二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- テイルズオブヴェスペリア 非日常の中の住人達
- 日時: 2011/01/09 13:13
- 名前: リクア (ID: iHbdDjKI)
初めまして。リクアです。
今回が初投稿です。なので、誤字とかはちょっと大目に見て下さい…
ですが、一生懸命頑張りたいと思うので、よろしくお願いしますっ!(ペコリ)
あとできるだけコメントお願いしますっ!
よろしくお願いします!!!!
***主な登場人物***
ユーリ・ローウェル アイリッジュ・グリーン リンク・グリーン イオ・グラン リオ・グラン リタ・モルディオ
***主な登場人物***
- Re: テイルズオブヴェスペリア 日常と非日常 ( No.6 )
- 日時: 2010/06/25 18:38
- 名前: リクア (ID: BKd.hc6i)
第五話
俺は夜明けとともに目が覚めた。隣のベッドを見ると、アイリッシュがぐっすりと眠っていた。リンクは昨日と全く同じ場所にいた。部屋をぐるりと見まわし、リンクにそっと駆け寄る。
「なあリンク、お前にとってアイリッシュは大切か?」
と俺は小声でささやいた。
「アイリッシュ、自分にとって大切。大切に、してくれたから。」
リンクは何も考えていない瞳で答えたかと思うと、リンクは何かが吹っ切れたように、カクンッと前に倒れた。まるで上からつるされていた紐が切れたようだった。窓の外がキラリと光った。俺はそれに反応して窓を見る。ガシャアアアンッと豪快な音を立てて窓にはまっていた色のついたガラスが割れる。そして誰かが窓から入ってきた。
「なんですか!?一体・・・!」
アイリッシュが音に驚いて跳ね起きる。アイリッシュは部屋に入ってきた人物を見て、目を瞠った。入ってきたのは、アイリッシュが夫だと言っていた男だった。
「アイリッシュ、俺から逃げられると思ってんのか?発信機なんか無くても追いかけられるんだよ。くそアマが。」
アイリッシュの夫は、アイリッシュにジリジリと近寄っていく。
「ったく、しつけー男だな。」
俺はバッと飛び、男を後ろから切りつける。だが、男は全くそれに動じない。ズンズンとアイリッシュに近づいて行く。チッと俺は舌打ちをしてアイリッシュに鋭く叫んだ。
「アイリッシュ、カーテン取ってつなげてこっから降りてひとまず逃げろ!場所はあの情報を見つけた場所だ!そこまで走れ!」
アイリッシュは顔を青くしながらも、コクンとうなずき、ベランダの方へと走る。俺はそれを止めようとする男の前に回り込み、男の腹を思い切り刀の柄で突いた。うっ!と小さく男はうめき、2,3歩後退する。俺はアイリッシュがまだ部屋から出ていないことを確認し、男へ突進して腹の臓器が無い部分に、刀の刃を突き立てる。男の腹から血の滴がポタリ、ポタリ、と落ちた。俺はベランダの方を見る。アイリッシュの姿はもうそこに無かった。俺はホッとしてベランダの方へ走り、ベランダから下へ飛び降りる。着地した時、結構足が痛かったが、今はそれにかまっていられない。痛みをこらえ、走り出す。男には分からないようにアイリッシュに伝えた、図書館に向かって。途中、男の姿がチラチラと見えたが、その度にまいてやった。やっとの思いで、図書館についた。入口にはアイリッシュはいなかった。そして俺は図書館の中へと入っていく。アイリッシュは、廊下にいた。
「ユーリさん!」
心底安心したような顔をしてアイリッシュが駆け寄って来た。俺は片手を軽くあげてこたえる。俺は、気になることがあった。あの男は、なぜ俺に襲われても追いかけてきたんだ?そんな理由があるのか?
