二次創作小説(紙ほか)
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- トリップする話
- 日時: 2018/03/16 00:40
- 名前: ぜんざい (ID: fVY/oVEd)
どうもはじめましてぜんざいと申します。ここではとりあえずいろんな漫画に夢主がトリップする話を書こうかと思ってます。
夢主は色々。
中途半端になるだろうと思われます。
ぜんざいの自己満足ぶちまけてます。暖かい目で見ていただければ幸いです。
夢もやる。
好き勝手やりまくっててかつ愛想がまったくないぜんざいですが見守ってやってください。
- Re: トリップする話 ( No.9 )
- 日時: 2017/04/09 21:47
- 名前: すみみ (ID: dRebDXey)
あ、それで今オリキャラ募集中なので良かったらリクエストお願いします。
- Re: トリップする話 ( No.10 )
- 日時: 2017/05/05 20:45
- 名前: ぜんざい (ID: jxsNqic9)
書きたくなったから、衝動的に。倒置法再びでまた新しいお話です。
『ナカノヒトゲノム【実況中】』
知識無しトリップ。男主。
運ゲーとなぜか推理ゲーが得意な実況者夢主。傍観友情夢。
バンダナをヘアバンドのように巻いている。黒ぶち眼鏡関西弁。エロボ。
13番街 実況者名簿(的な)
推運 イオリ
・4月12日生まれ A型
・公立共学高校3年
・得意教科 国語・美術
・好きなゲーム 運ゲーム・推理ゲーム
・一人称 俺 関西弁
・趣味 トレジャーハント・イラスト描き
・好きな食べ物 善哉・ラーメン
・嫌いな食べ物 その時不味いと思ったもの
・苦手なもの 気持ちの悪い虫(と言うか虫全般)
・武器 柄が杖のように長い小振りなハンマー(威力激烈大)(幼い頃、父にトレジャーハンターなら持ってて当たり前だ! と誕生日祝いとして貰う)(当時7歳のイオリの身長よりでかかった)(身長180cmのイオリと10cm程しか高さが違わない) ストレートパンチ(威力大)
・家族構成 父・母・猫
**
夕暮れ時、俺は学校から帰宅し大学受験の勉強せんとなとか考えながら今日の実況前に喉を潤す為、コンビニへと買い物に出掛けていた。夏だったので薄着で。
まあ、コンビニまでは何事もなく歩いていけた。問題は帰り。まあ、このベタな展開に御察しの方もいるだろう。そう、俺、通り魔に刺されました。普段なんでやねん怖いわってくらい運の良さがカンストしてる俺がなぜこんな不運な目に。いやいや何言うてんねんと言いたくなるんもわかるで。これマジやから。リアルなやつやから。こう、後ろから……いや、前からやったかな? 混乱しとって忘れとるし正直恐怖でパニックに陥っとったからよく覚えてへんのやけど。と、そんな感じでナイフで刺されて倒れて血塗れ。きゅーきゅーしゃあああああ!早く来てえええ状態でピーポーピーポーと搬送。無事一命は取り止められず俺は命を落としたのだ。くそ、よくも散々ザクザク刺してくれやがって。日課になりつつある毎日7:00投稿の実況動画撮れへんかったし。
そんなことを最期に思いながら死んでいったわけだが。
俺、生きてます。そう、生きてるんです俺。はい俺どうしょう。死ぬの俺。嫌やけど。第二の人生は謳歌するつもりなのだが、どうやら前世の記憶を保持したまま生まれたようで神様仕事して! ってな感じに赤ん坊の頃は泣き喚きましたよそりゃもう。幼児期? 聞くな。あれは拷問と言う名のただの辱しめや。オムツ要らねえ……。親笑っとったしなファック。
そんなこんなで兵庫のかうべ、あ、ちゃう。神戸ですくすく成長した俺はもう高校三年生。前世と同じ年齢だ。亭年18とか今思うと若い、若いよ。
そんな俺は今世でも実況者をやっている。宝くじを買えば必ず3等以上、たまに一等が当たるような化け物じみた強運と前世から引き継がれたこの頭脳を存分に駆使し運ゲーと推理ゲーを主にやっている。運ゲー、推理ゲーと言えば? と聞けばほとんどが俺の実況ネームの『イオ』と声を揃えるほどには有名だろう。
