二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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[銀魂]僕の世界が壊れた。 |15up
日時: 2010/08/20 23:11
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: ALFqxRJN)

初めまして or こんにちわ。
スレ主の瓦龍、(Garilyuu)と申す者です。

又何か建てちゃいました。土方寄りです。←アリスと決めました。
オチは一応考えましたが、其処まで辿り付けるかどうか。
其れでも読んで下さると光栄です。
アドバイスや誤字脱字注意等でも良いので、気軽にどうぞ。

■注意事項、
①オリキャラ主
②キャラ崩壊有り
③亀更新
④最低限のルールは守って下さい(荒らし、中傷など)
⑤駄文
⑥グロ描写妙エロ描写有り

以上です。
大丈夫かな、と思った方は、其の侭下にストロークして下さい。


■contents.─────────────

ご挨拶・注意事項・cast…etc >>000-001

■long.| 長編ロング

闇ノ中デ償エルナラ >>013
 第1世 廻リニ廻ッタ世界ノ果テ >>018
 第2世 壊スナラ、跡形モナク。  >>137
  永遠的閉鎖空間・・・1 >>146 2>>150 3>>160
 第3世 出逢イガ悲劇ヲ招ク
14 全てが夢だから >>166
15 同情なんていらない >>219
16 奇妙な関係図 >>244←保留中

■short.| 短編ショート >>173

 たった一人の [>>176] 沖田姉弟/切
 なぞなぞ [>>180] 沖アリ/ギャグ
 伝えたい事 [>>192] 伊東・山崎
 感謝すべきは [>>197.>>200] 鬼兵隊/高杉ハピバ
 幸せな朝 [>>224] 夜兎兄妹/幼少期

■plan. | 企画プラン


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Re: 【銀魂】僕の世界が壊れた。 ( No.114 )
日時: 2010/08/09 09:57
名前: アリス (ID: /jbXLzGv)

うへへ(
雅焔ちゃん拐っちゃうぞ(逃げろ(((・・;)

雅焔ちゃん泣いてても可愛いね(^p^)

Re: 【銀魂】僕の世界が壊れた。 ( No.115 )
日時: 2010/08/09 10:50
名前: 棗. ◆/lQMO72QVo (ID: Dfaev/X/)
参照: http://__________________

>>113

喋り方とか私には無理;
楽しみにしてます-v
早速>111見ました!!相変わらず面白いww
真選組頑張れ!←
雅焔ちゃん泣かないでえぇぇええぇ!!!
よし、僕が涙を拭いてさしあげましょう!!!(

Re: 【銀魂】僕の世界が壊れた。 ( No.116 )
日時: 2010/08/09 12:11
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: SvZZ75HI)

最近、少し考えるんだ。

僕はどうして生きてるんだろうって。
何故生きてるんだろうって。
只時間が過ぎていくだけの事を、
「 生きてる 」って言っても良いのかって。

こんな無意味な消費。
変えなきゃいけないと思うのに、何したら意味が付くのかも判らない。

ねぇ、誰か教えて。
ねぇ、誰か助けて。

嗚呼僕は、
生きてるのに、死んでる。


▼mad11、優しく酷い嘘



僕は万事屋の方々に全てを話した。
自分が真選組で御世話になってる事────。
そして今、土方さんと逸れた事────。
勿論自分が陽空族である事は上手く除いて、彼等に話した。

「嬢ちゃんさァ、ずっとあそこにいるの?」
「真選組に、ですか??」
「うん、そう。真選組にいると思うと俺としたら気が気じゃないのよ」

何処か自嘲気味に笑う坂田さんだけど、其の瞳は笑ってなくて。
そんなに真選組の人達は悪い人達じゃないのにな、等と考えていると坂田さんに額を突っつかれた。

「今、検討違いな事考えてるだろー」
「検討違い? 皆、良い人達なのに……って考えていましたけど」

はぁ、と銀さんは肩を落としながら溜め息を吐いた。
けれど、彼が何故溜め息を吐いたのかの方が僕には検討がつかず。

「……でも、土方さんは何処に行ってしまったんでしょうね」
「マヨラーの事アル。今頃、スーパーでマヨネーズ貪ってるに決まってるヨ」

僕と坂田さんの重い沈黙を追い払うかのように、神楽ちゃんと新八君が言った。
でも確かにそうだ。何故土方さんは急に僕の前から姿を消したのか、全く判らないのだ。
以前の事もある為、土方さん達僕を独りにするとは考えられない。
もしそう為っても、あれだけ名前も叫んで町中を走り探したのだから直ぐ見つかる筈だ。

