二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜
日時: 2013/01/14 08:31
名前: 時橋 翔也 (ID: bHw0a2RH)
参照: また…つくってしまった

毎度どうも 銀河一の駄作者 時橋です

イナゴ第三弾!今回はオリキャラが主人公です

注意!

・恐ろしいを飛び抜けた駄文
・セリフはほとんどオリジナルです アニメでのセリフあんま使わないです
・アニメあんま見たことないので色々おかしい
・アニメと言うよりゲーム沿い そしてオリジナル要素がある
・更新遅し これでも作者は受験生なの
・荒らし&悪口は禁止 それ以外のコメントなら大歓迎
・天馬が本来すべきシーンはオリキャラの主人公がやります
・キャラの多くに重い過去がある、特に剣城がかわいそう
・キャラ崩壊がヤバイ
・謎が解明されるの遅いですかなり
・話が意味不明&ドロドロ
・マイナーキャラ多いです
・十%コメディ九十%シリアスです

これらが許せる方はどうぞ

目次   主人公 >>5

第一章「蒼きストライカーの出現とホーリーロード」

プロローグ >>1  第一話 >>2  第二話 >>6  第三話 >>10  第四話 >>11  第五話 >>12  第六話 >>15  第七話 >>16  第八話 >>17  第九話 >>18  第十話 >>19  第十一話 >>20  第十二話 >>21  第十三話 >>22  第十四話 >>24  第十五話 >>25  第十六話 >>26  第十七話 >>27-28  第十八話 >>31  第十九話 >>32  第二十話 >>33  第二十一話 >>36  第二十二話 >>37  第二十三話 >>38  第二十四話 >>39  第二十五話 >>42  第二十六話 >>43  第二十七話 >>46  第二十八話 >>47  第二十九話 >>48  第三十話 >>49  第三十一話 >>50  第三十二話 >>51  第三十三話 >>52  第三十四話 >>53  第三十五話 >>54  第三十六話 >>55  第三十七話 >>59  第三十八話 >>62  第三十九話 >>63  第四十話 >>64  第四十一話 >>65  第四十二話 >>68  第四十三話 >>69  第四十四話 >>70  第四十五話 >>71  第四十六話 >>72  第四十七話 >>73  第四十八話 >>74  第四十九話 >>75  第五十話 >>76  第五十一話 >>77  第五十二話 >>78  第五十三話 >>79  第五十四話 >>80  第五十五話 >>81  第五十六話 >>82  第五十七話 >>83  第五十八話 >>86  第五十九話 >>87  第六十話 >>88  第六十一話 >>89-90  第六十二話 >>91  第六十三話 >>92  第六十四話 >>93  第六十五話 >>94  第六十六話 >>95  第六十七話 >>96  第六十八話 >>97  第六十九話 >>98  第七十話 >>99  第七十一話 >>101  第七十二話 >>102  第七十三話 >>103  第七十四話 >>104  第七十五話 >>105  第七十六話 >>106  第七十七話 >>107  第七十八話 >>108  第七十九話 >>109  第八十話 >>110  第八十一話 >>111

《捕捉短編集》

本編の捕捉説明を兼ねた短編集 暇なときにどうぞ
本編では語られないキャラ達の過去の話

No.1 「絆が憎悪に変わるとき」
前編 夜桜said

エピソード1 >>100

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第二十八話 ( No.47 )
日時: 2012/10/01 18:54
名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)
参照: やばい 文がグダグダだああああ!!

第二十八話

「…京介は 管理サッカーについてどう思う?」

施設での生活に慣れてきたある日 俺は華音にそう訊かれた

「…シードだからあまり言えないけど サッカーは本気でやりたい」
「僕もだよ」
華音は言った
「…だからシードには出来たらなりたくない サッカーで人を痛め付けたくないしね」

華音は基本的 暴力が嫌いだった
サッカーも他の奴等と違い、暴力的じゃない普通のプレーをしていた

「…ねぇ京介」
「なんだよ」
「もし僕が生きてここから出られなかったら…姉ちゃんの事をお願いできる?」
「…は?」
思わず俺は声を上げた

どういうことなんだ?