「アイリッシュ、すこし聞きたいことがある。いいか?」
と俺はアイリッシュに言い、クイッと首でロビーの隅っこにあった椅子と机を示した。
「はい・・・・」
アイリッシュは少しおびえた様子で、椅子に腰かけた。
「アイリッシュ、なんでお前のあの男は俺に襲われて尚もお前を追いかける理由があるんだ?ただ単にお前が好きだからとかそんなんじゃなさそうなんだけど。」
と俺は聞く。アイリッシュの傍らには、いつの間にかリンクが居た。
「あの人は、本当は私が好きで私を一緒にいたんじゃないの。本当の目的は私の監視、だったみたい。あの人は本当はギルドに所属していて、名前は・・・ブラッド・・・・アライアンス・・・・とかいう名前のだったと思うわ。あの人のギルドは私が不思議な力を持っていると知って、私の力を欲しがったみたい。で、隙をみたら私の力を使って悪事を働こうとしてたみたい。だけどあのギルドが私の力をそこまで欲しがっていたなんて・・・恐ろしくなるわ。」
と、アイリッシュはため息をつきながら言った。俺はこの話をまたどこか昔に聞いた覚えがあった。ギルドがらみでは無かったが、アイリッシュの力が狙われている、と。そこまでしても欲しいほど、アイリッシュの力には価値があるのだろうか。と俺は思う。そして俺はハッとして、時計を見る。
「ああっ!もうそろそろ出ないと、向こうの街に着く前に夜になっちまう!」
俺はがたんと椅子から立ちあがりながら言う。アイリッシュもあわてて立ちあがり、リンクも立ちあがる。そして俺達は宿に向かって走り出す。またあの男が来ると厄介になるから、俺は素早く自分たちの荷物をまとめてカウンターの店主の前に代金を置いて、
「釣りはいらねえ、急いでるから!」
と言い残し、宿を出た。アイリッシュ達も追いかけてくる。そして俺達は街を飛び出した。ヘリオスへと向かう。俺達は日が暮れるまで走り続けた。
〜第六話へ続く〜
- Re: テイルズオブヴェスペリア 日常と非日常 ( No.7 )
- 日時: 2010/06/27 19:42
- 名前: リクア (ID: ZVqxEqci)
第六話
俺達が走り続けて一体何時間立っただろうか。日もだいぶ傾いていた。まだヘリオスに着きそうにない。そう俺は判断して、ここで野宿をすることになった。アイリッシュと旅をするようになってから2度目の野宿。野宿をするのは危険だが、夜の暗い中明かりも持たずに歩くよりは少し安全だ。なるべく全員が固まって、火の側にいれば互いに確認しやすい。
「なんか・・・少し不安です。街も無いようですし・・・・」
と、アイリッシュは言いながら周囲を不安そうに見回す。街が少ないのは当然だ。街は結界魔導器(シルトブラスエティア)が守ってくれているおかげで魔物に襲われる心配は無くていいのに、わざわざ危険を冒してまで外に出て、街を作ろうとする人は少ないのだ。そのため、街が新しくできのもかなり間を開けてだけとなる。俺は今までに何回か街の外に出た事があったし、そこまで不安に駆られる事は無かった。昔騎士団に居た時、巡礼で街の外に出た事もあったし。
「まあそこまで心配する事はねえだろ。そこのリンクが守ってくれそうだしな。頼むぜ、リンク。」
と俺は最後の方だけリンクに向けて言った。リンクは小さくうなずいた。俺はニッと笑うと、荷物の中に詰め込んできた携帯食料を取り出して、二人に渡した。リンクは人形だから食べるかどうかは分からないけれど、とにかくアイリッシュは食べなくては危険だ。
「あ、有難う、ございます。」
アイリッシュはそういって口に携帯食料を運んだ。リンクは食べずにただじっとそれを見つめていただけだったが。
「あの・・・最初に私達の会った街の名前って、何だったんですか?」
と、アイリッシュがおずおずと聞いてきた。俺は目を丸くして驚いた。ふつう、自分が居た町の名前を知らない人がいるだろうか。・・・まあいいか。考えんの面倒くさいし。
「ん。あそこの街はトリムって街だ。世界のどっかにカプワ・トリムって名前の街があるらしいけど、そことは違うからな。」
と俺は教えてやりながら、携帯食料の最後の一口を口に放り込んだ。
「んじゃ、それ食ったらさっさと寝ろよ。」
と俺はアイリッシュに言い、地面に敷いた毛布の上にゴロンと転がった。もちろん眠る気はないが。夜空を見上げると、小さな星がキラキラと光っていた。たとえるのなら、真っ黒な画用紙の上にきれいに砕けたガラスの破片を散らばらせたようだ。しばらくそうしていて、横を見るとアイリッシュが毛布にくるまって眠っていた。リンクは携帯食料を手に持ったままだったが。
