二次創作小説(紙ほか)
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- トリップする話
- 日時: 2018/03/16 00:40
- 名前: ぜんざい (ID: fVY/oVEd)
どうもはじめましてぜんざいと申します。ここではとりあえずいろんな漫画に夢主がトリップする話を書こうかと思ってます。
夢主は色々。
中途半端になるだろうと思われます。
ぜんざいの自己満足ぶちまけてます。暖かい目で見ていただければ幸いです。
夢もやる。
好き勝手やりまくっててかつ愛想がまったくないぜんざいですが見守ってやってください。
- Re: トリップする話 ( No.19 )
- 日時: 2017/08/20 23:01
- 名前: ぜんざい (ID: YFibMoCv)
しかし、クリスのイエロー達の無事の知らせだと思った連絡は、オーキド博士からだった。まぁ確かにこのタイミングならそう思うのも仕方ない。
オーキド博士のクリスへの連絡は新しく頼みたいことを教えるためだったらしい。今思い返すと、こっちとゴールドはオーキド博士にポケギアの番号を教えていない。やってしまったな、と横目でゴールドがポケギアに向かって元気よく「よ!」と声をかけているのを見て、図鑑を開く。
わりと旅を始めた辺りから一緒にいるライチュウだが、思うとコイツのステータスを見てないことに気が付いたのだ。
『……はぁっ!?』
「なんだ!? どうしたイオリ!?」
「いきなりどうしたの!?」
<なんじゃ!?>
『あかんコイツすごい! このライチュウめっちゃすごい!』
『なみのり』の他に『そらをとぶ』覚えとる! とテンション上がりまくりで言うと全員から驚きの叫び声を頂いた。……うるさいわあ。
注目されてきゃっきゃとはしゃぐ愛らしいライチュウを唖然と眺めながら、なみのり要員も飛行要員ももう要らなくなった瞬間だった。いつかのANAの限定ピカチュウなんかコイツ!?
そんなハイスペックライチュウはとりあえず保留にして、オーキド博士のこっちらへの頼みとは、三人でポケモンリーグへ行ってほしいというものだった。どうやらマスク・オブ・アイスがジムリーダーの中に潜んでいるようで、理由は今年度のポケモンリーグではカントージョウトの全ジムリーダーが集まるからというものらしい。それは表向き、そしてジムリーダーたちに伝えてあるのはカントー対ジョウトのジムリーダーの対抗戦。本当の目的は悪の親玉を見つけ出すためだと言う。そんな理由を聞いたゴールドが張り切り出した。
「おっしゃあ! まかせとけ!」
正直不安しかない。そしてクリスとこっちはオーキド博士から『ゴールドのお目付け役』と言う大役を課せられた。確かに、彼は暴走し出すと止められない。オーキド博士、懸命な判断ですキリッ。
その後、博士との連絡を切ったクリスと目を合わせ、お互いにうなずき合う。
『頑張ろな、クリス!』
「ええ!」
「あ? なんの話?」
そんなゴールドをスルーし、とりあえずこっち等は島を発った。
- Re: トリップする話 ( No.20 )
- 日時: 2017/08/22 01:48
- 名前: ぜんざい (ID: YFibMoCv)
