社会問題小説・評論板
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- いじめと反省
- 日時: 2015/09/23 17:18
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
はじめまして。
小説カキコで初投稿させて頂きます波坂です。
いじめ等の描写が多くなると思います。
誤字脱字の事やアドバイスをよろしくお願いします。
僕は朝霧介斗[あさきりかいと]。中学生だ。
- Re: いじめと反省 ( No.19 )
- 日時: 2015/10/20 21:23
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
僕が目を覚ました時に初めに目に入ったのは、白い天井だった。
「……こんなコメントをする日が来るとはな」
そして、自分の履歴を記憶から掘り起こす。
「…何でだろうな」
自分でも、分からない事があった。
「何で僕は……あの時の記憶を思い出しても……平然としていられるんだろうな……」
分からない。
理解できない。
なぜあんな非情どころではない事をして、平然としているのだろうか。
「どうしてなんだよ……」
僕の問いは、虚しく大気に溶けていった。
「対人恐怖症?」
「ああ」
あの事件から、一週間が経とうとしていた。
ゴミどもは入院しているらしいが、どうやら奈手葉は精神的に傷ついたらしかった。
体の傷も癒える物と癒えない物があるように、心の傷も癒える物と癒えない物がある。
「彼女は状態が悪い……特に男性が近寄るとパニックを起こしたり失神してしまったりするんだ。女性に対してもあまり友好的とは言えないね」
「そう、ですか」
男性に対しては当たり前だ。奈手葉はまだ中学生。未発達の成長段階の体だ。それを貫かれて、物凄い激痛が走ったはずだ。
「だが、ある男子生徒は月夜さんと話していたよ」
「先生……もしかしてソイツはレンって呼ばれてませんでしたか?」
「そうだけど?」
最も、1mは離れていたがね。と医者は付け足す。
どうやらレンには大丈夫だったらしい。
「月夜さんに……奈手葉に、会わせて貰えませんか」
「何を言っている……と、言いたい所だが、君は彼女の恋人だったそうじゃないか」
「そうです! だから…奈手葉に会わせて下さい! お願いします!」
僕は必死に頭を下げる。奈手葉に会わなきゃだめなんだ。
「……いいだろう。部屋は●●●号室だ」
「あ、ありがとうございます!」
僕は、大急ぎで奈手葉の所に向かう。急がないと。
「失礼するぞ」
そういい中に入った。
ここは奈手葉の部屋。
「介斗……? 介斗なの……?」
「そうだ! 僕だ! 朝霧介斗だ!」
自分の正体を証明するために、必死に声を出した。
すると、カーテンがピシャァ! と音をたてて開いた。
そこにいたのは、僕の幼馴染みでもあり、恋人でもある。月夜奈手葉がいた。
奈手葉は僕を見た後、正確には僕の一部分を見た後、急に泣き出した。
理由は、右腕だ。
僕は右腕で振り下ろされたバットを掴んだ。その時、右腕の骨が折れたのだ。
「なんでよ……何で来たのよ! 何であの時助けに来たのよ! 介斗は何の利益があったのよ! バカ! 骨折なんかして!」
ここまで心を開いてくれるなら、僕に対人恐怖症の効果はないんだな。と思いつつ僕は静かな反論をする。
「……昔話をしよう……ある一組の恋人がいました。何処にでもいる、普通の恋人です。
彼氏はとても臆病で、彼女はとても活発でした。
ある日のこと、彼女は誘拐されてしまいました。臆病な彼氏は、彼女のために、覚悟を決めて助けに行ったのです。
彼氏は、彼女は助ける事ができました。
けれども、彼氏は彼女を庇って死んでしまったのです。
彼女は自殺しようかと思いましたが、彼氏は最後にこう言いました。
『僕の命と君の命が引き換えなら、何の不利益もないさ』
と。
彼女はそれ以来、命を大切にするようになりました」
一度話を終わらせる。
そして再び口を開く。
