二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜参照七百超感謝!
日時: 2013/02/02 17:27
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

開始日【2012.9.22.】

皆さん!こんにちはじめましてっ!!

暇人作者、桜舞姫です。
今回も薄桜鬼で行きたいと思います。掛け持ちが溜っていく…

まぁ、ここでは簡単な挨拶のみ。次回のスレッドから、色々詳しい
事情はどうぞ。

目次 >>5

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Re: 薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜【「作者より」新更新】 ( No.20 )
日時: 2013/01/04 16:55
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

十二話 情報

広間の中で、幹部達は全員呆れかえってしまっていた。
先程から彼女が、どんな問いかけをしても答えない。俯いたまま
完全黙秘を続けているのだ。

「……………」
「……………フン」

鬼の副長と名高い土方の鋭い視線(殺気入)を真正面から受け付けて、
よくもつものだと感心する一方、よく続けるものだと呆れてもいた。

「………おい。」
「…………(睨)」

広間に連れてこられてからまだ十数分だが、幹部達は早くも一刻ほどの
経過を感じていた。

「ひそひそ(ヤベ—よ左之さん!そろそろ土方さんキレんじゃね!?)」
「ひそひそ(俺に言うな!…にしても強情だよな、あいつ)」
「ひそひそ(面白いんじゃない?まぁ、しつこいとは思うけど)」
「ひそひそ(総司、面白がるものではないだろう)」

痺れを切らした幹部達がコソコソと会話を始める。そんな中でも、
広間の中心の時間は堅い。

「〜っいい加減にしやがれ!!口が聞けないわけじゃねぇんだろ!?
 名前くらい名乗りやがれ!!」
「………煩いですね」
「あぁん!?」
「ま、まぁまぁトシ…」

結局は土方も痺れを切らし、広間に怒鳴り声が響いた。隣に座っていた
近藤が、慌てて宥め、それに山南も続いた。

「土方君、落ち着いて下さい。…貴方は先程の二人に、`千乃様`。そう
 呼ばれていましたね」
「……えぇ。」
「それに加えてあの術。…もしかして貴方、『言の葉』の一族では?」

その言葉に少女がすごい勢いで顔を上げた。そして次の瞬間、山南に
掴み掛ったのである。

「何処でその一族の事を!?一体どのようにっ…!?」
「おい落ち着けよっ!!」

原田と永倉で少女を引き離すと、途端にその場に崩れ落ちてしまった。
右目を押さえ、呻きながら。

「う、くぁ…」
「だ、大丈夫ですか!?」
「!…離れよっ!!」
「きゃぁっ!!……う…」

心配した千鶴が駆け寄ると、どういうわけか彼女の一喝で上座付近まで
吹き飛ばされてしまう。次の瞬間には、床に叩き付けられていた。

「う…」
「千鶴っ!?」
「あ……!」

一番近くにいた土方が抱き起こすと、ふらつきながらも立ち上がった。

「大丈夫か?」
「う…はい」
「おいてめぇ…!」

千鶴を支えた状態で土方が睨みつけると、少女はびくっと身を震わせ、
頭を下げた。

「ごめんなさい!その、反射神経というかっ…!」
「い、いえ。…でも、今のは…?」
「………」

千鶴が問いかけると、今度は目だけを伏せて沈黙した。罪悪感から
だろうが、話そうとはしない。しかし、そこに斎藤が口をはさんだ。

「まさか、雪村にあんなことをしておきながら、黙秘するか?」
「っ………わかり、ました」

きっと顔を上げて、幹部全員を見回していった。

「全て、お話します」


Re: 薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜【「作者より」新更新】 ( No.21 )
日時: 2013/01/19 12:20
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

十三話 真実

広間の真ん中にある座布団に座ろうとして、少女は千鶴を振り返った。

「あの、何処か痛む所は…?」
「え?ん…ぶつけた肩が少し…でも大した事じゃ」
「こっちへ…」

千鶴が言い終わる前に、少女が優しく引き寄せた。後ろを向かせ、千鶴が痛みを訴える場所に軽く手を当てた。

「おい…」
「今我が内に眠る力よ、その存在を示せ。彼の者の抱えん痛みを解き、
 彼の者を苦しみより解き放ちたまえ…」

小さな声で言葉を唱ると、手を当てた部分が小さく蒼く光った。やがて
静かに手を離す。

「これで大丈夫なはず」
「今、何を……」
「それも、今から説明します。」

そのまま少女は、座布団に座った。そして、長い語りが始まった。

「私は楪千乃といいます。ですが、普段は名と名字を
 反転させ、千乃楪と名乗っています。」
「偽名、という事かね?」
「はい。…奴らに見つからないように」

近藤の問に対し頷く千乃をみて、原田が首をかしげた。

「だが…そんな単純な反転法じゃ、すぐにばれそうなモンだが」
「いえ。意外にばれないので、使い続けています。まぁ、そろそろ
 限界が近いですが」

苦笑いする彼女に、次は千鶴が質問した。

「あの、さっき私に何を…」
「肩の痛みは、ひきましたか?」
「え…あ。痛くない、です」
「それはよかった。…先程貴方には、術を施させていただきました。
 治癒系の術で、患部の時間を進めて痛みを退かせたんです。…あの、
 分かります?」

