BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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ダレンとクレプスリーがラブラブだったりそうじゃなかったり
日時: 2014/02/12 17:17
名前: キレウサギ (ID: IzBKD/r0)

探したけどダレンシャンの小説ってないんだね・・・。
というわけで私が第一号になります。(単なる自己満)
駄文です。

もし・・・もしもだけど・・・、「こんな話書いて」ってリクエストあれば・・・。

そばにいてほしくて ( No.1 )
日時: 2014/04/11 16:15
名前: キレウサギ (ID: 27fKn1TU)

「寂しいなんてもんじゃない・・・」


——そばにいてほしくて————


 今日のショーも大成功だった。僕とクレプスリーのショーもお客さんを満足させれたみたいだ。
「ダレン、今晩中に出来るだけ荷物まとめとけよ」
「うん」
ハンスに言われ、そう返事する。シルク・ド・フリークのこの町での公演は今日が最後。明日の朝には次の町に出発する。
「きれいな所だったな・・・」
海沿いにある小さな港町。よく昼の買出しの時なんか寄り道して波打ち際で遊んだりした。すごくきれいな青い海。いくつかの場所に行ったが、中でも一際きれいな所があった。そこは海水浴場として開放されていないからか、砂浜もきれいだった。
「そうだ!」
僕は自分のテントまで戻ると大急ぎで荷物をまとめ、テントを飛び出した。