ようやく到着したポケモンリーグ会場でゴールド、クリスと共にジムリーダーたちの様子を伺った。どうにもこの中にマスク・オブ・アイスが居るようには全く思えないが、原作を知っているこっちは既に全てを理解している。
そこで、隣でゴールドがマスク・オブ・アイスの使う技は氷だった、と隣で現在終わった試合を見て呟く。
チョウジジムのジムリーダー、ヤナギ老人。エキスパートは氷タイプ。車椅子に座って杖をついている、いつも微笑みを携えている小柄なお爺さんだ。こう見えて、ジョウトのジムリーダーのトップを張っているすごい人だ。そう、彼がゴールドの疑いの通り、マスク・オブ・アイスなのである。
すると、ゴールドの服の裾がエーたろうに引っ張られ、クリスと共につられて振り向く。どうしたのだろうかと背後の階段の上を見ると、丁度そこに居た人影は踵を返した。あれか、コンピュータルームゴールドクリス密室事件。コミックス読んだときは興奮したものだ。ゴークリ最高。
「待ちやがれ!」
自分たちを付け回していると感付いた二人は、一目散にその影めがけて走り出す。彼らはこっちが着いていっていないことに気が付いていない。所詮イレギュラー、気にされる必要はない。
こっちはその様子を横目に流して前を向く。向かうはヤナギ老人の元。ゴールドやクリス、シルバー、その他の先輩図鑑所有者の手助けとしてだ。今の時点で減らせる杭は打ち付けておくのが得策。もちろん、返り討ちにされるとそこまでだが。どうせそうなっても主人公達が助けるだろう、どちらに転んでもリスクが増える減るだけの話なので、悪い話ではない。
バクフーンを傍らに置いて、こっちは一緒に、ゴールド、クリスの行った方向とは真反対の、試合会場へ駆け出した。
**
ゴールドside
俺たちを付け回す奴を追って螺旋階段をかけ上がり、その影が駆け込んだ部屋へと勢いよく突入する。
「!」
「たくさんの計算機器……ここはコントロールルーム!?」
辺り一面の壁のモニターと数々の素人が見る程度じゃ理解もできないボタン。椅子に腰を掛けて座る作業員の男。
ここはクリス曰く、リーグ会場の機能中枢で、全ての情報が集中しているらしい。こんなとこで故障なんか起きたら大変だな、とそんな思考を捨てて座る作業員に声を掛ける。
「おい! 今ここに怪しいやつが……」
作業員の男に駆け寄りながらそう叫ぶと、男の体がぐらりと揺れてドサッと地面に落下した。目を回して唸っているところから、先程入ってきたやつにやられたらしい。隣で悲鳴をあげるクリスと一緒にそこを飛び退いて驚いていると、作業員のおっさんが操作していた台の奥から二人の男女が傍らにはヤドキングとマグカルゴをはべらせて現れた。
その姿にクリスと同時に俺は「ああ!?」声をあげる。
「シャム!」
「カーツ!」
この二人はマスク・オブ・アイスの側近の一人だ。コイツらがそう名乗っていた。
この二人は以前のエンジュの地盤沈下と言う大災害を引き起こしている、今度は何をするつもりなのかと疑うのも当たり前のことだった。
その二人に拳を握ってつっかかる俺に、クリスは悲痛な声をあげながら止めには行った。
クリスがなんで俺を止めるのか、俺自身さっぱりわかりゃあしない。とっととぶちのめしてさっさとジムリーダーの見張りをしなきゃなんねぇってのに! ここでもたついてる暇なんかねぇんだけど!