「臆病なやつでも、好きな人の為なら性格も覆せた。だけど、だ。ソイツに何の利益があった? 何の為に命を掛けた?」
「……何故?」
「好きな人を助けるのに、理由なんか必要ない」
- Re: いじめと反省 ( No.20 )
- 日時: 2015/10/22 21:31
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
「久しぶり……という訳でもないな」
今、僕は校門の前にたっている。
ただし、右腕にはギブスがついているが。
今日、決着がつく。
あいつを地獄に落とすまで、僕は絶対諦めない。
あいつは、僕だけでなく、奈手葉にも手を出した。なら死ねばいい。
僕の思考回路は、やっぱり壊れ狂っていた。
「月夜が精神病院に移った……」
クラスがザワザワとなる。ま、あの月夜がか、とか概ねそんな内容だろうな。と思った。
「原因となった生徒……赤坂、松野、志賀、奥村、理、来い。そして朝霧もだ」
そして、問題の話が始まった。
だが、もはや僕の勝利は確定である。理由は簡単、僕の持っているICレコーダーを提出したからだ。
それには半年前からすべてのいじめの録音がされている。もうこれは、仕組まれた盤上である。
結果。僕の勝ちだった。
僕の証言はこれ。
まず、僕はバットを振り下ろされ、バットを奪い、反撃。その後、3人が武器を持っていたので、こちらは手加減無しで行った。だが、理に抵抗したもののスタンガンを押し当てられ気絶。それ以降は知らない。
このような内容だ。勿論、嘘など当たり前だ。
だが、もう僕の勝ちは確定していた。
「お前等…!」
担任の怒りの声が、理たちを怒鳴り付ける。
これを見て、とてもいい担任の先生だと思った。生徒の為に涙を流して怒る先生なんて、ほとんどいないだろう。
そして、理はこんな事を言ってきた。
「お前がいるから! お前がいたからこうなったんだ!」
うるさい、お前の自業自得だ。と、言いたかったが、こんなのと言葉を交わすのにすら嫌気が差したので止めた。
「な、なんとか言えよ!」
「煩い、うざい」
ほら、何か言ったぞ? 満足だろ?
コンコン。とノックを鳴らす。
ここは奈手葉の病室。僕はお見舞いに来ていた。
ついでにアニメの話でもしてやろうと新しく始まったアニメの事を考えていた。
だが、いつまでもたっても病室は無反応。開けるぞー。と言っても返事が無いのでそーっと開ける。
そして僕は死ぬほどの後悔をした。
ベットの上にだらりと足が浮かんでいる。
同じく猫背を連想させる様に手をぶらりと下げている。
体制は不安定。そして頭には麻袋が掛かっている。
そして首には……一本のロープが巻き付いていて、それは天井から伸びていた。
つまり、誰かが首を吊っていた。
「…………」
僕は現実逃避のように、その頭の麻袋をとろうとする。
いや、分かっている。分かっているんだ。だけど、認めたくない。理解したくない。受け入れたくない。
そんな微かな希望を持って麻袋んはずした。
綺麗6割可愛い4割。かつて僕かそう評価した顔。
名前も、月夜という綺麗な苗字に奈手葉という名前。
何度も顔を会わせた。レンと同じくらいの付き合いで……僕の彼女。
そんな彼女は、頭から麻袋を外した僕の腕の中で、冷たくなっていた。
嘘だろ。
嘘だろ?
嘘だろ?!
嘘だと言ってくれ!
嫌だ!
分かりたくない。
理解したくない。
受け入れたくない。
認めたくない。
彼女が、あの彼女が、月夜奈手葉が。
死んでいるなんて。
嘘だ。嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
ぼkuは、そのbで、きztruしthiしkwor失tttea。
- Re: いじめと反省 ( No.21 )
- 日時: 2015/10/26 07:03
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
僕が目を覚ましたのは、白い天井でもなければ青い空でもない、ただ、変な色のぼんやりとした色の空だった。
ここは何処だろう……?
