできずに、寿樹さんの言葉は続く。
「本来はね、貴方が殺る予定だったんです。 だけど、光のせいで、一秒のズレでした。 あなたに殺された赤坂さんが、今ここにいるんですよ」
は? 言っている意味が分からない。一秒のズレってなに、本来ってなに?
「あ、わかりませんか? えー、つまりはね、これは『物語』なんですよ。 あなたの人生、僕の人生、光の人生。 他にも沢山の人生は、全て物語の台本によって動いていたんです」
うわ、ヤバイ。 なんか、物語とか台本とか言い出した。 マジで狂ってるね。
もし、その話の通りだったら、私と一斗のあの出会い、私と光のあの出会い、全て赤坂は知っていて、全て寿樹さんは知っていた?物語ってことは。私は、一斗を鉛筆で刺したのも全て物語?
だけど、信じられる気もする。確かに、赤坂は私が刺す前に死んだ。ってことはさ、私が誰に殺されるか、

この前にいる人はわかっている……わけ?
「あ、やっと分かりましたね。 因みに、貴方は私に殺される。 台本通りなら、ね」
ははは、と寿樹さんは高笑いした。
「でも、変わるかもしれない。 赤坂みたいに、葵さんも一秒のズレで、なんの怪我なく死ぬかもしれない」
やばい、やばいやばいやばいやばいやばい。
怖い。 本当にこれはやばい。
「ちなみに、私の死ぬ時間は?」
「零時です。 ロマンチックですよね、零時ぴったり」
どこがだよ。 人が死ぬ時間が零時とか、こえぇよ。
私は、そう思いながら時計を確認した。
いまは、十時。 あと、二時間後に私は死ぬのだ。
「台本を改竄する方法は?」
「今回は、特別ですよ、教えてあげます。 私の妻、日子が持っています。 それをとって、書き換えればいいのでは?」
「……今は、どこにいるの?」
「そうですね。 今は……病院にいると思いますが。 私にはわかりませんね」
寿樹さんは、微笑む。
きっと、日子さんは見つけられない。でも、見つけなきゃいけない。
寿樹さんは、部屋のドアを開けた。 明るい光が差し込む。
これはきっと、行って来いという意味。
「……」
私は、部屋を出た。

【第十話 END】

Re: ■些細な嘘から始まった ■感想 大歓迎 ( No.148 )
日時: 2013/08/17 13:31
名前: 琴 ◆ExGQrDul2E (ID: wA2Rnx1Q)

【 第十二話 】最終と呼ばれたそれは。

光と、一斗。ごめん、きっと二人は今から寿樹さんに殺される。だって、そんな音がしたから。 二人はもう、終わった。
だけど、私は生き延びる。絶対に。絶対に死なない。
私は、光の家をすぐに出た。裏口から。皆にばれない様に。
そして、病院に向かった。走れ、はしれ。 目の前が、涙でぐちゃぐちゃ。周りの人からの視線が痛い。だけど、走った。意識が遠くなるくらい走った。
前に、坂本病院が見えた。 もう、すぐ。
ドアの前に立つ。 病院は、あいていた。ドアを思いっきり開けて、病院にはいる。 患者と看護師がこちらを見る。そして、一人の看護師が私に聞いた。
「あら、どうしたの、お嬢ちゃん?」
私は、それを無視した。 そんな問いに答えたくない。
廊下を走る。「こら、走っちゃダメよ!」
そんな声は無視。聞くな、私。こんな時だけ、イイコ面をするな。
看護師が見えなくなる頃、私はふと立ち止まる。日子さんは、どこにいるの? この病院は、広い。 探せるのだろうか? だけど、探すしかない。
私は、一階から部屋を覗いて行く。 一百一号室、いない。一百二号室、いない。 ……いない、いない、いない。
そして、四階。 八百一号室にはいる。 ……いなかった。
だけど、そこには手紙が置いてあった。 青いバラを添えて。
私は、手紙を開けて、読んだ。
「ご苦労様でした。 今は何時? もう、終わりですね。 本当に、可哀想です」
それをみるなり、私は八百一号室からでて、廊下にあった時計をみた。 十一時五十三分。あと、一時間七分。
だけど、この病院は、九百室もある。 一時間で足りるだろうか。
でも、考える暇はない。 私は、すべての部屋をめぐる。
そして、九百室目。 部屋のドアを開けた。 そこには、手紙があった。また、青いバラを添えて。
私は、手紙を開く。
「ご苦労さま。 でも、無駄。 今は何時?」
時計を確認。十二時半。あと、三十分。
無理だ。 病院には、いなかったのだ。 日子さんは。
でも、この手紙は、きっと日子さんが書いたものだ。なら、まだ病院にいるはずだ。
ていうか、その前に。 私は、この台本の主人公のはず。 なら、主人公が死ぬのはありえない。 最後の一分で、見つかって、 私が改竄して、私は、生きられる。そうしないと、おかしい。
私は、走った。 体がぶつかった花瓶が割れた。水やガラスが飛び散る。 花が無残に床に叩きつけられた。
でも、知らない。私は、走る。
十二時五十五分。 日子さんは、……いない。
ダメだった。 あと、五分。 探そうとしても、もうダメだ、と心が決めつけていた。