そして俺の今世の親は可笑しい。いやこれは可笑しい。父はトレジャーハンター、母は漫画家。待って待って二人はどうやって知り合ったのねえ共通点はどこにいったの。な感じだ。父はトレジャーハンターになることを俺に押し付けてハンマーまで渡してくる始末。その時俺は7歳だ父さん。
まあ、俺の強運のお陰で金には困ることなく、なに不自由なく過ごしてきたのだ。
そして今、俺は“ナカノヒトゲノム”と言うフリーゲームを実況していた。最近人気のフリーゲーム。これがなかなか面白い。今度ホラゲ実況の今年度踏まれたい女実況者の人とコラボ予定だ。要するにハマッた訳なんだが。
ただこのゲーム、評判はいいが噂はあまりいいとは言えない。クリア寸前で有名な実況者がたびたび失踪するから、ネットじゃ失踪ゲームとまで呼ばれている。俺はそんなの信じへんぞ、やっておもろいから。
と、今日は気分で生放送実況をしていたわけだが。
『おおおお! 来た! キタコレ! 隠しステージや! これが! 噂の! 隠しステージ! テンション上がるわアホ! ホンマにあったんやなスゲェ! テンション上がりすぎて死にそう!』
<イオさん死ぬなwww>
<イオさんクリアまで頑張って生きてwwww>
<これが噂のつき抜けるほどハイテンションぶふぉ>
<微笑ましい>
<大学受験大丈夫?>
『なんでやねん! なんで今ここで大学受験の話するねん! テンションダダ下がりや!』
<鋭いツッコミwww>
<流石関西人>
<関西人みんながみんなこういう訳じゃないけどねwwww>
<元気に育ってくれて良かった>
<それな>
<実況始めた中一の頃からすると大分明るくなったな>
『えー、なんやコメントさんがオカン発言勃発しとるとこ悪いんやけど、エライ時間経っとるしここらでおいとまするわー。
以上、運が良すぎてヤバいイオの『ナカノヒトゲノム実況56』、いきなりの生放送やったけど見てくれてありがとな。次回であいましょーか。ほなまた』
<ありがとな、で腰が砕けた。この子はwwwwくっそwwww>
<元気なのに声エロボとかずるいからまた来るね!>
<また見るから安心して抱いて>
<気持ちはわかるけどこらwwww>
<むしろ今までの実況動画見てくる>
<ありがとうございましたー>
コメント欄に多少苦笑いしつつ、実況を終了して、再びしげしげと画面に写る文章を読む。
【おめでとうございます!
選ばれしカリスマ実況プレイヤーの貴方に『ナカノヒトゲノム』クローズドステージのプレイ権限を与えます。
なお、この権限は放棄、譲渡等はできません。
これよりお迎えに上がります】
か。お迎えに、ってどうするんやろ。ホンマに迎えに来るとか? いやいやないない。でも、実況プレイヤー、行方不明のことを考えると……。いや。
『……はは、まさかな』
画面を閉じて俺は布団へとダイブした。
- Re: トリップする話 ( No.11 )
- 日時: 2017/05/05 22:53
- 名前: ぜんざい (ID: jxsNqic9)
さあ聞け皆の週。違った。皆の衆だ。しょっぱなから滑り出した俺だが、俺は今制服姿で森の中にハンマー片手に突っ立っていた。
まあ、みんな知っての通り俺は昨日ベッドへダイブした。そりゃもう倒れるように。勉強と友人の無茶ぶりが重なって三徹だったんだよ分かれよ。とまあ無茶もそこそこにして、なんだここは。
『どこやここ』
俺とて♪そーこに立ーってたー♪的な六兆と一夜の物語のように最初から突っ立って居たわけではない。先程深い眠りから目覚めたのだ。目が覚めたら、体が縮んでしまっていた! と言うハプニングもなくただ寝ていた。
服装に気をやれば、俺は確かに部屋着で倒れた筈なのだが、俺の学校のブレザー。黒と灰と青の色合いのクールなモノだ。正直そこらの私立より格好いいと思うこの制服、俺は気に入っている。もうすぐ着納めだが。そうじゃないなら俺の感性がおかしいのだろうか。起きた時はジャケットをちゃんと着ていたが動きにくくて脱いで腰に巻いた。そして頭にはいつも通りバンダナ。バンダナも昨日外した筈なんだが。不思議。
周囲は青々と生い茂ったみずみずしい草木、青い空澄んだ空気。良いとこだここ。どこか知らんけど。まあ、何度だって言ってやる。
『……どこココ』
