二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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supercell ヒーロー
日時: 2011/07/26 18:20
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

supercellさんのヒーローという曲がとても好きなのでこの小説を書きました。出来る限りストーリーを歌詞に合わせてみました。それと段落がメチャクチャです。すいません。結構最初の方は結構長いので適当に読ん下さい。ぜひ読んでみてください。面白かったらぜひお気に入り小説に入れてみて下さい。
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参照200回を超えました。皆様ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

コメディの方で「魔法少女が壊しに来る!?」というものもやっていますので、よろしければご観覧下さい。そちらの方が数倍面白いです・・・

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Re: supercell ヒーロー ( No.15 )
日時: 2011/05/23 16:47
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第15話
「よし。みんないるな」
フレアの視線の先には数々の武器を持っている戦士たちがいた。
「では行くぞ!!!」
ビー!!!!!!!!とゲートが開いた。

目的の寺院は結構遠く、一時間ほど走らなければならなかった。通り道にいる雑魚のディスパイアたちを放って置いてチーム「サクリファイス」は走っていた。

気がつけば、寺院の周辺にいた。
「陸人と海人は待機して私たちが奇襲してから五分後に来い」
「なぜです?」
「もし全滅してしまったら町へこの事を伝達できなくなってしまうからな。それに、お前
たちはいつも仲が良かったからな・・・・」
「?????」
最後のは理由じゃ無かったのだと思う。たぶん、フレアは最後まで兄弟二人で居させてあげたかったのだろう。もうフレアは全滅することを分かっていたのだと思う。
「突入!!!!!」フレアは寺院のドアを蹴り飛ばした。
蹴り飛ばした途端、強烈な異臭が鼻を刺した。
「っ!!!!なんだ?この臭いは?」
寺院の中では「真っ黒いドラゴン」が人の肉を食らっていた。ドラゴンの周辺には人骨がいくつか転がっていて、強烈な腐敗臭がした。
ドラゴンはフレアたちの方を向いて笑っていた。口からは唾液が大量に漏れている。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
その瞬間、寺院の窓ガラスが全て割れた。一枚一枚が粉々になっている。
陸人と海人を不安が襲った。二人は顔の見合すと、命令を背き寺院の中に入った。
二人は寺院の中の光景に唖然とした。

そこには八つの血まみれの死体が無残に転がっていた。

「ボス!!!!セチルさん!!!!みんな!!!!」
海人は少し発狂状態になりながらドラゴンを睨んだ。
「お前!!!!!!!」
海人は「神風」を抜くとドラゴンへ振りかざした。怒りの衝撃波がドラゴンを襲う。

しかし、その衝撃波はドラゴンの皮膚に触れたとたん消えてしまった。

海人は怖くて声が出せなかった。初めて見る最強のディスパイア。海人はマスターランクであることを自慢げに思っていた。しかし、その誇りが圧倒的な力に簡単にねじ伏せられてしまった。
「どうする・・・どうすれば倒せる?」
仲間の死体が不安をさらに加速させる。
「兄さん!!!!」
叫ぶ陸人の方を見た瞬間、腹部を爪で貫かれていた。
「がはっ・・・・・・!」
口からポタポタと垂れた血がドラゴンの顔に落ちる。
「兄さんを放せ!!!」
陸人は必死にドラゴンに向けて何発も海人と同じ能力「衝撃波」をぶつけた。
しかし、海人と同様にドラゴンに衝撃波は当たらなかった。
「あああああああああああ!!!!!!」
ドラゴンは海人を陸人に投げた。
海人と陸人はすごい勢いで後方へ吹き飛ばされた。
ちょうど吹き飛ばされた所には扉があった。
(やってみるか・・・)
陸人は衝撃波を地面に向けて放った。
すると、砂ぼこりが大量に舞った。その瞬間に最後の力を振り絞って海人を担ぎ、ドアの向こう側へ向かった。
そこは物置部屋のようだった。
陸人は涙が止まらなかった。仲間が皆死に、唯一の頼みである海人も瀕死の状態だからだ。
「陸人・・・これを・・・・・」
海人はそう言うとポケットから青いリングを取り出した。
「兄さん!!!」
陸人は海人と喋れてとてもうれしかった。
「い・・い・・か。これ・・を・・腕に・・つけて・・・ドラゴンを・・・殴れ・・そうすれば・・ドラゴンは・・・消える・・・」
陸人はどう返事をすればいいのか分からなかった。あんなドラゴンにはもう二度と会いたくないが、このままだと二人共死んでしまう。陸人は考えた末、覚悟を決めた。
「わかった!やって来る!」
陸人がそう言うと海人は目を閉じた。
「兄さん?」
海人の胸に耳をやるとまだ心臓は動いていた。
(よかった・・・・)
陸人は利き腕である「左腕」にリングを付けて扉を開けた。

