二次創作小説(紙ほか)
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- ハッピーエンド・エージェント。感想&オリキャラ募集中!
- 日時: 2017/03/20 18:56
- 名前: カシスオレンジ (ID: n1ZeCGPc)
科学者によればこの世界には大きく分けて4つの強大な力があるとされている。
・科学
文字通り、科学による力や能力。
単純な機械化による能力はもちろん、生体科学によって作られた能力なども含まれている。端的に言えばアンドロイド、遺伝子操作による生物兵器、サイボーグ、クローン。
・超能力
人間の潜在的な能力。通常の物理法則を超越した力があり、能力の形は持つものそれぞれにより異なる。
また薬品を作用させる事で素質のあるものから後天的に引き出すこともできる。
ただし、能力が阻害される装置が開発された為、欠点もある。
・具現化
人の想いが具現化した存在。妄想が現実に現れる等。この世界では妄想の具現化が発生する事がある。
また幽霊なども、科学者によれば「死んだ人間の思いが具現化したもの」であるため、具現化に含まれる。
人ならざる能力を持つものが多いが、彼らの能力は超能力ではない別の力である。
また、想いの具現化としては祈りや人間の復元など、存在だけでなく様々な事象も含まれる。
たとえ効果が科学・超能力・オカルトと区別がつかずとも、その根源が想いによるものならそれは具現化である。
・オカルト
上記のどれにも当てはまらない力。
代表的な物は魔法や呪いの類であるが、基本的に何でもありな力である。
ちなみに一般的な意味合いと違い、霊や神は具現化であってオカルトの分野ではない。
また、科学との融合によるオカルトテクノロジーという分野もある。
各系統ごとに何かしらの共通点があるというわけでもないため、発現された超常能力だけ見てもそれがどの分野に属するのか区別するのは難しい。
そして今数々の勢力がこの四つの強大な力を使い経済戦争を行っている。
ここから前書き。
作者のカシスオレンジです。まずはご説明を。
何の二次創作かと言うとパワプロクンポケットと言う作品です。見た事が無い方でも気楽に見れる様に書く予定です。物語完結後の世界ですのでネタバレしてます。見た事がある方は正直、私の実力では満足できないかもしれませんが温かく見守ってくれれば幸いです。
ちなみに元ネタは野球が主体ですので、基本的に主人公は野球に関わっています。ただし、この小説では野球の描写はほぼありません。
さらに、マルチエンディングです。ハッピーもありビターもバッドも書き込む予定です。
小説を書く事に関しては未熟ですので誤字脱字、表現等に違和感を感じたら是非ご指摘願います。
オリキャラを募集しています。
オリキャラシート
名前:(漢字表記の場合は振り仮名を振って下さい)
性別:(アンドロイド等の場合でも見た目の性別で)
年齢:(アンドロイド等、非人間の場合は見た目の年齢で)
容姿:(詳しくなくても構いません)
性格:(一言でも構いません)
能力:(普通の人間、未来人か宇宙人か単純なロボットか怪人の様に遺伝子レベルで結合された化け物かアンデッドか巨大な怪獣か人型の生物兵器かサイボーグ、改造人間。超能力者の場合は能力の内容を。具現化、オカルトの場合はどういう存在なのかを。色々書きましたが、とにかくどんな存在でも受け入れます)
備考:(オリキャラの過去、特徴、何でも構いません)
一人称、二人称:(例:オレ、お前)
キャラボイス:(四つ以上でお願いします)
展開により死んでしまう可能性がありますが宜しいでしょうか:(はいか、いいえで)
展開により死ぬより辛い出来事が起こる可能性がありますが宜しいでしょうか:(はいか、いいえで。ただし露骨にグロ描写等はいたしません)
展開により主人公、及び他のキャラ、オリキャラとの恋愛は宜しいでしょうか:(はいか、いいえで)
主人公の関係:(仲間、ヒロイン、敵等関係もある程度自由。どれでも構わない場合は無記名で)
不採用の可能性もあります。また世界観に合わない場合、変更部分を指摘します。
世界観。ネタバレ注意。
この世界は上記の四つの力と五つ目の力、時間移動と言う装置を中心に動いている。タイムマシンの使用目的は未来に起こる破滅(内容については不明)を危惧した者達がこの破滅の未来を変える為に、過去へ向かう。過去へ行った者達は未来の技術をある科学者に発明させ、未来の破滅の問題を解決させた。だが、それにより新たな問題が発生し破滅はしていないが、自由が無い世界へと変貌。
過去へ行った者達の希望は絶望へ変わり、過去へ行った者達はもう一度、この世界を変える為にタイムマシンを使う。
その後過去へ行った者達の失敗や暴走した後の世界が生まれる。その暴走したタイムトラベラーを協力、利用した現代の人間達が破滅を引き起こそうとしていた。
そしてその破滅を止めた世界のその後の様子をこの小説で書き込みます。
用語解説。
ジャジメント。かつて破滅を企んでいた企業。会長が行方不明になり日本支部の社長がジャジメントの解体を始める。現在は宇宙開発と野球チームの運営に尽力し、ジャジメント崩壊による世界の大混乱を切り抜けようとしている。
もう一つのジャジメント。こちらは企業と言うより破滅を企んでいた会長派の生き残り。破滅と言う名のパンドラの箱をもう一度開け、会長の意思を継ぐ。
大神ナマーズ。主人公が所属するジャジメントが所有する球団。
舞台はプロ野球なのですが他の球団の名称は控えさせていただきます。
登場人物。
主人公、市古。市古と言う珍しい苗字。主人公のみ名前無し。野球大好き。一人称はオレ。常に野球のユニフォーム。ビビらない。大卒でドラフト6位で大神ナマーズに入団。家族関係は祖母のみ。
実は市古には重大な秘密がある。本人も意識はしているが調べる必要はないと判断している。
その他のキャラクターは本編にて書き込み予定。オリキャラは投稿者様と共に記載させて頂きます。
オリキャラは何度でも投稿可能です。是非、気楽に投稿して下さい。
自分の作品にコメントをくださったお客様。
ルイージさん。
てるてる522さん。
本当にありがとうございます!
