二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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BLEACH 零を背負う者
日時: 2009/12/26 23:05
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

 せっかく立て直したのに、また消えてしまった。
 一体なぜなんだ?!

 という事で、もう一度はじめます。

 よろしくお願いします。


目次

 1 プロローグ                10 るかと舞奈
    >>1                      >>17 >>18
 2 零番隊の秘密             11 それぞれの覚悟
    >>2 >>3 >>4 >>5           >>19
 3 双子の隊長              12 るかの陰謀
    >>6                      >>20
 4 始まりの人物              13 空白の一日
    >>7                      >>21
 5 藤原家と朽木家             14 るかの誘惑
    >>8 >>9                   >>22
 6 訪問客                 15 昔の舞奈と今の珠
    >>10                      >>23
 7 開戦の合図               16 終わりの始まり
    >>11                      >>24
 8 塗りつぶされた真実           17 輝く紅き月
    >>12 >>13 >>14 >>15         >>25 >>26 >>27
 9 十一番隊にて              18 零番隊出動
    >>16                      >>28


過去編 紅葉・楓
 19 落ちなかった落ち葉
    >>29 >>30 >>31 >>32 >>33
 20 応え
    >>34 >>35 >>36
 21 始まりの場所
    >>37 >>43

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Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.29 )
日時: 2009/12/26 18:23
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

29 落ちなかった落ち葉
  楓 視点

 俺はあの時、全てをあきらめかけていた。
 だが、隊長のあの言葉で、俺も紅葉も救われたんだ。


 真っ赤に燃え上がる炎。崩れていく屋敷いえ。そして、夜空にはためく白い、『零』と書かれた羽織。
 幼かった俺達には、何が起きたのか、よく分からなかった。でも、一つだけ、理解した事があった。


 自分達に帰る家はもうないんだと。


 俺は紅葉を見た。紅葉も涙でぬれた顔で俺を見る。

 「行こう、紅葉。ここから離れるんだ」

 そして、俺は紅葉を連れて山奥へと、身を隠した。


 俺はあの時、なぜ隠れようとしたのかは、今でもよく分からない。いわゆる本能ってやつかな?いや…たぶん俺は怖かったんだ。あの白い羽織を着た奴が、また自分達を殺しに来るんじゃないかと……
 俺の家、宮輝家は四大貴族には入らないが、それでも、なかなかの権力と財力、そして名誉を誇っていた。
 そして、父上はいつも、俺と紅葉に言い聞かせていた事がある。

 「私たちは瀞霊廷に、死神に守られているかた、今の私たちがあるんだ。だから、決して瀞霊廷を裏切ってはいけないよ」


 俺と紅葉は山の中で、どれ位隠れたのだろう? 夏が終わり、秋がやって来て、山の木々は葉を全て落とした。
 俺はその時思った。
 俺達はの運命は自分達の名前と同じだ。楓も紅葉も、最初の頃は色んな人に観賞されて、ほめられる。だが、それは一瞬のことで、すぐに地面に落ちて、人々に忘れ去られる。
 もうすぐ冬が来て、食べ物の見付からなくなる。その時、俺達はどうすればいいんだ……

 「楓兄ちゃん…山を……降りよ?」

 「…そう、だな……」


 山を降りて、自分達の家に戻った。焼け跡はそのままだ。

 「そこで何してるの?」

 後ろかた声がした。振り返ると、黒い袴を着た女の子がいた。俺達よりは年上だが、まだ子供である事に変わりはない。

 「ここは俺達の家だ。自分の家にいちゃ悪いのかよ!!」

 すると、女の子は少し眉をひそめた。

 「もしかして…あなた達、宮輝家の者?」

 「なっ、なんで知ってるんだよ!!!」

 「そうなんだね。あなた達、うわさで聞いていた宮輝の双子さんね。名前は?」

 「俺は楓…」

 「…紅葉……」

 「そっかぁ! よろしくね、楓、紅葉。あたしは朽木 舞奈だよ」

 「く、朽木って、あの四大貴族の?」

 と紅葉。

 「う〜ん、昔はそうだったけど、今はもう違うかな?」

 笑いながら「あっ、でもそんな昔でもないっか」と付け足したその人を見て、俺は気付いた。
 こいつも、俺らと同じで帰る家がないんだ。

 「じゃ、行こっか!」

 そう言いながら、朽木 舞奈は俺達に手を差し出す。

 「へっ…? ど、どこに?」

 「瀞霊廷だよ」

 舞奈はそう言って、俺らの顔を見るって…瀞霊廷ぇーー!!! ななな、なんで?!