そこにはやはりドラゴンがいた。
陸人は地面を蹴り飛ばし走った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
バン!!!!とドラゴンの顔面に陸人の悲しみの左ストレートが入った。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
その瞬間、ドラゴンの悲鳴と共に陸人の左腕にドラゴンの肉体が納められていった。
「ぐああああああああああああああああああああああ!!!!」
強烈な痛みに耐えていたがついに気を失った。

気がつくと横たわっていた。
激痛がしていた左腕は真っ黒になりドラゴンが封印されていた。
しかし、今は兄さん「海人」の方が大事であった。
「兄さん!!」
ドアの向かい側の倉庫へ入った。
「陸人・・・か」
「うん」
陸人は何故か目頭が熱くなった。
「すまな・・いな・・この・・役目は・・・俺が・・・やる・・はずだったのに・・・・・」
海人の腹部は血であふれて真っ赤になっていた。それを見ると陸人の目からポロリポロリと涙が出てきた。その涙をしおれた海人の指が包んでいく。
海人はニッコリ笑いながら言った。
「泣かないで・・くれ」
その言葉に、さらに陸人が泣いた。
「お願い・・が・・ある・・ん・・だ・・・」
陸人は海人の顔を見た。
「手を・・握って・・くれないか・・・?」
「ヒッ・・・ズッ・・・・・・・・うん・・・・」
陸人は涙で濡れた黒い腕と右腕でやさしく海人の腕を握った。
「それと・・もう・・一つ・・いい・・か・・?」
陸人は手を握ったまま答えた。
「うん・・いいよ・・・」
「俺・・を・・神風・・で・・殺して・・・くれ・・・」
陸人は何を言っているのか分からなかった。
「もうじき・・俺は・・死ぬ・・・・・・・・・・・あんな・・化け物・・に・・・・殺される・・くらいなら・・最愛の・・お前に・・・殺されい・・・・」
陸人は何も言わずにうなずくと、神風を「右腕」で構えた。
「最後に・・・・」
海人はまたニッコリ笑った。
「ありがとう」
陸人は初めてその言葉を言われた。
彼は悲鳴を上げながら海人へ刃を振りかざした。
そして陸人は暴走し左半分がドラゴンとなり倉庫を燃やし、教会を破壊した。
暴走した時の記憶は少しだが陸人の頭の中に残っている。
気がつくと陸人は横たわっていた。
その目にはやはり涙が浮かんでいた。
陸人は思った。