「どういう事だよ」
「だって最近、この施設のシード達が次々と消えてるじゃん…もし僕も消えたらさ」
「けど…消える奴等の殆どがサッカーが上手くない奴等だ…お前はサッカー上手いだろ」
「そうかな…」
華音は呟いた

その日の夜の事だった

華音の言っていたことが気になって、就寝時間になっても眠れず仕方ないから本を読んでいた

なんで華音は…あんなこと言ったんだろう
姉ちゃんを頼むって…まるでもうすぐ死ぬような…

その時
「ん…?」
施設の寮の窓から、外の森に向かう人影が見えた
「誰だ…?」
そう呟き、目を凝らすと、それは華音だった

「華音…!?」

バカかあいつ…無断外出したら消えるかもしれないのに!

そう思って、俺も外に出た
森に行くのは初めてだった いつもはグラウンドで練習していたから…

「華音!華音ッ!!」
俺は叫ぶが、華音は見当たらない

森をしばらく歩いても、華音のいる痕跡は全く見られなかった
これ以上進んだら、迷いそうだな… そう思っていた時だった

「剣城…」
背後から声がした
急いで振り返ると、そこには一人の男がいた

ちょうど久遠監督と同じくらいの歳で、髪が長かった

「あんたは…」
見たことがあった
確かこの施設の副管理人だ

「お探しものかい?無断外出するとは…」
「………」
どうする?
無断外出だとばれてしまった…

「黒並を探しているんだろ?」
「…!」
何でわかるんだ?

「…剣城 頼みがある」
「……頼み?」
俺は声を上げた

なんだよこいつ…
初対面の俺にいきなり…

「黒並を……………………………………………………………殺せ」
「…え?」

華音を…殺すだと?

「何言ってんだよ…」

こいつアホか?
いきなりそんなこと言われて、すんなり受け入れると思うか?

「君…兄がいるだろう?昔怪我をさせた」
「………」

まさかこれはフィフスセクターからの指示だと言うのか?

「…断る」
俺は言った

出来るわけない
華音を殺すなんて 出来るわけ…

「兄が…生きる希望を失ってもか?」
「くっ…」

それでも…俺は…

すると男はため息をついた
「…まぁ、こんなことは予想してたよ」

その時、男の姿が揺らめいて 消えた
「なっ…」
慌てて俺は辺りを見回す

一体どこに…
「遅い」
背後から声がした
振り返るのと同時に、首に何かを刺され、鋭い痛みが走った

「ぐああああッ!!!」
俺は膝をつく
首に刺された物を触ると、注射器だと分かった

ピストンが押されてる…何かを入れられた!?

「ぐっ…」
俺は辛うじて注射器を抜くと、首を押さえながら立ち上がる
「何を…」
「今 君に入れたのは開発した薬だ…楽しみだね、君がどうなるのか」
男は言った

どういうこと…だ?