オリキャラ紹介。
>>12
- Re: ハッピーエンド・エージェント。感想&オリキャラ募集中! ( No.11 )
- 日時: 2017/04/03 16:32
- 名前: カシスオレンジ (ID: n1ZeCGPc)
市古は最上と気まずそうに公園の砂場で遊ぶ。
「桜子さん...」
最上は遊び疲れた子供が忘れたのであろう玩具のシャベルを使いひたすら穴を掘る。
「...ホント最近運が悪いんだよな〜。後、桜子って言ったじゃん」
「ああ...」
市古は若干助けなかった事を後悔する。最上は察して公園をゆっくりと去る。
「ほらまた会ったらおごってくれれば良いから。それじゃ昼休み終わるから」
市古は砂場で掘った穴を足で埋める。
「財布にお金入れておかないとな...」
数週間後、二軍球場に一軍選手のキャプテン諸星と芦沼が訪れる。
「何だか懐かしいなぁこの球場」
「そうっすね。色々ありました...」
「ああ、特にお前なんかは大変だったな...」
水木と具田は諸星と芦沼がいる控室に向かう。
「水木さん、お久しぶりです」
「何だか懐かしいじゃねえか...特にお前なんかは大変だったな...」
「...」
芦沼は諸星をチラ見する。諸星は少し笑って見せる。
「ハハ......本当に変わったな...諸星。昔なら芦沼にプロレス技かけてたんだぞ?」
「ちょっともう、敵わないなあ...」
「それじゃ始めるでやんすよ。後の話は幸恵さんの店で酒でも飲みながら話すでやんす」
現在、ナマーズはペナントレース最下位。連敗が続いており選手の成績も悪い。諸星だけはどうにか成績を維持出来ている為、諸星のワンマンチームとまで呼ばれている。市古は諸星に指導を受ける。
「二軍はどうやら頑張ってるらしいじゃないか。お陰で監督が自信を無くしてたぞ」
「そ、そうですか...」
「おいおい、先輩のジョークは適当に笑っとけば良いんだよ」
「はい...」
「今のナマーズは大変だがきっと良くなるはずだ。社長が頑張ってるからな。その為に俺達は頑張らないと駄目なんだよ...」
諸星はバットがボールを打つ金属音を静かに聞く。餅田は芦沼の指導を受けるが芦沼は餅田の問題点に気付く。
「...んー」
餅田は必死に投げる。だがどこか別の所を見ている、別の事を考えている様に見える。
「成程、コンプレックスか...」
水木は様子を見る。
「勝たせてやらないと報われねえよ」
市古は小料理屋にふらっと立ち寄る。
「いらっしゃいませ」
女将は笑顔で接客する。
女将の名前は山口幸恵。板前は大鉄と言う男性。この小料理屋はナマーズの選手が常連の店。
すると、市古は偶然ある女性と再会する。
「市古君...?あら、久しぶりね」
ロー・ナンシー。市古が高校の時の同級生。性格は小悪魔。市古はナンシーの席に座る。
「ナンシーじゃないか!今、何してるんだ?」
「和桐製作所で働いてるわ。今、上司の人と待ち合わせしてたの」
「そうなのか...」
「私がいなくて寂しくなかった?」
「相変わらずだな...」
「そっちもね。全然私の事褒めないし見てくれないし...」
「可愛いよ、うん可愛い」
「中学生の反応ね。もうプロ野球選手なんでしょ?」
「何で知ってるんだ?」
「和桐に野球好きがいるのよ...メガネね」
「またメガネかよ...!」
和桐製作所。正式には和桐株式会社。経営困難の危機を迎えている町工場。嘗てジャジメントとオオガミの戦争の中心にいた。理由はワギリバッテリーと言う全てのエネルギー問題を解決する原子力の代わりのエネルギー開発に成功した為。その技術を奪おうとしたり、盗もうとしたりと言った巨大企業の陰謀の中に入ってしまう。ただし、和桐製作者の人々はそれに気付いていない。
「何で和桐に就職したんだ?」
「そんなに私の事知りたい?」
ナンシーは自分の髪をくるくる指で絡む。
「とにかく色々な所に面接に行って受かったのが和桐なだけよ......もう、私を雇わないなんて馬鹿ね、馬鹿」
「今はジャジメントショックで就職が困難らしいからな」
ジャジメントショックの影響は大きく、多くのジャジメント子会社や傘下にも影響が及ぶ。
そして上司は慌てながらナンシーの元へ行く。
「ちょ、ちょっと遅れちゃいましたね!ごめんなさい!」
「浅井さん!」
「漣ちゃんって呼んで、もう可愛いなぁ。どうして私の周りには可愛い子いっぱい!ああ、もう......」
浅井はちょっと悲しそうな表情をしてお酒を注文する。
「あ、どうも、市古と申します」
「私は浅井漣です!宜しくね!」
浅井漣。和桐製作所で働くナンシーの上司。巫女のバイトもやっている。ただ、彼女は今、失恋中らしい。
「あの人がプロ野球で活躍していたらあんな事やこんな事が......あっ、ごめんなさいっ!それより今日は飲みましょう!」
「そう言えば漣さん、お酒なんて頼んだ事無いじゃない......ですか!いけないですって」
「可愛いなぁ。あの人も可愛いのが好きなのかなぁ」
「論点がずれすぎです。大丈夫ですか?」
「後は二人で飲んで。俺は明日早いから」
「待って。この埋め合わせはするから...」
「分かったけど......」
浅井は酒癖が悪い。市古は店を後にして、気合いを入れる。
「オレの秘密って何だろ......」
市古は一人、ナマーズの寮の中考え込む。
彼の人生は平凡と言えば平凡。野球と言う点で着目するならばプロになれた地点である程度の才能はある。
突然現れた夢の中の化け物の事を時々、思い出しながら彼は非凡について考える。
飽く迄も夢、そう割り切れば何も問題無い。ただ、夢の中に入り沈んでいけば彼の中にある意思を持つ秘密が何かしらの反応を見せるのかもしれない。そんな事を考えながらベットの上、見なれた屋根を埃舞う空気を夜空に向かってため息を吹きかける。
化け物がもう一つの大きな秘密と対峙すると言う発言をしていた事を思い出す。
