社会問題小説・評論板
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- (仮)強がり
- 日時: 2013/03/04 22:42
- 名前: 黒猫モンゴル (ID: ScWyjXSP)
プロローグ
今日の次には必ず、いつものように明日が来る。
そう信じてた。
菜実、もし、会えるなら
私は何だってするのに。
会いたいよ…。
- Re: (仮)強がり ( No.28 )
- 日時: 2013/05/29 18:45
- 名前: 黒猫モンゴル (ID: S9l7KOjJ)
「今日、1stが私1人で、2ndが3人だって。」
結果を待つ、個人練習中、詩音先輩が私たちに言った。
「はは…。」
私は笑うとともにその場に泣き崩れた。
オーディションなんて、やる意味ないよ…。
だって、メンバーは1stが詩音先輩、2ndが茜先輩、ピッコロが麻衣先輩なんでしょう?
だから、そういうセクション分けにしたんでしょう?
メンバーになれないことくらい痛いほどにわかっている。
でも、そういう風に遠まわしに言わないで欲しい。
「恵那、大丈夫?」
春奈先輩が声をかけてくれた。
「ねえ、泣いているの?」
私はだまってうなずくことしかできなかった。
「私はいつも麻衣に負けてばかり。でも、今回だけは麻衣には負けたくなかった。」
そういって、春奈先輩も泣いていた。
私は春奈先輩の気持ちがよくわかる。
だって、同じ学年の友達は出ているのに、自分1人だけ出られないなんて…。
それはとてもつらい。
- Re: (仮)強がり ( No.29 )
- 日時: 2013/06/19 19:32
- 名前: 黒猫モンゴル (ID: 5041ZSFy)
私は呆然と保健室へ向かった。
もう涙は出なかった。
一瞬、ノックをするか、ためらった。
私は練習をしないでこんなところに来ている。
そう思ったから。
コンコン
それでも私はノックをして、扉を開いた。
「先生、私はもうすぐあるコンクールでメンバーになりたいのです。」
そう言って、先生のことを見ると
急に涙があふれた。
「前は部員が沢山いたけれど、今は減ってしまいフルートパートからは半分の人数しか
出場が認められないのです。」
私は続けた。
「そっか、やっぱり先輩は上手なの?」
先生は、私にそう質問した。
「はい、先輩に勝ち目はないことはよく分かっています。経験年数も1年とか2年違ってくるし…。」
「その1年とか2年の経験年数は、実力に違いは出てくるんだね。」
「はい、でもメンバーになりたいのです。ただなりたいだけではないのです。
この前、亡くなった澄川さんに音を届けたくて…。
だから、ピッコロにも候補をしました。」
「ピッコロ…フルートに比べてピッコロはどんな楽器?」
「ピッコロはフルートよりも小さいですが、
音が高いので、よく響きます。」
「小さくてもよく響くのか…。」
先生は続けた。
「澄川さんに音を届けたかったんだね。」
「はい…メンバーになれないなら、なれないでいいから、はやく報告してほしいです。それなのに、結果もどんどん先延ばしにされて、それに遠まわしにあんなこと言わないでほしくて…。」
泣き続けた。
もう、泣くことしかできない。
10分後にあると告げられたパート練習はその時、もう始まっていた。
- Re: (仮)強がり ( No.30 )
- 日時: 2013/07/17 11:43
- 名前: 黒猫モンゴル (ID: FiSCMDMo)
ガラッ
ドアの開く音がして、入ってきたのは、詩音先輩だった。
詩音先輩は私に駆け寄って言った。
「まだ決まっていないよ、今日は、てことだから。」
違う、違うんだ…。
でも、そんなこと言えない。これは、校内で起こったこと。
もし、先輩が転落死した人が後輩の親友だった、なんてことが知れたら、先輩は
私のことをどう思うだろう?
そうしたら、私はどうすればいいの?
そう思うと、怖くて、彼女の分まで生きるために、
音を届けるために、メンバーになりたいのです、
でも、その自信がなくなっただけです、
なんて言えるわけがなかった。
- Re: (仮)強がり ( No.31 )
- 日時: 2013/07/17 11:45
- 名前: 黒猫モンゴル (ID: FiSCMDMo)
参照が200いきました、ありがとうございます!
嬉しいです(*^_^*)
これからも宜しくお願いします!
- Re: (仮)強がり ( No.32 )
- 日時: 2013/07/27 19:14
- 名前: 黒猫モンゴル (ID: FiSCMDMo)
「恵那、じゃあ今日はパート練習はやらないから。
落ち着いたらまた練習に戻っておいで。」
詩音先輩の声はいつもと違って少し悲しげだった。
私はだまってうなずいた。
「先生、宜しくお願いします。」
詩音先輩は先生に一礼すると、保健室を出て行った。
私のせいで…。
自分が情けなくて仕方がなかった。