「もし、僕の勘が当っていれば……彼等は僕をワザと独りにさせたんじゃないか、って思うんです」
「其れって、お前を捨てたって事アルカ?」
「ちょ、神楽ちゃんッッ」

そう言った神楽ちゃんの口を慌てて塞ぐ新八君。
彼の目は申し訳なさそうに僕を見詰ていた。

「いえ、決して悪い意味じゃないんです。皆がそんな事する筈がないから」

真選組の皆は、決して悪い人達ばかりではないから。
あそこに御世話になったのは未だ少し前の事だけれど、今までの出来事を含めて、僕はそう言切れる。
少なくもと僕は、彼等を信頼してるから。

「……きっと今、土方さん達は戦場に居る筈です。僕を独りにさせたのは其れにまき込めない為」

多分、僕と万事屋の皆さんが逢えたのも土方さんが仕組んだ事、と付け足して僕は言った。
其の後、少しの沈黙が流れたが「判った」と笑い、頭をくしゃりと撫でてくれた坂田さんの顔。
其れは、以前見た土方さん笑顔と一致して────……。
────────優しかった。

「……ケホッ、ケホッゴホッ」

以前の事を思い出していた僕だったが、突然の咳により現実に引き戻される事となる。
坂田さんは咳き込む僕の背中を擦ってくれて、心配そうに顔を覗き込んできた。

「オイオイ、大丈夫か?? 風邪引ィたんじゃねーの?」
「大丈夫ですよ。身体は、丈夫な方ですから」
「んな事言ったってなァ、馬鹿は風邪引かねーって言うけどな、ありゃ迷信だ。
 馬鹿だって生きてんだから風邪ぐれェ引くぜ??」
「其れは僕が馬鹿だと言いたいんですか」

本当に大丈夫ですから、と付け足す僕にフッと笑みを零す坂田さん。
事実を言えば、本当は大丈夫なんかじゃない。喉奥は燃えるように熱いし、心蔵は締め付けられる様に痛い。
此れは風邪とかそんな軽いものではなく、“病気”。
其れに気付いたのも、つい先程の頭痛で判ったのだけれど。

「で、お前さんは行かなくていいのか??」
「……無理ですよ。場所さえも判らないんですから」
「でも行きてェんだろ??」

そう言い、ソファーから立ち上がり僕の手を取る坂田さん。
窓から夕陽が跡形もなく山陰に沈んだ様を眺めながら、躊躇う僕を諭すようにこう言った。

「誰がどうとかじゃねェ。大事なのは、テメーが如何したいかだ」
「…………」
「で、自分はどーしたいんだ??」

僕の方に振り向き、坂田さんはそう問いただす。
僕が、したい事は────……。


    ───────────


「御用改めるである!! 真選組だァァア!!」
「しっ……真選組ィ!?」

土方の其の言葉に慌てふためく相模と攘夷浪士達。
真選組が突入したのだ。
そんな中、近藤の合図が高らかに響いた。

「呉服屋主人・相模湯太郎。麻薬密輸及び、攘夷浪士との関係性によりお縄を頂戴する!!」

近藤の其の言葉を合図に、一斉に斬りかかる隊士達。
キィィン、と刀がぶつかり合う金属音が響く。薄暗い中、激しい攻防戦が続く。

「チッ……。こう薄暗いと敵か味方かわかんねーな。……!!」

何かの気配というか殺気を感じた土方は、咄嗟に避ける。
其の刹那、敵の攻撃か、刀が振りかかってきた。

「うおォォォォォオ!?」
「……チッ。避けたか」

避けた拍子に転んだ土方は声のした方へ顔を向ける。
其処にいたのは、不機嫌そうな表情をした沖田が土方を見下げていた。
こんな時にまで、と一部始終を見ていた隊士等、そして土方さん誰もが思った。

「おま、何しやがんだ!!」
「あらら?? 何でィ土方さんでしたかィ。俺ァてっきり敵かと思いやしてねェ」
「嘘吐けェェェェ!! 此処だとお前の顔はっきり見えるぞ!!」
「いやァ、土方さんに似た敵だと思いやして」
「似たって何!? 似たって!? 明らか俺を狙ってるじゃねーか!!」

