二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 薄桜鬼 〜恋雨録〜
- 日時: 2011/02/16 23:26
- 名前: うい (ID: VxqablIi)
薄桜鬼にはまりすぎたあまり
自分で物語を作ってみたくなり
やっちゃいました(^^)
コメント大歓迎!
微妙と思う方、不快に感じる方
ただ荒らしたい方などは戻ってください!泣
がんばりまーす
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/18 16:17
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)
>>7
その日の夜
僕は部屋に明かりをつけ
刀をとり
鞘から刃を覗かせる
「君だって
血が吸いたくてうずうずしてるよね?」
刀に聞いたって
しょうがないのに
誰かにわかってほしいんだ
僕のこのじれったさを
あれから誰一人として
僕を訪ねてはくれなかった
もしかしたら近藤さん辺りは
来てくれるんじゃないかって思ったけど
とんだうぬぼれだったみたい
誰も僕をわかってくれないのかな
刀を鞘に納め
枕元に置く
まるで刀だけが自分の理解者みたいに
「……」
「だれ?」
誰かが部屋の前にいる気配がある
まぁ誰かはわかってるけどね
「沖田さん、よろしいですか?」
「…どうぞ」
「失礼します」
千鶴ちゃんはお茶とおにぎりを持って
僕の部屋に来た
彼女は僕と目を合わせようとしない
「夕餉をお持ちしましたから
よろしかったら召し上がってください。
お茶、入れましょうか?」
「うん、お願い」
恐るおそる、って感じかな
なんで僕を怖がってるのかわからないけど
気に入らないな
「どうぞ」
「ありがと」
僕は彼女の入れてくれたお茶を受け取り
一口
彼女はずっと下を見てる
表情が歪んでる
なんなの?
「千鶴ちゃん」
「…はい」
「そんなに床は見ごたえあるかな?」
「……」
「僕が何言いたいか、わかる?
下ばかり見てないで
何か言ったらって言ってるの」
そう言うと彼女は
ゆっくり顔を上げて僕を見る
その表情はすごく切なくて
何か言いたげだった
「沖田さん
ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「沖田さんを
傷つけたから」
僕を傷つけた?
僕が君を傷つけたのはわかるけど
いつ君が僕を傷つけたの?
「同情、がなかったとは
言えません。
もしかしたら私の中で
沖田さんをかわいそうと思っていたのかもしれません。
でも……」
彼女はなんだか泣きそうになってる
同情だったこと
認めちゃったんだ
僕は僕より弱くてかわいそうな彼女に
かわいそうだと
思われていたんだ
僕にとってはそれが
すごく悲しくて
悔しかった
「でも、でも私は
沖田さんがいなくなるは嫌だって……
そう思ったんです。
あなたのいない世界は嫌だって!」
「生きて欲しいんです。
私は、私は沖田さんが……」
その瞬間
僕は彼女を抱きしめていた
強く
彼女を求めるように
「お、きたさん」
「僕は、馬鹿だね。
君を泣かせてばかりだ」
愛おしい
こんなに一生懸命に
僕をなぐさめようとする姿
さっきの言葉で
彼女の気持ちがわかった
うぬぼれかもしれない
でももう僕は
この子を手放せない
「追い詰めちゃってごめんね。
なぜだか僕は、君が相手だと
全部言いたくなっちゃうんだ。
傷つけるってわかってるのに
千鶴ちゃんを見ると止まらなくて
でも本当は……」
わかってほしかった
そう
僕は素直になることができない
いつだって強がって
大人ぶっていたのかもしれない
本当は弱いんだ
誰かがいなきゃ
生きていけない
だからね
だから
「私がわかっています。
沖田さんの強さも努力も
寂しさも悲しみも辛いのだって
私が全部、受け止めます。
だからもう
一人にならないでください」
君は本当に
僕の中に土足で入り込む
でもそのときにはかならず
僕の手をとってくれるんだ
彼女の小さな体を強く抱きしめた
かすかに震えているのがわかる
でもその震えが恐怖からではなく
その小さな体すべてで
僕を受け止めようとしてくれているものだって
わかったんだ
その日の夜
僕は彼女を離すことができなかった
−続く
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.9 )
- 日時: 2011/02/18 19:09
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)
>>8
ねぇ 千鶴ちゃん
もし僕がいなくなったら
君はどうする?