そうこうしていると、ガキっと俺たちの体は何かに固められたように動かなくなってしまった。
「な、なに!?」
「う、動かねえ!」
唐突に言うことを聞かなくなった体に困惑して声をあげると、シャムは「およしなさい」とやけにえらぶった言葉を投げつけてきた。
かぽりと半分に割れた仮面を装着する二人は、なるほど確かにマスク・オブ・アイスの側近だと思えるような似たようなマスクだ。趣味わりい。
動けなくなった原因は数匹のヘルガーとペルシアンたちの『ほえる』らしい。とりあえずそいつらをのして自分たちの体の自由を確保すると、不意にそいつらは気が付いたように呟いた。
「あら? それはそうと、あの子供らしくない眼鏡のお嬢ちゃんはここには居ないのね」
「それはそれで好都合だ、彼女の持っていたゲンガーはかなりレベルが高かった。居れば苦戦を強いられるだけだ」
「そうねぇ」
「はぁ!? イオリがいねえ!? んなわけ……」
思えばさっきからイオリの声を全く聞いていない。クリスと共にキョロキョロと視線をさ迷わせると、慣れ親しんだアイツの姿はどこにもなかった。
**
ついさっきゴールドのリニアからロケット団が乗ってくると言う大型モニターの知らせは本当だったと観客は気付き、我先にと悲鳴をあげながら逃げ出す。人間とは欲深い。こっちも人のこと言えない。
『こうも人が多いと前に進めへんやんけ……!』
ぎりりと歯を噛み締めながら、全く近付かない試合会場を睨み付ける。バクフーンも思うことは同じようで、こっちの腰に下がる、バクフーンを含む三つのうちのボールのひとつを指差した。
空気の読める相棒で本当に助かる。偉い。可愛い偉い。
『バクフーン、お前はほんまに頭がエエな!』
人混みの中、わしわしとバクフーンを撫でると嬉しいを器用に顔で表現するから本当に可愛い。彼女のボールを見せるとこくりと構わないと言うように頷いたのでモンスターボールに戻し、さっとライチュウのボールを宙に投げた。
ボールの中から様子を察していたらしい彼は、一鳴きしてからその長い尻尾の先端の雷のようなスペースにこっちを立たせ、体に掴まらせてから本当に空を飛んだ。
『うわ、ライチュウお前えらいで!』
はにかむライチュウマジ天使。会場にスタッと着地すると、ジムリーダーの面々から不審な目で見られた。ちらちら顔見知りも居るが、ライチュウで空飛んできたから不思議なのだろう。
生憎と構っている暇はない。一目散にヤナギ老人に駆け寄るつもりだったが、彼の姿はもうない。
諦めて知り合いであるグリーンへと駆け寄った。
『グリーンさん!』
「お前、イオリか!?」
『さいですよ……!』
グリーンはこっちだと気付くと目を見開いた。
グリーンとは元々友人寄りの知り合いである。こっちの母親が支離滅裂な無茶苦茶をするやんちゃトレーナーだと言うことはご存じだろう。何せ10歳の誕生日に元々自分の手持ちだったレベル80のゲンガーあげる母親だ。
自分の母親ながら思う。ないわー、マジないわー。
そしてそんな母はオーキド博士に手を貸したり手伝いやらしてきたようで。
まぁ要するにこのグリーンと知り合えたのはオーキド博士のおかげと言っていい。幼いながらにイケメンをこの目で堪能できるとは思っていなかった。ゴールドも、もちろんシルバーだってイケメンやけど、ほら、グリーン公式イケメンやん……? イケメンイケメン騒がれとるイケメンを一目は拝みたいと思っていたのだ。出会ったのは7歳ぐらいの時だろうか。年は三つ離れているからその時彼は10歳だった筈。今はもう14歳か、時の流れってホント速い。
「どうしてお前がこんなところに……!」
『あ? ……聞いとりません? こっち、オーキド博士に図鑑貰っとんすけど』
「!?」
そんな、嘘だろ!? って顔やめてもらっていいですかね。一応年下やけど精神と言うか大人としては20云年は先輩やからな。イコール精神年齢三十路時とか言わんといて。
- Re: トリップする話 ( No.21 )
- 日時: 2017/08/24 00:56
- 名前: ぜんざい (ID: YFibMoCv)
グリーンとそんなことを話しているのも束の間。ゴールドの言う通り、リニアは轟音をたてながらやって来て、中からマスク・オブ・アイスの半分の仮面を付けた大量のロケット団の残党が姿を表した。
大量のロケット団と大勢のジムリーダーたち。これだけの要素が揃えばそりゃあ乱闘にもなるわけで、とりあえずこっちはグリーンたちに着いて戦うことにした。頑張れバクフーン!