僕は周囲を見渡す。辺りはずっと地平線と変な色の空ばかり。だが、その中にひとつの影があった。
あれって……。
近づいて、正体が分かった。
「おーい! 奈手葉!」
そう、月夜奈手葉。僕の幼馴染みで、……あれ? 何かさっきまでの記憶が無いけどどうしたんだ? なんだっけ……。
『…ザ…ザザザ…月yナてihaわ死nnbダ…hあzzゥneaンだgar…ザザ……』
……?!
僕の耳に変なノイズの様な物が入ってきた。何だろう。かすれていてよく聞こえない。
……ま、いいか。
「なぁ。ここは何処なんだ?」
僕の質問に奈手葉は答えなかった。
ただ、ずっと黙っている。
「奈手葉?」
僕が顔を覗き込むと奈手葉は僕の顔面めがけてヘッドバットを繰り出してきた。
要約、頭突きである。
「い、いってーな!」
僕が奈手葉に言っても奈手葉は無言でこちらを見ている。
そして唐突に
「覚えて、無いの?」
は?
「何をだよ」
「私に起こった事」
は? 何を言ってーー。
その時、急な頭痛が僕を襲った。
流れ込んでくる。大量の情報。
そして、その情報にはこんな物があった。
僕の腕の中で冷たくなった映像が目に映る。
『…ザ……月ヨナテherは死nnだハずda……』
また、あの不快なノイズが僕の頭を駆け巡る。そして、それは徐々に鮮明になっていく、
。
『月夜奈手葉は…死んだはずだ……』
……そうだったな……。
奈手葉は……死んだ。
「死んじゃった私がどうこう言うのもなんだけどね、介斗」
「なんだよ……」
頭では分かってる。どうせこいつは僕の脳内が作り出した幻影なんだ。
だけど、僕は聞かずにはいられなかった。
「多分介斗は、必死に自分を責めるわ。何でもっと早くに行かなかったんだ、とか、もっと側に居てやれば良かった、とか。だから言うけどさ……。
……これは、貴方の為でもあり、私の為でもある。この事を忘れないで」
……そうかよ。
じゃあ……僕はどうすればいい?
このモヤモヤとした感覚をどう処理すればいいんだよ?
何て事を考えていると、視界が黒に染まり始める。
言葉を出そうとしても、できない。
動かそうとしても、動かない。
何もできない無力感とともに、僕は意識を失った。
再び、暗転。
- Re: いじめと反省 ( No.22 )
- 日時: 2015/10/27 23:21
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
今度は目が覚めた時に真っ先に視界に入ったのは白い天井だった。
上体を起こして周りを見渡すがどこも病院である。
「夢か……」
全く、なんて夢を見させるんだ僕は。って僕に言っても意味はないか。
……で、何であいつは自殺したんだ。
……五分程度たっただろうか。
僕は恐ろしい仮説をたてた。
そしてそれが一番確率が高かった。
僕の推理はこう。
まず奈手葉は僕にこう言った。何で助けにきたんだ。と。
あの時に僕は好きな人を助けるのに理由なんていらない。と言った。
これが駄目だった。
奈手葉はこう考えた。自分がいればまた介斗が傷付くと。
そして奈手葉は精神的なショックを受けていたから自殺を考えていた。そして僕の為の動機も合わさって自殺をした。動機は一つじゃ決心はつかないが、二つ以上あれば決心できる可能性がみえる。
……何だよ。
結局、奈手葉を殺したのは。
「僕なのかよ……」
そう言えば夢の奈手葉はこう言っていた。これは私の為でもあり介斗のためでもある。と。
筋が通った。話も通じる。もうこれが真相と見て間違いないだろう。
結局、僕は誰一人、愛していた彼女すら助ける事はできなかった。
彼女がいなくなって、僕は心にぽっかりと穴が空いた気分だった。
「介斗?」
「ああ、悪い」
レンから話しかけられている事も気付けないほどに。
「ジャンバー貸してくれ」
こいつ。怪我人から着物を搾取しやがった。
「お、ありがと」
まぁ断る理由も無いのでさっさと渡したが。
そし僕は再び後悔をした。