Re: ■些細な嘘から始まった ■感想 大歓迎 ( No.149 )
日時: 2013/08/17 13:56
名前: 琴 ◆ExGQrDul2E (ID: wA2Rnx1Q)

「おい」
そして、後ろから声がした。 私は、振り向く。
そして、その目に映るのは……清水だった。彼が、ヒーロー。
この物語で、私を助けてくれる人だった。
「よし、 葵だな。 あと、四分」
そういった、彼は。 あれ? おかしい。彼は、白咲葵のことは知らないはず。
なんで? もしかして、……寿樹さんの協力者?
逃げる! だけど、無理。 力で大人に敵うわけないし、私には逃げる強い精神もなかった。
「そーいやさ、 これ」
清水さんが、優しい笑顔で写真を見せる。つい、その笑顔につられて、写真をみてしまった。
そこには、もう……死んでいる光の姿があった。ひどい。 こんな、知らせ方があるだろうか。
あっけに取られていると、 清水の携帯がなる。 新しくきたメールを開けると、また私にそのメールについた写真を見せた。
想像していたとおり。 一斗がしんでいた。 なんということだ。 ほんとに二人はもうこの世界にいない。
「……」
私は、もうボロボロ。 心も、体も。
「あ、きたね、 五十秒前。 四十九、四十八……」
清水がカウントするのを、黙って聞くしかなかった。
きっと、誰かが助けてくれる。
「五、四、三、……」
助けてくれる。ほら、登場してよ!ねぇ。
「一。 はい、終わり」
清水は、果物ナイフを取り出した。
ナイフが、私に突き刺さる。ぐさっと。心臓部に驚くほどに正確な位置で。
清水は、優しい笑顔のまま、楽しそうに私の体を切り開いて行く。 まぁ、当然の報いか。 ……私の気は、絶ってしまった。

皆さんに質問したい。 人は……こんなにも簡単に人が殺せるのだろうか。それに、楽しそうに。知っている人を。
私は、殺せるのだろう、と思う。だって、私も殺せたから。
殺す。 これだけ残虐な響きの言葉が他にあるだろうか。だけど、この言葉があるからこそ、 人を殺すことに躊躇しなくなる人間がいるのだ。 この、殺すという事がどれだけ重いか、ということも考えずに。 この言葉は、世界に存在しなければいけないものだ。「殺された」を、この言葉以外で言い表すとしよう。「死にさせられた」?「亡くならせられた」? 意味がわからないだろう。 「殺された」なら、意味は通る。
そして、この言葉は悪い言葉だ。 だけど、生まれた。 なぜ生まれたか。 それは必要があったからに決まってる。
誰かが、人を殺した。 それを、誰かが後世に伝えるために殺すという言葉を作ったのだ。
この言葉は悪い。 貴方も、滅多につかってはいけないものだ。だけど、この残虐な言葉には、昔の人の考えが入っているように私は思う。遺族が、人を死なせることがどれほど悪いことかわかるように。という思いを込めている。そうじゃないだろうか。 私、白咲葵は、そう考えた。
私は、そう考えていたのだ。だけど、人を「殺した」。
私は、とても悪い人だ。 それは、分かっている。
だから、皆さんに伝えたい。
絶対に、人を殺すな。 絶対に。私のようになるな。