俺は誘拐でもされたのだろうか。あれか、最近話題の集団失踪。ニュースでも大々的に取り上げられ、過去何件もこのような事例があったって言う。仮にそうだとして、俺はどうしてそれに巻き込まれているのだろうか。そんな予兆はなかったはず……なるほど。あったわ、予兆。あれや、ナカノヒトゲノムの【お迎えに上がります】っていうアレ。多分お迎えに上がりますイコール誘拐になるのだろう。いったい何人がこうして拐われたのか、きっと数は多くて警察も参っているだろう。
身代金が理由なら俺をさらう理由は妥当なのだが、それなら俺だけさらえばいいこと。だって宝くじ買ったら終わりだし。だからこれも違う。やはり集団失踪なのか。全く、世の中物騒になったものだ。
……所で。俺めがけて駆けてくる巨大ラットはなんなんや。目が殺人者、いや、動物やから殺人獣? あれ、俺今命の危機っぽい。
きょだいラット が あらわれた!▼
イオリ は どうする!?▼
たおす
にげる
おとなしくころされる
やられるまえにやる←
『ホンマはめっちゃ倒す選びたいんやけど、俺のハンマーやったらこの答えが多分いっちゃん妥当な。すまんネズミ』
ブンと柄の長いハンマーを振るって、ネズミの頭を潰す。頭蓋骨が砕けた音がして心臓がヒュッと縮んだ気がした。一応確認すると俺、ただの高校三年生やからな? 生き物殺すとか心優しいイオリはしたことがないわけで。ちょっと、恐怖を感じる。意図も容易く殺せてしまったこのハンマーに。ピクリとも動かず割れた頭から脳漿を飛び散らかしているラットから視線を逸らして自分の中で限りなくいい声で『ラ、ラットが死んじゃった』と“ラットが死んだ”を口ずさめば、奥からアルパカの被り物をした黒服の男が俺をジッと見つめていたので驚いて『うわっ』と声をあげてしまった。
『え、なに。なんなんや、このアルパカ』
「アルパカではありません、パカです」
『シャ、シャベッタァァァァ!!!?』
「ふざけてますよね?」
『すんませんした』
謎の被り物男、パカと訳のわからんコントを繰り広げたが、彼は気を取り直してこういった。
「はじめまして。ワタクシ【ナカノヒトゲノム】監視役。13番街担当、パカともうします」
『はあ、どうも』
「第一ステージ、【アニマル合戦】、迫り来る巨大生物をいかに多く倒し、切り抜けるかがクリアポイントでした」
『俺あかんやん終わりやん』
「ノン。貴方様は既にクリアポイントを達成しておられます」
パカは言った。「残虐性はダントツのトップです」と。要らんわそんな称号。したくてしたわけちゃうわパカパカ野郎。
「まあまあ推運様、そう気を落とさないでください。貴方様の様なプレイは今までに有りませんでしたよ。新しいプレイスタイルは多くの閲覧者様の心を魅了し再生数を跳ね上げます。この13番街では巨大パンダと和解した方もいらっしゃいますよ」
『ソイツスゲェな』
素直にそう感心していると、「さあ推運様! ご自分の左手首をご覧ください!」と告げられたのでそちらに視線を向ければそこにはカウンタの様な数字が表示されていた。まだ数は少ない。ゴシゴシ擦っても取れない。なんだこりゃ。いかぶしげな視線をパカに投げると、「体表型カウンタです」と告げられた。
「お休みの間にナノチップを埋め込ませていただきました」
現代の化学力すげえとか思っていると、パカは「街のメインサーバーと連動しておりまして、再生数をリアルタイムでお知らせいたします」と手をとある塔へと向けた。そこには大きな一本の塔。多分そこに街があるのだろう。パカ曰く、俺達がココでなすべきことはひとつ。そのカウンターを一億までまわすこと。すなわち、『ナカノヒトゲノム』リアル実況において再生数一億ビューを達成することらしい。死ぬ気で実況しろと。なにそれ怖い。プレイ期間無限とか怖い。
「他の13番街の実況者様は揃っておられます。急ぎましょう」
『俺最後やったんか……』
- Re: トリップする話 ( No.12 )
- 日時: 2017/05/06 11:47
- 名前: ぜんざい (ID: jxsNqic9)
「皆様グッモーニン! 今日から新学期ですね」