騎士になっても誰も守れないと

陸人は傷だらけの体を引きずりながら町へ帰還していった。

Re: supercell ヒーロー ( No.16 )
日時: 2011/05/24 22:19
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第16話
「まぁそんなことがあってね・・・」
辺りを見ると夕日が教室を指していた。
「その後、サクリファイスは壊滅し全員が死亡。そしてドラゴンは自然と消滅していったということで丸く収まったんだ。そして、僕の能力はそれ以来なにか危機的状況が起きない限り発動しなくなったんだ」
僕は時計の針を気にしながらしゃべり終えた。
「そろそろ帰ろうか」
結衣さんは僕に申し訳ないことをしたというような顔をしていた。
結衣さんの目は僕の方を向いてはいなかった。
僕たちは荷物をまとめると教室を出て玄関へ向かった。
「わー。桜がキレイ」
玄関で結衣さんが指を刺す方向を向くと桜が舞っていた。
まるで、サクリファイスのメンバーが死んでいったように。
あの時なぜ、みんなを守れる力が無かったのだろうか?
そんな感情が僕を包んだ。
「おー。確かにすごい」
僕は口から出任せを言った。今の心境じゃ綺麗か綺麗でないかなど区別が付くはずがない。
無言で僕たちは帰り道を歩いた。ただ目の前に広がる帰り道を歩いていた。
その距離がまるで無限大にあるように感じられた。
しかし、たまにはこういうのもいいと思う。
そんなことを思った時だった。

目の前にありえない人物が現れた。

僕は思わず手に持っていた「神風」を落としてしまった。
「兄・・さん?」
僕は手の振るえを抑えることが出来なかった。
死んだと思っていたあの最愛の兄が生きていたからだ。
「兄さん!!」
僕は感動を抑えきれず兄に駆け寄った。すると兄の口は弓のように曲がり笑った。

「死ね」

ドスッと鈍い音がした。
「に・・い・・さ・・ん?」
兄さんは刀を抜くと苦い顔になった
「近寄るなこのゴミクズ」
「陸人!!!」
結衣さんが悲鳴を上げてこちらへ向かってくる。
「おっと」
兄さんは結衣さんの手を取った。
「君が目的なんでね」
「えっ?」
すると兄さんは結衣さんの胸に手をかざした。兄さんの手には白い石が握られていた。
兄さんが手をかざした瞬間、結衣さんの胸が青白く光った。
「やはりそうか・・・この子が「ボス」の言っていた「シソーラス」
か」
僕は兄さんの今の発言に気になる言葉が二つあった。
まず「シソーラス」とは何か。
もう一つは「ボス」の存在。あの日フレアは死んだはず。ならばボスとは誰なのだろうか?
「陸人この子は預かっておくよ」
そう言った瞬間に二人ともどこかへ消えていった。
「兄さん・・・・」
確かに今のは陸人の知っている「池川海人」だった。しかし、中身は全くの別人だった。
だがそんなことよりも今一番気になるのは、なぜ「池川海人」が生きているかということだった。
僕は力を振り絞った。
「クッ・・・・」
(もう学校は開いていないか・・・)
僕は落とした神風を拾い地面に突き刺し、刺された傷口を押さえながら家へと帰っていった。

Re: supercell ヒーロー ( No.17 )
日時: 2011/05/27 21:08
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第17話
今日は雨が降っていた。
ジメジメとした湿気が傷口の包帯を汗で濡らさせる。
「よいしょ・・・」
傷が少々痛みながらも僕は学校へ行く準備をした。
一刻も早く学校へ行き、結衣さんがさらわれたという事態を伝えなければならないからだ。

神風を片手に僕は家のドアを開けた。傘を差すと走れないので、濡れるのを覚悟して学校までの道のりを走った。

なぜ兄さんは生きているのだろう?

