二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【妖狐×僕SS】還し屋少女,
日時: 2012/05/14 22:02
名前: 魅唆 ◆7ALWpexvKs (ID: 9kyB.qC3)

初めまして魅唆ですw
いぬぼくっていいな〜と思ったところから妄想が止まらず、つい書いてしまいました。文才なんて微塵もございませんし、キャラ崩壊も多いと思いますがよろしくおねがいします^^

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Re: 【妖狐×僕SS】還し屋少女^^;ゲストキャラなら募集中 ( No.31 )
日時: 2012/05/16 22:05
名前: 魅唆 ◆UaO7kZlnMA (ID: 9kyB.qC3)

 その後、野ばらから逃れた水葵は退屈まぎれにラウンジへと来ていた。
 現在のところ、水葵とせっちゃんを除いて誰もおらずしんとしている。
 ラウンジはかなりの広さがあり、窓や机の置き方など小さなレストランに似た趣を感じる。食事が出来るよう並べられた机は漆喰で塗られた丸テーブル。椅子もやはり漆喰で、高級感を漂わせる。
 その一席に座り、水葵は頬杖をつきながらぼうっとしていた。
 先程、自分の部屋である五号室には行ったが、SSは留守だった。この建物内を案内して欲しかっただけに残念だ。野ばらの話だと、今日は水葵が引っ越して来るので、水葵の部屋で待機しているとのことらしいが、何か用事があるのかもしれない。SSが見つからない以上、迷子になりそうだし下手に行動は出来ない。結局、暇をもて余す羽目になるわけだ。
 顔馴染みの野ばらに案内してもらうのも手ではある(提案はされた)が、彼女に案内させたら妖館を全て回るのに一年はかかりそうな気がするため、丁重にお断りした。
 そして水葵はさ迷い歩くうちに着いたラウンジで、何をする訳でもなくぼうっとしているわけである静寂なラウンジは、眠るのに丁度いいらしい。水葵の肘の近くでは、せっちゃんが丸くなって眠っていた。かなり深く眠っているらしく、穏やかな寝息と共にお腹が時折上下に動いている。
 暇だなと、ため息を付いた水葵は片手で頬杖をつきながら空いた手の人差し指で睡眠中のせっちゃんを何度か突っついてみた。すると、びくっとせっちゃんの身体が揺れ、ゆっくりと起き上がって伸びをした。青い瞳が扉の方を見詰める。何だろうと思い、水葵がつられて扉の方を見ると、そこには、見たことのない、恐らくはここの住人がいた。<br />十代後半程だろうか。やや細身で緩いウェーブのかかったピンク色の髪をツインテールにしている。起きたばかりかは知らないが、気だるそうな赤茶の瞳がぼうっと水葵を眺める。ただ、黒のスーツ(ズボン型)を見る限り、彼女がSSだと言うことは分かるが。
 しばらく無言の見つめあいが続き、先に見知らぬ少女が動く。ドアを閉めると、水葵の元まで近付いてきた。何だこの女は、と思いながらも水葵は九十度動き、少女と向き合う。眠そうな赤茶の瞳が、水葵をじっと見据え、少女は水葵の視線に合わせるかのようにやや前屈みになりながら、

「……あのもしかして葵(あおい)ちゃん?」

 と首を傾げた。
 この妖館の住人に、葵と言う住人が引っ越して来る予定でもあるのかもしれない。
 違う、と短く否定し、水葵は少女に片手を差し出す。

「そうだな。その疑問は、初めて会ったと言う確認だな。初めまして、俺は竜之宮 水葵。……で、この机で寝てるのはペットのせっちゃん。よろしくな」

 せっちゃんは起き上がり、挨拶するかのように、小鳥に似た可愛らしい鳴き声を出した。
 せっちゃんが本物の妖怪であることは、水葵はSSにしか言わないつもりである。自分はそうではないし、せっちゃん自身も興味を示さないが、水葵や野ばらは妖怪とある理由から相性が悪い。だからこそ、秘密にするためせっちゃんはオコジョを演じている。

 狼に戻れば賢くも強い性格だが、オコジョの時は性格が変わりマイペースな食いしん坊に成り下がるため、いかにもペットで、妖怪には見えない。
 少女はせっちゃんを可愛い、と撫でた後、その手で水葵の手をとり、握手をした。

「初めまして、髏ヶ宮(ろろみや) カルタです……二号室の人のSSしてます……私、葵ちゃんのSSから話を聞いてから、知ってた」
「俺の話、してたのか」
「そう……だから、ここの住人(ひと)みんな葵ちゃんのこと知ってる……」

 どんな話をしたんだ、アイツはと気になりつつも、手を離し水葵はカルタに笑いかける。

「カルタ、っつーのか。まあ、よろしく頼むな」<b「よろしく……葵(あおい)ちゃん」

 やはり葵、と呼ばれ水葵は"葵"が自分のことだとわかりはじめる。しかし、何故葵なのだろう。

「ところでさ、一つ聞いていいか?」
「いいよ……」
「何で俺のこと、あおいって呼ぶんだ?」
 
 カルタは間髪入れずに答えてくれた。返ってきた内容は予想外だった。

「葵ちゃんの方が女の子らしいから、葵ちゃんがいい……」

 水葵はあまりにも予想外な答えに、言葉を失った。 改めてカルタの顔を見るが、ふざけた様子はなく真剣な様子だ。……しかも、目が葵と呼びたいと訴えているような気さえしてくる。
 
