ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 人が本当に変わる時
- 日時: 2012/11/27 10:18
- 名前: 方瀬梨乃 (ID: rplIjWJE)
- 参照: http://yahoosiburikahana
「ばかやろーーーーーーー!!」私は青い空に向かって叫んだ。
ここは屋上だ。その上放課後だから、誰もいない。
なぜ私がこんな事をしているのか。理由は数分前にさかのぼる。
「托、部活終わったかなあ?」私には彼がいた。名前は托斗。中1のとき、付き合い始めたのだ。私はそろそろ部活が終わったであろう托の教室に向かった。「托ー?部活おわっ・・・え?」そこには学年1と名高い岡崎麗と抱き合う托がいた。「たく・・・?なにし・・・・」ガタン
と音を立てて立ち上がった托は呆然とする私にこう言った。「・・・
悪い美紀。俺、麗と付き合う事になったんだ。だから別れよう。」
信じられなかった。信じたくなかった。私はその一心で叫ぶ。「嘘だよ
ね!?托っっ冗談だよね!?」優しかった托。好きだと言ってくれた托
。その托が、私から離れていく。そんな私に生きていく意味なんてない
。絶望なんて、知らなかった私。知る必要もなかったはずの私が今立っているのは、絶望の底・・・そんな私に托はこう言った。「・・・ふん
。今まで付き合ってやったんだ。感謝しろよ?」そう言って托は教室
を出て行った。それが私の叫ぶ理由。「叫んでも仕方ないよね・・・」
1人つぶやく。
- Re: 人が本当に変わる時 ( No.3 )
- 日時: 2012/10/25 18:18
- 名前: 方瀬梨乃 (ID: rplIjWJE)
- 参照: http://yahoosiburikahana
「帰ろ。叫んでも虚しいだけ・・・」考えれば考えるほど淋しさと
悔しさが涙になってこみあげる。分かってた。托みたいな奴が本気で
私みたいな女と付き合う訳ない。こんな私いっそ死んでしまえば・・・
そんなことを思いながら歩いていたその時だ。ドンッ「きゃあっ」
「すみません!前を見ていなくて。」見ればそこには美形な男の人が
いる。「いえいえっこちらこそすみません。」すると彼はバックから
小瓶を出し、私に渡した。
「おわびにも成らないかもしれませんがどうぞ。」という彼。
「モテる媚薬・・・?」小瓶にはそう書かれていた。
「あのっっこれはーーー・・・」たずねようとしたときにはもう彼は
いなかった。「???」何の薬かは知っている。「モテる媚薬」だ。
ただ、どのような効果があるか、いまいち分からないのだ。
そんな物をもらっても、飲めるわけはない。
「・・・いいや。もらっとこ。」貰えるものは貰っておく。それが美紀
の性格だった。
次の日、学校へ憂鬱だったのだが、母に言われ渋々行くと、托がいた。
「あ・・・托」すっ・・・無視だった。私なんかこの世界に居ないみたいに。
ぽろぽろと涙が落ちる。こっちを見て岡崎と笑う托。
ぱたぱたと廊下を走る。死にたい。消えたくってしかたがなくなる。
家に私は戻った。幸い母はいなかった。机に置きっぱなしの薬を飲む。
昨日の薬だ。きっと変な薬なのだろう。死ねると思った。
けど、そんな簡単に死なれたら、神様も困るって言うものだ。
なぜか無償にオシャレをしたくなった。鏡の前に立つと母が使っている
コテを使って髪を巻きだした。綺麗になりたい。綺麗になって托と岡崎
を見返してやる。その気持ちが今私を揺り動かしている。
髪を巻き終わった私は、いつもは面倒で途中までしかできなかった
お団子を2つ結い始めた。わずか1分でお団子を仕上げた私は、買ったもののかわいらしい色は合わないと使って使わなかったリップとグロス
を引いた。
- Re: 人が本当に変わる時 ( No.4 )
- 日時: 2012/10/26 15:02
- 名前: 神園 紫苑 (ID: 4dKRj7K1)
ちょーおもしろい。
私とリレー小説やりませんか。
- Re: 人が本当に変わる時 ( No.5 )
- 日時: 2012/10/26 21:06
- 名前: 方瀬梨乃 (ID: rplIjWJE)
- 参照: http://yahoosiburikahana
急いで軽くアイシャドウを、塗った事もないのに上手く乗せると、
制服のリボンを整え走り出した。