そのことが昨日からずっと気になっている。
兄さんは僕の手で止めを刺した。さらにドラゴンとなり、兄さんを焼き尽くしてしまった。
その兄さんがなぜ今豹変して僕の目の前の現れたのだろうか?
僕は頭が困惑するのを必死に抑え走った。

「ん?あれは・・・・?」
学校に着く一キロくらい前の広場で、ずぶ濡れの校長先生がこっちを見て立っていた。
(なんであんなところに校長先生が?)
「なにをして・・」「おはよう。陸人君」
[なにをしているんですか?]と質問しようとした前に校長先生が僕に声をかけてきた。
「実は今からとても大切な話を君にしようと思っていたんだ」
その瞬間、校長先生の口と目から大量の血が流れ出た。雨の水と混ざってかなりの量の血が流れ出している。
「校長・・先生?」
校長先生は血が流れるのとともに皮膚も剥がれていった。

「!!!!」

そこにいたのは校長先生ではなく「ディスパイア」だった。
僕は危険を感じて神風を抜いた。
「まちなさい。大切な話があると言っただろう?」
「なんなんだ?」
僕は目を細めた。
「私の能力は「死者蘇生」。死んだ者を生き返らすことが出来る」
「その能力で兄さんを生き返らしたのか?」
僕はだんだんと怒りがこみ上げてきた。
「正解。しかし、この力はやっかいでね」
ディスパイアは自分の腕を憎たらしい目で見た。
「私の能力の発動条件は二つある。一つ目は生き返らしたい人間や動物のことで感情が高ぶっている人間に出会うこと。そして二つ目はその気持ちを持っている人間と目を合わせること」
僕は思い出した。この前このディスパイアに呼び出されたことを。
そして、こいつの口車に乗せられて、まんまとこいつの思う壺にはまったことを。
「私は君の生まれる前から、君の知っている校長を殺し、その肉体を我が物にしていた。」
僕はもう何がなんだかわからなかった。
「私の能力で蘇らした生物は生前の憎しみの感情しか持っていない。そして、私に従うようになる」
「兄さんに・・・」
僕は左の拳を怒りに任せて強く握った。
「兄さんに何をした!!!!」
混乱している中僕の左腕が異常な形に変化していっているのが分かった。

陸人の左腕は、降り注ぐ雨を溶かすような黒い煙を上げて、鋭さを増していった。
それと同時に肩から巨大な角が生成されていった。

僕は左腕をディスパイアに向けて突きつけた。
ただ自分の怒りと困惑している苛立ちを乗せて放った。
「これがあの「ドラゴン」の力か」
そう言うとディスパイアは軽いステップを踏み、無闇に襲い掛かる腕を軽々しく避けた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」
僕は問答無用に拳を振り上げた。
「そろそろいいな」
パチッとディスパイアは指を鳴らした。
その瞬間、僕の左腕は白い刃に止められていた。
そこにいたのは「池川海人」だった。
「兄さん・・・」
僕が兄さんの顔を見た時、なぜか平常心を取り戻した。同時に僕の左腕が通常の腕に戻った。
「帰りましょうボス」
「待って!!!!!!!!!!」
聞く間を取らずに兄さんとディスパイアは消えていった。


「やぁ。結衣君」
結衣は何も言わなかった。
「目隠しを解いてやれ」
校長だったディスパイアの部下によって目隠しが解かれた。
何時間も目隠しをされていたので目が霞んだ。
時間が経つにつれて、ぼやけがだんだん取れてきた。
「っ!!!!!!」
声が出なかった。
そこには八人のディスパイアと、その中でタバコを平然とくわえている人間がいたからだ。
「ようこそ「新サクリファイス」へ」
一番位が上のようなディスパイアが結衣に手を向けた。
「君は十人目のメンバーだ。私はここのボスの「アイラ」だ。改めてよろしく。「死人君」」
「??????」
(なぜそのことをこいつが知ってるの?)