どう足掻いても、いずれ秘密同士は惹かれ合う。
彼の人生にどう影響するのか皆目見当もつかない。
市古は武内ミーナの元へ行くのが最善と思い自分の人生について改めて知ろうと考える。
自分とは野球選手以外の何なのかを知る為に。
後日、市古は餅田と練習をする。
「でも自分の目指すべき所はあくまでも一軍スターだ!」
「そうでやんすよ。オイラ達は年棒を上げる為に頑張るでやんす!」
「金の為ですか」
「オイラは昔、落ちこぼれだったでやんす。オイラの親友はどいつもこいつもエリート様で顔もイケメンで性格も良かったでやんす。オイラは必死に努力してもエリートと肩を並べる事も出来ないでやんす。
その後、エリートは挫折しても蘇生する事も身に染みて分かったでやんす。
高校の時はオイラの方がエリートだったんでやんす......とにもかくにもやっと追い越したと思ったらあいつ等は...」
「餅田さん...」
「オイラはあいつ等よりも努力して凄い所を見せてやるでやんす。その為に......」
市古は練習をして部屋に戻ると、三人の男性が叫ぶ。
「む〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
「......」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。反応が薄いんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。旅から戻ってきたんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。これから宜しくなんだなぁ〜」
彼等は荒井三兄弟。長男・金男次男・銀次三男・晴男。容姿や顔は同じだが髪型と髪の長さが違う。
「だ、誰だお前等!?」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。ナマーズの球団職員なんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。新人がタメ口なんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。そんな奴はアイテムを没収なんだなぁ〜」
「何でだよ......!いちいち、うるさいし!」
荒井三兄弟は市古の荷物を乱暴に扱いながら没収して窓から逃げる。
「......これも夢なのか?」
現実逃避する市古を余所に、武内は自ら九百龍の本拠地に乗り込み巨大な秘密について調べていた。
「......どうやら九百龍と言う組織は首領も構成員もガラリと変わったみたいですね。代わりに入ったのが彼等......」
九百龍の首領は女性のスクーリー。姿は全身サイボーグ。ロボット、アンドロイドと同類とも言える存在にまで姿を変えていた。
ロボット。無機的人造人間。身体が金属で出来ている。
アンドロイド。有機的人造人間。複数の遺伝子を組み合わせ培養ポッドに成長ホルモンと一緒にいれ数ヶ月で無理やり大人サイズに成長させる。ただしただの人間を製造するのではなく身体能力向上等の特殊効果を付ける。この技術をオオガミが所有していた。後にジャジメントが技術を真似する。
彼等は通称、実験用の人間。人権が存在しない。
嘗て、実験用の人間として命の危険を感じた数十人のアンドロイド達が逃げサイボーグ同盟と名乗る。(実際はアンドロイド同盟だが、彼等は普通の人間として過ごしたい為にサイボーグを名乗る。詳しくは後述)
サイボーグ。改造人間。生まれた後に身体を改造する人間。アンドロイドも基本的にサイボーグに改造されている。
一言で言えば、アンドロイドもサイボーグも姿、能力も何も変わりない。生まれたのが研究所か母の腕の中にいるのかと言う事だけである。
クローン、生物兵器はアンドロイドに位置する。
スクーリーは見た目からその三種類のどれかと言うのは分かっていた。
「...私は人間じゃない。だからと言ってロボットでもアンドロイドでもサイボーグでも無い。私は女神よ」
アンドロイドと人間は見分けがつかない。身体の構造も同じ。むしろ、アンドロイドの方が進化している。ただ、現在はアンドロイドの主な製造元であるジャジメントも大神の指示により製造中止しており工場も処分。
- Re: ハッピーエンド・エージェント。感想&オリキャラ募集中! ( No.12 )
- 日時: 2017/03/30 20:06
- 名前: カシスオレンジ (ID: n1ZeCGPc)
オリキャラ紹介です。
憑きカミさん、ロー・ナンシー。
モンブラン博士さん、五月雨睦月(さみだれむつき)。
モンブラン博士さん、斎藤はるか。
ルイージさん、ジョーカー。
ルイージさん、テイル、ピンキー。
ルイージさん、ガットン、リボル、バーニア、モータス。
- Re: ハッピーエンド・エージェント。感想&オリキャラ募集中! ( No.13 )
- 日時: 2017/04/03 16:37
- 名前: カシスオレンジ (ID: n1ZeCGPc)
大神は九百龍の調査の結果を見る。部下は社長室で報告する。大神は資料を見ながら座り心地の良い社長室の椅子に腰かける。
「現在、九百龍は全ての事業を畳み少数で活動している模様。そして首領のスクーリーは恐らくサイボーグ同盟の一員でしょう」
「サイボーグ同盟か。確か噂ではオオガミを潰す為にジャジメントに加入していたはずだ。ボクも正直裏社会の全てを知ってる訳じゃないから其処は不透明だね」
「大神社長も裏社会について発見がいっぱいあるでしょうね」
「そうだね。ボクはあまりにも無知だった。知っている事なんて今も昔も氷山の一角しか分かっていない。目を疑い、自分の無力さを痛感する事ばかりで」
