社会問題小説・評論板
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- いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者
- 日時: 2012/10/28 17:42
- 名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)
はじめまして、はこりんごです!
コメントとかアドバイスしてもらえたらうれしいです。
絶対返事します。
荒らしなどはやめてください。
登場人物
杉沢 夢 (すぎさわ ゆめ)
赤石 栗香 (あかいし りか)
畑井 加奈 (はたい かな)
光達 沙奈 (ひかりだ さな)
渚羽 琴音 (なぎさわ ことね)
高杜河 七海 (こうずか ななみ)
南野 香菜李 (みなみの かなり)
陸野衣 千夏 (りくのえ ちなつ)
プロローグ
>>1
第一章
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6
>>7 >>8 >>9 >>10 >>11
>>12 >>15 >>16 >>19
第二章
>>24 >>25 >>28 >>30 >>33
お客様
うさ(。+`・∀・)b様
フレア様
麻衣様
エリア様
灰歌音 麗歌様
エルセ(かの)様
- Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.3 )
- 日時: 2012/10/20 15:48
- 名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)
ドアを開けたのは栗香だった。
栗香は笑顔で私を見た。
その表情は、
私にとってかわいいと言うよりも怖いだった。
栗香が無言で手をパンッとたたいた。
すると、とりまきたちは私を無理やり教室の中へ。
教室は窓を開けていなかったのでけむりでいっぱいだった。
そのけむりは私の机の上からでている。
そして燃やされているのは教科書。もちろん私の物だ。
「いらない物は処分しないとね♪」
栗香はそうつぶやくと私にバケツを差し出す。
何が言いたいのかは、だいたい予想がついた。
毎日のようにいじめにあっていたら予想ぐらい簡単だ。
「自分で火、消しなよ♪私たち燃やしてあげたんだから☆」
私はバケツを取ると自分の机を見た。
止まらない火、どんどん火が広がっている。
このままじゃ教科書が全部燃える。
私は水道へと走って行った。
しかしその間に栗香は黒板にこう書いていた。
『私、杉沢夢はぶりっ子で〜す♪
しかも、キモイでーーーす!
彼氏募集してま〜す☆』
傍観者はその黒板を見て何もできずに固まっていた。
私が帰ってくるときまずそうな顔で、友達とひそひそ話。
私は黒板を見て火を消すことも忘れてただ_____
涙を流していた。
今日のいじめはいつも以上だ。
やっぱり早起きなんてするべきじゃなかった。
こんなことになるなんて‥‥‥‥。
そんな私を見て栗香はクスクス笑っていた。
私が泣こうと、リストカットしようと。
何をしてもこいつはきっといじめをやめない。
それならなぜ生きているのだろう?
さっきは生きようと思ったのに10分もたたずに死にたいと思ってしまった。
学習能力ないのかな?
私、こんなんだからいじめられてるのかな?
何度も自分に問いかけた。
- Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.4 )
- 日時: 2012/10/21 01:07
- 名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)
やっと火を消した時、栗香が私のほうに来た。
私は泣きすぎで赤くなった目を栗香にむける。
反抗的な目。とは、今の私の目にそっくりだろう。
しかし、その目が栗香を怒らせてしまった。
栗香は怒りそしてみくだすような目で私を見る。
「あんた。さっきの目、何?」
その一言でうるさかった教室はしずまりかえった。
「ざけんなよ!!!クズが!キモイから!!!」
栗香の声が教室中に響く。
みんなびくびくしている。
もちろん私も。
とりまきは不気味な笑顔でこう言った。
「栗香〜。シツケしないといけないんじゃない?」
頭が真っ白になった。
ふるえが止まらなかった。
恐怖におしつぶされそうだった。
シツケというのはいつものいじめの何倍もつらい‥‥‥‥‥。
栗香はシツケという単語を聞いた瞬間、目の色が変わった。
にったりとしたえみ。
誰が見ても怖いと思うような顔でただ一言。
「はじめよっか♪」
その言葉と同時にとりまきと傍観者たちが私を囲む。
栗香は後ろにあった椅子に座り手をたたく。
すると、傍観者たちが私に向かいゴミを投げる。
紙くずやぞうきん。
他にも誰のものかわからないかさや、ゴミ箱ごと投げられたりもする。
私はただしゃがみ込み、頭を抱える。
それしかできない。
そしてもう一度栗香が手をたたくと、
みんなが私の持ち物を切り刻みだす。
教科書は原型をとどめず、体操服はビリビリ。
栗香はおなかをかかえながら笑いを必死にこらえている。
私は切り刻まれていった一枚の写真を見て、また涙を流した。
しかし、栗香はやめることなどしない。
また手をたたく。
するとバケツをもって栗香以外の人が水道の方へ走って行った。
「いいきみね♪」
栗香がそう言ったあと、
何人かがバケツに水をいっぱい入れて帰って来た。
そして私にその水をかける。
そしてまた水をくみにいく。
その間にほかのやつらが私に水をかける。
私は何回も水をかけられる。
栗香はとりまきの1人に大きいバケツを渡しながら何か話している。
それからとりまきはうなずき、水をいっぱいくんで来た。
そのあとまた栗香が手をたたく。
それと同時に髪の毛をつかまれ、水の中に顔を入れられる。
息ができなくて苦しい。
少したってからやっと顔を出せた。
しかし、また1分もしない間に水の中へ‥‥‥‥‥
少しずつ体力はへっていった。
栗香は私の顔を水に5回つけ、そのあとまた手をたたく。
今度はみんな私を蹴る。
すごく痛い。
さっきのでもうへとへとなのに蹴られるなんて、
もう立つこともできなかった。
「や、やめて‥‥‥‥‥。」
その声は栗香には聞こえず、ただ蹴る音にかき消された。
- Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.5 )
- 日時: 2012/10/21 01:16
- 名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)
私の助けを求める声は誰にも届かなかった。
必死に出したその声はあわのように消えた。
「夢ちゃん。
私に逆らったりするとどうなるか‥‥‥わかった?」
ゆっくり、静かな声で栗香がそう言った。
私は顔を上げ、たてに首をふった。
栗香は私を見て、最後にこう言った。
「次。あんな目をしたら、
こんなんじゃすまさないよ‥‥‥‥。」
とても低くて怖い声。
私はまだふるえが止まらなかった。
私は栗香にただ一言、つぶやくように言った。
「ごめんなさい」
そして私はまた下をむいた。
栗香は教室の外へ出て行った。
とりまきは傍観者に後片付けを頼んで‥‥‥いや、
おしつけて。栗香のあとをおった。
「夢ちゃん。大丈夫?」
偽善者の沙奈は私に手を差し出した。
さっきまでみんなといじめをしていたくせに‥‥‥
そう思ったが、口には出さなかった。
私は立ち上がることがやっとだった。
よろけながらも自分の机へ向かう。
無事な荷物だけをカバンの中に入れて教室をあとにした。
先生とすれちがったが、
びしょびしょの私を見ても先生は何も言わなかった。
何もかもがいやになった。
「自分を守れてよかったですね。」
先生に聞こえるように少し大きな声で言った。
私はなにを言っているんだろう?と思った。
だって、しょうがないことなんだ。
みんな仲良くなんて無理なんだから。
誰かをイケニエにしないといけないじゃないか。
思った通り先生はきまずそうにふりかえる。
「何でもないです。」
そう言うと私は走った。
もう本当にいやだ‥‥‥‥
みんないじめるか見て見ぬふりするだけだ。
助けて‥‥‥‥。もういや!!‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
そう心の中で叫ぶが、その声は誰かに聞こえるはずもなく、
私はしゃがみこんだ。
- Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.6 )
- 日時: 2012/10/21 01:30
- 名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)
「ねぇ。あの子‥‥きもくない?」
栗香がとりまきと話している。
少し懐かしい気がするのは
おそらく、夢だからだろう。
そう、あの時の__________
消したくても消せない記憶。
毎日のように見る夢。
「夢。ごめん」
加奈が私にたいして最後に言った言葉。
それ以来、加奈は傍観者になった。
悲しみ、怒り。いろんな感情がこうさして、自分を見失った。
この日から、遅刻が急激に増えた
「おはよう夢ちゃん♪」
栗香は笑顔でそう言いながら手を振る。
その栗香の足下にはビリビリにされた教科書とノート。
最初の方はいじめもこれぐらいだった。
しかし、いじめはやまず。ただエスカレートするだけだった。
「これあげる♪」
笑顔で私の顔にセミのぬけがらを投げて来た時もあった。
「夢ちゃん☆金かして!一万円ぐらい♪」
お金は何回もかした。
合計で十万は絶対にかしただろう。
しかし私にそんなお金はなかった__________
盗んだんだ、お母さんの財布から。
だってお金をわたさないと__________
シツケされるから‥‥‥。
「ありがとね♪夢ちゃん!またよろしく。」
怖い笑顔。
にっこりわらう栗香はとても怖かった。
笑顔でどんなことでもするから。
私が泣いていると栗香は満面のえみで
「どうしたの?」
と言ったことがあった。
すごく楽しそうに。
きっとこれはあの子にとってゲームでしかないのだろう。
私が生と死のはざまに立っていても気にせずにいじめを続ける。
そう。例えるのなら、悪魔だ。
「泣いたらすっごい汚い顔が涙でさらに汚くなるよ〜!」
そう言って、
これでふきなよと言うような顔でぞうきんを差し出す栗香。
その時私は逃げた。
涙を流し、走った。
しかし、翌日__________
シツケが待っていた。
「あんたが悪いのよ。」
そう言って手をたたく栗香。
私を蹴りだすクラスメイト。
泣く私。
その光景は、悲惨だが_____誰も止めようとはしなかった。
傍観者は私をイケニエにしたんだ。
自分たちのために。
- Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.7 )
- 日時: 2012/10/21 01:36
- 名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)
目が覚めるともう夜中だった。
私は部屋のベットで寝ていた。
お母さんは_____まだ帰っていないようだ。
ちなみにお父さんは私が小さい時に死んでしまった。
自殺らしい。
私はカバンの中からやぶられた写真を出す。
お父さんと私とお母さんがわらっている写真。
私の宝物。しかし今はやぶられたただの写真。
もう全部どうでもよくなった。
生きていくのがいやになった。
「死にたい」
そうつぶやくと私は涙を流し、倒れ込む。
いっぱい泣いた。
何度も死にたいをつぶやいて。
そしていつのまにかまた寝ていた。
朝になると、お母さんがおこしてくれた。
お母さんはいじめのことを知らない。
私は何事もなかったように写真とカバンに隠した。
そして、いそいでお風呂に入り、
着替え、朝ご飯を食べて学校へ。
この時間帯だと遅刻ではないだろう。
でも、学校に行きたくない。
またいじめられる。
「死にたいよ」
そうつぶやき、学校とは反対の方向へ。
ずっと、ずっと歩いた。
足が痛くなるまで。
見たことない景色。
きれいなうすいピンクの花がいっぱいさいている幼稚園があった。
無邪気に笑うこどもたち。
幼稚園児はいじめなんて__________
どんなことかすら知らないのだろう。
うらやましく思った。
戻りたかった、あの頃に。
無理だということはわかっていた。
想像_____いや、空想することしかできないのだ。
「死にたがり」
つぶやき、歩き始める。
もっと遠くに逃げたかった。
栗香から逃げたかった。