君はどんな顔で
どんなことを思うのかな
その日の夕餉は
僕は久しぶりに広間でとった
みんなとのひさしぶりの食事は楽しくて
新八さんと平助のやりとりも
今まで何回も見てたはずなのに
なぜか新鮮に思えて仕方なかった
僕はここにいる
そう思うことが出来る場所
それが新選組
昔はこれが当たり前のように
ずっと続くと思っていた
でもそれももう
長くはない
もしかしたら隊務で死ぬかもしれない
そうだったら本望なのに
きっと僕の死因は病死だろう
でも
もし願うなら
彼女を守るために死ねたら……
夕餉を済ませ部屋に戻った
いつも腰に下げていた刀が
そこには待っていた
「今度はいつ
お前を使えるのかな」
刀を振るわない世が平和というなら
そんな世界で僕らは生きられない
刀の時代が僕らの時代だから
だけど今の僕は
刀の世でありながらも振るうことがない
「僕は一体……」
ただ部屋に置かれた刀を見つめる
すると
「失礼します」
彼女がきた
「お茶をお持ちしました」
「うん、ありがと」
彼女の入れてくれるお茶は
誰が入れても同じ
暑くて渋いお茶なのに
すごく特別な味がする
「湯のみ…二つ?」
「あ、私もご一緒させてもらおうと」
そう言って君は少し顔を赤くする
僕の胸が少しあったかくなった
「じゃあ、一緒におしゃべりでもしようか。
ちょうど暇だったんだよね」
「はい!」
そんなうれしそうな顔されると
僕までうれしくなっちゃうよ
僕らは月でも見ながら
縁側でお茶を飲むことにした
「寒くありませんか?」
「大丈夫だよ。
千鶴ちゃんこそ
寒くなったらちゃんと言うんだよ」
いつだって僕の心配ばかりしてくれる
僕のことを一番に考えてくれる
その日の空は
雲一つない
星が綺麗な夜だった
風邪がやわらかくて
木の葉がサワサワといっている
静かな夜だった
月の光はいつになく僕らを照らし
そして僕の隣に座る彼女を照らしていた
月明かりに照らされた彼女の横顔は綺麗で
ひとりじめしたくなる
「沖田さん?」
「ん?」
「どうかされましたか?」
「どうして?」
「じっと私を見ているので……。
あの、何か顔についてますか?」
「いいや」
「ではどうして…」
「綺麗だなと思って、君が」
さっきまで透き通るような白い肌だったのに
耳まで真っ赤になる
かわいいなぁ
まったく
「急に何をおっしゃるんですか!?」
「え?なんで?」
きっと君は
ただ僕がからかっているだけだと思ってるんだろうから
はっきり言ってあげるよ
「僕はね
独占欲が強いんだよ」
「え?」
そう
僕は独占欲が強くて
わがままで
自分勝手で自己中
おまけに嫉妬深くて
僕が求めるものは全部独り占めしたい
だから
「だから君は
誰にも渡さないよ」
「/////!!!!」
あっ
さらに真っ赤
彼女は驚いたように
口をぱくぱくさせてる
僕はそんな彼女をニヤニヤと見るだけ
すると彼女は
「沖田さんばっかりずるいです!!
私だって……」
ああ
こんなに幸せな気持ちがあったんだね
誰かを想い
誰かに想われることがこんなに
幸せなことだったなんて
僕は君に
永遠の幸せをあげることはできないだろう
きっと僕らの最後は
君の涙で終わってしまう
もしかしたら君の時間は
そのときで止まってしまうかもしれないね
でも僕は
もう止めることが出来ない
それでも君が欲しいと思ってしまった
だからせめてもの償いに
僕のすべてを君にあげよう
僕の体も 心もすべて
君にあげる
だからお願い
どうか僕を忘れないで
君が消えるそのときまで
君の心の中に僕をおいて
そして僕にも
君のすべてをちょうだい?