「もう一度言う …黒並を殺せ」

その時だった
突然 頭が割れるような頭痛がした
「くっ…!」
俺は頭を押さえる

黒並を殺せ
黒並を殺せ
くろなみをころせ
クロナミヲコロセ

頭の中でこだまする

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!」

殺したくないはずだった
だけどいつの間にか俺の思考はこれしか考えられなくなっていた

『華音を殺す』

男からナイフを渡され、俺は歩き出す
華音を殺す…管理サッカーを否定する華音を…俺がこの手で…

しばらく歩くと、華音が一人でぽつんと立っているのが見えた

「京介?」
華音はこちらを見た
「…どうしたの?こんな夜中に」
「……」
何も言わず、俺は華音に近づいた

「…?京介、どうし…」
華音は最後まで言えなかった

俺はナイフで華音の腹を思いきり刺した

「え…きょう…す…け?」
ナイフを思いきり抜くと、華音は思いきり血を吐き出した

「がはっ!!」
華音は血が止まらない腹を押さえる

恐ろしいくらい鮮やかな鮮血だった

華音は地面に倒れた
俺は近づき、しゃがむと華音の背中を突き刺した

「ぐあっ!!…ひどいな…まさか…京介を…差し向ける…なん……て」
それきり、華音は動かなくなった

殺した 殺した

「……??!」
その時、俺は我にかえる
真っ赤に染まるナイフ 動かない華音

俺の頭は真っ白になった

「剣城…」
向こうから声がした
見ると浪川が立っていた

「剣城…お前…」
「あっ……」
俺は立ち上がり、逃げ出した

怖かった 何もかもが
相手も自分も何もかも

そのあとはよく覚えてない
華音の遺体はそのあと教官達によって発見された

だがあくまでも『事故』という処置だった

そのあとすぐに、俺はファーストランクに上がり、その施設を後にした

——————

「……!」
驚きのあまり、海音は声が出なかった

「…そんなことが…」
浪川は呟く
「京介…すまない 俺のせいで…」
「そんな…兄さんのせいじゃないさ…」
剣城は言った

「…キャプテン、そろそろ学校に向かわないと間に合わないです」
「そうだな」
喜峰と浪川は立ち上がる

「…剣城、今まで疑って悪かった」
そう言って二人は出ていった
「剣城、ボクも練習行くけど…今日はこれそう?」
「ああ…後から行くから、先に行っていてくれ」
「分かった」
海音は頷き、病室を出ていった

剣城にあんなことがあったなんてね…

第二十九話 ( No.48 )
日時: 2012/10/02 19:43
名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)