死の間際、私は、こんなことを考えていた。
ま、自分の考えが正しいかは、わからないけど。

【第十二話 END】

Re: 些細な嘘から始まった 【参照、本当にありがとうございます!】 ( No.150 )
日時: 2013/08/17 14:38
名前: 琴 ◆ExGQrDul2E (ID: ha1mk1Ar)

【 第十三話 】終わり。そして、楽しみへと。

「本当に、 意地悪ねぇ、貴方は」
「なにをいうんです、 日子。 わたしは、日子のいる場所を教えたじゃないか。 それに、私に協力したお前も、意地悪じゃないか」
「私は、病院にいたわ。 手紙を順に部屋において行きながら。 途中でばれそうになったけれど、良かったわ。 乙が居て」
「結局、あいつに任せたんですか」
「えぇ、彼は嬉しそうに葵を追いかけて行ったわ」
「それは良かったな」
葵が清水に殺られたころ、日子と、寿樹は家で話していた。
すべては、終わった。 邪魔者も消えた。 いま、いるのは、日子と寿樹だけだった。 赤坂もしんだ、紫音もしんだ。
やっと、きたのだ。 この日が。
「そろそろかしら?」
「あぁ」
寿樹は、ポケットからボタンのようなものを取り出した。
そこには、「世界が終わるボタン」と、汚い字でかかれていた。

このボタンは、大人四人が作り出したものだった。
雄一、紫音、日子、寿樹が高校生の頃の話だ。
ある休み時間。
雄一がいったのだ。
「なぁ、面白いもの作ろうぜ?」
彼はそういったものの、作りたいものは、特に決まっていなかった。すると、彼の親友だった寿樹はこういったのだ。
「そうだな、作るか。 世界を終わらせるボタンとか、どうだ?」
雄一は、驚いた。そして、初めて親友に恐怖を覚えた。なにをいっているんだ、この親友は。
だけど、日子はいった。
「それ、いいわね。 でも、できるの? そんなことが」
日子は、肯定してしまったのだ。
「あぁ、出来るんだよ。 この頃、いいものを見つけてね」
そういい、寿樹が取り出したものは、「台本」と書かれた無地のノートだったのだ。
「なに、これ? 」
「台本だよ。 この本に未来を書き込むと、思った通りに未来が動くらしい」
そういいながら、寿樹は試しにノートに「一時に、 先生の頭にりんごが降ってくる」とかいた。一時まで、あと二分。
二分後。 教室の中だから、りんごが突然降ってくるなんて、ありえなかった。だけど、先生の頭には落ちてきたのだ、りんごが。
それで、三人は信じこみ、
「なら、ここに書いていけば、世界を終わらせるボタンも作れるのか」
と喜んだ。
だけど、一人の女だけはちがった。
「ねぇ、そんなことしたくないよ。 やめよ?」
そういい、首を傾げる美少女は、紫音だった。この学校一の美少女である紫音は、黒い髪を腰まで伸ばしていて、いかにも純潔であった。
その美少女にそう言われて、雄一の心は揺らいだ。
「そ、そうだな…… やめようぜ?」
すると、日子は不満そうにいった。
「えぇー、始めようっていったの、雄一じゃんか!」
寿樹も、日子に肯定するように頷く。
やばい、村八分にされる。 それが嫌だった雄一は、紫音にこういった。
「大丈夫だ、紫音。 作るだけで、世界を終わらせたりしないから、な?」
笑顔でそういうと、紫音は黙って頷いた。
それで決定したボタン作り。 「台本」を書くのは、一番文章を書くのが上手い日子に決定。費用は金持ちの寿樹が出した。雄一と、紫音は比較的なにもやらなかった。
しかし、順調には進まなかったのだ。四人が25歳になったある日。
紫音が、やはりやめよう、とまたいい出したのだ。 その時には、大部分は出来上がり、あとは押す部分のボタンを作るだけだった。
紫音がやめよう、といい出した理由。それは……寿樹との子供の誕生だった。名前は、霞。
子供ができた紫音は、ボタンを作るのが嫌になったのだ。
だけど、彼女の否定は聞きいれてもらえない。
そして、三年後。
また、紫音には子供ができた。今度は、好きだった雄一との子供、葵だった。
やがて、紫音はおめでた婚で、雄一と結婚した。
二人とも幸せに暮らしていた。 霞は、児童相談所に預かってもらっていたのだ。
二人とも葵を可愛がっていた。そして、葵の14歳の誕生日、紫音は殺された。