曖昧に頷く近藤、原田。理解するように頷くのは千鶴と土方、斎藤や山南など、頭脳派の面々。平助と永倉はお手上げ状態で、沖田に関しては
薄ら笑いを浮かべているだけだ。『どうでもいい』のが本音だろう。

「しかし楪君…。君は時間を操ったという事ですか…?」
「そういや山南さん。あんた、こいつ等の事知ってるのか?」

土方の問に対して、曖昧な笑みを浮かべて頷いた。

「知っている…と言うほどではありませんが。何かの書物で読んだ事が
 あります。たしか…関ヶ原の戦時、東軍に味方した妖術使いの組織が
 あると。最近は、噂さえも耳にしないとの事ですが」

まあ、真偽のほどは定かではありませんが。
そんな山南に、楪は大きく目を見開いて素直に感心している様だった。

「驚きました。そんなにも情報を知っているとは。足りない分は、私が
 ご説明します」

説明する、といった彼女は、途端に無表情になった。まるで、滲み出る
悲しさと悔しさを押し隠すように。

「私達は、言ノ葉術と言う能力を持つ一族です。生れつきもつ者も、
 成長して力を得る者もいて、様々です。…私が知っているのは、それ
 くらいなんです。」
「ふぅん。僕は大して興味ないからいいけど。そんな少しの情報じゃ、
 近藤さん達が困るんだけど?自分の一族について相当な無知——」
「知りたくなくて知らないんじゃありませんッ!!」

沖田の刺々しい言葉に、千乃は思わず怒鳴り返していた。広間が静まり
かえり、厳かな千乃の声が続く。

「噂をきかなくなったという話ですが…それはそうでしょう。だって
 言の葉一族は衰退の一途を辿り、私達楪家だけになりました。その
 私の家も約十年前…私が5歳の誕生日を迎えたその日……」

その口から飛び出した言葉に、幹部達は押し黙った。彼女は今、確かに
いったのだ。

「その日…




 
 …人間の手にかかり、滅亡したのですから」

と。

Re: 薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜【「作者より」新更新】 ( No.22 )
日時: 2013/01/19 17:42
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

此処で皆さんにちょっとお知らせ…つーか宣伝です!!

最近より、「小説カキコ紙ほか(新)」の方で、夏目友人帳の小説を
始めました!!ぜひ見に来て下さいね。

桜舞姫、まっだまだ走り続けますよォォォッ!!!

Re: 薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜参照600超感謝! ( No.23 )
日時: 2013/01/26 17:12
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

十四話 死にぞこない

「—滅亡したのですから」

それが、長く冷たい、封印された告白を締めくくる言葉だった。
誰も身動きしない。いや、出来なかった。千鶴でさえ、口元に手を当てるのが精いっぱい。この空間は、震える事すら許していなかった。

「……よく、わかった」

擦れた声を絞り出すように発したのは、斎藤であった。彼も、額に
他の幹部同様に、冷や汗をびっしりと掻いている。

「こんな私の力を狙って、あの二人…燐華と凍真は来るのです。私が
 此処に居たら、また来るだけじゃない…貴方も危ないかもしれない
 から…」
「え……!?」

千乃が『危ない』と視線を向けたのは、千鶴だった。その表情に当然の
事、幹部達が問いただす。

「おい、そいつはどういうこった!!」
「土方君……先程の二人の台詞ですか?」
「えぇ。まるで、彼女を捜していた…というより、あえて好都合、と
 云う感じでしたから」

暫く千鶴を見つめ、また前に視線を戻す。

「なるほど。そしてお前は、何らかの理由で運よく滅亡には巻き込まれ
 ることなく、助かったという事か?」
「助かった…んでしょうね」
「何?」

ゆっくりと顔を巡らせ、千乃は斎藤に視線を合わせた。淡青色の瞳と
漆黒の瞳が、一つずつ斎藤を捕らえた。

「………っ」
「確かに、そうです。私は助かった。でも私自身は、そう思いません。
 思うつもりもありません」
「………?」
「私は助かったんじゃないんです。私は………ただ単に、生き残って  しまっただけの…






 死に損ない…」

Re: 薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜参照600超感謝! ( No.24 )
日時: 2013/02/02 17:26
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

一五話 私という存在

その後、彼女を見かねた近藤と土方の提案により、一室で休ませる
事となった。

「斎藤、こいつを部屋に頼む」
「な…私の話を聞いていたんですか!?ここにいたら私はッ」
「来い」
「あ、ちょっ…!!」

有無を言わせない表情と足取りで、斎藤と彼女は広間から消えた。


夜の冷気により冷え切った廊下を、斎藤はぐんぐん進む。勿論、彼女の
手首を握りしめて。

「……初めてです。」
「何?」
「貴方が初めて。私のあの話を聞いて、『よく分かった』なんていった
 人間は。」
「…あの話、他人にそうそう話せるものではないだろう?」
「えぇ。ですから話した人間はそんなにいません。」

二人は廊下を静々と進む。いつの間にか、斎藤は手の力を緩めていた。

「私は時間を操る…その気になれば、世界を滅ぼすなんて造作もない。
 そんな私の力を狙って、彼女達はやって来る。私は、不安定な
 存在だから…」
「…お前は分かっているのか?組織の黒幕が…」

斎藤の問に、千乃はフルフルと首を振る。
そんな彼女に、斎藤は何も言わなかった。


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