社会問題小説・評論板
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- 愚かな女王様の制裁
- 日時: 2016/01/10 11:14
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
「山ノ内...咲良?」香月涼の声が、教室にこだました。
私、京極絵梨は咲良に近づく。咲良は悲鳴を上げる。
ーーーーー見て見ぬふりをする担任、いじめる仲間達。
誰も私に逆らう者はいない。逆らえば何をされるか...分かっているのだから。
私は気に入らない者が死のうが苦しもうが関係無い。
私がいじめて死んでいった人間はいないが。
「死にたくない」そう思っていても殺されるのだ。私はただ見ているだけ。愚かな少女達は殺されないために
人を殺す。
自分のために。
1・『そして、事件は幕を開ける。』>>1
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- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.27 )
- 日時: 2016/01/05 19:14
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
ー失敗しちゃダメよ。
あたしがそう思えばそう思うほど、できなくなるの、あたし、知ってたでしょ?
だって、こんなに失敗しちゃったんだもの。こんなヤツ、誰が受け入れてくれるっていうの。
「た...立...立川......真美.....立川真美です........よ...宜しく...お願い致し......ま...す..........」
「もうちょっとはっきり言ってよねー」
酷い言われよう。もういじめられるの確定ね。耐えなきゃいけないんだろうけど、バイトで借金を返し終わるまで
耐えなきゃいけない。
あたしの家はもともと、まあまあ裕福なはずよ。だって、町一番の大きな、立派なマンションに住んでいるんだから。
あたしはひとりじゃなかった。みんなはばらばらに行動していたから、みんなひとりぼっちだったの。
ひとりぼっちで本を読んで過ごす。トイレに行く。そんな平凡な事だけしていて、お喋りなんか誰もしていなかった。
ひとりで休み時間を過ごし、ひとりでお弁当を食べて、それで終わり。
部活の人が多いから、あたしになんか誰も構わないんだろうな。そう安心して帰ったけど...
「真美さん一緒に帰らない?」
「...あ、ごめん...ごめんなさい。バイトがあるから...すみませんっ」
「つまんないヤツ」
誰かが呟いたのをあたしは知っている。聞こえてしまったんだから。
やっぱりいじめ...ここでもされるんだろうな。辛い。お弁当ひっくり返されたり、今までされたことを。
痛くないのならいいけど。精神的苦痛だけならいい。だって、疑われないし。いじめられてるって。
あたしは家に帰ったあと、誰もいない大きな、大きな部屋を見て泣いた。
バイトに行かなきゃ。そう思ってもなかなか行けず、遅刻したけど怒られなかった。あたしはそこそこお金持ちだから。
よかったーーーーーそう思いながら、バイトを終えた。
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.28 )
- 日時: 2016/01/06 12:22
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
これは、今日の話...
「真美ー、早くバイト行かないと、給料貰えないわよー」
「真美さっさと行け!」
そういうお母さんたちはどう?あたしが働いているのをいいことに、カーペットにごろごろして、寝てばっかりじゃない。
高校は義務教育じゃない。行かなくてもいいと思う。お母さんたちもそれは流石に知っているでしょう、大人だもん。
お母さんたちは、あたしを苦しめている。分かる。だってそうじゃん、お母さんたちは高校に行ってないんだもの。
「だって行きたい高校がなかったんだもん」
お婆さんは資産家だったでしょう。お母さんに引っ越しをして、高校に行くのを勧めてたでしょ。拒絶したのはお母さんでしょ。行きたいんだったら引っ越しなさいよ。あたしは本当にもう少し、裕福だったらな...と思った。ワンランク上のお嬢様学校はいじめなんてなかったもん。
怒られなくて、給料もちゃんと貰えたからあたしはご機嫌だったけど。
これは、今日にとっての明日の話...
「真美さぁん?ちょっといいかしら?」
「涼様が待ってるのよ?あんただってわかるんでしょう?いじめがあるの」
「女王様相手に遅刻なんて、最悪だからね。運が悪ければ殺されてしまうかもしれないのよ?」
「い...嫌ですっ。行きたくありません...」
「奴隷に何かを決める権利なんかないのよ?ほらさっさと来て」
「嫌です」
あたしは完全無視を決め込むことにした。すると後ろから...
「奴隷はさっさと体育館に行け!」
と、蹴飛ばされた。痛い。なんだこの痛みは。最悪だ、今までの学校の中で最悪だ...。
「遅いわよ?真美さん。咲良はちゃんと来たわ。でもあなたたちにも非があると思うわよ?結実、優花」
「申し訳御座いませんでした。こいつが嫌だとか言って、ねえ?」
「えぇ。嫌です、行きたくありません、ってねぇ。酷いわ、本当」
「...そ...そんな事言ってません!証拠でもあるんですか!」
あたしはあえて強がることにした。それなら、標的をその咲良とか言う人に押し留めることが出来るんだもん。
でもそんな事は出来ない。所詮、こんな奴が考える作戦だもんね。
「あぁら、証拠ならありますわよ?だって...ほら」
優花が何かをポケットから取り出す。それは小さな録音機。
『「真美さぁん?ちょっといいかしら?」
「涼様が待ってるのよ?あんただってわかるんでしょう?いじめがあるの」
「女王様相手に遅刻なんて、最悪だからね。運が悪ければ、殺されてしまうかもしれないのよ?」
『い...嫌ですっ。行きたくありません...』
「奴隷に何かを決める権利なんかないのよ?ほらさっさと来て」
『嫌です』
ピッ
「こんな事を言うなんて...最低!」
「じゃあ...咲良さん?決めてもらうけどぉ」
「真美さんが標的になればあなたは死なずに済むのよ」
「わかりました。真美に標的を変更して下さい涼様、お願い致します」
...驚いた。同級生に土下座をするなんて。...いとも、簡単に。
「じゃ、あ、標的は真美さんに変更ね。立川真美。よろしくー」
「はい、涼様」
地獄のはじまり。
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.29 )
- 日時: 2016/01/07 10:01
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
視点 真美&結実
「た...す..助...けて、....誰か............」
「誰も助けてくれやしないし、あんたなんかが死んだところで私たちは困らないもの。ねぇ」
「そうね...って優花ちゃんは部活じゃあない?怒られるわよ。もう三十分間遅れてるわよ」
「っえ、嘘々!まぁ、女王様の代わりに制裁しといたって言えばまだギリ間に合うよね。行ってくるー」
「いってらっしゃーい」
「そうそう、三年がインフルエンザで学級閉鎖になったのもさぁ、涼様がインフルエンザで七日間も休むことになったのもあんたのせいよね。おまけに優花ちゃんまで遅らせて。最悪ー。ていうかあんたが死んだとしても別にバレないって。あんたの保護者?っていうかいじめあるの知ってるでしょ?女王様がブロックかけてるんだから。で、昨日あんたがバイト?かなんかであたしたちと一緒に帰んの断ったでしょ?やな奴ー。サイテーだしぃ、アレがなければ奴隷になんかならずに済んだかも知れなかったんだよ?