海王戦から数日が経った

皆 剣城に大丈夫なのかと声をかけていたけど、剣城は大丈夫ですとしか言わなかった

話したくないんだろうね
ボクらに話したあの事は

そう思いながら海音は歩いていた 昼食食べないと…

「海音〜!」
後ろから声がして、海音は振り返る
天馬と信助、それに見知らぬ少年がいた

「海音、一緒に昼食食べよ」
「うん…天馬 その子は?」
「今日 転校してきた狩屋マサキくんだよ」
天馬は言った

穏やかそうな少年だった
「初めまして!俺は狩屋マサキ 宜しくね海音くん」
「…雪雨海音だよ 宜しく」

『くん』か…
…全国大会始まるし、そろそろ言うべきかな ボクが女子だということ…

——————

放課後、海音は部活に向かった
「………」
どうしようかな… 女子だと知ったら皆 ボクの事どう思うだろう

「…海音?」
「うわあっ!?」
突然声をかけられて、海音は思わず声を上げた

そこに居たのは剣城だった
「どうしたんだようつむいて…考え事か?」
「あ…うん」
今のところ、海音が女子だと知っているのは雷門イレブンの中で剣城だけだ

円堂や音無は…多分知らないだろう

「…全国大会始まるし、ボクが女子だって皆に言おうかなって…」
「ふーん……けど、基本ホーリーロードに女子は出れないぞ」

剣城が言ったのは事実だった あくまでもこれは『少年』サッカー大会なんだから

「…そういえば もうすぐ定期テストがあるぞ」
「定期テスト?」
「お前は学校に許可もらってるからジャージ登校してるけど、…その日は全員指定制服だ」

全員…指定制服

「…って事は剣城も普通の制服着るの?」
「ああ…まあな だからお前も 女子だとばらすならその日がいいと思う」
「なるほど〜」

二人はサッカー棟にやって来る 今日昼食を食べてる時、狩屋もサッカー部に入りたいと言ってたな…

でも狩屋は、海音達と話してるとき 表情には出ていなかったが楽しそうには見えなかった

サッカー棟には雷門イレブンが揃っていて、狩屋もいた
「…お前はサッカー好きか?」
狩屋は円堂と話をしている

「え…ハイ!好きです!」
「じゃあ入部を認める サッカーが好きな奴が入るのがサッカー部だ」
円堂は言った

サッカーが好きな奴が入るのがサッカー部か…
監督らしい

「よーし皆!屋内グラウンドで練習を始めるぞ!」
「はい!!」

その時、海音の携帯が震動した メールだ

「え…」
意外な差出人に 海音は思わず声を上げた

『 差出人:浪川

今日 鉄塔で練習をする
五時からだが 雪雨も来ねぇか?』

「………」
鉄塔で練習か…
五時なら丁度練習終わってるし、いいかな

『分かった 行くよ
…浪川さん どこでボクのメアド知ったの?』
そう打って送信した

「海音何してんだ!練習するぞ!」
「はい…今いきます!!」
駆け足で海音はグラウンドに向かった

——————

練習が終わる頃には四時を過ぎていた
皆ヘトヘトで、ドリンクを飲んでいる

「狩屋サッカー上手いね!」
「まぁ小さい時から蹴ってたからかな」
狩屋は天馬に言った

海音は携帯を見る やはり浪川からメールが来ている

『メアドは光良から教えてもらった いい忘れたが光良と磯崎と喜峰も来るから じゃあまた鉄塔で』
夜桜… 勝手に人のメアド教えて…海音は呆れた

「海音…誰とメールしてるんだ?」
すると神童は言った
「…友達とですよ」
海音は言った
浪川などと言ったらどんな反応されるかわからない

「…海音、全国大会に向けて 俺とシュート技考えないか?」
「え?」
海音は声を上げる
「シュート技…ですか?」
「ああ…嫌か?」

少し意外だった
神童からそんなこと言い出すなんて

「いいですよ やりましょう」
「そうか ありがとう…じゃあ明日から練習だな」
「はい!」

キャプテンとシュート技…か

——————

帰り道、海音は鉄塔に向かった
もう皆来てるかな…

「遅ぇぞ雪雨!」
鉄塔の周りには、すでに皆揃っていた
浪川、喜峰の他に 磯崎と夜桜もいる

「…夜桜と磯崎って浪川さんと仲良かったけ?」
「俺はな …磯崎はついでだ」
「ついでかよ」
夜桜に磯崎は言った

「…にしてもキャプテンが雪雨を呼ぶなんて…」
「雪雨のプレーには隙がある 化身ももっと強くなれるだろうしな」
浪川は言った
「…てめぇにはフィフスセクターを倒してもらわないといけないしな」

「浪川さん…強力してくれるんだ」
海音は呟く
「…海音 全国大会出られそうか?」
すると夜桜は言った
「何とかするよ…もうすぐ女子だってカミングアウトするつもりだけど」

「………え?」
喜峰は声を上げた
「雪雨って…女子なのか?」
「うん…」
「嘘だろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
浪川と喜峰は叫んだ

「お前…どっからどう見ても男だぞ」
「そうか?」
すると夜桜は携帯を取り出した
その画面を皆に見せる

それは海音が小5の時の写真だった 夜桜も写ってる 雪国なので厚着だ
「え…この可愛いのが雪雨?」
喜峰は言った

写真の海音は今のようなショートヘアではなく、腰ほどもある二つ縛りだった
「懐かしいな〜 ボクが髪切ったの雷門に入学する直前だったし」
海音は言った

素直に言うと、写真の海音は顔立ちが良くて可愛い 今の海音はショートヘアがよく似合っていてカッコイイ そんな感じだ

「……と、とにかく 練習するぞ 時間がもったいない」
「そうだね」
海音は頷いた

そして五人は練習を始めた

第三十話 ( No.49 )
日時: 2012/10/04 19:56
名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)
参照: なんだか恋愛っぽくなったー!!


河川敷で天馬や神童と少し練習したあと、剣城は一人で家に帰っていた
天馬とは家の方向が違うし、神童とはさっき別れた

そうやって一人で歩いていた時だった
「ん…?」
剣城の目の前に一人の少女が立っていて、立ち止まる

白い長い髪を二つ縛りにしていて、顔立ちの良い美少女だった

「…誰だ?」
年は同じくらい…でも雷門であんな女子は見たことがない

着ている服も、真っ白なワンピースでひどく質素だ
「……あの人の 心の片割れ」
少女は言った

心の…片割れ?

