社会問題小説・評論板
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- 愚かな女王様の制裁
- 日時: 2016/01/10 11:14
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
「山ノ内...咲良?」香月涼の声が、教室にこだました。
私、京極絵梨は咲良に近づく。咲良は悲鳴を上げる。
ーーーーー見て見ぬふりをする担任、いじめる仲間達。
誰も私に逆らう者はいない。逆らえば何をされるか...分かっているのだから。
私は気に入らない者が死のうが苦しもうが関係無い。
私がいじめて死んでいった人間はいないが。
「死にたくない」そう思っていても殺されるのだ。私はただ見ているだけ。愚かな少女達は殺されないために
人を殺す。
自分のために。
1・『そして、事件は幕を開ける。』>>1
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- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.17 )
- 日時: 2015/12/22 18:50
- 名前: 雪 (ID: knWr5sbP)
「絵梨様、は?」「わかんなーい」「どうしたんだろうね、絵梨様。」「二時間目になっても来ないだなんて」
正直私もわけがわからない。普通なら絵梨は一、二を争う程に早く学校に来る。遅くても三、四番目。
二時間も遅れてきたことだなんて、一回だってなかった。
担任は、こんな日に限って、まだ一度もしたことが無い休み。こんな時期に珍しく、インフルエンザだそうだ。
私たちは一年一組の担任から命じられ、自習だった。だがみんな、好き勝手なことをしている。喋ろうがうるさか
ろうが、どうでもいいようだ。みんな絵梨のことについて喋っていて、勝手な想像を繰り広げていた。
「病院にでも行ってるんじゃないの?」
「いやー、それだったら先生が言うでしょー。遅刻だと思うよ?お嬢様だろうが、進学校に通ってようが
遅刻くらいはするわよ」
「そんなわけないでしょ?だって絵梨様はこの学校の女王様。遅刻なんかするわけないじゃん、ねー由佳ちゃん」
「私もそう思う。」
「遅刻だと思うのは、紗奈がよく遅刻するからじゃない?絵梨様だから許してくれるけど」
「あはははっ」
それより。
ノートに走り書きされたあの文面はなんだ。
私は絵梨のことなんか眼中にないんだもの。だって絵梨は弱い。
私は少しずつ、壊れていっているのかもしれない。
もしかすると、涼に壊されたのかもしれない。
心を。
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.18 )
- 日時: 2015/12/23 15:18
- 名前: 雪 (ID: knWr5sbP)
「先生ー、京極さんどうしたんですかー?まだ来ないんですけどー、遅刻とかですかぁー?」
そう言って、青ざめた表情で廊下を行き来する教師を呼び止めたのは、涼と同じくらいに絵梨に近づいていた、ある少女。大きな目と、長いストレートヘアが特徴的だった。
ああ、と言って振り返る男性教師は、かなり慌てている様子で、焦ってでもいるようだった。
「静かにしろ。
...........................京極絵梨は、転校した」
「嘘でしょ...」「絵梨様...まさか逃げたの?いじめから...」
「うるさい。なので、今から新たな女王を任命する。
香月涼、お前だ」
涼は、それを分かりきっていることのように、笑顔で受け入れた。「はぁい、わかりましたぁ」
と、気持ちの悪い笑顔を浮かべるばかりだった。
皆の目が私に向けられる。
だがそれも、当然のこと。私は泣いたり怯えたりを全くせずに、立っていた。
だってそれは当たり前。報いは当然受けるもの、しょうがないことだったんだから。
いじめなんて、痛いのなんて、もう平気。
『だって私は、痛めつけていたんでしょう?』
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.19 )
- 日時: 2015/12/24 18:35
- 名前: 雪 (ID: knWr5sbP)
「みんな集まったかしら」涼の冷えた声に私は怯えていた。痛みから逃れられる日なのに。
玩具にとっては、これほど待ち遠しい日はないというくらい、待ち遠しい日。