そう言いながら教室に入ってきたパカ。入ってきたはいいものの、如何せん空気がとても悪い。なんだこれ。俺の席の後ろの三人の空気が悪すぎる。まあ状況もあってかその気持ちはわかる。だが。俺はそれどころではない。あのスプラット(スプラッタ+ラット)を見たツケが回ってきてものすごく気持ち悪い。いや、吐きそうとかはないけど。あ、窓の外の森で巨大パンダがずしんずしん歩いてる。かわいい。
「それではまずこれから苦楽を共にする仲間の自己紹介と参りましょう。窓際から順にお名前と得意なゲームジャンルを。元気な声で! お願いいたします」
そういって誰がそんなんするねんと項垂れていると「はい!」と窓際の学ランを着たマスク着用の白メッシュくんが立ち上がった。隣の席やったこの子。
「はじめまして、入出アカツキです! 得意なゲームは脱出ゲーム! 自然と旅行と肉急全般が大好きです!」
「『ノリノリか!』」
マスク少年、アカツキの後ろの席に座っていた少女とツッコミが重なる。少女に関しては彼の腰をどつくというオプション付きで。女の子のぼ、暴力はあかんよ……?(汗震)
彼は「せ、先生が元気よくって…」と言い訳をするものの、少女の危機感はないの!? 私達誘拐されてるのよ!? と言うのに黙る。まあ、少女も後ろの席にあった花瓶を見て口をつぐんだが。
「入出様はなんと第一ステージの瞬間閲覧者数をトップでクリアされております。優秀者にはクリア後に追加ボーナスがありますからね、どうか奮ってご参加ください。入出様、パンダは後で」
確信した。巨大パンダと和解したやつコイツだ。そんなバカなことを考えていれば、隣に移るようで俺の番になった。
『推運 イオリ。好きなゲーム言うか、得意なゲームは運ゲーと推理ゲームです。よろしくなー』
俺が言えば周囲は「運ゲーと推理ゲームって……」とざわめき出す。俺そんな有名なん?
そんな疑問を抱えながら一応前を見るとパカがベラベラ話出した。
「彼は皆様知っての通り、抱かれたい男性実況者ランキング4連覇中の運ゲーで有名な『イオ』様でございます」
『待ってなんやそのランキング聞いてへん』
「彼は宝くじを買えば必ず3等以上を当てられるような強運の持ち主なので、運ゲーでは必須人物です。では次」
『なぁちょっと無視とかひどないか』
「次、お隣へ」
『おいこら!!!!』
これ以上は何をいっても無駄か、とどかりと席に着けば隣から視線を頂いた。なん? とそちらを向けばアカツキは声を出した。
「イオさん、俺「あっきー」です! あの花粉症実況の」
『え、マジかあっきーくんか久しぶりやなー』
あっきー君とは以前脱出ゲームコラボを楽しくさせていただいた経験が有るのだ。あれは楽しかった。
そのあとの自己紹介は育成ゲームが得意な「伊奈葉ヒミコ」格ゲーが得意な「駆堂アンヤ」やりこみゲームが十八番の「路々森ユズ」、俺が近々コラボしようと言っていたホラゲ専門でたたり姫の異名を持つ「更屋敷カリン」ステルス系をよくやる「忍霧ザクロ」戦国統治や和風ゲームをよくやる「鬼ヶ崎カイコク」言葉よりも目で落とす恋愛ゲームのプロフェッショナルで単語実況で有名な無口で居眠り王子と俺が名付けた「逢川マキノ」。個性豊かなメンバーやった。俺生きてけるやろか。
参加を拒否れば白の部屋と言う負け部屋で全てのゲームが終わるまでそこでずっとずっと待たなければいけないらしい。
第二ゲーム『取り換えコックリさん』が今、始まろうとしていた。
- Re: トリップする話 ( No.13 )
- 日時: 2017/05/14 18:15
- 名前: ぜんざい (ID: 6tD0A568)
第2ゲーム、取り替えこっくりさんは実況者四名と言うことで立候補のアカツキ、くじ引きのアンヤ、カリン、ザクロの四名に決まった。実際俺はと言うと、ゲームには参加したくない人間だ。全員参加型とか運ゲーならまだしも、ちょこっとかじっただけの他ジャンルには興味がない。実況を見るのは好きだが。
俺たちは四人をその教室に置き、別室のシアターで中継を見るようだ。開始すると言うのにアンヤがやってられっかだのザクロと喧嘩をしたりと言うハプニングも起こったものの、アカツキがアンヤのご飯のピーマンを食べると言うことで収束した。つられるなよアンヤェ……。
「それにしても、『たたり姫』が向こう側で良かったじゃないか」
左隣でそういうユズに『たたり姫かー……せやなー』と頷けば一席空けてユズの左隣に座っていたカイコクが「なんでえ、たたり姫って」と疑問を口にする。