「…どういう意味だ?」
剣城は訪ねる

だが少女は答えず、歩いていった

何だったんだ…あの少女は
けど…誰かに似ている気がした

——————

次の日

放課後のサッカー棟に雷門イレブンはいた
「あれ?海音は?」
「掃除当番だとよ」
天馬に剣城は言った

「…にしても、いよいよ全国大会なんだな」
三国は言った
「フィフスセクターに従ってたあの頃が夢みたいだ」
車田は言った

「…海音と天馬のおかげだな」
神童は天馬を見る
「いや…すごいのは海音ですよ サッカー上手いし」
天馬は言った

「…でもさ 海音って何者なんだろ」
すると信助は言った

「何者って?」
「だって海音はサッカー初心者なんでしょ?…上手すぎない?」
「…確かにな」
霧野も頷く

「……海音は まだ俺達に話してない事がある気がする」
「………」
剣城は黙っていた

海音は自分が女子だとまだ皆に言ってない

…そういえば 天河原戦のキャラバンの中で、海音は自分にすごい秘密があると言っていた

一体何なんだろう

その時、海音がサッカー棟にやって来た
「こんにちは〜」
海音は言った

皆は海音を見ていた
「…海音、お前は何者なんだ?」
単刀直入に霧野は言った

「…どうしてですか?」
海音の雰囲気が微妙に変わる

「だって…海音はサッカー初心者なのに俺達よりもサッカー上手いだろ」
倉間は言った
「…多分 幼馴染み達とボールを蹴りあってたから…」
海音は言った
「…ボールを蹴りあっただけであの実力って…」
信助は言った

「…もう良くないですか?」
見かねた剣城は皆に言った
「誰にも、話したくない事はある」
「そう…だよね ゴメンね海音」
天馬は言った

「…すいません ボク気分悪いので帰ります」
すると海音はサッカー棟から出ていった

「…やっぱり何かあるな」
三国は言った
「アイツの親ってどんな人だろ」
「さぁな」

「…ねぇ剣城」
すると天馬は剣城に近づく
「なんだ?」
「剣城って…海音の事 好きなの?」

皆の視線が二人に向けられる 驚愕の表情を浮かべていた

「え?…剣城マジで?」
倉間は言った
「だって海音は男だぞ?」
「な…ッッ!!」
剣城は顔を真っ赤にした
大体、海音は女子だ!

「松風!!何を根拠に…」
「だって…剣城っていつも海音と話してるよ?」
天馬は言った
「練習だっててたまに俺とするけど、大抵は海音とだし…シードだった時は海音に何気優しいじゃん」
「確かに…」
神童は呟く

「あ…あれは…海音が話すから…」
「でも剣城 嬉しそうじゃん」
浜野も言った

「まぁ俺は応援するからさ…頑張って!」
天馬は言った

「お…俺 海音を見てくる」
耐えかねた剣城はサッカー棟を飛び出した

「てか剣城も…案外可愛いな」
クスクスと霧野は笑った

——————

外は雨が降りだしそうな曇り空だった
「………」

『海音…お前は何者なんだ?』

海音の中でその言葉がこだまする

何者…か まぁ言ったら驚くだろうな…

近くでビルの建設をしてるので工事の音がうるさい

その時だった
「…海音」
落ち着いた声が後ろから聞こえた

振り返ると、剣城が立っていた
「剣城…どうしたの?」
「…練習に来ないか?」
剣城は言った

「…気分悪いからいいよ …ごめんね」
そう言って海音は背を向けて歩き出す

すると剣城は海音の手を掴んだ
海音の手はひどく冷たかった

「練習…来ないのか?」
「…ごめんね」
海音は剣城の手を振りほどき、走り出した
「待てよ海音!」
剣城もその後を追った

だが海音の足は速く、全然追いつけない
本当に女子か?

