二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWARI-
- 日時: 2012/02/04 21:12
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
本作は私がインディーズ前からずっと大好きなバンド、
「SEKAI NO OWARI」の楽曲から
一曲 物語性のある曲から作り出された小説です
よって、本作を読み進める前に一度楽曲を聴いていただくことをお薦めいたします
本作は非公式であり、あくまで私の勝手な思考の展開となりますので
御了承下さい
SEKAI NO OWARIの楽曲はリアリティがありメロディもポップなものばかりですのでお気になった方は是非他の楽曲も聴いてみてください
---
- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.7 )
- 日時: 2012/02/12 18:22
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
もう二度と出逢わないか
出逢えたらそれは奇跡だよ
一目惚れなんて俺には一生
関係のない単語だと思っていたのに
昔から女にはからっきし興味がなくて
すり寄ってくる女はたくさんいたけど
バレンタインとかクリスマスとか
普通の男にとっての幸せは俺にとってただの迷惑でしかなかった
ああ人生初めての恋愛が
あんなところに立っている娘なんてさ
神さまは意地悪だ
そう思いながら暗くなりかけた夏空を見上げた
pirorororo...
ん?
領太かな?
ピッ
慧「もしもし?」
領太『慧?よかったー』
慧「何が?」
領太『お前さあ、もう二度とあんなことすんなよな』
慧「え…なんのこと」
領太『さっき!ステージの女に手ぇ出してたろ』
あっそうか
あいつらも見てたんだっけ
慧「わりー」
領太『忠告だけですんだことありがたいと思えよ
本来ああいう風に大会の出し物とめたら罰金だぞ』
慧「ふーん、そうなんだ。でもなんで俺忠告だけなの?」
領太『知らねーよ。あの女の子が取り入ったんじゃないの?』
まさか?
慧「まさかー。だってあの子だってアンドロイドだろ?」
領太『そうだけど彼女たちだって意志があるんだもん。
お前は運がよかったんだよ たまたま優しいアンドロイドだったんだよ』
コイツは…
俺のほんの少しの希望もぶちこわしやがって
慧「あーあーご忠告ありがとう。もう切るよ」
領太『また会いたいなら行けば?』
え?
慧「何?」
領太『あのこ。今日大会で優勝してたから次の大会もたぶんでるよ。
だからまた見たいんなら大会通えばっていってんの じゃーねー』
プツッ
電話は一方的に切れた
…気づかれたか?
いや、アイツがそんな勘がいい奴なわけない
第一俺が女を好きになったとは思ってもいないだろう
そうか
逢えるんだ
また逢えるんだ
夏の夜空よりすがすがしい気持ちになった
---
- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.8 )
- 日時: 2012/02/12 20:46
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
それから俺は大会にたびたび通うようになった
『第20回、アンドロイド大会を開催致します──!!』
オールスタンディングのこの大会
参加は予約不要
毎回人をくぐりながら前へ前へ進んで行く
理由は簡単
慧「ああ…あの子だ」
「…ニコッ」
ただ彼女の笑顔が見たかったから
『今回の優勝社はイングリット社です───!!』
その次も
『第21回、アンドロイド大会を開催致します──!!』
慧「…」
---
『今回の優勝社は───!!イングリット社───!!』
「またイングリット社の優勝だよ」
「すげーな、ここんとこ連続じゃん?」
またその次も
『第22回、アンドロイド大会を開催致します──!!』
---
『優勝社はイングリット社っ!!』
「まああの性能だからな、当然だろう」
「容姿もすぐれてるし…」
もはや俺は彼女に魅せられていた
そうしてある日
運命の歯車が回り始めた
---
- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.9 )
- 日時: 2012/02/14 18:45
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
今回の大会も例によって例のごとく
彼女を見るために始まる直前に現地に行き着いた
ジャストタイムだ
『第23回、アンドロイド大会を開催致します───!!』
『プログラム一番!!ソルト社による独唱です!!』
慧「…あれ?」
まずこの大会に参加するアンドロイドは
ステージの端の方に待合席が用意されている
そこに対座し自分の出演順を待つ
だがそこに彼女の姿はなかった
そこだけじゃない
いずこもいたるところを探しても
彼女の美しい金の長髪を見ることができなかった
慧「…」
『いやあーっ素晴らしい歌声でした!アンドロイドがこんな声を
発せられるとは!!やりますなあ〜』
抜かりなくあのステージに立っていたのに
彼女がいないのなら
俺はこんなところに用はない
そのステージの輝きはスポットライトで照らしても
ライトが点いているか分からないくらい輝いてる彼女だったのに
俺はそこを立ち退き、お気に入りの隅田川のほとりへと急いだ
何故かすこし悔しい
---
- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.10 )
- 日時: 2012/02/18 21:46
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
なんで
なんで
俺のものにならない女って
初めからわかっていたのに
なんでこんなに悲しいんだろう
たった一日逢えなかっただけで
なんでこんなに悔しいんだろう
静かな夏の空を仰いだ
「…だからっ、嫌だって言っているでしょう!!」
閑寂なはずの川のほとりで
澄んだ鈴の鳴るような声
慧「え?」
この声…?
「お前っ、私に逆らうか!!」
声のした方を見やると
あれよあれよという刹那
望んで焦がれて焦がれて
きっと触れることもできぬあの娘が現れた
「アンドロイドの分際で!!」
後ろからはあのカラスの男が追いかけてきていた
どう見てもあの娘は嫌がっている
慧「君っ…君っ!」
あの娘を救おう
だってこれは奇跡としか呼ばないでしょう
俺の女にはできなくとも
助けるだけはいいでしょう
「!?誰っ?」
慧「こっちだよ!!」
彼女は俺の姿に気がついて
軽やかに土手の下まで降りてきた
「あなた…」
慧「しっ ここは黙っていれば見付からないよ」
「くそっ…どこ行きやがった…」
カラス男はこの娘を探していたが
しばらくして遠くへ去っていった
---
- 不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.11 )
- 日時: 2012/02/26 21:02
- 名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)
「あなた…私がバンダナを拾ったときの方ね?」
慧「うん。覚えていたんだね」
君のその大きな碧い瞳に
一体俺はどう映ってるの
もう二度と声を交わさないと思っていた
絶対に俺のものにならない娘
慧「どうして逃げてた?」
「え?」
慧「あの男から」
「…」
彼女はうつむいてしまった
「服を変えて…舞を舞えと言われたの」
慧「…」
「寒い格好なのよ」
そう言って君は笑った
ううん
泣いてた
笑ってはいたけどそれは無理に
露出の多い格好だってことだ
なぜ拒否をしない?
「アンドロイドに拒否権はないの」
慧「え…」
知らずに声に出してたか
でもそれでは君が哀れすぎる
「人間の言いなりにならなきゃいけないのなら…
人間は私にどうして感情を入れたの」
慧「え…」
「あっいいえ、なんでもないわ」
それじゃ人間も君も苦労するんだろうな
君にも感情があるのなら
どうかその何分の一
100分の1だけでもいいから
俺に向いてくれないかな
そんな風に考えてしまったりもした
---
この掲示板は過去ログ化されています。