「あのお嬢さんの通り名さ。彼女、オカルトものはかなり精通してるはずだよ」
「……半べそかいてねェか?」
『いやいや、オカルトものに無敵っちゅーのより、こういうん可愛いげあってええやん。親しみやすない?』
「そうだろう!? そう思うだろうイオリン!」
『せやなー』
ひょこひょこと頭を揺らして目を輝かせるユズの頭をわしゃわしゃと撫で回した。カイコクが変な目で見てきてたけど知らん。じみに傷付いたりはしてへん。ほんまやねんからな。もう精神年齢30過ぎの男が拗ねたりせんねんからな。ほんまやからな。
そこで「確かに」と割ってはいって来たのはパカさんだった。得意ジャンルに当たった方がクリアの確率は上がる、と。ただし、見ている閲覧者が望むのは必ずしも堅実で安全なプレイだけではないとも。
「時には予想もつかない、エキセントリックな行動が人の心をつかむこともあるかと」
『パカさんいきなり何言い出しとるん』
「推運様、アナタ私に少々当たりがキツくないですかね……」
『気のせいやって、気にした敗けやで』
**
「0、1、染色体」
食堂にて、机に突っ伏しながらそう呟くアカツキが視界に入り、『それが染色体なん?』と質問しながら隣に腰を下ろす。ラーメン美味しそう。
「そうですよ、これが染色体です」
『これが染色体かー』
「これが染色体ですよー」
そんな不毛な会話をしていれば、前の席にカリンがガタリと腰を下ろして「それなくさないでよ」とアカツキに告げた。要するに、取り直しとかやだからねと言うことらしい。わかるわかる。そしてカリンちゃん俺そっちのけでアカツキに謝り出して俺もうほとんど空気なんですけど。なんとカリン、アカツキを初対面で顔面パンチしたらしい。アカツキはアカツキで基本的に腹が立たないようだ。心が広いんだなきっと。
『アカツキ落ち着いとるなー、えらいえらい』
「ふへへ、もっと褒めてくださいイオリさん」
『おーよしよし、怪我したのによぉやったわアカツキは』
撫でり撫でりと撫でて『カリンちゃんもよー頑張ったなー』と褒めれば「別に」と顔を逸らされた。ほんっま、ここには心をえぐってくるこしかおらん……。
そう思っていた矢先、アカツキのもう片方の隣にアンヤがどかりと腰を下ろす。
「こんちは駆堂さん」
「アンヤでいいさん付けキメェ」
『俺もアンヤて呼んでエエか?』
「ん」
ノリで俺もと言えば案外すんなり受け入れてくれたのでホントいい子。ぽいぽい、とアカツキの皿にピーマンのせていくのはあまり見過ごせないけれどまあよしとしよう。
「あんたも妙なのになつかれたわね……」
「うるせぇオカルト女、どっか行け」
「なんですって!?」
「わああ……ほらほらプリンですよー」
『ふはは、ゼリーも有るでー』
アカツキと二人を宥めに掛かれば通り掛かったヒミコに気が付き、アカツキが呼び止め、『一緒に食お』と目の前の空いている席に促す。はにかむヒミコはマジ天使。
「そう言えば、不参加組はシアター待機だったんですよね」
「はい」
『おー』
「皆さんご無事で良かったです……」
ヒミコのその言葉と微笑みにアカツキとカリンはほんわぁ……と顔を緩めて和やかな雰囲気を晒す。ピーマンをぽいぽいアカツキの方へと流すアンヤを見てとても微妙な顔をしていたが。
「それにしても妙よね、突然アレでクリアなんて」
カリンの言うアレ、とはゲーム中に出てきた全身火傷の少女のことだろう。
ゲーム開始後、動き出す十円玉に興奮を表すなか、水がほしいと指示され花瓶の水を、友達がほしいと指示されアカツキが友達になると告げ、最後はずっとアカツキと指示されるのみで。ただ、アカツキが妙な力に引っ張られてバルコニーから落下した。心臓ひゅってなったけど、まああの巨大パンダのパンたろうが助けてくれて死にはしなかった。そこから現れた例の少女。結局自然発火して終わり。歯切れの悪い終わり方だった。
『歯切れ悪かったなー、アレ』
「ま、その分アカツキっつー要求は破棄されたから結果オーライだろ」
『あー、せやなー。そう思うと救われたな』
「そうですねぇ」
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