「お兄ちゃん、これ、返す。自分、いらない。」
リンクが突然スッと小さな手を差し出して、携帯食料を返してきた。俺は素直にそれを受けとり、袋に突っ込む。
「後の見張りはお前に頼んでいいか?リンク。」
「うん。」
俺はリンクに頼んで、その夜は眠った。
朝日がまぶしい中を、俺達は歩いた。コンパスを持って、方位を確認しながら、地図を頼り歩く。本当にこの方向で会っているのだろうか?という疑問が頭をよぎった時、街の影が見えた。一気に頭が覚醒する。歩く足を速め、走っていく。そこは、確かにヘリオスと書かれた看板があった
「ヘリオス・・・・へリオスに着いたぞ!アイリッシュ!」
俺は俺の後ろをついてきていたアイリッシュとリンクに向かって叫んだ。アイリッシュの顔には、疲労の色があったが、ぱっと表情を明るくして走ってきた。
「本当です!ここに、私達と同じ人がいるのですね。」
と、アイリッシュは言いながら俺の顔を見る。俺は二コリとほほ笑んだ。そして、特に厳しい警備があるわけでもないヘリオスの街へと入って行った。何かまた新しい情報が手に入るだろう。そんな期待を胸に、俺達は進む。記憶を取り戻すために。
〜第七話へ続く〜
- Re: テイルズオブヴェスペリア 日常と非日常 ( No.8 )
- 日時: 2010/06/29 23:20
- 名前: リクア (ID: FEqFrkLe)
第七話
ヘリオスという街は、畑が多い街だった。俺達は人に尋ね、「青の空」という場所を捜し出した。そこは街の隅にひっそりと立っていた。2階建ての結構大きな建物だった。俺達は呼び鈴を鳴らす。すると、中でガタガタ、と音がして人が出てきた。赤が混ざった金髪の少女だった。
「・・・・・失礼だけど、誰?」
と、中から出てきた少女は少し警戒したような顔で言った。スッと前にアイリッシュが進み出る。
「急に訪ねてきてごめんなさい。私達はホープという街で、あなた方の事を知ってきました。私たちは、あなた方と同じような感じで、記憶探しの旅を・・・」
アイリッシュが言いかけていた時、中にいた少女はぱっと表情を明るくしてこちらへ駆け寄ってきた。
「そうなの!?私達と同じ人がほかにも居たんだ!じゃあ、話は中で聴くよ。」
少女は建物の中へと俺達を案内してくれた。中は大理石の床で、とても豪華な造りだった。2階の天井からつるされた大きなシャンデリアが、玄関を入ってすぐの大広間を照らしていた。少女は大広間の横にあった部屋へとスタスタ歩いて行く。俺達もそれ続き、部屋へ入った。そこにいたのは、少女と全く同じ顔をした子供だった。少女がもう一人の方に事情をゴニョゴニョと話している。
「じゃ、まず自己紹介から始めようか!私の名前はイオ・グラン。17歳よ。こっちは私の妹のリオ・グラン。私達は一卵性双生児だから、全くと言っていいほど同じなの。で、あんたらは?」
イオと名乗った少女は首に赤いリボンをつけて、リオは紫色のリボンをつけていた。おそらくこれが目印なのだろう。まあ自己紹介しておこうか、と俺は思った。
「俺の名前はユーリ・ローウェル。21歳だ。15歳くらいより前、つまり6年より前の記憶がほとんどない。」
「私の名前はアイリッシュ・グリーン。21歳よ。この子はリンク。見た目は人間だけど、中身は人形に宿っていた魂よ。私もユーリさんと同じように6年前より前の記憶が無いの。」
俺が自己紹介をした後、すばやくアイリッシュも自己紹介をした。
「ふーん。あんたらも6年前より前の記憶が無いんだ。このことに関しては、どのくらいまで知ってる?」
リオが俺達に質問をしてきた。俺達は首を横に振る。リオは少し驚いたような顔をしたが、すぐに話始めた。
「私なら今は2つ知ってるわ。1つ目。私達は今、記憶が無いけどちょっとした拍子に、何かがきっかけで記憶の一部を断片的にだけど、思いだせること。2つ目。ちょっとこの前聞いたんだけど、それについて研究してる人がいるってこと。その人の名前はアレクセイ・ディノイアっていう男の人。これだけは知ってるわ。」
俺はアレクセイという名前を聞いて驚いた。アレクセイ・ディノイアというのは、帝国騎士団現団長だ。騎士団の団長が、俺達のようなコレを研究して何になるのか?