大神は野球が好きだった。どれ程好きなのかと言うと、今全ての問題を捨ててプロ野球選手になりたい程である。
「サイボーグ同盟。父が残した問題の一つだね」
「流石に知ってましたか」
「ボクはオオガミに関する重要なデータを二年前に発見した。名前ばかりの会長室でね」
大神は行方不明のジャジメント会長の部屋を捜索しPレポートを発見する。
Pレポート。
かつて、この世界にはプロペラ団(正式名称、プロフェッショナル・ロウヤーズペイメント・レプリゼンタティヴ)と言う組織があった。略してプロペラ団。目的は全ての娯楽スポーツを支配する事。
その為の技術、プロペラ団の記録、監視対象の明細。
これ等の優秀な研究が、当時プロペラ団幹部の大神社長の父、大神美智男が回収しオオガミを立ち上げる。事実上、オオガミの弱みである。
そのレポートをジャジメント会長が所持していた。
所持した目的、理由は不明。
またジャジメント会長が書きこんだであろうデータも検出された。其処には今までのオオガミの行動やジャジメントの行動が書き記してあった。
大神は推測する。
「会長がPレポートを持っていた理由はオオガミを潰す為の切り札だ。
恐らく会長の指示では無くオカルトテクノロジーを駆使していた彼の部下、あるいは彼と同じ目的を持っていた同業者が勝手にPレポートをネットからかき集めたんだろう」
Pレポートのデータは其処ら辺のサイトに散らばっている。だが、解読しないとPレポートが現れない為、Pレポートの全ての回収は困難を極める。
「そして会長はそれを拒否した」
「......何故?」
「ボクには分からないよ。会長は父程に考えが分からない人物だと思うからね。単にボクが知るほど接していないだけだと思うけど。父も同じだったよ」
結果、Pレポートは価値の無いモノへ下がる。
「話を戻しますね。サイボーグ同盟もジャジメントに加担してましたがジャジメントとの協力関係に疑問を持ち決裂。オオガミとジャジメントから追われ裏社会から姿を消しました。
しかし、オオガミを潰すチャンスを窺っていた様ですね。九百龍を乗っ取り...」
「待て。九百龍は仮にも世界の支配者に躍り出ようとしていたはずだ。壊滅状態とはいえ、サイボーグ同盟に乗っ取られてしまう程弱体化していたのか?」
「そこで超能力者の送り込みです。超能力者達が九百龍を制圧。超能力者の正体は不明ですがいずれもまた寿命が尽きるでしょう。重大な事では無いと」
「スクーリーか.....彼女の目的はジャジメント完全崩壊だね......」
「ええ....魔球騒動との関連とも調べてみます」
スクーリーはボロボロの九百龍本拠地に一人、車椅子に乗りながら自分の身体のメンテナンスをしている。
「私に必要なのは内臓や食事じゃない。たくさんの銃弾と兵器とワギリバッテリーよ。それだけで女神は完成される......」
秋山は相談室で手鏡を見る。
「サイボーグ同盟......大神美智男社長の意思に反した邪魔な存在でしか無い。何とかして大神社長の息子に気付かれない様に暗殺決行をしなければ......チッ、実験用の存在する意味も無い生物兵器が......」
そう言って自身の顔をマジマジと見続ける。
市古は寮で落ち込んでいる柿元を見る。
「どうしたんですか...?」
「市古君...ボクの兄さんが暴力沙汰起こして謹慎って知ってますよね?
今まで兄さんに何回聞いても、暴力を起こした理由を教えてくれなかったんですけど......」
「何か分かったんですか?」
「どうやら兄さんと一緒に飲んだ人がボクの事を悪く言っていてそれに耐えられなくて言い争いになり殴り合いをしたらしいんです」
「そんな...」
「それも一緒に飲んでた人は野球界でとても偉い人らしく...」
「どうしてそんな人と飲んでたんでしょうか...」
「どうやら兄さんの実力を買ってくれてナマーズから自分が所有しているチームに移籍させようとしていたんです。兄さんはずっと拒否してたんですけどね。ボクがずっと調子悪いせいで......兄さんはボクのサポートの為にナマーズに残ってたんです」
「......」
「偉い人は激怒して兄さんを無期限の謹慎処分にしたんですよ。ボクはどうしたらいいのか分からないです......兄さんの未来を奪ってしまった」
「今度二人で話し合った方が良いんじゃないですか?」
「...合わせる顔がありませんよ」
柿元はその後野球に身が入らなくなりスランプ地獄へ落ちる。
市古は夕方、武内のアジトへ行く。
「市古さん。何か用ですか?」
「......オレの秘密について知りたいんだ」
「貴方自身の情報で良いんですか?」
「うん、ただオレの秘密については完全に真実とか裏社会と関わっているのかは不明だ。いや、関わって欲しくないんだけど...」
「詳しく聞いても......?」
「そうだよな......正直、秘密について分かっているのはオレの人生の違和感だけだ」
「随分ザックリしてますね」
「申し訳無い......流石に無理があったな」
「いいえ、貴方の事を調べ尽くせば良いだけですから」
「まあ、何も出なかったら出なかったでそれで良いし。うん、本当にこんな曖昧なお願いしてごめん......」
「良いですよ。その代わりナマーズについて教えてもらいます。一応見返りとしてナマーズの評価が上がる記事を書きますから」
「いやいや、とんでもない......」
武内は市古からナマーズの詳しい情報や市古についての情報を手に入れる。
「カニ怪人達は?」
「ヒーローの元で協力してると思います」
「ヒーロー?」
ヒーロー。オオガミとジャジメントの争いを止めようとしていた小規模組織。現在は災害等でボランティアをしている。
メンバーは個性的ながら全員強力と言っても良い。ある人物により具現化した存在や超能力者、アンドロイドが主体となり30人程で活動中。