 「なな、なんでだ?」

 「だって、宮輝家は瀞霊廷に忠実で有名でしょう? だから、信用してもいいかなって」

 「だから、それだけじゃ全然分かんねぇーよ!!」

 「つまり、死神にしてあげるって事。そうしたら、隊舎にも住めるし、食べる物にも困らないでしょう?」

 「ね?」と付け足すと、舞奈は先に行ってしまった。

 「どうする…? 楓兄ちゃん……」

 「ん〜 そうだなぁ…」
 確かに、あいつに言うとおりだ。死神になれば、生活には困らない。

 「とりあえず、着いていくか!」

 その時、俺は気付かなかった。舞奈が小さな声で何かを言った事、そして、こっそりと手の甲で目をこすったのを。

 「ゴメンね…楓、紅葉。全部、あたし達のせいなんだ……」

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.30 )
日時: 2009/12/26 18:24
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

30 落ちなかった落ち葉2
  楓 視点

 瀞霊廷に入ってすぐに、舞奈に大きな屋敷に連れて行かれた。そして、何ヶ月振りだろう?おなかいっぱいご飯を食べて、温かい布団でぐっすり寝た。
 ん…もう朝? 太陽の光が眩しい……昨日、ちゃんとふすまを閉めればよかったなぁ……
 もう一度寝ようとも思ったが、もうすっかり目が覚めてしまっていたため、仕方なく起きる事にした。
 隣で寝ている紅葉を起こさないように、起き上がる。
 ひまだから、この広い屋敷を探検してみるか…


 少し歩くと、中庭は目の前に広がった。
 それにしても、広いなぁ〜 俺の家の二倍はあるよ
 そんな事を考えながら、さらに前に進んだ。縁側の曲がり角を曲がろうとすると、人影が二つ見えた。とっさに隠れて、顔だけ出して、様子を伺う。
 人影は二つの女の子のモノだった。
 俺に背中を向けているのが、おかっぱ頭の女の子。もう一人は、舞奈だ。

 「宮輝の者を零番隊に入れるなんて、四十六室が承諾してくれるわけないだろう」

 ん?宮輝?なんの話をしているんだ、俺の家の名前が出てくるなんて。

 「でも、宮輝家の事は、四十六室のミスだったんでしょう?だったら、あたしが責任を取らなきゃ!」

 「なぜ、貴様が責任を取る」

 「だって、砕蜂。楓や紅葉の親を奪ったのは、零番隊なんだよ?!」

 「しかし、それは前任のせいではないか」

 「でも、前任はもういないの。だから、あたしが、やるしかないの」

 話の筋がイマイチ読めない。

 「お前、それ以上背負い込むと、身が持たな——」

 「という事で、砕蜂。上の方にこの件、報告しといて」

 「なぜ、私なんだ!!」

 それを無視して、舞奈は笑いながらくるっとこちらに、背中を向けた。

 「なっ……!!」

 思わず、声が漏れる。
 舞奈の白い羽織の背中には、大きく、零と書かれていたのだ。

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.31 )
日時: 2009/12/26 18:25
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

31 落ちなかった落ち葉3
  楓 視点

 舞奈の白い羽織の背中には、大きく、零と書かれていたのだ。つまり、母上と父上を殺したのは……
 俺は何も考えずに飛び出して、舞奈につかみかかった。
 
 「楓!!」

 その時、俺の体を支配していた感情。それは、怒りだ。俺がそんなに怒ったのが、生まれて初めてだった。

 「父上と母上はお前が殺したんだな!! なんで俺らを助けたんだ!!! 罪滅ぼしか? それとも、俺らを騙して殺す気か?」

 「ち、違う!! あたしは——」

 「なんで俺らを裏切ったんだよ!!」

 「あ、ちょっと待って! 楓!!」

 舞奈が呼び止めるにもかかわらず、俺は走り出した。
 あいつなら、信じられると思ったのに…信じていたのに……!
 胸から何か、熱いモノが込み上げてくる。
 あ〜 クソッ…なんでこんな気持ちになってんだ、俺は……あんな、出会ってまだ一日も経っていない人に、なんでこんなに絶望してるんだよ!!
 部屋に入ると、紅葉がすでに起きていて、入ってくるなりに、ふすまをバンと閉めた俺に驚いて、顔を上げた。