Re: 些細な嘘から始まった 【参照、本当にありがとうございます!】 ( No.151 )
日時: 2013/08/17 15:03
名前: 琴 ◆ExGQrDul2E (ID: ha1mk1Ar)

雄一は、急いで病院へ運んだ。
検査もしたが、どこも悪いところはない。外傷もなかった。
なぜ、死んだのか、と医者も首をかしげた。
でも、雄一はわかってしまった。 これは、「台本」の力であると。
雄一は、葵は適当な施設に放り込むと、日子と寿樹に協力することを決意した。自分は、殺されたくなかったのだ。最愛の人が殺されたとしても。
「協力させてくれ」
二人にそういうと、すぐに迎え入れてくれた。でも、協力しなくとも、ボタンは仕上がっていた。
やがて、日子と寿樹も結婚していたことを知った。そして、二人の子供は、光という男の子だったということも知った。葵と、同い年だった。
いつか、巡り会うかもしれない。 雄一はそう思っていた。
しばらくしたある日。
雄一は、霞のことを思い出した。散々迷ったが、会うことにきめた。児童相談所へいく。すると、 霞は、一人で何処かへ行ってしまっていたのだ。どこへいったのか、分からないままだった。
雄一は、悲しかった。だけど、自然と涙は出なかった。霞がいなくなったことも、日子の台本なのだろうか、と虚しくなったからだ。この木のざわめきも、虫の鳴き声も、すべては日子の台本の中なのだ。
そして、二年後。雄一は高校の教師となった。ある日、テレビをぼぅっとみていた時だ。
「はーいはーい、如月霞でーす!」
笑顔の女が、画面にアップで映る。 あの目の下の黒子……見覚えがあった。彼女が、白咲 霞だったのだ。
雄一は、嬉しかった。 彼女が生きていて、誰かと一緒に過ごしていたことがわかったことが。
そして、葵のことも思い出す。霞のことで有頂天になった雄一は、適当に選んでいた施設へ向かう。 が、そこはつぶれていた。ちゃんと選んでいなかったのがいけなかったのだ。また、絶望した。葵が、どこにいるか分からないのだ。彼は、葵のことは諦めた。
霞さえ、居たらいい。
そして、一年後。 ある女の子が自分の勤務している丸菜学園にくることがわかったのだ。彼女の名前は、如月 葵だった。 霞と、同じところにいたのだ。
そして、彼女の入学式。 雄一は、葵に手紙と鍵を渡したのだ。 「この住所へ行くように」と。自分がやったとは言いたくなかったから、ある人からの伝言だ、と言って置いた。彼女は、きっと雄一の言う通りにしたのだろう。 三ヶ月だった頃には、彼女の名前は白咲葵へと変わっていた。
なぜ、白咲に変わったのかは謎だった。
雄一は、わざと葵に冷たい接し方をした。そのうち、彼女は雄一から離れていった。

そして、夏休みになる。雄一の元へ、一人の男がきた。
それは……懐かしき親友、寿樹だった。仕事によって、しばらく会えてなかったのだ。
「久しぶりだなぁ」
積もる話もあり、一時間を軽く、過ぎた。そして、寿樹はいきなりこう言ったのだ。
「そろそろ、ボタンを押したいんだが」
雄一は、頷いた。 そうだな、と。
ここで、雄一は最愛の人ーー紫音に嘘をついてしまったのだ。
それから、今までの物語の通りだ。 江戸物語で霞を殺してから、ボタンを押す計画は始まった。 一斗と、清水、水城を犠牲にしたのは、ほんとうに悪かった。



Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。