君の体も 心も
全部僕に
僕は君を強く抱きしめた
月明かりの下
僕らの影は一つになっていた
僕は君が壊れないよう
でも君をすぐそばで感じれるように
強く抱きしめた
すると君も僕を抱きしめ
「あなたが好きです」
その言葉だけで
僕はこの先
君に係わるすべてに命を捧げよう
「君は、僕だけの……」
そう耳元で囁いた
−完
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.10 )
- 日時: 2011/02/18 19:57
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)
『僕の side千鶴』
あなたが辛いとき
私は気づかずに笑っていたかもしれない
いつだってあなたは強くて
弱さを人に見せようとはしなかった
だから気づくのが少し遅れてしまった
というのは言い訳かもしれない
でも本当に
あなたの辛さに気づいてあげれなかったことを
許してください
「君は、僕の……」
涙がでた
初めて弱さを見せたとき
初めて私を求めたとき
いろんなあなたを見て
私はもっとあなたを好きになった
もっとあなたを見たいと思った
その夜部屋に戻ると
私は寂しさで胸が苦しくなった
さっきまであなたをそばで感じていたのに
あなたがいない未来が怖くて
ただひたすら寂しくて
涙が止まらなかった
知っているから
あなたがずっと
私と一緒にいてはくれないこと
それでも私はあなた意外と
一緒に歩こうとは考えたくなかったから
少しでも
一瞬でも長く沖田さんと生きたい
私にできることはすべて
あなたのために成したい
あなたが私の心にい続ける限り
私があなたの心にい続ける限り
私はあなたに尽くしたいんです
いつのまにか眠ってしまっていた
夢のなかで沖田さんがいた
彼は私に
『傷つけてばかりでごめんね
泣かせてばかりでごめんね
でも
愛してくれて
一緒にいてくれて
僕はそれだけで十分嬉しいから
僕のすべてをあげるよ
だからお願い
君のすべてを僕にちょうだい
どうか僕を許して
君を残して逝ってしまう僕を
償いに僕は残された人生を
君に尽くすから
僕らの最後はきっと
君の涙で終わってしまうだろう
だから最後に
悲しみで終わらないで
どうか僕の前で
君の笑顔を……』
目が覚めた
そのとき頬を一滴の涙が流れた
そうか
怖いのは私だけじゃない
彼もきっと
私と離れることを
恐れてくれてるんだ
私は沖田さんのところに走った
早く 早く伝えたくて
「沖田さん!!」
沖田さんの部屋に入ると
彼は驚いた顔で私を迎えてくれた
「おはよ、千鶴ちゃん。
どうしたの?
そんな慌てて」
「あの!わたし…」
私のすべてを
あなたに
「沖田さんが欲しいです!!」
勢い余ってとんでもないことを言ってしまったこと
すぐにわかった
でももう止まらない
これも本当のことだから
「ふ、あははっ」
沖田さんはお腹を抱えて笑い出した
私は急に恥ずかしくなって
「そんなに笑うことないじゃないですか!!」
「ごめんごめん///
だっていきなりだから」
沖田さんは優しい笑顔で
私の頭をポンとなで
「いいよ。
僕の全部をあげる」
「え…」
「僕は君のものだよ。
だから
君を僕にちょうだいね?」
私達の未来は
もしかしたらあと少しかもしれない
それでも私達が今こうして生きていることは本当で
あなたが今こうして笑ってくれているから
「私は沖田さんのものです!」
私はあなたを
愛しています
−完結
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.11 )
- 日時: 2011/02/18 22:15
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)
『時雨散漫 side斎藤一』
俺は如何なるときも
己を捨てず 己の信念のため
誠の旗の下
ただ刀をにぎり
隊務を果たしてきた
あの方の期待に応えるため
そして
自分自身のために
しかし時が流れていることに
ふと、気がつくときがある
自分の変化と
刀を握り続ける意味が
昔と今とで変わったと実感したときだ
彼女の一生懸命な姿
可憐にそして儚く
俺が彼女を見る目が変わったからだろう
あれは雪の降る夜のことだ
「斎藤さん」
「雪村、どうした」
「原田さんがみかんをくださったんです。
よろしかったらお一ついかがですか?」
「ああ、もらおう」
たまたま部屋に戻ろうとしたとき
彼女に呼び止められた
なぜだか彼女の頬は赤く
みかんを受け取ったときに触れた手は
とても冷たかった
「……」
「どうかしましたか?」
「…冷えているな」
「ああ、手ですか。
ちょっと遊んでまして」
彼女は少し申し訳なさそうに笑う
遊んでいた?
この雪降る夜になにをして?
「あ!お時間ありますか?