####

「うわぁ・・・やっぱりきれいだ。」
僕は、あの海に来ていた。海も砂浜もすごくきれいな場所。今は月に照らされて昼間よりもきれいだった。
「最後にもう一度来たかったんだよね」
僕は上の服を脱いで海に飛び込んだ。
「ぷはぁ!」
久々に思い切り泳いだ。何も考えずに、ただただ魚のように。泳ぎ疲れた僕は砂浜に寝そべり、波の音を聞きながら月を眺めていた。
「・・・・・・」
こうして静かに寝そべっていると、色んなことを思い出す。家族のこと、友達のこと、バンパイアになる前のこと、なった後のこと・・・。
「・・・・・・」
波の音だけが静かに響いていた。まるで世界中に僕一人だけになったようだ。何も聞こえない、暗く静かな闇。
「・・・嫌だ」
とたんに心細くなってきた。一人は嫌だ、早くシルク・ド・フリークに戻らないと・・・!
でも、体が動かなかった。心は戻りたがっているのに頭はまだこの場所にいたいとわめく。頭と心は一緒だと思っていたが、どうやら別物のようだ。
「こんなところで何をしておるのだ?」
「!」
欲求と感情の板ばさみになって泣き出しそうになった時、上から聞きなれた声が降ってきた。
「クレプスリー・・・」
「エブラがびっくりしておったぞ。ダレンがテントを飛び出していったと・・・」
「クレプズリー!」
僕はクレプスリーの言葉を最後まで聞かず、飛び起きて抱きついた。
「ダレン!?」一体どうした?」
クレプスリーが驚いて声を上げる。僕は答えずに、ただクレプスリーを強く抱きしめた。鼻がツンとしてのどが痛い。目が熱くなってくる。
「クレプスリー、クレプスリー・・・うっ・・・」
僕は泣いていた。なぜだか分からないけど、涙が止まらなかった。クレプスリーを見た時、迷子の子が帰り道を見つけた時のような安堵感が駆け巡った。
「おいダレン・・・!ちょっ・・・!」
僕が背伸びをするように足に力を入れると、クレプスリーはバランスを崩して倒れてしまった。二人とも砂まみれだ。僕はなおもクレプスリーの胸で泣き続ける
「グレブズリー・・・!」
「分かった、分かったから。泣きやまんか」
クレプスリーが呆れたような声で笑い、僕の頭をぽんぽんとたたく。僕はクレプスリーの胸から顔を上げた。
「まったく・・・幼児戻りかシャン君?」
「うっ・・・るさい・・・!違う・・・!」
そう答えたが、泣きながらでは説得力もくそもない。クレプスリー馬鹿にしたように笑い、僕の涙を指でぬぐう。
「一体何があったんだ?」
「別に・・・何もない。」
「何もないことはないだろう。話してみろ。」
「本当になんでもないんだ。自分でも、分かんないだよ。」
クレプスリーのひざの上に乗ったままそうまくしたてる。本当に訳が分からない。急に心細くなって、クレプスリーを見たら途端に安心して涙が止まらない。一体僕はどうしたんだろう。
「本当に・・・もう自分が分かんない・・・。」
一度は止まりかけていた涙が、また溢れてきた。
「ダレン・・・。」
クレプスリーはもう笑っていなかった。切なそうに僕を見つめてくる。するとクレプスリーは僕を抱きかかえて立ち上がり、そのまま静かに波打ち際を歩き始めた。僕は黙ったままクレプスリーの首にしがみつく。
 しばらく二人とも黙ったままだった。クレプスリーが砂を踏む音と、波が引いては押し寄せる音しか聞こえない。あと、クレプスリーの首筋からかすかに聞こえてくる、心臓の音。よく赤ん坊に心臓の音を聞かせるといいなんて言うけど、赤ん坊じゃない僕もこの音は好きだった。とても、安心する。
「クレプスリー・・・。」
「なんだ?」
僕が名前を呼ぶとクレプスリーは立ち止まった。
「・・・どうした?」
「別にどうもしない・・・。呼んでみただけ。」
「なんだ、それは。」
クレプスリーが少し笑う。僕も笑い返した。ぎこちない会話。でも、何だか楽しくなってきた。
「クレプスリーの体って少し冷たいよね。」
「そうか?」
「うん。初めて会ったときもそう思ったんだ。」
「初めて会った時?」
「手、つないだじゃん。」
「ああ・・・。」
「でも、クレプスリーは冷たくないよね。」
「はっ?」
僕はクレプスリーの首から離れて、クレプスリーの顔を見た。バンパイアの目のおかげか、明るい月明かりのおかげか分からないが、よく見えた。
「最初は僕がクレプスリーの事恨んでたの知ってるでしょ?」
「恨むというより憎んでおったな。」
クレプスリーはからかうようにそう言った。
「かもね。でもさ、ほら、僕とクレプスリーがケンカしたことあるでしょ。」
「お前がまだ人の血を飲むのを嫌がっていたときのことか。」
「そうそれ。その後仲直りできたけどさ、その時僕気づいたんだ。クレプスリーって不器用なだけなんだなって。」
「何を言うか小僧が。」
僕らは二人して笑う。
「クレプスリーのせいだからね。」
「なにがだ?」
僕はもう一度クレプスリーの首に抱きついた。これならクレプスリーの顔が見えないが、僕の顔も見えない。
「クレプスリーの弟子になって・・・4年たったよね。」
「・・・そうだな、それくらいたつか。」
「僕が血を飲めなくて弱ってる時も、サムが死んだ時も、マーロックにエブラがさらわれた時も・・・、ずっと一緒にいてくれたよね。」
「そうだな・・・。」
僕から人間の生活を奪ったクレプスリー。僕の全てを壊したクレプスリー。そして、新しいものをくれたクレプスリー。
「僕・・・クレプスリーのせいで、一人きりになるのが怖くなっちゃったんだからね。」
暗闇の中で急に心細くなったのは、きっと寂しくなったんだ。一人になる恐怖に耐えられなくなっているんだ。だから、クレプスリーが来てくれた時、あんなに安心したんだ。
「・・・バンパイアは闇に一人で生きる生き物だぞ?」
「知ってるよ。けど、こればっかりはどうしようもないだろ。あんたが僕を突き放してくれてたらこうはならなかったかもね。」
「なら今からでも突き放してやろうか?」
「今更それは、いくらなんでも無責任じゃない?」
クレプスリーが砂浜に座ったから、僕はクレプスリーのひざの上に座る形になった。
「クレプスリー・・・。今はもう・・・嫌いじゃないよ。」
「ああ・・・。」
波の音と合わさって、クレプスリーの鼓動が聞こえる。クレプスリーにも、僕の鼓動は聞こえているのだろうか?
「だから、せめて僕が一人前のバンパイアニなるまではいなくなったりしちゃだめだよ。」
「当たり前だ。お前には教えねばならぬことがまだまだたくさんある。お前が立派なバンパイアになった後もしっかり監視するからな。」
「何言ってるんだよ。」
僕は再び顔を上げてクレプスリーを見た。クレプスリーも僕を見ていた。クレプスリーは笑って、僕も笑った。楽しくて、幸せで、温かかった。
「クレプスリー、家族や友達以上に・・・好きだよ。」
「・・・なんだ、今日はやけに素直だな。」
少し目線をそらしてそう言うクレプスリー。僕が普段言わないことを言ったもんだから、照れているんだ。夜の闇と波の音が、僕を素直にさせたんだ。けど、照れてるクレプスリーを見ていたらこっちまで恥ずかしくなってきた。だから今度はクレプスリーの胸に顔をうずめた。
「やっぱり幼児戻りではないか。」
「違うもんね。」
クレプスリーは僕の頭を優しく撫でてくれた。
「好きだよ・・・。」
僕は聞こえるか聞こえないかってくらいの声で、もう一度言った。クレプスリーの耳に届いたかどうかは知らないが、僕を抱える腕に少しだけ力が入ったのが分かった。

