二次創作小説(紙ほか)
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- おそ松さん 長男が無理をしてしまう話 完結しました
- 日時: 2017/05/07 12:32
- 名前: smallsnow (ID: LsxQHR/F)
プロローグ
ここはいつもの松野家。今日もあの六つ子たちはのんきに過ごしていました。末っ子のトド松は友人とメール、五男の十四松は野球のバットで素振り、四男の一松は野良猫と遊んでいて、三男のチョロ松は求人誌を読んでいて、次男のカラ松は自分のギターの手入れ、長男のおそ松は漫画を読んでいました。
「兄さんなんか死ねばいいんだよ…………!!」
「待ってくれ!おい…………」
それは今に至る少し前の話…………
- Re: おそ松さん 長男が無理をしてしまう話 ( No.19 )
- 日時: 2017/04/15 08:55
- 名前: 雪瑠 (ID: 38xu/37K)
5
おそ松が目を覚ますとそこは病室でした。側には見舞いに来たのかチョロ松が座っていました。
「おーい、チョロちゃん!」
「兄さん・・・」
「な、気が付いたろ?目、覚めたぞ」
おそ松はチョロ松に笑いかけました。しかしチョロ松は少しも笑っていませんでした。
「早く目が覚めないかな?僕たち帰ってくるの待ってるからね」
「え?おーい、チョロちゃーん?」
「帰ってきてよ・・・兄さん」
おそ松は自分の体や毛布を触りましたが感触はちゃんとあります。しかし起き上がりベットから降りると、そこには自分が眠っていたのです。
「は?幽体離脱かよ・・・けどちゃんと感触とかあるぞ?もしかして・・・・・・透明人間!?」
おそ松はびっくりすると、
「あれ?今物音したけど・・・気のせいかな?」
「え・・・もしかして・・・」
おそ松が床を蹴ると、
「ちょ、誰か床蹴ってるの?少し怖いんだけど・・・」
チョロ松は驚いて辺りを見回しました。
「やっぱり・・・俺透明になっちまった・・・ってそれよりも殺人犯探さねぇと・・・けど、窓とか開けたら怪しまれるしなにか方法はないかな?」
おそ松はいくら見回しても方法は無いみたいです。
「すり抜けることって出来るかな?けど無理か。まぁ、やってみるかな」
おそ松は意地でも抜け出そうとして壁に触れると、いつの間にか外にいました。
「え?もしかしてすり抜けたいって思ったらすり抜けられるのか?すげー!!しかも宙に浮いてるし!」
おそ松は浮きながら兄弟を探し始めました。
- Re: おそ松さん 長男が無理をしてしまう話 ( No.20 )
- 日時: 2017/04/15 08:54
- 名前: 雪瑠 (ID: 38xu/37K)
チョロ松side
「帰ってきてよ・・・」
僕は病室で一人呟いた。さっきは急に物音がしたけどきっと気のせいだよね。ベットにいる兄さんはさっきよりも肌が白く・・・・・・ってなんで白くなってるの!?
「え?ちょっと、兄さん!?」
僕はナースコールを押した。看護師さんはすぐに来て兄さんは検査室に運ばれた。
「どうなってるの・・・?」
しばらくしてお医者さんが来た。とても悲しそうだった。
「あの・・・兄さんは?」
「すみません、理由は分からないんですが体力が無くなってきているんです」
「体力?」
「はい、このままでは呼吸も難しくなります・・・」
僕は頭が混乱して訳が分からなくなった。
「とりあえず、しばらくの間は面会はなしとします。また異変があれば電話をするので・・・」
ついにお見舞いに行くのもダメになってしまった。僕は家に帰り、部屋にいた一松に兄さんは元気だったと嘘をついた。すると、急に一松は涙を流した。
「一松?」
「どうしよう・・・僕、クソ松を傷つけちゃった・・・」
「なにがあったの?」
何回聞いても一松は首を振りつづけるだけだった。
「・・・どうしよう」
「大丈夫だよ」
みんなそれぞれ悩んでいる。一松もカラ松兄さんも僕も。少しでも傷を癒すために前に進まないといけない。兄さんも苦しい中頑張ってるはずだからね。一人で悩んだらだめだ。抱えこんだらだめだ。僕は少し落ち着くと晩ごはんの準備を始めた。
- Re: おそ松さん 長男が無理をしてしまう話 ( No.21 )
- 日時: 2017/05/02 22:36
- 名前: 雪瑠 (ID: LsxQHR/F)
初めに・・・お久しぶりです。更新がおそくなりすみません。今年から受験生なので夏から更新ができない可能性がありますがよろしくお願いします。
「んー、やっぱ家にいない人探すべきかな?」
おそ松は家の壁をすり抜けました。しかし、家の中にはチョロ松と一松しかいませんでした。
「ちょい!カラ松たちいないじゃん!」
おそ松は部屋を見回すといつも部屋にあるバットとボールがないことに気づきました。
「カラ松たちは野球してるのか?」
おそ松はまた家の壁をすり抜け、河原に行きました。途中で少し疲れた気がしましたが気のせいだと自分に言い聞かせました。河原には十四松がトド松とキャッチボールをしていました。
「やっぱり〜お兄ちゃん最強だぜぃ」
おそ松はドヤ顔でいって二人の様子を見ていました。二人はとても楽しそうに笑っていました。
「・・・いいな」
おそ松は静かにつぶやきました。
- Re: おそ松さん 長男が無理をしてしまう話 ( No.22 )
- 日時: 2017/05/03 07:28
- 名前: 雪瑠 (ID: LsxQHR/F)
注 アニメネタバレ注意!