実はゴールドたちに着いていって自分の図鑑所有者としての能力とはなんなのだろうかとか知りたいことはわりとあったりするが、恐らくただのイレギュラーでしかないこっちに代名詞と呼べる能力なんてないだろうし、原作通りならゴールドはピカとチュチュの持っていたタマゴを孵してピチューと共にマスク・オブ・アイスことヤナギのおじいちゃんを追って時の狭間に向かうだろうし。三犬と共にウバメの森に高速でやって来れるクリスとは違い、悔しいことにこっちに素早く向かう手段はない。ライチュウは空を飛べるがスピードがどれだけ出るか分からないから、試すのは今じゃないし。ここはおとなしくジムリーダーに着いていった方が良いだろう。ゴールドがあらぶる感じしかしないが。
流れに沿ってリニアの中まで乗り込んで敵を薙ぎ倒していると、急に扉が閉まって中に閉じ込められた。これも原作通りである。しかし、やられてみると苛立ちは募るばかりだな、これ。なんとも言えないしてやられた感が否めない。くそ、むかつく。
「り、リニアが!」
「再び動き出していますわ!」
**
一方のゴールドたちはコンピュータルームを無事抜け出し、再び会場の方へと戻ってきていた。イオリが居ないことで若干苛ついているゴールドをちょこちょこいさめていたクリスもそろそろ諦めかけている。
しかし、そんな二人は目の前の光景を見てそんなことを吹き飛ばす。
「どけェ!」
「邪魔だ!」
「っきゃ、」
自分たちより大きい大人たちが押し合いへし合いをして、我先にと出口へと向かって殺到する人だかりの群れ。二人はその勢いに目を見開き半歩あとずさるも、悔しさで声をあげた。
「くそっ、間に合わなかったか! 行くぜクリス!」
「ええ!」
二人は自身のモンスターボールをポケモンの名を叫びながら頭上へ放る。中から出てきたのはゴールドのマンタインのマンたろう、クリスのネイティオのネイぴょん、どちらも飛行タイプだ。
各々のポケモンで各々の飛び方をする二人は人だかりの上を飛んで逆走を開始する。そして試合会場を見て叫んだ。
「これは!?」
会場一面に蔓延る白い煙、クリスは苦しげにけほけほと蒸せて咳を繰り返し、ゴールドはゴーグルを装着する。たったさっきまで凌ぎを削っていた場が真っ白になっているのだ、目を見開いて驚くのも無理はない。
ゴールドはそのままその場を旋回し誰かいないのかと思いながら周囲を見渡すと、実況室と言うかアナウンサールームというか、そんな部屋にアイドルのクルミとラジオ局長が居るのを発見した。
そのまま硝子張りのそこへ近付き、ドンドンとガラスを叩く。
「クルミちゃん!」
「ゴールドくん!」
「聞こえたっすか!? 俺のメッセージは?!」
そう二人に問い掛けるゴールドに、局長が「ああ!」と顔をしかめて頷いた。しかしその顔には険が含まれており、彼は「だが……すまない、どうにもできなかった」と視線を下に向ける。その事に「ええ?!」と声を張り上げるゴールドだが、無理もない。あの放送はリニアで殴り込んでくるロケット団達が来る直前のものだったのだから、人間は言われてはい、そうですかとさっさと行動に移せるものではない。人数が多ければまた然り。
クルミはそのままそのときの様子を口頭で伝え始める。
「闘技場内に居たジムリーダーたちは観客を守るために列車に乗り込んで残党たちと戦い始めた! その中にイオリちゃんも居たわ!」
「えっ、イオリが?! 嘘っ?!」
「っんで、んなとこ居んだよアイツ!」
心配そうに声をあらげる二人にクルミは「そのままリニアは走り出してしまったの!」と切羽詰まったような顔で言い切る。なんだとぉ!? と続けて叫んだゴールドに、まだ戦いが続いている、と予想するのは簡単だった。