 好きだよ。好きだよ。愛しているよ。気づかなくても、側に居てくれるだけでいいから。

僕たちはいつまでも、波の音を聞いていた。



そばにいるから ( No.2 )
日時: 2014/04/11 16:22
名前: キレウサギ (ID: g7gck1Ss)

「闇の世界に一人ぼっち・・・やっぱ寂しい?」


——そばにいるから——————


「あ、クレプスリー!」
今日のショーも無事終わり、明日の出発のために荷物をまとめているとエブラが走ってきた。
「どうした?」
乱れた息が整うのを待って、エブラに声をかける。
「いやさっきさ、ダレンが大急ぎで荷物をまとめたかと思うとあわてた様子でテントを飛び出していったんだ。クレプスリー何か理由知らない?」
「いや、知らないが・・・。」
我が輩がそう答えるとエブラは首をかしげた。
「どーしたんだろううダレンの奴・・・。」
首をひねりながら考え込むエブラのかたわらで我が輩は手早く荷物を片付ける。ダレンももう(年齢的には)子供ではない。心配しなくてもすぐ戻ってくるだろう。


####

「まったく・・・エブラの心配性め・・・。」
我が輩は今ダレンを探していた。我が輩は何の心配も要らないと思うのだが、エブラはそう思っていなかった。
(頼むよクレプスリー、ダレンを探して!)
エブラは半分涙目になりながらそう頼んできた。まぁあの悲惨な過去を思い出せば心配になるのも分かるが・・・。
あの少年・・・サムといったか。ダレンがもう一人友達が出来たと嬉しそうに話していた。最期は惨い姿になってしまっていたが・・・。
「・・・まったくダレンめ。エブラに心細い思いさせおって。」
我が輩は歩く足を少し速めた。