その時 大きな音がして剣城は立ち止まる
上を見ると、ビル工事に使われている細長い鉄骨が大きく揺れていた

「あ…」
海音もかなり遠くで止まった

まずい…よけないと

そう思っていると、剣城の上から何本もの鉄骨が降り注いだ

「剣城ッ!!」
海音の声がした
ダメだ…避けられない…

海音はすごい早さで剣城に向かっていく
だが このままじゃ間に合わない

すると海音の周りに冷気が発生する
それは一ヶ所に集まり、剣城の周りに氷の柱を造って鉄骨を剣城のすぐ真上で止めた

「な…」
剣城は氷で止まった鉄骨を見上げる

これは…一体…

「あ…」
氷を生み出した手を見て海音は声を上げた

どうしよう…
殺される…

「海音!?」
剣城は海音を追いかけた

その背後で、氷の柱は音をたてて崩れた

——————

雨が降ってくる
それは瞬く間にどしゃ降りとなり、あっという間に海音をぬらした

力を使ってしまった
どうしよう…

鉄塔の上で、海音はうずくまりながらそう思った
「……」
『あの組織』にバレたら…今度こそ殺される

どうしよう…

すると海音の上に何かがかぶせられた
その前に立っていたのは剣城だった
「剣城…?」
「…すまない 助けてくれて」
制服の上着を着ていないことから、かぶせられたものが上着だと気づく

剣城は海音の隣に座った
「…ボク 殺される」
「……は?」
「力を使ったから…使うなと言われてたのに」
海音は言った

「力って…さっきの氷か?」
「うん… 前にキャラバンで言ったよね すごい秘密があるって…これの事だよ」
「……海音 お前は何者なんだ?」
剣城は訪ねる
「…雪女 知ってる?ボクはその雪女の末裔…らしいんだ」
「雪女…」

よく昔話に出てくる、氷の力を持つ妖怪だ
「お母さんはもっと氷の扱い上手かったけどね」
「海音…殺されるってどういうことだ?」

すると海音は立ち上がる
そして上着を剣城に返した
「剣城ありがとうね…これ」
「海音…答えろよ!」
剣城も立ち上がった

「…ごめん、答えられない」
「海音…!」

『剣城って…海音の事 好きなの?』

天馬の言葉が剣城の中によみがえる
もしかしたらそうかもしれない

すると海音はいきなり剣城の手を掴んだ
「海音?」
剣城が言うと、海音の手が冷たくなっていき
剣城の手が凍り始めた

「なっ…!?」
「こんなことをされても…君はボクと関われるの?」
静かに海音は言った
「もう…誰も死なせたくないんだ」

「俺は…かまわない」
剣城は言った
すでに右腕から首にかけて凍りついていた
「お前が雪女だろうと、俺はお前を見捨てないから …海王の時のように」
「…!」
海音は剣城から手を離す
すると凍りついていた右手が元に戻る
「…ありがとう 」
ただそれだけ言って、海音は剣城から去っていった

雨はいつの間にか強くなっていた

第三十一話 ( No.50 )
日時: 2012/10/07 19:54
名前: 時橋 翔也 (ID: EggErFJR)