そんなゴールドの隣でクリスが酷く心配げな顔をする。出会った図鑑所有者のうち二人は男子、脇目も振らず喧嘩を始めたゴールドとシルバー、そんな不安要素の中で同性と言うのはとても心強いものだ、クリスはそのお陰かイオリととても仲が良いと言っても過言ではなくなっている。初めて出来た同い年の女の子の友達と言うのはとても大切な存在だった。心配をするのは当然と言える。それはゴールドも同じだ、幼い頃から何をするにもずっと一緒だった、ある種魅力的と言える女の子に何の感情も芽生えていない訳がない。あまり表には出していないが、現にシルバーがイオリの名前を呼んだときなど片鱗はあっただろう。
クリスはハッとして「それも敵の作戦だったんじゃ……!」と声を発した。どういうことだ、とある程度の仮説を立ててゴールドは問う。
「ジムリーダー程の実力者があれほど揃っていたらいくらなんでも敵にとっては邪魔だったはず! 私たちはリニアのプログラムへの細工が会場に突っ込ませ混乱させるための破壊工作だと思っていた! でも本当の目的は……!」
「ジムリーダーを纏めて隔離することだったのか!」
11歳の子供とは思えない推理力を発揮する二人に、聞き覚えのある機械音が鼓膜を震わせたのだった。
- Re: トリップする話 ( No.22 )
- 日時: 2017/08/26 01:05
- 名前: ぜんざい (ID: nZVCHjgh)
ノリで乗り込んだリニアではジムリ同士のいざこざや後部車両が分断されるマチスの思惑があったりといろいろと面倒なことはあったものの、今現在、こっちはグリーン、そして途中から合流した初対面のレッドと共にナツメの置いていった運命のスプーンを頼りにグリーンのサイドンで地下を進んでいた。途中、シバとキョウにあったものの仲間として働いてくれたので助かった。流石にジョウトの危機とかいってんのに勝負仕掛けられたら怒鳴るわ。まぁ、何も知らなかった二人にセレビィの情報を与えくれたことは感謝だ。
あれよあれよと物事が進むものだからレッドとお互い自己紹介が出てきていない。現にグリーンと共にサイドンに乗りながら地面を進むレッドはちらちらと気まずそうにこっちに何回か視線を寄越している。ちなみにこっちは二人と一匹のあとをバクフーンに乗りながら追いかけている。こんなとこで頼ってごめんねバクフーン女の子なのに。事がすんだらブラッシングするから勘弁して。とかなんとか言ってみたり。バクフーンは激しくこくこく頷いていたのでいやほんと申し訳ない。女の子だもんね、すまんねホントに。今頼れるのはお前しかいないんだ。ライチュウにも乗れるけどあの子には頼りっぱなしだし、ゲンガーはこっちを乗せて走れないし。ホントごめん。バクフーン好きだよだから消去法なんて言わないでうちのエース……!
そしてどうしてこっちがサイドンに乗っていないのかと言うと、正直初対面の人と共にポケモンに乗る趣味はない。気まずすぎる。グリーンは乗れよと言ってくれたが、気まずすぎる。そう、気まずすぎる。どうしよう気まずすぎる。がゲシュタルト崩壊しそう。
ちらちらとこちらを見るレッドと俄関せずを貫き通すこっちに居心地の悪さを感じたのか、はたまたしびれを切らしたのか、グリーンが「お前ら挨拶しろよ」と言ってくれたのが救いだ。コミュ障にそんな言葉なしにやれなんて言う人は敵だ。
「はー、よかった、グリーンサンキュー! はじめまして、俺、マサラタウンのレッド! よろしくな! カントーの図鑑所有者の一人だ!」
『あー……はじめまして、ワカバタウンのイオリ言います。ジョウトの図鑑所有者の一人です。多分レッドさん、先輩っちゅーことになる思うんで親しみを込めてチャンピオンと呼ばしてもらいます』
「それ親しみ込めてんの!? むしろ距離遠のいてる気がするんだけど!」
『めっちゃ親しみ込めてますよー、ほれチャンピオンやれチャンピオン』
「馬鹿にされてる気しかしない!」
なにアイツ! と半分泣きそうになりながらグリーンに助けを求めるレッドだが、グリーンも「……俺も昔された。悪いやつではない」と説明するからさー、もー。確かにグリーンと出会って挨拶した直後にそらイケメンやれイケメンと騒いだのはすまんかったと思うけど。
こっちに涙目の視線を向けるレッドと呆れ顔でこちらを見てくるグリーンにいえー、とピースを向けるとグリーンに溜め息吐かれた。貴様。