カニ怪人達も自由に出入りしている。
また、サイボーグ同盟と関係があったが一時的な協力関係だったらしく現在は無関係。
「そんな組織が...」
「カタストロフの危機を抑えたのもヒーロー達です」
「カタストロフ?オレの秘密の前に武内さんの秘密が......!」
「武内じゃなくてミーナって呼んでも良いですよ」
「カタストロフって言うのは?」
「世界の滅亡です」
「嘘だろ?ミーナさんって意外にお茶目?」
「まあいずれ紹介します......!どれも良い人達ですから」
「うむ......裏社会に入り込みそうで怖いけど」
「フフ......これからも情報お願いしますね?」
「あ、そうだ。少し息抜きしよう。近くにレストランがあるんだよ」
「はい、分かりました」
市古は武内とレストランで料理を美味しそうに食べる。
「たまには息抜きも良いですね。普段はコンビニで済ましてますから」
「あのさ、他の人にも二人きりで誘われた時に来るのか?」
「ちょっと待ってて下さい。私、トイレ行ってきます」
武内はトイレに向かう。
「......オレ、何言ってんだろ......美人だから舞いあがってんのかな?」
数十分経っても武内は戻って来ない。
「ん?もしかしてオレ......嫌われた?嘘!?」
市古はトイレの方に行こうと思ったがむなしくなりお会計を済ませ外に出る。
「......次に会う時きまずいな。いや、もう会わない方が良いのか?」
すると、武内が誰かから逃げているのを遠くから確認する。
「ミーナさん?」
追っていたのは青い髪に青い瞳、黒いスーツが特徴の見た目が少年の様な人物と数人のスーツの男女。
市古は武内の元へ行くが武内の足が早く追いつけない。
「明らかに何か事件を追っている.....」
すると、さっき武内を追っていた少年が市古を見て驚く。
「君は....」
「......お前、ミーナさんを追って何をしてる?」
少年は無線で連絡をする。
「こちら五月雨。思わぬ収穫だよ。人数を最大限に増やしてほしいね」
「......え?え?」
少年は市古に掴みかかり壁に押さえつける。
「...服装からしてプロの野球選手か。成程ね、僕は君みたいな奴が大嫌いだ。どうせ、エリートの輝かしい道しか通って無いんだろ?温室育ちが」
「グハッ!お前...何者だ?」
少年は市古の腹を殴る。
「おっと、気絶させないよ。野球選手でエリートで顔もイケメンでモテモテ
だろ?イケメン顔をボコボコの顔にしてやるよ。僕の苦しさを味わえ」
「畜生......ミーナさん......」
「女か?女か!......どいつもこいつも僕を馬鹿にしやがって!丁度良い、君の野球の才能を僕に譲ってくれよ。これで僕は幸せに一歩近づいたと言う事になる!」
少年は市古に触れ何かをしようとする。すると、一人の女性が現れる。
「あらら、武内ミーナを助けに来たと思ったら......あいつ男出来たんか?なんやねん!何でウチの周りだけ幸せになるんや!ウチも幸せになりたいんや!」
「......君は誰?」
「同じ超能力者や。やっと敵の尻尾見せて来よったで。反ジャジメント派の超能力者の出所を見つけたわ。いや見つけて無くても別にええか...」
- Re: ハッピーエンド・エージェント。感想&オリキャラ募集中! ( No.14 )
- 日時: 2017/04/03 16:43
- 名前: カシスオレンジ (ID: n1ZeCGPc)
大阪弁のヒーローは苦笑いしながら少年を見る。
「......ダークスピアかい?僕を超能力者にさせたホンフーから聞いているよ」
「せやね。超能力者が大量発生したのはホンフーのせいやったな......はあ......後処理くらいしてからぬるま湯に浸かってくれたええのに。それとウチの名前は大江......じゃなかった。茨木和那(いばらき かずな)や。ダークスピアはもう必要ないコードネームやな」
茨木和那。現時点で最強の女性。背が高い。ヒーローとして活躍している。
ジャジメントの陰謀により超能力が発現。超能力は重力方向の操作。例としては重力の方向を主に逆にして細かくバランスを取って上空2000mに滞在する、重力の方向を変えてレーザーを偏向させる。重力で山一つ持ち上げる。また、彼女の戦闘力も高く古武術を駆使する。武術の間合いを足の代わりに重力を使い自由に動く。装着しているまたは持っているモノも重力操作可能。ヘリコプターに手を付けて持っていると意識するだけで持っているモノとして扱える。また落下する際にも減速可能。排水量5000トンの護衛艦を振り回す。大量の海水の重力を変えて上空に持ち上げて落とす。米海軍の空母を陸に放り投げる。自分が触れていなくても5m以内なら重力を操れる。
また、変身スーツを着ていた時期もあり、スーツは絶対的な防御を誇り高度10000mからの落下でも無傷で済むほどの強度を持ち、16インチ砲の直撃にも耐えられる。
さらに重金属の結晶体で出来た特注の槍を使う。
彼女は優秀な医者による実験でしあわせ草を投与された為、毒性も副作用も発症していない。
しかし彼女は脱走し、仲間達とヒーローになりジャジメントの陰謀阻止を目的に活動する。紆余曲折ありながらも、最後はカタストロフを阻止する。
普段はおとなしいが戦闘狂の部分がある。
好きな男はいるが相手にはもう家族がいる為、友達と言う関係に収まっている。
ホンフー。ジャジメント会長の配下で超能力者、女性っぽい男性。ジャジメントの強さはナンバー3。九百龍の暗殺者だったが暗殺対象だったジャジメント会長と意気投合する。ハッキリ言って世界最強は彼。事実上の「超」能力者である。超能力の内容はコピー能力。超能力も具現化の能力もコピー可能。コピーの応用が秀逸。冷酷、かつ気まぐれでイタズラ好きな性格。茨木とも個人的に仲が良い。ただ、飽く迄も敵なのでカタストロフを阻止しようとする茨木と殺し合いをしている。応援する者の存在の差で負けるが茨木はホンフーを見逃す。