「海音…練習に行かないのか?」

次の日、病室に来ている海音に直矢は訊ねた
「うん…今日は休みだから」
海音はそうやって嘘をついた

「…直矢、ボク剣城に…力を使ったんだ」
「力を?」
直矢は言った

夜桜や直矢は、海音が雪女だと知っている
「…剣城に嫌われたかも」
「…どうだろうな」
直矢はそう言うしか無かった

——————

「今日は海音練習に来ないんだね…」
リフティングをしながら天馬は言った

先ほど海音から電話があった
今日は練習を休むと

「…必殺シュート考えたんだけどな」
メモを見ながら神童は言った

「……」
きっと昨日の事を気にしているんだろう 剣城は思った

「みんな!河川敷に行くぜ!」
すると円堂は言った
「河川敷ですか?」
「今、電話があったんだ、練習試合をしてほしいとな」

練習試合…

「なんか楽しみだね!」
「うん!」

——————

「円堂さん!今日は練習試合に付き合ってくれてありがとうございます!」

河川敷で、試合をする『秋空チャレンジャーズ』のキャプテン 木暮は言った

天馬が住んでるアパートの住人で構成されたチームで、ホーリーロードとは全く関係ない

革命とは関係ない自由なサッカー… よく考えたら久しぶりだ

「久しぶりだな 楽しいサッカー」
神童は言った
「よし 狩屋 お前の実力を見せてくれ…まずは自由にプレーしろ」
円堂は狩屋に言った

愛想よく笑い、円堂が向こうに言ったあと一人呟いた
「自由なプレーだな…?」

——————

「…ねぇ直矢、ボクのこの格好 似合ってる?」
「ああ …なんか昔みたいだな」
直矢は言った

今日の海音の格好はかなりいつもと違っていた
前髪を少しピンで止め、小さく二つ縛りにして黒縁のメガネをつけている

服装も女子らしい ちなみにメガネはレンズではなくただのガラスだ あくまでも『変装』なので

普通の格好で出歩いて、部活サボったとバレないように

「…そろそろ検査の時間だから行くよ」
「わかった…ボクも帰るね」

二人は病室を出ると別れた

これから何をしよう… もうすぐテストだし、家に帰って勉強しようかな

「………」
殺されるかもしれないのに…気楽だなと自分でも思った

——————

病院を出て、河川敷の近くを歩いていた時だった
「あ…」
思わず海音は声を上げる

河川敷では雷門イレブンがどこかのチームと練習試合をしていた

この格好ならバレないかな…そう思って海音は試合を見ることにした

「頑張れみんなー!!」
マネージャー陣は大声で応援していた

「行かせない!」
「悪霊退散!!」
札を持ってドリブルをしている人を見て、海音は苦笑した

「うわあっ!」
するとボールを奪おうとした霧野の前に狩屋が無理な割り込みをした

「狩屋!何をする!」
「すいません 雷門の弱点は霧野さんだと思ったので」
狩屋は言った

ボールは神童に渡る
「天馬!」
神童は天馬にパスをした

「そよかぜステップ!」
相手のスライディングを必殺技でかわし、剣城にパスを出す

だが、スライディングをかわせずボールを奪われた
「くそっ…」

「皇帝ペンギン2号!」
相手の三人は強力なシュートを放つ
前に海音が打った皇帝ペンギン1号の改良版で、威力は落ちるが強力な技だ

「ハンターズネット!」
すると狩屋はゴールの前に立ち、赤い網を出現させてボールを止めた

「天馬くん!」
そして天馬にパスをした

そこにスライディングをかけられ、ボールを奪われた
「行かせない!」
「俺がいきます!」

走り出した霧野に、狩屋は思いきりぶつかった

「うわあっ!?…狩屋!」
「へへっ…」

「………」
もしかして狩屋、わざとかな 海音は思った

「ぶっとびジャンプ!!」
信助の必殺シュートが決まったのと同時に試合は終了した

一対0で雷門の勝利だ

「やったーっ!」
天馬は声を上げる

みんなの表情は、普通の試合と違い、生き生きとしていた
こんなサッカーがいつもできたらいいのに

「…剣城、シードの養成施設に狩屋は居なかったか?」
霧野は剣城に訪ねる
「俺は見たことないです… アイツには素質がありますが、シードかどうかはわかりません」
剣城は言った

「あれ?あの子誰だろ…」
すると天馬は海音の方を見た
「ねぇー!君何してるのー?」

「やば…」
まずい、見つかった

剣城も海音を見た
あいつ…どこかで…

「なんかあの子可愛いね、雷門の子かな?」
信助は言った
「でも…雷門にあんな子居たっけ…」
天馬は呟いた

とりあえず、海音はその場から去っていった
声でバレるかもしれない

…狩屋には、少し気を付けた方がいいかもしれない

第三十二話 ( No.51 )
日時: 2012/10/08 18:32
名前: 時橋 翔也 (ID: 7uqXWVar)


「あ…海音!」
サッカー棟にやって来た海音を見て、天馬は声を上げる

今日はいつも通り部活に来ていた
「この前はゴメンね」
「いいんだよ …ボクも部活休んじゃったし」
海音は言った

「よーし!第二グラウンドで練習だ!」
「はい!」

「…海音」
すると神童は海音に近づく
「どうしました?」
「前に話したシュート技を考えたんだ」
神童はメモを海音に見せた

「…フリーズハーモニー?」
「ああ 俺の音楽とお前の氷を掛け合わせた技だ」
「…とりあえず、やってみましょう」
海音は言った

——————

第二グラウンドに行き、海音と神童はゴールの前に立つ

神童がまず 軽やかな音楽を発生させ、そのハーモニーと共に海音が氷、神童が音符で同時にシュートする

それが『フリーズハーモニー』だ

「よし、行くぞ!」
神童はフォルテシモの時のように音符を発生させる
海音は足に冷気を集中させた、神童も足に音符を集める

「フリーズハーモニー!」
二人はシュートする
だが シュートはゴールする前に威力が落ちてしまった

「…失敗か」
神童は呟く
「タイミングは良かったのに…」
「これは音楽と同じでハーモニーが重要だからな」
つまり、神童の音楽と海音の氷が上手く調和しないのだ
「よし…もう一度だ」
神童が言ったときだった