『すんませんチャンピオン、悪ふざけが過ぎましたわ、ホンマ』
「ホントにな! チャンピオンやめて!」
『まぁこれからよろしくお願いしますわ、レッド先輩』
ひらひらと手をふってから軽く頭を下げるとレッドはキョトンとしたあと、ヘラっと笑って「おう! よろしくなイオリ!」と軽快に笑った。笑顔がとても眩しいです。
**
一方、マスク・オブ・アイスの仮面を叩き割り、正体を見破ったゴールドは正体、ヤナギ老人にボロ負けした。彼にこの時障害は多かった。イエローたちの居た育て屋がロケット団に襲撃され、ピカとチュチュはタマゴを抱えて逃げ出していたところを人質ならぬポケ質タマゴ質を取られ、そのピカチュウ二匹とタマゴを守ったゴールドはボロボロになって負けた。
そのあとすぐにやって来た育て屋のおじいさんおばあさん、そしてうずまき列島の時の釣りのおじさんがやって来て、オーキド博士から渡されたと言う手紙をゴールドに授ける。
その内容は、図鑑所有者の能力を示した物だった。
「な、なんだこりゃあ!?」
【これまでわしのもとから図鑑を持って旅立っていた少年少女たちはそれぞれ個別の能力に長けていたように思う。それは一つ一つがトレーナーとして大切な能力ばかりじゃ。わしはポケモンとトレーナーの関わりを研究するものとして、常に彼らに目を向けてきた。
レッド。リーグ優勝経験もある“ポケモンバトル”の第一人者。「戦う者」じゃ。
グリーン。ポケモンを鍛えるのが上手い。“ポケモン育成”「育てる者」じゃろう。
イエロー。ポケモンを「癒やす者」。能力は“ポケモン回復”
イオリ。親すらも抜き去っておる状態異常や傷に関する知識と技術を持つ“ポケモン治療”、「診る者」。
クリス。ゲットのスペシャリスト。“ポケモン捕獲”「捕える者」じゃ
】
そこまで読んだゴールドは、今までにクリスやイオリから聞かされたことのある名前ばかりだと納得する。そして続きの文に集中し出した。
【そしてブルーとブルーを実の姉のように慕う少年シルバー。ブルーがわしに心を開いて隠さずに話してくれた過去のことから推察するに、わしのところから図鑑を盗っていったのはシルバーじゃろう。ブルーとシルバーはかつて進化と交換を学んだと言う。ブルーが“ポケモン進化”シルバーが“ポケモン交換”。二人合わせて「化える者」と「換える者」じゃ】
手紙はそこで終わっていた。ゴールドは怪訝に眉をしかめる。……自分の名前がそこにないことに。
- Re: トリップする話 ( No.23 )
- 日時: 2017/08/26 11:12
- 名前: ぜんざい (ID: nZVCHjgh)
なんやかんやあったクライマックス。こっちはレッド、グリーンと共に、ルギア、ホウオウと戦っていたブルーの手助けをファイヤーサンダーフリーザーと行った。こっちはなぜかブルーさんとファイヤーに乗ってました。あれ? なんでブルーさんのとこ乗っとるんこっち。ブルーさんやっぱり美人やわ、めっちゃ綺麗。そしてそうこうしてポケモン転送システムが復旧して大量のポケモンがやって来てルギアとホウオウを解放した。そして現れたマスク・オブ・アイスに、到着したシルバー、クリス、そして三犬のエンテイ、スイクン、ライコウ。しかしまぁ見事に氷に捕まりましたよ。クリスがゴールドどこにいるのゴールドと叫んでいる。ゴークリ最高。エンテイがこっちらジョウトの図鑑所有者の氷を溶かす。とりあえずわしゃわしゃ撫でた。グルルと喉をならす姿はめっちゃ可愛い。ぐうかわ。そしてゴールドの時の狭間で氷壁に囚われている姿での登場、イエローが女の子だと知らなかったレッドとジョウト組の驚愕。
どうやらゴールドは見事孵す者としての能力を早速発揮したらしい。よしよし。さて、三人は三犬に乗って時の狭間に向かうようなので、イレギュラーはここで待つとしますか。
「っうわっ、」
その時、こっちの服の裾がぐいっと引っ張られた。ぐらつきつつもバランスを取って振り向くと、そこにはゴールドを乗せたライコウがこちらをジッと見ている。ん?