そんなやり取りをしていたが、土方はある事に気づく。
周りの……攘夷浪士達の様子がおかしいのだ。

「……オイ、何かおかしくねェか??」
「アンタの頭が?」
「オメーの頭かち割るぞ!! ……そうじゃねェ」

目を凝らし、辺りを見回す土方。
そう、攘夷浪士達は麻薬を守るどころか、あろう事か大切な麻薬を斬っていた。
其の異様な行動に真選組の動きが止まる。

「ゴホッゴホッ……糞っ、何て麻薬の量だ」

倉庫の中が麻薬で充満し、何も見えなくなる。
まるで麻薬を煙幕にでも使ったように前方や後方が確認できない位辺りは真っ白だ。
其の時、隣にいた沖田は散らばった麻薬を人差し指で掬い、一舐めする。

「……土方さん。こりゃあ麻薬なんて大層なもんじゃねーですぜィ。…………小麦粉だ」
「何だと!?」

其の言葉を聞いた土方はハッとし、真逆!! と思った。
薄暗い倉庫、撒き散らされた小麦粉、声の消えた攘夷浪士達。
そして、さっきから見当たらない相模の姿。
全てに合点がつく。

「テメー等ァァア!! 今直ぐ此処から出ろ!! おっ死ぬぞ!!」

土方の其の言葉に疑問を感じながらも、慌てて扉へ向かう隊士達。
しかし周りが見えなくて、中々扉まで辿り着く事が出来ない。


「馬鹿な犬共よ。こんな罠に引っ掛かるとは」

姿を消していた相模は何と隣の倉庫の上にいた。
実は、今回は麻薬密輸が目的ではなく、以前から相模の事を嗅ぎ回っていた真選組を一網打尽する為の罠を仕掛ける事が、本当の目的だった。
麻薬に見立てた小麦粉を使って。

「此の私が真選組如きに尻尾を掴まれるワケがなかろうが」

そう。山崎が報告した調査内容は、全て相模が用意したデマだったのだ。
真選組をおびき寄せる為の。

「粉という物は大気中に充満すればガスと同じ。
 其処に火を入れればどうなるか。幾ら奴らでも一溜まりもないだろう」

相模はニヤッと妖しく笑うが、一瞬にして冷酷な表情へと変える。

「やれ」
「はっ」

一人の部下が、火のついた小さな松明を開いた窓へと器用に放り投げる。
其の瞬間、“大爆発”という単語がピッタリな程の大きな音を立てて、倉庫が吹き飛んだ。
爆風で相模達も吹き飛ばされそうになるが、グッと何とか耐える。
そして、シーンと静まり返り、後に残ったのは倉庫の見るも無惨な残骸だけだった。

/next

Re: 【銀魂】僕の世界が壊れた。 ( No.117 )
日時: 2010/08/09 12:00
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: SvZZ75HI)

■アリス... ────────────
グフフウフフ((((キモ
どうぞどうぞ、遠慮なくお持帰り下さi(((

全然可愛くないですよノノ
可愛いのはアリスちゃんの方でしょおおおおおΣ!!


■棗.サン... ────────────
でも、此の頃ちょっとコツを掴んで来ましたvv
だから棗.さんもFIGHTですッッ
お、おおお面白くないですよおおおおおΣ!!!!
他の小説の方が断然面白いですpp

雅「だから、僕泣いてないって。此れアレだからアレ。汗だから」

Re: 【銀魂】僕の世界が壊れた。 ( No.118 )
日時: 2010/08/11 14:20
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: 0NXasKQ3)

“見えないもの”とすれ違っても、気づく事なく生きていく。
忘れ去られた、僕の特権。
今此の侭で何が出来るのだろう。

ヘマして傷ついて、泣きだして全て辞めて。
鏡の向こうには背を向けた僕。
腹を決めて、駆け出して。
手を伸ばして、掴みとって。

鏡の僕が告げる「 其れが君 」
雁字搦めの世界の中心に、儚い声が響いてく。
立てる場所は「 此処ではない 」

目指すは遥か彼方、君の元へ。
立ち上がれ、大地に足をついて。



▼mad12、心配御無用



「……オイオイオイ、さっきの爆音は何だァ??」

バイクを走らせる坂田さんは、少し不安の混ざった声色で言った。
先程の爆音で、僕の不安は募る一方である。
其の時、大きな犬の背に乗った神楽ちゃんが港の方に向かって指をさした。