外の雨はさらに勢いを増して、窓ガラスへと怒りをぶつける様に突き刺さっていた。

Re: supercell ヒーロー ( No.18 )
日時: 2011/05/29 21:13
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第18話
中村結衣の父「中村響」は優秀な研究者だった。
彼は結衣の母である妻がディスパイアに殺されてから、狂ったように数々の作品を作り上げていった。彼の作った作品には「神風」やディスパイアを封印するための青いリング、通称「蒼の輪」などがある。彼は自分の作品を大量生産しなかった。
理由は、自分の作品が悪用されるのを最小限に止めるためと、一つの作品の性能を最大限までに上げるためである。
彼はたった一人の娘を研究をしながら大事に育てていった。

しかし、ある日彼の娘「中村結衣」が急に大量の血を吐き出し倒れた。
そして彼女はそのまま帰らぬ人となってしまった。

検査の結果、原因は放射能による細胞破壊だった。彼女は一般の人よりも放射能に弱い体質であることが分かった。
中村響は絶望した。妻を殺され、ついには一人娘まで失ってしまったからだ。

どうする?

どうすればいい?

そんな自分の声が彼を飲み込んでいった。
そんな彼の頭をある考えが救った。

「いや、まだ救える」

そう言うと中村響は、娘の死体が腐敗しないように自ら作った冷凍倉庫の中にいれた。
それから彼は死にもの狂いである作品の製作に取り掛かった。
妻が死んだときよりも一生懸命作品を作成した。

「出来た」
月日が大量に流れ、ついに「シソーラス」は完成した。
「シソーラス」はあらゆる物体を結合させる能力を持っている。
そして、副産物として物質を分解させる能力も持っている。
彼は娘を冷凍庫から出し、実験台の上に乗せた。
「顔はあの時のままだな」
結衣の顔は仮死状態と同じ状態になっていたので、小学三年生の時のままだった。
「よし」
中村響は娘の胸をメスで開け、「シソーラス」を埋め込み、心臓マッサージをした。
「どうだ」
まだ動かない。

まだ。

まだ。

まだ。

ドクン・・・・

小さな音が彼の耳と手を伝って伝わってきた。
「結衣!結衣!」
大きな瞳がゆっくりと開いた。
結衣はニッコリ微笑んだ。
「お父さん白髪増えた?・・・・・なんで泣いてるの?」
「うるさい・・・」
彼は嬉しくて涙が止まらなかった。

また楽しい生活に戻ったが、悲劇はまだ続いていた。

「ただいまー」
結衣は中学校から帰ると、元気良く家のドアを開け居間に入った。
「!!!!!!!!」
するとそこには拳銃のようなもので撃たれた父が倒れていた。
「お父さん!!」
必死で声をかけるが返事がない。
「結衣・・か・・・」
「うん!」
そう言うと父はテーブルの方へ指をさした。
「あそこ・・に・・白い・・石・・が・・あるだろ?」
結衣は急いでテーブルへ駆け寄った。
そこには、昔母が生きていたころに三人で行った砂浜で拾った石が置いてあった。
「それ・・を・・胸に・・かざして・・みろ・・」
結衣は言われるがままにその石を胸にかざした。
そうすると、胸のシソーラスが輝いた。
「その石は・・きっと・・お前を・・・守ってくれる」
父はかすれた声でそう言い告げると静かに眠りに付いた。

後で判明したことだが、結衣の父は彼の成功を良く思っていなかった協力者に殺された。
そして、協力者は彼を殺した後、なぜか車で海に転落し死亡した。まるで操られていたかのように。

Re: supercell ヒーロー ( No.19 )
日時: 2011/05/29 13:23
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第19話
なんでこいつは私が一度死んだことを知っているの?
そんな疑問で私の頭は埋め尽くされていった。
「おや、驚いているようだね」
アイラはそう言うと、海人に手を差し出した。
「ハッ」
こういうのを以心伝心と言うのだろうか。
海人は白い石をアイラに渡した。
「これは君のだね?」
「!?」
なぜそれがここにあるの?
高校に入学した時に重要な品として学校に預けたはずなのに。
「君のいた学校にはね、たくさんの資料があるんだよ。知っていたかい?」
なぜこいつは私の学校のことを知っている?
「たとえば、君の体に「シソーラス」が埋め込まれているとか」
「!!!!!!!」
なぜ?なぜ?なぜ?
私は全て見透かされているような気がしてきた。
まるで、クローンの自分と話しているようだった。
「しかし残念なことに、この石についての資料には「この石をシソーラスにかざすとシソーラスが光り輝く」としか書いていないんだよ」
アイラは石を結衣の前へ転がした。
「どう使うのかな?」
そんなこと私にも分かるわけがない。
この石のことについて聞く前にお父さんは死んでしまった。
結衣はただ黙っていた。
「・・・そうか」
アイラはため息を付き、微笑むと拳を握った。
「多少痛い目を見ないと口を開かないようだね」
アイラは拳を結衣に向けて振るった。
「ッ!!!!」
結衣が目を背けた瞬間、