 10分も歩かないうちにダレンを見つけた。近くの海辺で寝転がっていた。よく見ると上半身が裸だ。泳いだのか?
我が輩は砂浜に降り、ダレンの元へ歩み寄った。
「こんなところで何をしておるのだ?」
「!」
我が輩が声をかけると、ダレンはビクッと体を震わせた。我が輩を見上げる顔は心なしか不安げだった。
「エブラがびっくりしておったぞ。ダレンがテントを飛び出していったと・・・」
「クレプスリー!」
ダレンは我が輩の言葉をさえぎり、突然飛び起きて抱きついてきた。
「ダレン!?一体どうした?」
正直驚いた。こんな風に抱きつかれたことなど今までなかったからだ。我が輩が少し呆気にとられていると、ダレンは今度は泣き出した。
「クレプスリー、クレプスリー・・・うっ・・・」
「おいダレン・・・!ちょっ・・・!」
ダレンが足に力を入れたため、我が輩はバランスを崩してダレンともども倒れてしまった。二人とも砂だらけだ。
「グレブズリー・・・!」
なおも我が輩の胸で泣き続けるダレン。ダレンが泣くのは今までに何度か見たことがあるが、明らかにいつもとは様子が違う。
「分かった、分かったから。泣きやまんか。」
我が輩がダレンの頭を優しくたたいてやると、ようやく我が輩から体を離した。
「まったく・・・幼児戻りかシャン君?」
「うっ・・・るさい・・・!違う・・・!」
我が輩がからかうとダレンは少し強気にそう言った。ダレンの頬を流れる涙を指で拭ってやった。少しだけ落ち着いてきたようだ。
「一体何があったんだ?」
我が輩はそう尋ねたが、ダレンは何でもないといった。
「何でもないことないだろう話してみろ。」
「本当になんでもないんだ。自分でも、分かんないんだよ。」
ダレンはそう言うとまた泣き出してしまった。はらはらと頬を涙が伝う。
我が輩は子供と接してきたことがあまりなかったから正直理解できない。何があったのかも分からない。だがそれでもダレンが怯えているのだけは、痛いほど分かった。
我が輩はダレンを抱きかかえ、砂浜を歩くことにした。ダレンは我が輩の首に腕を回し、すすり泣く。落ち着くまで話しかけないほうがいいだろう。
砂を踏む音と波の音だけがしばらく響いていた。少し時間がたちそろそろ戻ろうかと思い始めた時、ダレンが我が輩を呼んだ。
「なんだ?」
「・・・・・・。」
我が輩が答えてもダレンは無言だった。
「・・・どうした?」
「別にどうもしない・・・。呼んでみただけ。」
「なんだ、それは。」
まるで幼い子供のようだ。我が輩が思わず笑うと、ダレンも笑った。
「クレプスリーの体って少し冷たいよね。」
ダレンが唐突にそう言ってきた。
「そうか?」
「うん。初めて会ったときもそう思ったんだ。」
「初めて会った時?」
「手、つないだじゃん。」
「ああ・・・。」
「でも、クレプスリーは冷たくないよね。」
「はっ?」
ダレンは我が輩の首から顔を上げ、真っ直ぐ顔を見てきた。バンパイアの目のおかげか、明るい月明かりのおかげか分からないが、よく見えた。
「最初は僕がクレプスリーの子と恨んでたの知ってるでしょ?」
「恨むというより憎んでおったな。」
「かもね。でもさ、ほら、僕とクレプスリーがケンカしたことあるでしょ。」
「お前がまだ人の血を飲むのを嫌がっていたときのことか。」
「そうそれ。その後仲直りできたけどさ、その時僕気づいたんだ。クレプスリーって不器用なだけなんだなって。」
ダレンははにかみながらそう言った。
「何を言うか小僧が。」
二人して笑ってしまった。
「クレプスリーのせいだからね。」
「なにがだ?」
ダレンは我が輩の言葉には答えず、もう一度我が輩の首に抱きついてきた。
「クレプスリーの弟子になって・・・4年たったよね。」
「・・・そうだな、それくらいたつか。」
少し声のトーンを落として呟くようの語っている。
ダレンを弟子にして早4年。悪いことをしたとは、思っている。幸せな生活を正当な理由なく、奪ってしまった。なぜダレンに血を注ごうなどと思ってしまったのか、なぜ自分が抑えられなかったのか、未だに分からない。
「僕が血を飲めなくて弱ってる時も、サムが死んだ時も、マーロックにエブラがさらわれた時も・・・、ずっと一緒にいてくれたよね。」
「そうだな・・・。」
ダレンがちゃんと自分の身を守れるようになるまで守ってやるのが、側に居てやるのが我が輩なりの罪滅ぼしだった。
「僕・・・クレプスリーのせいで、一人きりになるのが怖くなっちゃったんだからね。」
ダレンが少し攻めるような口調でそう言った。だが、怒っているのではないようだ。
「・・・バンパイアは闇に一人で生きる生き物だぞ?」
「知ってるよ。けど、こればっかりはどうしようもないだろ。あんたが僕を突き放していてくれたらこうはならなかったかもね。」
「なら今からでも突き放してやろうか?」
「今更それは、いくらなんでも無責任じゃない?」
ふたりで軽く笑った後、我が輩はダレンを膝の上に座らせるようにして砂浜に座った。
「クレプスリー・・・。今はもう・・・嫌いじゃないよ。」
ダレンは我が輩の首に抱きついたままそうぽつりと呟いた。
「ああ・・・。」
ダレンにそう言ってもらえるとは思わず、少し照れくさくなってそっけない返事しか出来なかった。
波の音と、首筋に触れたダレンの手首からダレンの鼓動が伝わってきた。
「だから、せめて僕が一人前のバンパイアになるまではいなくなったりしちゃダメだよ。」
「当たり前だ。お前には教えねばならぬことがまだまだたくさんある。お前が立派なバンパイアになった後もしっかり監視するからな。」
「何言ってるんだよ。」
ダレンが顔を上げ、目が合った。笑ってやると、ダレンも笑った。
「クレプスリー、家族や友達以上に・・・好きだよ。」
我が輩の目を真っ直ぐ見たまま、ダレンはそう言った。今日は予想外のことばかり言ってくる。
「・・・なんだ、今日はやけに素直だな。」
ダレンの目を見ていられなくて目線をそらしたら、笑われてしまった。しかしダレンもすぐに下を向き、我が輩の胸に顔をうずめた。
「やっぱり幼児戻りではないか。」
「違うもんね。」
ダレンの頭を優しく撫でてやると、ダレンは安心したように体の力を抜いた。
「好きだよ・・・。」
気のせいかもしれないが、ダレンがそう言ったように聞こえた。我が輩は言葉で返す代わりにダレンのしっかりと抱きしめてやった。


波の音だけが、やけに大きく聞こえた。


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