よろしかったら斎藤さんにも見ていただきたいんです」
彼女は俺の返事も待たず
庭のほうへ駆けていった
俺も仕方なくついていく
外は寒く風も冷たい
彼女は井戸のそばでしゃがみこんでいた
彼女に近づき覗き込むと
小さなかまくらと雪だるまがそこにあった
「あまりに綺麗に積もっていたものですから
なんだか作りたくなってしまって」
照れたような
それでいて懐かしいものを見るような彼女の瞳は
少し寂しげにも思えた
「雪で遊ぶのは構わんが
何故夜なのだ。
こんなところに長い時間いては風邪を引くぞ」
俺は彼女の頬に手をやる
まるで雪のように冷えてしまっていた
すると彼女は驚いたように俺を見て
顔を真っ赤にする
冷えとは違う赤さだった
俺は自分のしたことに気づき手を引っ込める
「す、すまない」
「いえ、その……
びっくりしただけです」
俺たちの間に無言が続いた
しかしそれでも雪は降り続き
風も先ほどに比べて冷たくなってきた
「雪村、風邪を引くぞ。
中に入ろう」
「は、はい!
あ、私お茶入れてきますね」
彼女はそういうと走っていってしまった
そのときの俺は
自分がしたことに自分で驚いていた
普段は絶対あんなことをしないはずなのに
一体どうしたというのか
俺は部屋に戻り
彼女の茶を待った
−続く
- Re: 薄桜鬼 〜恋雨録〜 ( No.12 )
- 日時: 2011/02/19 15:05
- 名前: うい ◆U2fwXad6qI (ID: VxqablIi)
>>10
部屋に灯りをつけ
彼女を待つ
彼女の頬に触れた俺の手は
なんだか温かい気がした
「雪村……」
俺は自分の変化に薄々気づいていた
彼女を見る自分の目
いつのまにか彼女の気配ばかり感じ
彼女の身の危険ばかり気にしていた
これはなんなのか
俺には体験したことのない感覚で
しかし俺にも理解できるもので
「いつのまに
これほどまでに想っていたのか」
わからない
「失礼します」
雪村が茶を持って入ってきた
俺と目が合うと
ふっと笑顔を見せてくれた
「寒いから熱いうちに飲むといいですよ。
きっと体も温まります」
「ああ」
俺の視線は彼女を捉えて離さなかった
初めて会ったあの時と違い
俺には強く儚く可憐な少女に見えて仕方なかった
「どうぞ」
彼女の差し出す湯飲みからは
白い湯気が勢いよく出ており
その温かさが伝わってくる
「おみかんもいただきましたし
ちょうどいいですね」
そう言って笑う彼女の笑顔が
頭から離れようとしなかった
「雪村」
「はい?」
「もしこの世の中に俺を惑わすものがあるとするなら……」
もしこの世の中に
刀一筋で生きてきたこの俺を
心の奥から惑わすものがあるとするなら
それは
「あるとするなら
きっとそれは
お前だろうな」
「え?///」
彼女は目を丸くし
耳から首まで真っ赤にした
俺はそんな彼女を見て
愛しいと思った
素直に反応する彼女
そうさせている俺
今の愛らしい彼女の姿が
自分の発言のせいだと思うだけで
なぜだか嬉しくなった
「あ、あの…斎藤さん?」
「なんだ?」
「それは、えっと……」
目を泳がせ
困っているのだろう
もう
伝えてもいいだろうか
いずれわかること
それが早くなるか遅くなるか
ただそれだけの問題だ
「俺はあまり口がうまくない。
お前の望む言葉を言えるかは
定かではないが」
「俺はお前が愛おしいのだろうな」
自然とその言葉しか出なかった
顔も緩む
しかし目だけは彼女を見つめていた
彼女はまた顔を真っ赤にし
照れたように俺から視線をそらす
俺は彼女の手をとり続けた
「願い叶うならば
俺にお前を守らせてはくれまいか?
俺にお前の隣にいる資格を……」
そう願う俺に彼女は視線を合わせ
「私で、よろしいんですか?」
「お前でなければいけないのだ」
そう
俺は雪村でなければ
きっとこんな気持ちにならなかっただろう
だから……
「斎藤さんのお傍に
おいてください」
そう言って笑う彼女に
俺はすべてを捧げよう
守り抜いてみる
たとえ時代が動き
変化しようとも
−続く
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