「銀ちゃん!! あれ!!」

坂田さんの後ろに乗っている僕は不安を隠しきれなかった。
彼等を信じていないわけじゃないけれど、陽空や夜兎のように治癒力の弱い皆にもしもの事があったら。
そう思っただけで、身体が震えた。

「……チッ、嫌な予感がするぜ。お嬢ちゃんしっかり捕まってろよ!!」

僕の返事を聞く前に、坂田さんはバイクのスピードを上げる。
其れは本当にしっかり掴まってなければ、勢いで振落とされる位のスピードだ。
明らかなスピード違反だが、今はそんな事を気にしている暇はない。

「定春!! こっちもスピード上げるネ!!」
「ワン!!」
「えっ、ちょっ神楽ちゃんんんんん!?」

其の鳴き声と共にスピードを上げていく“定春”と呼ばれた大きな犬。
バイクと巨大な犬が物凄い速さで道路を走る。
端から見れば異様な光景だろうが、僕等は全く気にしていなかった。
いや、僕と坂田さんと神楽ちゃんだけは気にしていなかった。

「いや気にしろォォォォォオ!!」

新八君のツッコミも虚しく掻き消され、二つの暴走物は港へと向かう。


    ───────────
 

「此れで私の邪魔をする者はいなくなった」

残骸の山を眺めながら高笑いをする相模。
だが其の時、残骸から微かにカタカタという物音がした。
そして────。

「「「うぉりゃあああああ!!!」」」
「!!」

なんと瓦礫の中から真選組が勢いよく飛び出してきたではないか。
驚き唖然とする相模達は、言葉を失くしている。

「全く。危うく生き埋めになりかけたぜィ。只でさえ酸素が薄いのに、土方さんが騒ぐもんだから」
「沖田が土方にちょっかい出すからでしょ!!」

多少、服等がボロボロになっているが、奇跡的に死傷者はなく、全員ピンピンしている。

「な……何故だ!? 何故生きてるんだ!?」
「知らねーのか?? 此処の倉庫全部に地下室がある事」
「ち、地下室だと!?」

土方の話によると、港の倉庫には津波が起きた場合に備えて避難用に頑丈な地下室が設けられているという。
其の地下室に、爆発直前彼等は咄嗟に身を潜めたのだ。

「まっ、知らねーのも無理ねェか。
 其の事は警察の関係者か、救急隊、港を利用する漁師や一部の奴しか知らねー情報だからな」
「ましてや、呉服屋が倉庫を利用するなんて事、ありやせんしねィ」

そう言い、煙草を吹かす土方とニヤリと黒い笑みを浮かべる沖田。
相模は驚きで顔を歪めていたが、其れは一瞬にして殺気に満ちたモノへと変えられる。

「攘夷浪士共行け!! 生かして帰すな!!」
「「「うぉおおおおお!!!」」」

相模の指示で、再び一斉に斬りかかる攘夷浪士達。
しかし、そんな事でへこたれる真選組ではない。
土方さんは煙草の吸殻を投げ捨てると、声を張り上げた。

「こっからが本当の喧嘩だ。行くぜ!! テメー等!!」
「「「うぉおおおおお!!!」」」

此方も土方の指示で一斉に斬りかかる。
再び激しい戦いで、穏やかな港が戦場へと変わっていく。
しかし、其の闘いは終わり、というモノを知らない。

「チッ。斬っても斬っても湧いてきやがって限がねェ」
「予想以上に攘夷浪士を従えてやすねィ。しかも強者ばかり」
「あのジジィ、何処まで根張ってやがんだよ」

真選組と攘夷浪士の戦いは一見、真選組が有利に見えていた。
しかし、次から次へと出てくる強者たちに土方は苛立っていた。其の上、其のジジィの姿が見えない。
攘夷浪士に囲まれて、背中合わせに息を切らしながら会話をする二人。
すると、沖田は又ある異変に気付いた。

「……土方さん」
「何だ」
「近藤さんも見当たりませんぜィ」
「…………ハァ!?」

沖田の言葉に振り返り、隅々まで辺りを見渡すが、確かに近藤の姿が見当たらない。
真逆あの爆発にやられたとでも言うのだろうか。

「あの馬鹿、何処いんだよ!?」

次々に出てくる敵を斬りながら、近藤を探す。
あの近藤がやられるという事は考えられないが、万が一という事もある。
いや、もしかしたら相模を追いかけていったのかもしれない。
何はともあれ、自分の大事な大将が無事でいてほしいと土方は願った。