その後、ホンフーは気まぐれか新たな戦いを求めてかカタストロフに戦いを挑む。その後の行方は不明。
「終わったはずの火種をまた潰さなあかんのは面倒やな。大丈夫や、殺しはしない。鎮圧するだけ。まあ気合い入れ過ぎて殺してまうかもしれへんけど許したって?あ、そう言えば、ジャジメントが超能力者の流出元を探ってるんやっけ。まあ、ええか治安維持出来れば」
少年は拳銃を持ち構える。
「......君の噂は随分聞いているよ。あのホンフーにも一目置かれていたじゃないか。やっぱ、才能がある人間は違うんだね」
「面倒やな......さっさと片付けて、男を釣り上げたジャーナリストに真相を聞かなあかんな!」
「この野郎、僕を無視しやがって......君の全ての才能、僕に譲ってくれよ。全てを失ってかつての僕の様になり下がれ!そして完璧に近づいた僕の前でひれ伏せ!」
少年は拳銃を茨木に向けて撃つ。茨木は5m以内の物体の重力の方向を下にして弾を地面に落とす。
茨木は少し浮遊して少年に向かって槍を突こうとする。少年は掌を茨木に見せる。茨木は警戒し槍のリーチを生かそうと不規則に直且つ高速に動きながら振る。少年も茨木と距離を置く。市古は気絶中。
「どうやら君と僕は相性が悪いみたいだね。まあ合う気はないけど」
「それはアンタだけや。アンタの能力は至近距離やないと発揮出来ない。ウチは5m以内なら重力操作可能やで」
「僕の能力も知っているのか」
「どうなんやろね?」
茨木は市古に向かって掌で何かをしようとしていたのに気付き、掌に何かあると言う事だけ分かっている。
少年は苦虫を噛んでいる様な表情をする。
「エリートは大嫌いだよ。そうやって才能を見せびらかして僕を見下すから」
「なんや?急に......」
「努力しても報われない人間がこの世には沢山いるんだよ。正義の味方気取りのくせに」
「......」
「あの苦しさに耐えていた日々が報われるまで僕は完璧にはなれない。幸せには......」
すると、大量のスーツの男女が現れる。
「このまま全員潰せるけど、あの野球選手も被害に遭ってまう。此処は退却や!」
茨木は市古を持って浮遊し落下する。落下場所は武内のアジト。
市古はベットの中で目覚める。
「此処は!?」
武内は茨木に怒られていた。
「あかんやろ......もう、一般人巻き込むのはご法度や!」
「すみません......私がサイボーグ同盟の拠点らしきレストランに偶然入ったモノでしたので。ただ、盗聴器を仕掛けようとしていただけです。それが......」
「見つかってしもうたんか......」
「はい、他のヒーローさんは?」
「他の事件追ってるで。それよりいつからアジトに男連れてきたんや!アンタだけは信じてたのに!」
「違いますよ。彼は何も関係ありませんから。むしろ、巻き込んでしまって申し訳ないです......」
市古は状況を理解出来ない。
「......これも夢?夢なんだな?」
「状況説明した方がええの?」
「はい、彼もサイボーグ同盟に顔を見られたので恐らくターゲットにされてしまったはずです......」
「これはアンタの責任やで......」
「はい...現在のサイボーグ同盟の様子は後で教えます」
茨木はアジトから浮遊して去る。武内は気まずそうに市古を見る。
「すみません。こんな事に巻きこんでしまって......」
「はは......ちょっと混乱中...人が宙に浮いてるのは何?」
武内は裏社会について説明する。市古は何となく理解する。
「全然分からないけど、見てしまったんだからどうしようもない......どうしてまたそんな事を?」
「真実究明です」
「でも死んだら真実も何も無いでしょ」
「真実は命よりも重い。命を懸けてまでも真実を追わないといけないんです」
「......」
武内は深く頭を下げる。
「私の軽率な行動により市古サンを利用して危険に巻きこんでしまいました。これからは護衛と言う形で対処をさせて頂きます。申し訳......」
市古は武内の言葉を遮る。
「いや、大丈夫。俺は大丈夫だから。頭を上げて」
「......」
「ただあまり無理しちゃ駄目だから。な?」
「あの......」
「ん?」
武内はある資料を見つける。
「市古サンの事を調べていたんですが...」
資料には高校の卒業アルバムが載っていた。
「ああ、懐かしいな。ん?あれ?」
資料に載っていた卒業アルバムには市古がいなかった。
「何でだ?何でオレがいないんだよ......」
「さらに甲子園出場の記録も貴方にはありません」
「嘘だろ?オレは思い込みでプロになったのか?」
「違います。情報操作されていたんですよ。貴方について。ついでに貴方にも記憶操作がされています。でもどう言う訳かプロレベルの実力を持っているのは確かです」
「......小さな違和感のつもりで調べて貰ってたんだけど、かなり大事じゃないか。オレの唯一の身内のおばあちゃんは?」
「おばあさまは戸籍も存在してますから問題無いと思います」
「何だか今日は厄日だな......いや本当に」
「......すみません。これ以上私達は会うべきではないですね。市古サンの秘密もこれ以上は」
市古は再び武内の言葉を遮る。
「......オレは自分の意思で此処に来た。こうなる覚悟もあった。大きな秘密は絶対にその裏社会に隠されているからな」
「はい...!」
市古は寮に帰る。
「大丈夫だよな?オレ...」
その頃、少年はある人物の元へ行く。
「スクーリーさん、潜入者武内ミーナを逃がしてしまったよ......」
「ヒーロー共が邪魔したんだね。それで君はそのまま帰って来たの?五月雨睦月(さみだれむつき)」