とりあえず頭を撫でてゴールドを見ると彼は「はぁ?」と間抜けな声を漏らした。
「イオリお前、行かねぇつもりかぁ? お前も行くんだよ! ライコウだってそう言ってんだしな!」
『えぇ……うわ、ライコウ服伸びる引っ張らんといてや! 行く行く! 行くから!』
渋々ゴールドの後ろでライコウに股がると、ゴールドが「行くぜ! 時間を! 時を越えろおおお!」と叫んだその声が合図となり、ライコウエンテイスイクンは時の狭間へと駆け込む。こっちはポケットにひっそりと手を伸ばした。万が一の時の為に取っておいた銀色の羽と虹色の羽。ルギア、ホウオウと戦っときに取っておいて良かった。
**
無事収束した第三章。あのあとクリスとシルバー、こっちに無理矢理二枚の羽を持たせて帰らせようとするゴールドにその羽を押し付け返し、こっちはポケットからもう1セットの羽を取り出して見せると、彼はにやりと笑った。送り返されるこっちは、最後に親指を立てた。
帰還したゴールドに一瞬間極まって周りが見ているにも関わらず抱きついた。
「うっわわわ!? な、なななななんだあ!?」
『……よぉ戻った。よくやったゴールド』
「……おうよ。俺を誰だと思ってやがる!」
『でもお前こっちが羽持ってへんかったらどないするつもりやったんやコノヤロー』
ずばこん! とりあえず強烈な回し蹴りをかましてそそくさとクリスの側に戻る。ゴールドがなにやらぎゃんぎゃん言ってるがそれを鼻で笑い飛ばして居ると、こちらまで来たゴールドに腕を掴まれ、そのままレッドのところまで引きずられた。イエローとレッドの微妙な雰囲気にわざわざ割り込んだゴールドはおばさんにポケギアで連絡をいれた。
「あーもしもし! 母さん? 俺だよ俺、ゴールド! 実はよぉ、帰るのがもう少し遅くなりそうなんだ! 今横に前々回のリーグ優勝者っつー人がいてよ、その人にイオリとポケモンバトルを教わることになったから! 母さんの手料理、グレン風火山ハンバーグ帰って食うの楽しみにしてっから、もう少し待っててくれ! 以上!!」
そういって両手にレッド、こっちを掴んでキックボードに乗ったゴールドを見て、こっちはレッドと目を合わせて自転車に乗る。すると「どうです? ナイスな連れだしだったでしょ?」とドヤ顔で告げた。
「で、どこでバトルを教えてくれます?」
「ほ、本当にやるのか!?」
『すんません、レッド先輩。ゴールド言い出したら聞かへんのです』
「そっか、ならシロガネ山はどうだ? 野生のポケモンも強いし、うってつけだろ?」
「ふーんシロガネ山! いいっすね、レッド先輩!」
そうして虹の掛かるなか、こっちら三人はシロガネ山へとペダル、そして足を回した。
三章が終わった。わざわざ四章に飛び込んで行く義理もない。とりあえず、覚えることになる究極技は早めに習得した方がいいだろう。このシロガネ山の修行を終えたら一旦ゴールドと別れて、七島に行こうかな。五章には立派に首を突っ込むつもりだから。