「……いやしたぜィ。近藤さん」

そう冷静に言い、ある方向を指差す沖田の指を目で辿る。
其処にいたのは先程危うく生き埋めになる処だった倉庫の残骸に上半身だけ出し、必死にもがく近藤だった。

「近藤さんんんん!? あんた何やってんだよ!?」

四方八方からくる敵の攻撃をうまく避けながら駆け寄る土方。
当の本人は半泣き状態で、局長という肩書きは丸潰れである。

「抜けなく、なっちゃった」
「頼むから士気が下がる事だけはしねーでくれって、何時も言ってるだろーが!!」

つか、よく無事でいられたな。
と呆れたように付け足し、刀を一旦鞘に収め、残骸から近藤を引き抜こうと手を取り、力を入れる。
だが其の時、僅かに背後から気配……いや、殺気を感じた。
素早く顔だけ振り向かせた土方は其の光景に内心、舌打ちをする。
気配を消して近づいてきた一人の攘夷浪士が土方に向けて、刀を勢いよく降り下ろしてきたのだ。

「トシ!!」

此の速さだと抜刀しても間に合わない。
だからといって、此の侭交わせば近藤に直撃だ。
其れだけは避けたい。
動けない近藤を庇おうと、土方は咄嗟に彼を抱き締めて浪士から守った。
身体に刃が突き刺さる衝撃を覚悟した────のに。
土方の耳にヒュンッという鋭い風を切るような音が入ってきた。

─────……痛、くねぇ??

顔を上げると、襲い掛かってきた浪士は絶命していた。
喉を貫かれ物も言えずに其の場に崩れ落ちる浪士に、生という文字は無く。

「ボロボロじゃないですか、土方さん。特に近藤さんは何がしたいんですか」

直ぐ近くでからかいで弾んだ声が響いた。
バッと、土方が振り向くと────彼女は笑っていた。
血塗れた刀を握った侭“無事で良かった”と口にはしなかったが、そう言いたげに。

「……雅焔ッ、おま!! 何で此処に!?」

彼女は土方の問には答えず、只笑いながら、近藤の引き抜き作業を行っていた。
其の笑顔も何処か苦しそうで曇りの掛かった絵笑顔だった為、土方も近藤も言葉に詰まる。

「……いやぁ、どうしてもって駄々こねるからさぁ。銀さん達が連れて来てあげたってわけよ」

未だ笑顔の侭の雅焔を遮って、ひょこっと現れた銀時が土方の問いに答えた。
其れと同時に彼女の肩にちょこんと乗せられる銀時の手。其れはまるで肩を抱かれているような格好に。
如何したんだろう、と雅焔が思うよりも早く────。

「……万事屋っ!!」
「旦那ァ、雅焔から手、離して貰えませんかねィ」
「オゥオゥ、相変わらず殺気立ってるなぁ多串君と総一郎君は。流石チンピラ警察24時」
「っ!! 誰が多串だァ!! てめェ良いから、雅焔から手ェ、どけろ!!」
「総悟でさァ。さっさと離さないと土方さんより旦那の方が先に死ぬ事になりやすぜ」

……何なんだろう、此の雰囲気。
例えるのなら『一触即発』、そんな感じか。
戦場の中低レベルな言い争いに、最早怒りというより呆れの方が強い。

「……貴様等、そんな呑気に雑談してて良いのか?? 今の状況をどう乗り越える積りだ」

と、相模の呆れた声がふと聞こえる。
何時の間に姿を現したのだろうか。
何処だ、と辺りを見渡した時、漸く彼等は今の状況を理解した。

「あーあ、囲まれちゃいましたね」
「えぇ!? 雅焔ちゃんんんん!? 何、楽しそうに言ってんの!?」
「まぁまぁ、近藤さん。焦りは禁物ですよ」
「いや違うからね!! 雅焔ちゃんが焦らなさ過ぎなだけだからね!!」

何十人という浪士に完全に囲まれた状況の中でも余裕に笑っている雅焔に鋭い目を向ける銀時と土方と沖田。
其の視線に気付いても尚、笑顔の侭の雅焔。
ジリッと狭まる周囲の浪士。そして────。

「最後に言い残す事はないか?? 訊いてやっても良いぞ」

不敵な笑みを浮かべながら唸る相模。
其の時、雅焔がゆっくり手を上げた。

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