「俺、そいつ知ってるぜ。アレクセイは帝国騎士団現団長だ。ちょっと昔に俺騎士団に居たんだよ。」
俺は手をヒラヒラさせて言った。イオとリオとアイリッシュは驚きの目で俺を見る。
「ま、それは帝都にあるんだがな。でも、帝都がどこか分からないんだよな。地図でも借りて調べりゃいいんだろうけど。」
俺は腕を組んで考える。
「そんなの必要ないわよ。イオがしてくれるもの。イオ、ここから帝都っていう場所を調べて。あと、旅をしているってさっき言ったわね。私達も同行させてもらうから。」
リオが突然口をはさんでそう言った。イオは目を閉じてしばらく黙りこむ。それから驚いたような目をして、瞼をゆっくりと開けた。
「そんな・・・・・・・この大陸じゃない。ここは地図に載っていない大陸だったわ・・・帝都があるのはイリキア大陸って大陸の南の方にあるけど。船を使って南下すれば着くみたいだけど・・・・」
その場にいた全員が息をのんだ。ここが、地図に載っていない?それはいったいどういうことだ?と。
「・・・・・まあ、その話にかけてみるしかないわね。今ある情報はこれだけだもの。イオの力を使っても場所を断言することができないなんて。船を用意して出港しましょ。この街をでて北に行くと港があるから、そこで船をかっぱればいいでしょ。」
リオがひどく弱ったような顔をしていった。俺はニタリと笑った。
「よしっ!じゃあ話はまとまったな。イオ、リオついてきてくれるんだろ?記憶探しに。」
俺は荷物を持って立ちあがり、二人に言う。二人とも同時にうなずいて、部屋から出て行った俺についてきた。
「じゃ、次の目的地は北にある港ですね。そこまで案内よろしくね。イオとリオ。」
アイリッシュが笑って言った。そして、俺達は新たな仲間、イオとリオを引き連れ、港へ向かって出発した。
〜第八話へ続く〜
- Re: テイルズオブヴェスペリア 日常と非日常 ( No.9 )
- 日時: 2010/07/03 22:05
- 名前: リクア (ID: 3pCve.u0)
第八話
ヘリオスを出発してから何十分か経った頃、茂みがガサガサと揺れ、5匹の狼のような魔物が出てきた。
「ウルフだわ。ま、雑魚いケド。揺らめく焔、猛追、ファイアーボール♪」
イオは魔術を発動させ、魔物に向けて放つ。それで2匹は倒れたが、あと三匹仕留め損ねていた。
「絢爛たる光よ、干戈を和らぐ壁となれ、フォースフィールド!」
リオが魔術を発動させ、俺達に飛びかかって来た魔物を防ぐ。俺はその間に刀をスラリと抜き、残っていた三匹を切り伏せた。アイリッシュはその場にへたりこんでいた。
「あ、あの・・・フォースフィールドって、上級魔術ですよね・・・?そんなの使って大丈夫なんですか?体の方は。」
アイリッシュは魔術に詳しいらしい。カチカチと歯を鳴らしている。俺はふっと笑い、北へ向いて歩きだす。
「ほら、さっさと行くぞ。」
俺はそう言って、他の奴らに歩くことを促す。みんなあわてて歩いてくる。それから俺達はただひたすら歩き続けた。
「ん、ここよ。」
イオが港の入口に立って言った。港には潮の香りが満ちていて、とてもにぎやかだった。アイリッシュはキラキラと目を輝かせて見ている。あたりをくるりと見まわしていたアイリッシュの顔が、突然硬くなった。俺はその視線の先をたどる。その先には、アイリッシュの夫、監視役が居た。男はこちらをじっと見ている。
「あ・・・・あああ。イオさん、リオさん、逃げて下さい・・・!私の夫・・・ううん、私の監視役がすぐそばまで来ているんです!もし巻き込まれたら・・!あいつの名前はシルヴァ。その名前も本当かどうかはわからないのですけれど。」
アイリッシュは恐怖で動かない唇を必死に動かして言っていた。あれでまだ懲りないのか、と俺はもう怒りを通り越して笑えてくる。
「はっ。あれだけやってまだ懲りないとはな。まったく、ノーベル賞モンだぜ。」
俺はその場を駆け出し、アイリッシュがシルヴァと言っていた男の所まで走る。俺はシルヴァの手に握られているものを見て驚いた。それは明らかに複数の魔導器を組み合わせた武器だった。いくつも魔核がはめられていて、いかにも良く切れそうな刃が付いている。これを喰らったらやばいな、と思いながらシルヴァに突っ込む。筈だったのだが、
「ぐっ・・・あっ!?」