十四松side
「えいよ〜!どぅ〜ん!!」
「え、ちょ・・・うわぁぁ!!」
僕は今トッティとやきうをしています。僕の投げたボールは空高く飛んで・・・宇宙まで飛んで・・・星になっちゃった!
「十四松兄さんボール飛ばし過ぎ!!」
「あはは〜ごめんごめん」
いつもはもっと飛ぶはずなんだけど・・・まぁいっか!
「ねぇ・・・十四松兄さん」
急にトッティは少し寂しそうな顔をした。僕は少し怖くなった。
「兄さんが帰ってきたらみんなでキャッチボールしようね?」
僕は思いっきり頷いた。
「あい!」
「あと・・・もう一ついい?」
すると急にトッティは僕を抱きしめた。
「どうしかんスか?」
「お願い・・・兄さんはいなくならないで・・・」
トッティの顔はよく見えなかったけど声は小さくて少し震えていた。
「僕はいなくならないしみんなでおそ松兄さんの帰りを待つっス!」
僕も別れるのは辛い。僕の頭には可愛くておとなしくて笑顔がよく似合っていたあの子が浮かんだ。あの子とは別れる時は本当に辛かったし悲しかった。けど、最後は僕もあの子も笑顔でいられたのがとっても嬉しかった。
「ありがと・・・兄さん・・・」
「・・・帰るっスか!」
「うんっ・・・」
やっぱり僕は笑うのが好き。誰も悲しませたくないっス!いつかは兄さんやトッティたちとたくさん笑いたいっス!
- Re: おそ松さん 長男が無理をしてしまう話 ( No.23 )
- 日時: 2017/05/04 08:50
- 名前: 雪瑠 (ID: LsxQHR/F)
おそ松はしばらく十四松たちの様子を見て、カラ松を探そうと立ち上がりました。すると、貧血でも起こったように頭がクラクラしました。
「う・・・少し気持ち悪い・・・そういえば体に限界がどうとか言われたっけ」
おそ松はそう言うと再び空を飛びました。しかし、日が暮れてもカラ松は見つかりません。体もだんだん重くなっていきます。
「はぁ・・・どこにいるんだ?」
すると、すぐ近くで悲鳴が聞こえました。おそ松は悲鳴が聞こえた道に行くと、ランドセルを背負った小さな女の子が刃物を持った男に追いかけられてました。おそ松は慌てて男を追いかけましたが追いつきそうではありません。人もいなく、気配もしません。その時、女の子はなにかにつまずいたのか転んでしまいました。男はじりじりと女の子に近づいていきます。女の子は恐怖で立ち上がれず、座ったままガタガタと震えていました。
「イヤ・・・誰か・・・助けて・・・」
男が女の子に向かって刃物を振りかざした瞬間・・・女の子の体を誰かが突き飛ばしました。刃物は突き飛ばした誰かの腕に刺さりました。おそ松は突き飛ばした誰かの顔を見ました。
「まじかよ・・・カラ松」
突き飛ばした誰か・・・カラ松は、女の子のほうを向いて、
「大丈夫か?お兄さんが助けてやるからな」
と腕を抑えながら言いました。おそ松はそれを見ながら、
『なんだよ・・・アイツのほうが立派なお兄ちゃんじゃん』
と思いました。男は刃物をカラ松のほうに向けました。
「お前は人に刃物を向けることしかできないのか?」
カラ松がそう言うと、男はカラ松を突き刺そうと刃物を振りかざしました。カラ松はひょいとよけると、男の腕をつかみました。
「ほら、おとなしく交番に行こうか」
カラ松がそう言った瞬間、男はカラ松よりも気持ちが強かったのかカラ松の腕を振りほどきました。そして拳でカラ松の腕を殴りました。カラ松は腕を抑え、地面でうずくまっていました。男は刃物をカラ松に刺そうとしました。
「危ない!」
おそ松はありったけの力で男を突き飛ばしました。男は倒れ、あの女の子が呼んだのかパトカーが来て男は警察官につかまりました。
「俺・・・助けることができたのか・・・?」
すると、おそ松の体は少しずつ薄れてきました。
「嫌だ・・・俺、死にたくない・・・消えたくないよ・・・」
おそ松の言葉は届かず、体はどんどん透けてきました。
「トド松・・・十四松・・・一松・・・チョロ松・・・ごめんな・・・そして・・・カラ松・・・長男として頑張れよ・・・」
おそ松の声とともに体は静かに消えていきました。