 カルタの呼び方は、例えば春花(はるか)と言う子をはなちゃん、と呼ぶようなものだ。
 そんなニックネームの付け方は、水葵の干支が二周とちょいの人生内では聞いたことがない。あまりにも斬新すぎる。妖館はお化け屋敷なんですよ、と鈴を着けていた女性の言葉は正しかったとつくづく思う。  正直言って、葵とか女らしい名前で呼ばれたくない水葵はちょっと葵はなあ……と、苦渋に満ちた顔で呟く。しかし、カルタにとっては既に確定したことらしく、

「じゃあ水葵ちゃんは、葵ちゃんって呼ぶ……」   
 
 と、初めて本名で呼ばれ、完全に流されてしまった。
 基本面倒なことが嫌いな水葵は、このタイミングで既に諦めていた。
 確かにみなきの"き"の字は、葵だし、別に葵と呼ばれても世界が滅びる訳でもないし、まあいいかと。<

「好きに呼んでくれて構わない」

 面倒くさそうに吐き出すと、カルタは満足そうに頷いた。

「じゃあ、よろしく……葵ちゃん」

〜つづく〜

Re: 【妖狐×僕SS】還し屋少女^^;ゲストキャラなら募集中 ( No.32 )
日時: 2012/05/14 15:34
名前: sara (ID: I6Mvfk2/)  

葵ちゃんは確かに意外ですね。
前回の手紙はどういう意味があるのか楽しみにしています。

Re: 【妖狐×僕SS】還し屋少女^^;ゲストキャラなら募集中 ( No.33 )
日時: 2012/05/14 22:22
名前: みさ ◆UaO7kZlnMA (ID: 9kyB.qC3)

こんばんわ^^今日はPCから来れたので表示形式をPC向けに変えてみました(キリッ
普段はPCで打つほど時間ないので携帯でやってますが、色々と落ち着かないのも事実なんですよね・・・ところで参照500突破ありがとう御座います^^中々更新できませんが・・・できれば恩返しも兼ねてリクエストでも受けてみたいなあと考えてみたり←
>>sara様
葵ちゃんは元々つけようとした名前をつけたくて強引にやった結果がこれだよ!・・・って非常に悲しい落ちがあります。葵って響きとかが好きなんですよね^^
前回の手紙はそろそろ意味が出てきますのでお楽しみに!
時間がないので短文で失礼します;;

Re: 【妖狐×僕SS】還し屋少女, ( No.34 )
日時: 2012/05/18 18:56
名前: 魅唆 ◆UaO7kZlnMA (ID: 9kyB.qC3)

 そして、今度はラウンジで水葵は、また顔見知りの二人目に遭遇していた。

「おお。相変わらず小さいな、水葵」

 そう挨拶しながら、水葵の頭を撫でるのは黒い紙からちょこんと生えた、先端が丸い棒のような手。その手の持ち主は、蓮の模様入りの黒い布。しかし、手がある、点で打ったような目がある、空中にふわふわと浮いている、と言う点で普通の布ではないことが知れる。
 水葵はちいさいゆうな、とむくれつつも大人しく撫でられていた。
 彼女を撫でるのは、妖怪『一反木綿』(いったんもめん)だ。夜中に人を襲うと言う言い伝えがある布の妖怪だが、この一反木綿——反ノ塚連勝(そりのづかれんしょう)がそのような気質ではないことを水葵は、知っていた。会えば気軽に話してくれるし、可愛がってもくれる。
 挨拶変わりの撫でが終わった後、反ノ塚は思い出したようにあ、と言う声を出した。

「あ、水葵。そこにある芯取ってくれね?」

 水葵は、反ノ塚が手が差した先にあるテーブルに近付き、両手をついて背伸びをする。そこには、トイレットペーパーの芯が忘れ去れたように置かれている。 水葵は机につけたままの左手を軸に、身体を伸ばし、そのままテーブルに身体を乗っけてしまう。右手で芯を取ると、テーブルから下りた。水葵は、改めて不便さを感じた。身体が小さいと、テーブルに手を伸ばしてものをとると言う簡単なことが出来なくて困ってしまうからだ。

 苦労してとった芯を反ノ塚に渡すと、「サンキュー」とお礼を返し、顔がない方の布を芯に巻き付け、せっせと巻き始めた。
 ——お化け屋敷。鈴の女性から聞いた言葉は、今の現状にこそ会う言葉かもしれない。と水葵は、何気なく思う。

「しかし、ここは本当に噂通りお化け屋敷だな。一反木綿に頭を撫でてもらえるとか、一反木綿が芯に布を巻き付けるとこを見られるなんて、そうそうないことだ」

 近くで退屈そうに丸まっているせっちゃんが、小さく笑った。
 分かっている。反ノ塚と同類の自分が思うこと自体おかしいことくらい。
 独りごとのように感想を述べると、頬にかなり冷たい感触が当てられた。
 心地よさを感じながら首を動かすと、水が満たされたグラスを此方に差し出すカルタがいた。存在感を感じなかっただけに、表にこそ出さないものの水葵は少し驚いて飛び上がる。
 反ノ塚は「カルタ、いたのか〜」と呑気に挨拶をする。

 あ、ありがとうなカルタ、と水葵がグラスを受け取ろうと手を伸ばすと、カルタはグラスを差し出しながらぼそっと言葉を発した。

「でも、葵ちゃんも……私たちと同じ……"先祖返り"だよ?」

Re: 【妖狐×僕SS】還し屋少女, ( No.35 )
日時: 2012/05/17 20:36
名前: sara (ID: V4RVuUEP)  

連勝がお兄さんみたいですね。


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