五月雨睦月。ホンフーが超能力を生み出す機械を使い超能力者にされた一人。だが超能力者にされた者は一年以内に副作用として必ず死ぬ。
ネガティブで非常に嫉妬深く、エリートや金持ちが大嫌い。自分に自信がなく、完璧主義の一面があってか彼は自分のあまりに醜い人生に絶望していた。劣等生で不幸な人生を歩んできた為に、完璧な優等生になれば幸せになれると思い込んでいる。
彼は一年以内に死なない為に相手の掌から才能を奪い自分の能力にしてしまうと言う能力を駆使し、生き残ろうとする。
結果的に、数々の天才等の才能を奪い下手すれば博士になれる程までに才能を奪い取る。そして副作用だけ消し去る事が出来る薬品、ハピネスαを完成させる。ハピネスα自体に超能力を発現させる効果は無いが副作用を消す効果がある。これはサイボーグ同盟が所持していたしあわせ草で制作。ただ、効力時間があるらしくそれは本人にも分からない。その後、サイボーグ同盟と協力し、九百龍を壊滅寸前まで追い込み九百龍の幹部に就任する。
また、いつ死んでも良い様に完璧な人生を送ろうとする。
「この男が武内ミーナと共に行動していたね...どう思う?」
「......こいつは......フフ、運命か偶然か。いや、いずれ惹かれ合っていたんだろう」
- Re: ハッピーエンド・エージェント。感想&オリキャラ募集中! ( No.15 )
- 日時: 2017/04/03 16:57
- 名前: カシスオレンジ (ID: n1ZeCGPc)
朝、市古が目を覚ますとベットの横で荒井三兄弟が立っていた。
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。起きるんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。出番が欲しいんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。自分探しの旅の成果を見せるんだなぁ〜」
「うるさい......自分探しとか知らないよ!」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。楽しかったんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。面白かったんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。自分を見つめ直せたんだなぁ〜」
「ほぼ旅の感想しか言って無いだろ!自分を見つめ直してこれかよ!」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。キムチあげるんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。旅でそれぞれ買ったキムチを混ぜ合わせたんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。ほら食べるんだなぁ〜」
荒井三兄弟は市古にキムチを喰わせる。市古は腹を下す。
「ぎゃあああああああ!!!」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。いつもいつまでも通常運転で行くんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。またいなくなっても思えば現れるんだなぁ〜」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。この先の物語が無くなっても荒井三兄弟は永遠なんだなぁ〜」
「何言ってんだよ......」
「む〜〜〜〜〜〜〜〜ん。16が無かったら荒井三兄弟が主人公にした物語を創るんだなぁ〜」
「絶対需要無いだろ....それより、16って何だよ....」
荒井三兄弟は市古の部屋から去る。水木は寮の廊下で荒井三兄弟を偶然見かける。
「お前等、まだそんな事やってたのかよ.........どうでも良いけどな」
「む〜〜〜〜〜〜〜ん。12で一度尽きたこの思い、もう二度と消させないんだなぁ〜」
「あ〜...迷惑行為に力入れるなよ.....それと12って何だ?」
荒井三兄弟はゆっくりとジャジメントの社長室へ向かう。水木は急いで食堂の方へ行く。市古はトイレに急行して引きこもる。その後、市古は東と練習場で話し合う。東はスマホで倉見春香と言う女性と無料通話アプリを使用する。
「....誰ですか?」
「高校からの友達だよ。ずっと応援してくれてるんだ」
「高校...」
「そう、甲子園で優勝した時も...」
市古は自分の人生について考える。自分の実績が嘘だと言う喪失感からあまり考えない様にしていたが野球に関わっていたのならばそれは不可能と言う事は分かっていた。
東は過度な練習を全力で始める。具田は東を注意する。
「駄目でやんすよ!そんな事したら怪我をするでやんす!」
「大丈夫.....ナマーズの危機に貢献したいだけだから。それに前と今の自分はまるで違う」
東は過度な練習をずっと続ける。具田は東に強制的に休ませる。
「このままだと、本当に駄目になるでやんす!」
「一軍になればナマーズも勝てるはず世論も変わるはず...練習しないと。ナマーズに貢献したい...」
「どうすれば良いでやんすか!」
「もっと練習しないと一軍監督の古沢さんに認めてもらえない...」
「監督は無理し過ぎない様に二軍に落としたでやんすよ。何回言ったら分かるでやんす!」
「励ましはいらない。実力が無ければ此処にいる意味なんて無い...」
「もっと昔のアンタは余裕があったでやんすよ。怪我をしていた頃の方が楽しそうだったやんす。きっと今の光景を湯田さんやプロで活躍しているあの人が見たら...」
