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- 生意気な後輩に恋をする(リメイク)
- 日時: 2015/09/09 22:16
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
高校生が主役のBL作品です。
第1話 >>1>>2>>3>>4>>6
第2話 >>7>>8>>9>>10
第3話 >>11>>12>>13
第4話 >>14>>15>>16>>17>>18
第5話 >>19>>20>>21
第6話 >>24>>25
第7話 >>26>>27>>28>>29
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.22 )
- 日時: 2015/03/22 20:31
- 名前: 小玉 舞子 (ID: Hi/9PYOs)
緑色のうさぎです。
今回はついニヤリとしてコメントさせていただきました(笑)
素晴らしい展開。文章では、コンプレックスがすごい重大なんだよ!って感じが伝わってくるww
続き楽しみにしてます。
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.23 )
- 日時: 2015/03/22 21:06
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
小玉さんへ
感想ありがとうございます。そうです。彼にとってこのコンプレックスはとても重要なものですからそれが伝わってよかったです!
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.24 )
- 日時: 2015/03/23 17:55
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「これでも僕を好きっすか、先輩?」
トランクスタイプの水着姿になった清水は俺の目の前に立っている。
ビーチに降り注ぐ日差しが暑く、本当ならば一刻も早く海に飛び込みたいぐらいだが、それを彼が制止して、いきなりそんなことを訊ねたのである。水着姿の彼はいつもより色っぽかった。
俺からすれば日焼けを知らないと言ってもいいほどの白い肌。
潮風に吹かれ波打つ柔らかな茶髪(染めているわけではなく、地毛だということが最近判明した)に男らしく広い肩幅に太い首筋……それらが絶妙なバランスであるために、女とはまた違った意味での色気を感じるのだ。彼の容姿に思わず目を逸らそうとすると、彼が告げた。
「先輩、視線を逸らさないでください」
彼の言動はいつものように冷めていながらも、どこか真剣みがある。
これ以上見ていたら、呼吸が荒くなりそうで怖いが、彼が見てほしいというからには何か訳があるに違いない。そう考え直し、改めて彼の容姿を拝見する。
すると、俺はあることに気が付いた。
彼の腹の中心にある大きな凸。
それは大豆ぐらいの大きさはあると思われる綺麗な丸型の見事な出ベソだった。
「清水、お前……」
「僕は出ベソなんですよ」
そう言った彼の口調は、今にも泣き出しそうなものだった。
彼は男にしては細身であるため、その出たヘソが一層強調されおり、非常に目立つ。一瞬視線を砂浜の地面に落とした彼だったが、何を思ったのかフッと顔をあげる。その顔を見た俺は、驚きのあまり息を飲んだ。
今まで俺と接している時、ポーカーフェイスが多かった彼が、その大きな瞳から一筋の滴を流したのである。
泣いている、あの清水が。
俺に告白したときも動揺する素振りさえ見せず、冷静に対処しその時の感情を看破して指摘した彼が、体を小刻みに震わせて泣いている。
目の前の彼は1粒どころか10も20も大粒の涙を流し、彼の流したその水滴は砂地に堕ちて地面を濡らしていく。
泣いた美形の顔は美しいという言葉を以前聞いたことがあるけれど、今の彼から伝わってくるのは、俺から嫌われるのではないかという恐怖と出ベソな自分が嫌いだという自己嫌悪感、そして深い哀しみだけだった。
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.25 )
- 日時: 2015/03/24 07:57
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
どうすればいいだろう。
俺は清水に言葉をかけたいと思ったが、何と言っていいのかわからない。それに俺は出ベソではないため、心の底から彼の気持ちを理解することができないのだ。雪に触れたことがない人間が雪の冷たさや感触を分からないように、俺も彼の悲しみを共有することができないのだ。下手に言葉をかけると、かえって逆効果になるのがオチだろう。
かと言って何もしないで棒立ちになっているというのも、己の無力さを痛感するようで耐えられない。今の俺にできることがあるとすれば、たったひとつしかない。
彼の腰に手を回し、優しく抱擁した。
「清水、悔しいけど俺はお前じゃないから、どうして悲しむのか完全には理解できない」
「……」
「だけど、これだけは言える。お前が出ベソであろうとなかろうと、決して嫌ったりしない」
「……そうっすか……」
しゃっくりをあげながらも、彼は小さくそう呟き、そっと俺を抱きしめ返した。声はいつもと違って枯れていたけれど、その言葉の中にいつもの生意気さがあった。よかった。少しでも彼の心を温めることができて。そしてしばらくの間、俺と清水は抱き合って涙を流し続けた。
普段はクールに振る舞って感情を見せることが少ないけれど、彼も人間で、時には誰かに甘えたいときもある。そんなとき、俺が彼の傍にいて優しく抱きしめたら、彼は安心するだろうか。頭ひとつ分ほど違う後輩の頭を引き寄せ、柔らかくサラサラした髪を撫でながらそんなことを考えた。
けれどこのとき、少しずつ進展してしてきている俺と清水の関係に最大の危機が訪れることになるとは、俺はもちろんのこと、清水でさえも予想していなかったに違いない。
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.26 )
- 日時: 2015/03/24 10:54
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
清水は泣いたからか、自分のコンプレックスを俺に明かしたからは分からないが、しばらくするといつもの彼に戻っていた。
「先輩、折角海に来たんすから、泳ぎましょう」
「ああ……」
彼の立ち直りの速さに少々呆気に取られていたが、その言葉で海水浴に来ていたことを思い出した。俺達は浅瀬で泳いでいたが、それでも夏の暑い中に冷たい海で泳ぐのはとても気持ちがいい。ふたりで競争したり、水の掛け合いをしたりして、クタクタになるまで遊んだ。
海からあがり、着替えた後、帰路につこうとビーチを出ると、ひとりの人物が俺達の行く手を阻む。2メートル級の身長に鍛え上げられた逆三角形の逞しい体格の男で、紫のタイツを着ており(体に密着しているためその圧倒的な筋肉が透けて見える)、赤いマントを羽織っている。髪はまるで牛の角のように両サイドがハネ、そしてその瞳は百獣の王ライオンのように威厳と風格に溢れている。只者ではないことは一目見れば明らかではあるが、俺は彼との面識は一切ない。だが、相手は無言で仁王立ちになり、俺達を先へ行かせないこうとしている。一体なんの目的でこんな嫌がらせをするのだろうか。
ふと別の道はないかと考えたが、そんなものは見当たらなかった。
「あんた、ちょっとどいてくれないか?」
恐る恐る訊ねると、彼は首を振る。
「なんで、通してくれないんだよ」
若干苛だちながら問いかけると、彼は人差し指を真っ直ぐ突き出し、俺より一歩後ろにいる清水を指さした。さされた彼の方は、心なしか顔が青ざめている。
「お前、清水と知り合いなのか?」
「……そうっすよ」
代わりに答えたのは、彼ではなく清水だった。
彼はキッと鋭く睨む。だがその顔は、俺には危ないものを近づけないと目一杯棒切れを振り回している子どものように感じられた。
互いに睨みあう、大男と清水。
このふたりはどういう関係なのか。
入り込む隙がないふたりの激しい無言の睨みあいに、この中で自分だけが浮いていることを悟った。