俺はシルヴァに刀の刃を向けた途端、何かに弾かれた様な感覚がした。俺はそこから2m程離れた場所へ吹き飛ばされ、思い切り体を床に打ちつけてしまう。一瞬呼吸が止まる。俺はヨロヨロと立ちあがりながら刀を握る手に力を入れ、もう一度突進する。しかしやはり弾き飛ばされてしまった。
「くっ・・・!」
俺は刀を握り直して、技を出しやすい握り方に変える。
「蒼破刃!!!!」
刀の刃から蒼い刃がでて、シルヴァに直撃する。その衝撃で、シルヴァはどこかへ飛ばされていった。俺はクルリと向きを変え、アイリッシュ達の元へ戻る。
「ちょっとあんた!後先考えずに行動するタイプでしょ!?」
戻るなりリオが怒鳴ってきた。俺はそれを無視して船が停まっている所まで歩く。そしてひとつの船に目を付けた。船体にはフィエルティア号と書かれている。ニヤリ、と俺は笑い甲板に飛びあがった。甲板に居たのは全員で5人くらいだったが、蹴りを入れて全員気絶させた。一応船内も調べたが、誰も居なかったのでとりあえずその5人を甲板から放り投げた。
「おい、船の確保できたぞ。」
俺は下にいた仲間達に合図を送り、梯子をおろす。それをよじ登ってきた。
「本当に、船をかっぱらってもいいのかしら。」
とアイリッシュが心配そうにつぶやく。しかしイオとリオは同時に、
「「はあ?そんなの気にしなくていいのよ」」
と言った。俺は舵を握り、船を動かす。セロスブラスティアがやってくれるから本当はそんな必要はないのだが。
「潮風が気持ちいわ〜。でもアタシは船内で寝るわ。」
うーん。と伸びをしながらリオが言った。私も、と言ってイオもそのあとに続いて、甲板から船内に入って行った。俺は海を見る。何処までも蒼い海は、一体どこまで続くのだろう。そんな事を考えていると、甲板に置かれていた椅子に腰をかけているうちに、いつのまにか眠ってしまっていた。最近は眠っているつもりでも、夜中に何度も目が覚めてきちんと眠れていなかったのだ。俺は船体にがグラリと揺れた感覚で目が覚めた。パチッと瞼を開けると、甲板に魚人が上がりこんでいた。船内からバタバタと音がして、ドアが開いた。
「何これ、魚人じゃない!!」
中からでてきたイオとリオが言った。俺はさっさと目の前の魚人を切り倒していくが、一向に数が減らない。魚人が群れでやってきてしまったのだ。次々と甲板に上がりこんでくる魚人達が、一筋の光が走ったかと思うと、まるで風船のようにパアンッとはじけ飛んだ。光が出てきたのは、リンクからだった。あの不思議な力だ。魚人は光に驚いたように、そして何かに追いかけられるように甲板から海へ飛び込んだ。しばらくはそれで問題は無かった。しかし、突然船が暴走し始めた。馬鹿みたいなスピードで進んでいく。俺はセロスブラスティアを見る。魔導器の周りには、火花が散っている。さっき魚人が傷つけて行ったのだろう、魔核に小さな傷が付いていた。ふと俺は前方を見る。今南下していたこの船は、すぐにイリキア大陸を見つけることができた。だが、船が停まる気配はない。
「うわああああああっ!」
「「「きゃああああああああっ!」」」
俺達はそれぞれに悲鳴を上げて目をつむった。強い衝撃が来る。俺達は痛みが来ない事を不思議に思い、恐る恐る目を開けた。そこには、崖に船体で開けられた穴が、中の空洞(おそらく神殿か何かだろう)に繋がっていた。
「ここは・・・」
俺は船を下りて、空洞の中を歩きだす。その時、何かが頭に蘇った。これは小さいときの俺?ここを走ってる。それでフッと消えてしまった。
「シャイコス・・・・遺跡?」
俺の口から不思議とその言葉が漏れた。俺はここを知らないはずなのに、知っている。ハッと気がつくと、周りにイオ、リオ、アイリッシュ、リンクの4人が居た。
「ここ、調べると何かが出てきそうね、調べに行きましょ。なんか暗いけど。」
イオがさっさと歩き出す。イオも何かを感じていたのかもしれない、と俺は思う。俺も脚を進める。今見たものは何なのか知るために。
〜第九話へ続く〜
- Re: テイルズオブヴェスペリア 日常と非日常 ( No.10 )
- 日時: 2010/07/02 22:03
- 名前: 横田 真澄 (ID: bbfUlH82)
こんにちわ
お久しぶりです
今日見てたらすごい話が進んでました
やっぱりリクアさんの小説はとても面白いです。
これからも
楽しみにしています。
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