「......」
具田は東を部屋に入れる。東はパニックになり怯える。
「怪我をしない方が良いに決まっているはずだよ......?高校の時だって大学の時だってプロに入ったばかりの時だって怪我ばかりで迷惑かけて......やっと治って皆と同じ舞台に立てたと思ったのに」
市古は東が心配になるが、具田が遮った事で話は聞けなかった。市古はナンシーから連絡が来る。
「もしもし...」
「ずっと私の電話待ってたらごめんね〜。遅れちゃってっ♪」
「で?待ち合わせ場所は?」
「南雲ホールディングスの子会社が経営しているレストランよ」
「南雲...何?」
「上司の漣さんから教えてもらったレストランよ。てか、南雲ホールディングスを知らないの?」
「ごめん、知らない...」
「ジャジメントショックで就職氷河期の昨今で唯一経営維持出来ている企業よ。私も入りたかったけど、条件に入れなくて...」
「んで、その子会社?」
「そうそう、レストラン経営してるのも子会社の女社長なのよ。詳細は聞いて無かったけど」
「ああ、分かった。場所は調べておくから。一店舗だけだよね?」
「ええ、そんなに嬉しそうに話さなくても良いのよ?」
「いや......ちょっと聞きたい事があって」
市古は高校時代の自分を聞こうとナンシーが待っているレストランへ行く。
「ナンシー、待ったか」
「...何で高級レストランで野球ユニフォームの格好をしているの!?」
「ん?ああ......ごめん」
「普段良い物食べてないでしょ。ほら、今日は私の奢りにしてあげるから、たーんと食べなさい。そして私に従いなさい」
「いやいや、オレが払うから」
「私、遠慮はしない人間よ。良いのね?」
「ああ、それで聞きたい事があってな」
市古は高校時代の想い出を聞く。文化祭、体育祭、そして甲子園について。また、市古はナンシーについて疑問を持っていた。もしかしたら、武内ミーナを襲った超能力者達と関係があるかもしれないと。
「今、他の女の事考えてたでしょ」
「いやいやいや......全然」
「へー、否定してるって事は私を女として見てるって事?」
ナンシーは市古の手に触れる。市古は呆れながら手を離す。
「そう言う事じゃない...結構重要な事なんだ」
「思い出とか正直、どうでも良いのよね。もっと今を生きなきゃ...ね?市古だってナマーズの調子が悪いんだから早く一軍にならなきゃ」
「...そうだな」
市古は過去と現在に挟まれ苦しくなる。ナンシーはそんな市古を無言で見つめていた。ナンシーはテーブルの下で市古の足を軽く蹴る。
「困った事があったら私に吐き出しなさいよ?たっぷり可愛がってあげるから」
「分かった分かった。それじゃ......ありがとな」
「.....何で辛そうなのよ..こっちまで」
「何か言ったか?」
「ほら、早く行きなさい。野球のユニフォームを着た場違いな人と話すのは恥ずかしいから」
市古はジワジワと自分の人生にヒビが入るのが分かる。何より怖かったのは野球への愛も偽物なのかもしれない事。
「...オレは野球が好きなんだよな?」
数週間経っても一軍のナマーズは相変わらず最下位。また、二軍も最初は調子が良かったが現在は下降中。
市古も野球や秘密へ疑問が絶えず、悩める日々を送る。またジャジメント自体も雲行きが怪しくなる。
市古は休みも練習する様になる。市古は餅田と食堂でご飯を食べる。
「いつも美味しいでやんすね...」
野々村は呆れる。
「アルバイトの有村ちゃんを見たいだけでしょ?」
「ち、違うでやんす!」
「有村?新しいバイトが来たんですか?」
すると、有村と言う可愛い女性が現れる。
「どうも、有村奈美(ありむら なみ)です。気楽に奈美ちゃんって呼んでね?」
「ああ、分かったよ」
有村奈美。髪は茶髪でショート。お洒落を完全に理解しておりまるでモデルの様な格好をしている。現在、食堂のアルバイトをしているが水泳の選手でもあり、将来有望な人材として活躍している。
「フフフ。市古君は水泳やった事あるの?」
「オレは海でたまに泳ぐ程度かな」
「オイラはサーフィンが出来るでやんす!今度、一緒に行こうでやんす!」
「確かに今は夏だけど、ナマーズの調子が上がってからじゃないと気楽に遊べないでしょ?」
「気分転換と言うのがあるでやんす。あ、市古は来ちゃ駄目でやんすよ」
「何でだよ!」
「面白いねー!二人共!」
「オレはほぼ何もして無い気がするんだけど......」
「もっと面白い話があるでやんすよ。その続きは二人きりで...」
「お前、何しようとしてんだよ....」
「まあまあ水泳の話ならいっぱい出来るから、今は頑張って!」
市古はカレンダーを見る。
「本格的に暑くなる.....熱中症に気を付けないと」
「ナマーズの熱気は冷める一方でやんすけど...」
「ちょっとそんな事言っちゃ駄目だよー!」
餅田は幸せそうな顔をする。
「プロに入って良かったでやんす。もうナマーズで思い残す事は無いでやんす〜!」
「ほら、練習するぞ」
「邪魔者がうるさいでやんす。それと、何でタメ口でやんすか!」
「実際、同級生だろ.....オレは下山と同じ歳だからな」
有村は微笑んでいた。市古は下山と前の試合について語る。下山は一軍で活躍しても良いくらいに成績が良かった。
「それじゃ一軍に上がれるのか?早いな......餅田なんてまだ二軍なのに」
「まあ飽く迄も予定だけど。出来れば君と同じ舞台に立ちたかったよ」
「どうしてだ?それにオレは.....」
「だって君は才能があるからね。まだ粗いけど、きっと僕を追い抜いていくんだろう」
「いや...」
「今、プロの世界を見て僕は楽しいんだ。僕より凄い選手がたくさんいて......もっともっと努力して僕はその凄い選手達を越えたい」
下山が語る野球論は決して楽な物では無いがそれでも彼は楽しそうに市古に話した。