馬鹿だねー」
「..................」
立川真美の首がカクリと折れる。いつもの事だ。でもいつもと違う。
真美は冷たかった。
死んで...いる?
「まぁ、死んだところでバレやしないわよね...」
私は地面に穴を掘った。絶対にバレない裏庭に。そして、真美の遺体を埋める。これは、多分咲良が作り上げた時間稼ぎ。
こんなヤツは、ただのアイテムに過ぎない。なら殺した方がいい。
最終的には、私も殺されるのだろうけれど。
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.30 )
- 日時: 2016/01/07 13:20
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
「女王様は、部下を殺したくなんかないのよっ!それで遅刻するだなんて、有り得ないわよ!」
「はい」
「あのね結実、真理香が言ったと思うけど、私は部下を殺したくないわけ。知っているでしょう?」
「はい」
「それでも私が殺してあげるって言ってんだから早く来なさいよね結実!」
「はい」
「女王様に無断で奴隷を殺すなんて許せないわ。真理香、殺して」
「はい。包丁ですか?縄ですか?毒ですか?」
「真理香、それくらい分かるでしょ。縄じゃバレるじゃない。毒じゃすぐ死ねないわ」
「はい。包丁ですね。はい。皆様も手伝ってください!結実を連れてきて!」
「はい!真理香、包丁!」
「じゃあいくわよ」
グサッ
結実は聖者のように、何も言わずに死んでいった。その様子を見届けてから、私は言う。
「死んだようね。じゃあ裏庭に運びなさい。えぇと、一年はもう一人殺して。二年は穴を掘って埋めて。
それ以外の人間は手伝いをして。咲良、あんたもよ。そして優花、あんたも殺されるんだから覚悟しときなさいよね」
「優花連れてきた?よし、じゃあ...」
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんで...なんで私も...嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
グサッ
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「死んだみたい。じゃあみんな、裏庭に運んで捨ててー」
「はぁーい」
殺すって気持ち悪い言葉。でも実際に殺すのは実に面白いものね。私は、人を殺さなければ生きていけなくなったのかしら。
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.31 )
- 日時: 2016/01/08 21:11
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!嫌だぁぁぁぁ...」
「真理香これで何人目?」
「はい、今日は九人目です。先週は七人、先々週は六人。合計二十二名です。まだ今日も殺しますか?」
「人数的にはアレだけど...あと一人殺すわ」
「はい、女王様。早速探して参ります」
真理香は笑顔で走り去っていく。そして片っ端からアンケートをとっていった。
「奴隷 アンケート
あなたの周りに、奴隷に相応しいと思う人間はいますか?
例・挨拶をしない。
死ね・殺す・ウザい 等の暴言を吐く 等」
というものだ。
「女王様ー、連れてきましたー」
「私....暴言なんて.....吐いてない......のに.....許し....お許し下さい.....................」
「許すわけない。ほらさっさと向こうへ行ってくれるかしら?真理香が殺してくれるわ...
あ、真理香。毒殺はどうかしら」
「毒殺!?毒殺ですか!?毒殺は流石に無理があるのでは...」
「ドシン!!」
私は手を椅子に叩きつける。凄い音がして、いつも怯えたりしない真理香が
目を見開いて肩を竦め、土下座の体勢になる。
「ひぃ!女王様!大変失礼を致しました!もし御立腹でしたらお詫び申し上げる所存でございます!いやいやいや
すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません
申し訳ございませんでした!!」
「余計な事はしなくていいの!ほらさっさと殺す!」
「はい...青酸カリでいいんですよね、ほらこれ飲みなさいよ!」
「げほ...っ........嫌だ...嫌だ......私死にたく....な..いっ..げほっげほっげほっ.....」
「はーい今日はこれにて終了。あ、真理香たち、死体を埋めておいてね」
「あの、もう裏庭は死体でいっぱいになっちゃってるんです。もう無...」
「あっそう。じゃ、そこら辺に捨てておいて」
「はい女王様」
「あ、先生。死体処理のとき、どこに埋めればいいですか?」
「校庭でいいですよ」
「やだぁじゃあ体育の時死体の上でやれって言うの?じゃあ裏庭に置いておいていいかしら」
「は、はい!」
私たちの中で殺しは日常化している。火曜日には人を殺すという残酷なゲームが待っている。
もう、制裁なんかじゃなくなっていた。
咲良は、体育館の隅で体を縮めていた。