私には悪い予感しかしない。私の悪い予感は、いつもいつも当たる。
「咲良の悪い予感ってー、いっつも当たるよねー。」
こんなにも軽く私を貶すような感じで。
「はい、それはもう勿論。みんな集まりました。早く次の玩具を発表してくださいよー。
みーんな、待ってるんですよー?」
「優花、急かさないでよね。では...、玩具を発表します」
シーンと、静まり返る教室。キーンキーン、と高い何かの音が耳に突き刺さり、痛かった。
椅子に座って、足を投げ出す涼。
みんなの視線が涼と、私に痛いほど集まる。私は肩を縮め、不自然でないようにぼさぼさの長い髪で目を隠す。涼は緊張ひとつしないのだろうか。
涼が焦らすと、みんないらいらしていた。床を踏みしめたり、壁を拳でドンドン叩いたり。
「ではぁ...発表します」
みんなの緊張が最大値に来ている。わたしの緊張感も高まった。
「七月の玩具は、変えないことにしたのよ」
「嘘...涼様...まさか...まさか、
咲良を殺す気?」
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.20 )
- 日時: 2015/12/25 14:00
- 名前: 雪 (ID: knWr5sbP)
遠い果てに逃げた絵梨。
罪の重さは、誰よりも重いんだから。
咲良のノートに殴り書きがしてあった。
「:先生
私は、先生のために働き続けたわ。嫌な仕事もね。特にいじめは、やりたくなかったです。
どうして私たちにやらせるんですか?咲良が憎いなら自分でやればいいじゃないですか。
嫌がる子供にやらせて、紅い血と泣き叫ぶ声を聞いて笑っているなんて卑怯じゃないですか。
自分で言えばいい。あんたが大っ嫌いって。直しなさい、改善しなさいって、言えばいい。
そうじゃないですか。
やらせていたのは私よ。私がいなければーーーーーーーーーーーーーー
そうではない。私がやらなければよかったんだみたいなこと言ってる先生が信じられません。
私がやらなければ違う人がやったはずです。ただただそれの繰り返しだもの。
「先生、私いじめなんてやりたくありません。」
女王様がいうと、
「そうですか。じゃあ次の人がやってください」
先生はそういう。
「先生、私いじめなんてやりたくありません。」
女王様がいうと、
「そうですか。じゃあ次の人がやってください」
先生はそういう。
「先生、私いじめなんてやりたくありません。」
女王様がいうと、
「そうですか。じゃあ次の人がやってください」
.................................これの繰り返しじゃないですか。だから私は転校したんですよ?
そんなのも分からないなんて、馬鹿ですか?やりたいのはほんのひと握り、それかそれ以下です。
人間は多数決ですよね。先生はそう言っていましたよ?
多数派に従うべきじゃないんですか?先生と生徒、圧倒的に有利なのは先生です。
当たり前です。でも生徒がついてこなければ、それは破棄です。
馬鹿らしい儀式につきあっていられないんです。私は死にます。」
- Re: 愚かな女王様の制裁 ( No.21 )
- 日時: 2015/12/26 18:04
- 名前: 雪 (ID: dP9cSz6y)
「:みんな
私は、正直言ってみんなにも嫌気がさしていました。だって優花も、私の心から信頼してた友だちも、途中から
いじめを楽しみ始めたよね。こういうのを言うって、ホントの友だちじゃないよね。
でもいいよ。もう、私ってあんた達の友だちじゃないもの。いじめなんて止めてくれると思ってたよ?
でも別に止めてなんかくれなかったよね。ずっと思ってた。やめてって。
でも...いじめはなくなるどころか、どんどん悪化していった。
私だって悪いよ。止めなかったんだもん。でも罪はあんた達の方が重いと思うよ?
だってそうでしょう。
私は包丁を鞄に隠して、走ってきたわ。...そうよ、D海岸に。
ここは恐ろしさのあまり誰も自殺したことがない、高い高い海岸。自殺願望者でさえも。
『私がここに来たのは、自殺したいからじゃない。命を捨てたいからじゃない。
私に残された、たった一つ、一つだけの望みだから。
学校のいじめを、なくしてください。』
じゃあねーーーーーー。」
「このような内容の手紙と、京極絵梨さんの遺体が、D海岸から発見されました。
京極さんは飛び降りたそうです。日本一の高さを誇るD海岸で自殺者が出たのは初めてです」