「うわあああっ!!」

狩屋の声がした
二人はほぼ同時に向こうを見る
「狩屋…?」

駆け寄ると、狩屋は足を押さえて地面に倒れていた
「ぐっ……き、霧野先輩の足が当たって…」
「なっ…ちょっと待てよ!俺は何も…」
霧野は声を上げる

だが周りの空気は冷たかった
「霧野!試合前にラフプレーは厳禁だろ!」
倉間は言った

「や…やめてください 俺は平気なんで」
狩屋は立ち上がる
「霧野先輩…俺は大丈夫なんで」
そして狩屋は向こうに歩いていった

——————

「フリーズハーモニー!!」

二人は何度もフリーズハーモニーの練習をしていた
だが まだ一度も成功していない

「…何がダメなんだ?」
神童は呟く
タイミングも、バランスもばっちりの筈だ

なのに、成功しない…

「…狩屋、お前雷門に何しに来た?」
すると向こうで霧野が狩屋と話しているのが見えた

何を話してるんだ?

「…言いたいことがあるんなら、はっきりと言ってください」
狩屋はいたって落ち着いていた

「お前…シードなんだろ?」

「え…?」
海音は声を上げる
狩屋がシード?

「…そうです 俺はシードなんです」
「!!」
「なーんてね …じゃあ」そう言って狩屋は去っていった

狩屋…

「海音…どうしたんだ?」
「いえ…何でもないです」
海音は言った

——————

練習が終わり、海音がジャージを着たときだった
「なぁ 今日は俺の家でメシ食ってかないか?」
円堂はサッカー棟の皆に言った

「監督の家…ですか?」
天馬は言った
「ああ …俺の奥さんが料理作って待ってる」
「監督結婚してたんですか!」
神童は言った

「…ボク 行けますよ」
海音は言った
「俺も行ってみたいです!」
「よーし ここにいる皆で行くか!」
円堂は言った

——————

サッカー棟にいた海音、天馬、神童、剣城の四人は円堂の家に行くことにした

雷門中の近くに家はあり、円堂に続いて四人は入った
「ただいま〜 帰ったぞ」円堂が言うと、向こうから一人の女性が出てきた

茶色い髪の美しい女性だった
「おかえりなさい …お客さん?」
「ああ 雷門の後輩だ」

「松風天馬です!宜しくお願いします!」
「初めまして、神童拓人です」
「…剣城京介です」
「雪雨海音と言います!」

「今日は 私は円堂夏未 …もう夕食出来てるから入って」
そう言われ、五人は中に入った

——————

「………………」
夏未の料理を前に、天馬、神童、剣城は言葉を失った

「さぁ 遠慮なく食べろよ!」
食べれるか! 円堂に三人は思った

テーブルの前に並んでいるのは、怪しい色をした料理の数々だ
どうしたらこんなひどい有り様になるのか、三人には検討もつかない

来るんじゃなかった… 天馬は思った
「い…いただきます…」
恐る恐る神童は箸で おかしな物が沢山混じった味噌汁であろうものに手をつける

そして口に入れた
「…ぐ……」
見た目もひどいが、味もひどい

同じく口に入れた剣城も頭を抱え、天馬は青ざめる
「どうだ?」
円堂は食べながら言った
その顔は圧倒的にやせ我慢をしている

ふと 剣城は隣の海音を見てみた
剣城は思わず目を疑う

海音は嫌な顔などせず、普通に食べていた 頬張っているようにも見える
「美味しいです とても」海音は言った

「よかった!もっと食えよ!」
「はい!」
「………」

海音ってもしかして…相当な味音痴か?
三人は食べながらそう考えていた


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