 「楓兄ちゃん…?」

 紅葉が近付いてくる。

 「どうしなの? 何で泣いてるの?」

 「なんでもねぇ…悪い、らしくねぇよな……」

 そうは言ったが、次々と込み上げてくるそれを、止める事は出来なかった。
 その間、紅葉は何も言わずに、俺のそばにいてくれた。


 少し落ち着いてから、俺は紅葉にさっき見た事を話した。紅葉はたまにあいづちを打つ位で、最後まで表情一つ変えずに、聞いていた。
 そして、最後にこう言ったのだ。

 「楓兄ちゃんは、直接、朽木さんと話をした?」

 「えっ…?」

 「楓兄ちゃんは、朽木さんの所から、直接それを聞いたのじゃないでしょう? だったら、勝手に判断しちゃダメ!」

 初めて見た。紅葉もこんな目をするんだ……

 「だから、後で朽木さんの所に行こ?」

 俺は小さく頷いた。
 あの短い時間で、俺はたくさんの『初めて』を体験した。俺があんなに怒ったのも、あんなに泣いたのも『初めて』だ。紅葉があんなに強気になったのも『初めて』見た。
 宮輝家の中の閉じた空間では、決して体験出来なかっただろう。
 今は全然だけど、いつかこの事で、舞奈に感謝する日は来るのかな……

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.32 )
日時: 2009/12/26 20:55
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

32 落ちなかった落ち葉4
  楓 視点

 あの後、舞奈を探しに行ったが、出かけていたらしく、見付ける事が出来なかった。
 夕方になり、俺達が縁側に座って、夕日を眺めていると、すぐ近くで、足音がした。

 「誰?!」

 振り返ると、舞奈がそこにいた。

 「舞奈!! よかった、ずっと探してたんだ。俺、お前に聞きたい事が——」

 「待って」

 突然、舞奈が強い口調で、俺の言葉を遮る。それには、誰も逆らえないようなオーラが、かもし出されていた。

 「あなた達が聞きたい事は、大体予想がつく。でも、それは今、答える事が出来ない」

 そこで一旦、舞奈は言葉を切ると、少しだけ視線を落とした。やがて、舞奈はゆっくりと顔を上げ、きっと俺達を見すえる。

 「零番隊隊長として、あなた達に命じる。今日から二週間以内に斬魄刀に名を聞き、実体化させなさい」

 いきなり言われたその言葉の内容を、半分も理解できなかった。
 零番隊? 斬魄刀? なんなんだ、それは。

 「もし、これを達成しなければ、あなた達を待っているのは、死よ」

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.33 )
日時: 2009/12/26 20:56
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

 33 落ちなかった落ち葉5
  楓 視点

 それから一週間、まるで地獄のようだった。
 俺らは同意した覚えはないのに、勝手に瀞霊廷の歴史やらホロウの事やら、死神のための基本知識を叩き込まれた。
 でも、これはまだ地獄の、よう、だったのだ。まさか、これから本物の地獄を体験するとは、思いもよらなかった。


 「じゃあ、ここで一週間、生き抜いてね」

 俺らの目の前にあるモノ。それは、暗く深い森だ。

 「へ?」

 思わず、声がもれる。

 「ど、どういうこと? 朽木さん…」

 「これは、あくまでもあたしの予想だけど、人は極限状態でこそ、何かが発揮されると思うんだ」

 舞奈は俺達に二本の刀を渡す。

 「この森には、ダミーのホロウを仕込ませてある。本物よりずっと弱いけど、気を付けなきゃ、ひとたまりもないからね。一週間後に迎えに来るけど、もしその時、斬魄刀の実体化が出来ていなければ、あたしはあなた達を殺さなきゃいけない」

 なんなんだよ…それは……なんで、俺らの事を全部、お前に決められなきゃ、いけねぇんだよ。

 「俺達はやらねぇ!」

 「それなら今すぐ、あなた達を殺る」

 「なんでだよ…なんであの時、俺達をここに連れて来たんだよ!」

 全部…全部…お前のせいなんだ……

 「俺達はただ、生きていたかっただけなのにっ!!」

 すると、舞奈は少し目を細めた。

 「だから、助けたんでしょう?」

 舞奈は、手の平を強く握り締める。

 「あなた達は、あのままじゃ餓死してたよ。それは、あなた達も分かってたんじゃないの? だから、あたしに着いて来たんでしょう? 生きたかったから、あたしに着いて来たんでしょう? その気持ちがもし、今でも変わらないのなら、あたしの言うとおりにして!!」

 自分勝手な言葉に変わりはないのに、なぜか、それは俺の心に染み込んでいくようだった。

 「返事はっ?!」

 「はっ、はい!」

 「はい……!」

 突然怒鳴られた勢いで返事した俺らを見て、舞奈はニヤッと笑う。
 はっ! しまった!! 今の返事はイコール……

 「二人とも同意したことだし、がんばってね」

 俺と紅葉の地獄は、こうやって始まったのだ。


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