カッ!!!!!!

とてつもない光がその場を包み込んだ。
気がつけば、結衣の腕を縛っていた縄は分解されていた。
「そうか・・これが「シソーラス」の力か・・・」
結衣は縄が解けたのに気がつくと素早く転がった石を拾った。
「さて・・・じゃあその石はどんな効果があるのかな!!」
アイラはさっきよりも強く拳を振るった。

(その石は・・きっと・・お前を・・・守ってくれる)

「お父さん・・・」
お父さんの言葉が私の頭に響いた。
私はそのまましがみつく様に石を胸のあたりで強く握り締めた。


キィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!


耳を塞ぎたくなるような高い音が皆の耳を襲った。
「なんだ?」
アイラが結衣に目を向けると、彼女の胸を軸にして美しい二つの輪が回っていた。
「何が起きている?」

パン!!!!!!!!!!!

二つの輪の光が音を立てて飛び散った。
するとそこには「それ」があった。
「それ」はとても美しいフォルムで神風とは違い、長くとても細い刀だった。
「それ」は結衣の目の前で激しく輝いていた。
「これは・・なんなの?」
結衣は「それ」を手に取った。すると、頭の中の文字が流れてきた。
{たぶん、この刀がお前の手元に行くときは、私はいないだろう。これはお前の能力を最大まで引き出せる刀だ。お前は太刀をいつも使っていたから、お前が使いやすい形状の太刀にしておいた。これは必ずお前の助けになるだろう。お父さんがいなくてもがんばって生きろよ。最後に、この刀の名は「月下美人」という名前だ。お前にぴったりだろう?}
そして、頭の中の文字は消えていった。
私は嬉しかった。
父が私のためにこの傑作である「月下美人」を作ってくれたことが。
私は悲しかった。
父との思い出を思い出してしまったからだ。
父とは母よりも長い時間を共に過ごしていたので、父が死んだときの悲しみは大きかった。
人は人の優しさを知ると、その人が亡くなった時に優しくされた分だけ悲しむ。
父は殺されてから、もう父のことにとらわれずに父のことを忘れて明るく生きようと決意した。
もう父のことは忘れたつもりだった。
しかし、父を思いもよらぬ形で思い出してしまった。
強く父との記憶を思い出して涙が少しずつ出てきた。
「私、がんばるよ。見ててね「お父さん」」
私は涙を拭き、「月下美人」を握った。
(私が生きることが父への恩返しになる。)
これからは父の形見として、この月下美人を使い過去を背負って生きていこうと決意した。
(これって、なんか陸人に似てるな・・・)
クスッと笑うと刀を構えた。
「正気か?この人数を倒せるわけがないだろう?」
アイラは馬鹿にするような口調でけなしてきた。

ああ、確かに倒せるわけがないだろう。
「新サクリファイス」と言うくらいだ。ここにいる皆がエース以上の実力を持っているだろう。
しかし、こいつらの仲間になったらいつまでも生きている意味は見つからないだろう。
悪あがきをしてでも学校へ町へ、いや、陸人のもとへ行かなくてはならない。
そして、生き続けなければならない。
結衣は心の中でそう呟くと月下美人をアイラへ向けた。


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