二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWARI-
- 日時: 2012/02/04 21:12
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
本作は私がインディーズ前からずっと大好きなバンド、
「SEKAI NO OWARI」の楽曲から
一曲 物語性のある曲から作り出された小説です
よって、本作を読み進める前に一度楽曲を聴いていただくことをお薦めいたします
本作は非公式であり、あくまで私の勝手な思考の展開となりますので
御了承下さい
SEKAI NO OWARIの楽曲はリアリティがありメロディもポップなものばかりですのでお気になった方は是非他の楽曲も聴いてみてください
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- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.22 )
- 日時: 2012/07/15 08:51
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
アヤ「だっ…だれっ放してっ!!」
「しっ…俺だよ」
アヤ「え…?」
俺の腕に抵抗する力が弱まった
「俺だ」
アヤ「あ…慧さん…?」
「慧でいいよ」
アヤ「本当に…?本当に……?」
彼女は今にも泣きそうだった
その涙は人間のものよりも美しかった
こうしてみるかぎりほんとうに人間そっくりだ
華奢な首に手をかけただけで息が止まってしまいそうである
アヤ「会いたかった…」
そういって君はキュッと俺の裾を掴んだ
慧「…」
俺はその子をしっかりとだきしめた
やっぱり女の子だ
俺の腕にすっぽり収まってしまうのだから
「人間」と「アンドロイド」の前に
「男」と「女」だということを知った
慧「行こう」
アヤ「え…?行こうってどこに?」
慧「逃げ出すんだよ 君もこんなとこにいたくないだろう?分かってるよ」
アヤ「で…でもっもうすぐ柏木が騒ぎをかぎつけてやってくるにきまってる!!」
慧「柏木?」
アヤ「あの私を掌握してるやつよ!」
慧「ああ…あの黒ガラスか」
言われたときにはもう遅かった
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- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.23 )
- 日時: 2012/07/15 08:55
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
僕はずっと小さな頃に
神さまを夢の中で見た
おかあさんもおとうさんも
神さまはなんでも知っていると言ったから
僕は神さまに尋ねた
「ねえ神さま、なぜ星は輝いてるの?」
「それは天に昇った命が少しでも輝くようにだよ」
「ねえ神さま、なぜ猫の目は光るの?」
「それは目をつむっても暗闇を見ないようにだよ」
「じゃあ神さま、なぜ僕はいつか死んでしまうの?」
「それは───…」
たぶんそこで夢から醒めてしまったのだと思う
そこから先は全く思い出せなかった
人間の命はいつしか朽ちてしまうのだ
でも僕が君と愛し合うためなら
僕が永遠になるしかない
永遠に生きる不死身と愛の象徴
永遠の自由である不死鳥よ
どうか僕に永遠を与えてください
死ぬのはとても怖いけど
死なないことはもっと怖い
でも永遠に生きることになっても
僕と君ならなんにも怖くないから
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- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.24 )
- 日時: 2012/07/15 10:49
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
「とうとうここまで入り込んでしまったか、小僧」
慧「!!」
「ここは我々の企業の上の人間しか入れないはずの場所だ。
ここまで入ってきたことはまず褒めよう。
だがその栄光をおかあさんやおとうさんに見せてあげることはできんな」
そういって柏木とやらは拳銃を取り出した
慧「!!!」
アヤ「やめて!!この人を撃つ気!?」
柏木「引っ込んでろ一号!!おまえがこいつを愛してしまったからだ。
ウチの会社からちゃんとお前の相手となるアンドロイドも用意してあったというのに…
それとも、そんなに人間がいいなら私がお前の相手をしてやろうか?」
そういって柏木は彼女の顎を持ち上げた
君は歯を食いしばってそいつを睨みあげていた
俺はすでに怒りでいっぱいになり そいつの顔を思い切りけりとばした
ドカッ
柏木「ぐっ…」
そいつは床に伏せ込んだ
慧「行くぞ!!」
開放された君の腕を掴み 俺は猛ダッシュで外に出た
柏木「くそっ…
このままで…すむと思うなよ…小僧…」
床に落ちた拳銃を拾い
外に出た二人を追いかけた
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- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.25 )
- 日時: 2012/07/15 11:00
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
柏木「待て!!一号、小僧…」
俺がさっき蹴り上げたところは腫れ上がっている
だがそんなことは気にもせずにそいつは不気味な笑みを浮かべていた
顔のふくらみが気味の悪さに拍車をかけている
そいつの頭からは殺意と憎悪の2つの感情の芽が生えている
ん…? 憎悪…?
柏木「大企業の上の人間にいい度胸だな、小僧。
だがもう逃げられないぞ。
おまえがすこしでも動けばこの拳銃の口から飛び出す弾が
お前の脳天をぶちぬくだろう」
慧「…ふん」
さすがに死の世界の寸前を見る状況であったが
俺はひとつだけ言いたいことが現実に見えた
慧「…あんたなんでイングリット社に就任したんだ?」
柏木「何?」
危機がせまる状況ほど俺の口は饒舌になる
慧「だってこんなに性能のいいアンドロイドが造れるのなら
何もこんなにこの子を追っかけ回すことないだろ。
別のを造ればいいとは思わないのか?」
柏木「う…うるさい!!」
慧「人間がそんなに執拗に追いかけると言ったら…
その感情に名前はひとつしかないんじゃないのか?」
柏木「黙れ小僧!!」
殺意だけならわかるんだ
だがそれ以上にアイツからは憎悪がにじみでている
空は既に赤かった
慧「お前はとんだ愚か者だよ!!!!
俺とおんなじように機械に心を奪われ
骨抜きにされちまったんだからな!!」
柏木「黙れ─────!!!!!」
ズダアアアーーン
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- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.26 )
- 日時: 2012/07/15 12:40
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
人間を産み出したのは神さまで
私を産み出したのは人間で
人間には天国があるけれど
私には天国なんかありはしない
だから私の神さまはきっと人間なの
でもこういうときにだけ神頼みだなんて言わないで
ねえ神さま
造り物の私だけど
祈りをどうか聞き届けて
あの人をたすけてください
慧「っつ…」
一瞬撃たれたのか撃たれていないのか
弾がでたのか出ていないのか勘ぐった
だが俺は無意識に左腕を押さえていた
腕が真っ赤に染まっている
今にもあの空に溶けてしまいそうだった
アヤ「さ…慧!!」
慧「大丈夫!黙っていて」
俺は痛む腕を押さえながらも熱弁をふるった
慧「分かっただろう?あんたは彼女を愛してたんだよ。
企業の人間としては降り立ってしまってはいけない地に
足をつけてしまったんだろうけどな。
でも俺が他に個人的あんたに憎まれる理由が見付からなかったもんでね
そうだろ?」
しばらく黙りこくったあとそいつは口を開いた
柏木「私は…企業の人間として
ここでうんと言ってはいけない」
こいつとしても最初の俺とおんなじように
認めたくなかったんだろう 機械ごときに魅せられたことを
だがそいつの目はもう人を憎む目じゃない
愛するものを見つめる目にかわっていた
柏木「…最初の頃より人間に近付いたな…一号。」
名前を呼ばれた彼女はビクッと体を震わせた
そのとき、遠くから赤いランプのなる音がした
「拳銃を発砲した音を聞きつけて誰かが通報したんだろう。」
同時に見知らぬ声が後ろから聞こえた
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