- Re: いじめと反省 ( No.23 )
- 日時: 2015/11/01 17:01
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
これは、突然の出来事だった。
僕とレンが家に帰っている途中の事だった。
僕らが少し重い空気の中帰っていると、急にハハハハハハハと笑い声が聞こえた。その波長はとても狂っている様だった。
僕とレンが不審に思ったが放っておく事にした。僕たちには関係無いのだから。
しかし、笑い声はいつまでも消えない。それどころか近くなっている。
そして、この声は聞き覚えのある声だった。
僕がそんなことを考えていると、笑い声はかなり近くに来ていた。
僕とレンが振り替えると、よく分からない物を持った……人と呼んでいいのかすら疑わしい、ただひたすらにひび割れた音色を響かせる壊れた人ラジオがいた。
「ハハハハ。殺しせやろ……はは!」
何か急に笑い声を大きくしたと思えば、次はこっちに走ってきた。
僕たちは棒立ちのまま、そこにいた。そして、そいつの顔が分かった。
何でだよ。
もう、僕に関わるな。
もううんざりなんだよ。理。
そして、理はその手に持った何かを持ってこう叫んでいた。
「朝霧こ殺しつやりよ!」
どうやら言葉が分からないほど狂ったらしい。それはそうだ。あのレコーダーはマスコミにも交換条件で渡したのだから。
そして、理は走り出して、レンに追突した。
そう、僕ではなくレンにだ。
そして予想外の事が起きる。
レンが、液体を撒き散らしながら倒れたのだ。
理はレンの体から何かをひっこぬく動作をする。
ひっこぬかれたそれは電灯に照らされて僕の目にはっきり映った。
血のついた。サバイバルナイフだった。
「ぎゃはははは! 死ね! 死ね! 朝霧死ね!」
ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ! ドシュ! と何度も何度もサバイバルナイフをレンの体に突き刺す。
「止めろぉぉぉ!」
理の頭を蹴り、レンから引き離し、レンに駆け寄る。
「大丈夫か!」
大丈夫じゃない。そんなことは分かってるんだ。
ただ、僕は、レンから大丈夫って聞きたいだけなんだ! だから、そう返事してくれ!
レンは僕の顔を見て少し笑い、その笑い顔のままカクンと首が倒れた。
「レン! しっかりしろ! レン!」
いくら話しかけても、いくら肩を揺さぶっても、レンは応答してくれない。
「あっははは!」
「お前っ! 死ね!」
僕は理の頭を鷲掴みにし、何度も何度も理がレンにやったように電柱に顔面を打ち付ける。
ゴン! ゴン! ゴン! ガン! ゴン! ガン! ゴン! ゴン! ガン! ゴン! ゴン! ゴン!
悲鳴なんて出させない。
命乞いをするなんて許さない。
生きているなんて認めない。
死ね。
死ね。死ね。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。
そして、何度赤黒い液体が散ったか知らない。数えてもいない。
気づけば理は、もう理と言うなの顔は、既に無くなっていた。俺の鷲掴みにしているのは、只の赤い壊れた人間の形をしたもの。つまり人形【屍】だ。
何度も頭を打ち付けた電柱は、赤色や紅色や赤黒色で染色されていた。
もう知らない。
……俺はコイツに反省して欲しかったんだ。
そして、半年に及ぶ争いが、幕を閉じた。
あいつは自分の命と仲間と家族を失った。
僕は、彼女と親友と自分自身を失った。
……結局。僕もあいつも何がしたかったんだろうな……。
僕の考えは、パトカーや救急車の歌うBGMによってかきけされた。
中学生編fin
はい、どうも波坂です。
初投稿ながらも一応終わらせる事ができました。
この小説はここで一旦更新を停止させて頂きます。
『複雑・ファジー』で投稿している小説が落ち着きましたら再び書かせて頂こうと考えています。
次は恐らく過去編か高校生編になると思います。
それでは次の更新まで。