自分が一瞬のうちに綺麗になる。そんなこと考えたこともなかった。
だけど今走っている自分は、数分前よりずっと綺麗だ。
なんて気持ちいいんだろう。
家からはそう遠くなかった学校には、思った通りすぐ着いた。
なぜならさっきの自分じゃ考えられないスピードで走ったからだ。
なのに息は切れていない。私はゴクリとつばを飲んで、校門へ入った。
後ろからの視線にも気付かずにーーーーーー
ガラ・・・控えめにドアを開けて教室に私は入る。
それにもかかわらず、椅子に座った私をみんなは驚きの目で見る。
どうしよう・・・やっぱりメイク変だったのかなあ、なんて考えていると、クラスの中ではいわゆる「キラキラグループ」の中心人物である
相田美月が私にこう言った。「あの、そこは春川さんの席なんだけど・・・。」何を言う。この私こそが春川美紀だ。「私、春川だけど?」しーん・・・・教室が静まり返る。
とその3秒後だった。「ええええええーーーーーーー!?」と
クラス中の人間が掛け声もないのに息ぴったりで叫んだ。
その後のののしり方ったらなかった。
「ええ!?あのブスで根暗の春川!?」「ウソだろ!?こんな美人だぞ
!?」「別人だろ!?」「こんなかわいかったっけ!?」と次々に
思っていた事を口に出し始める。
「ごめんなさい・・・ブスだよね。」ええい。この際ぶりっ子してやる
。言った瞬間だった。一斉に土下座の嵐が始まる。
「いやいやいやっっとんでもないっ」「失礼なこと言ってすいません!
!」「ごめんね!?ごめんね!?」「許して〜〜!!」なんて口ぐちに
言うもんだから面白くなり、「だってブスって・・・」と潤目で言って
やると面白いようにみんながなぐさめる。
みんなが必死過ぎてもはや可哀そうなくらいのレベルだったので、
「そっか・・・よかった」と言い微笑んだ。
その瞬間教室は血の海と化す。みんな口ぐちに「かわいい」と言い、
鼻から赤い液体を出している。さすがに女子はそうならないにしても
頬は真っ赤である。
その日の休み時間の私の机の周りはデイ●ニーラ●ドと化した。
「ねえねえ、友達になろうよ!!」や「下の名前何!?」とか
「いつ暇?」などなど数えきれない数の質問が私に押し寄せる。
それに私はゆったりとほのぼのと答える。
「うん、お友達なる〜♪」「美紀っていうんだ❀」「明日空いてるよ!
」と答えるたびにおお!とかへえ!なんて大きなリアクションがとぶ。
- Re: 人が本当に変わる時 ( No.6 )
- 日時: 2012/10/26 22:08
- 名前: 方瀬梨乃 (ID: rplIjWJE)
ユウさん、読んで頂いてありがとうございますっっ!!
こんな不器用で、かつ読みにくい文を面白いと言って貰えるだけで
幸せです❀
どんどん書いていこうと思いますので暖かく見守って頂ければ・・・
と恐れ入りながらも思っております♪
- Re: 人が本当に変わる時 ( No.7 )
- 日時: 2012/10/26 22:31
- 名前: 方瀬梨乃 (ID: rplIjWJE)
放課後、私は初めて20人もの人と一緒に家路をたどる。
話題は私のことを中心に、質問やスケジュールの聞き込みなど
疲れるくらいだったが、のほほんキャラのため、ゆっくり、かつ丁寧に
1つ1つの質問に答える。
その受け答えの仕方に、誰も文句をつけないから、疲れる事なんてまず
ないのだ。
話していると、学校からそう離れていない私の家にはすぐに着いてしま
った。
にっこりと笑って「バイバイ♥」というと一斉にみんなが「ばいばい」や
「またね」「また明日」と返事をくれた。
自室に行く途中、母と会ったが、「あら、可愛いじゃない。」なんて
普段私の事を褒める事のない母の口から、そんな言葉が出てきた。
「可愛い」なんて、言われた記憶がないから、嬉しくて仕方がない。
気元もいいから勉強なんかしてみよう、と思い机に向かったらあら不思議!どの単元もスラスラ出てくる。
「・・・勉強の必要がない・・・」ありえない。
テストの順位が後ろから数えるほうが、いや数える必要もない・・・
そんな私が単元をすべてスラスラ言えるはずがない。
「!そうだ・・・これもモテる媚薬の効果かも」なんて事だろう。
たまたまぶつかった相手の、たまたまのお返しが私の人生を変えるなんて!!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12