BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【オリジナルGL】 ふたりでいること
- 日時: 2018/01/19 09:10
- 名前: はるたに (ID: /DhfUDtL)
はじめまして、はるたにと言います!
今回は オリジナルGL に挑戦します!
GLを書くのは初めてなので、至らぬ点も数多くあるかとは思いますが、生温い目で見てあげてください。
【注意】
*更新遅めの可能性有
*パクり、荒らしはご遠慮ください
*駄作お断りの方はブラウザバックをおすすめします
*誤字、脱字多いです
*完全オリジナルです
*今後、R15くらいまではあるかも…?
*コメントくださるとヘドバンしながら喜びます
【 おしらせ 】
>>19
【 Characters 】
>>2
【 Episodes 】
*Episode 0 >>1 *Episode 1 >>3
*Episode 2 >>4 *Episode 3 >>5
*Episode 4 >>6 *Episode 5 >>7
*Episode 6 >>8 *Episode 7 >>9
*Episode 8 >>10 *Episode 9 >>11
*Episode 10 >>12 *Episode 11 >>13
*Episode 12 >>14 *Episode 13 >>17
*Episode 14 >>18 *Episode 15 >>20
*Episode 16 >>21 *Episode 17 >>22
*Episode 18 >>23 *Episode 19 >>24
*Episode 20 >>26 *Episode 21 >>27【New!!】
- ふたりでいること 【Episode 7】 ( No.9 )
- 日時: 2016/08/25 06:56
- 名前: はるたに (ID: DSoXLpvQ)
【Episode 7】
「へっ!?」
「はあっ!?」
遠足の後。
部活動への本入部を済ませ、部員どうしの顔合わせの日。
そこにいたのは、遠足で一緒にサーターアンダギーを食べた少女——唯だった。
まるで漫画みたいで、信じられないことだったが、目の前で怒っていることはすべて現実。
目が飛び出してしまいそうなほど、なつきと唯は目を見開き、じっと見つめ合った。
「あっ、あの、あなたって……」
先に口を開いたのは、目をきらきらと輝かせる唯だった。
くちびるは徐々に弧を描いて、やがて。
「サーターアンダギーの神さま、だよね!」
(…………は???)
色白な頬を赤くさせながら、まるで芸能人にでも会ったような調子で、彼女はこちらに歩み寄る。
「あの、そうだよね? 遠足で会った……」
「え……あ、う、うん。そう、だよ」
「やっぱり!」
くりっとしたおおきな目を細めて、柔らかな笑みを浮かべる。
——あ……っ。
「私、吹屋唯っていうの! よろしくね、サーターアンダギーの神さまさん!」
- ふたりでいること 【Episode 8】 ( No.10 )
- 日時: 2016/08/30 15:12
- 名前: はるたに (ID: DSoXLpvQ)
【Episode 8】
「お疲れさまです」
「お疲れさまデーッス!」
まったくトーンの違うふたり組が、声をそろえて出入り口で挨拶した。部員は帰り支度をしながら、各々でそれに返事をする。
「じゃ、行こっか。唯」
「うん」
満面の笑みを浮かべて、ふたりは外靴に履き替え、最寄り駅へと足を向ける。
基本的に、午後6時までに片付けをすべて終わらせ、帰宅の準備を開始する。遅いか早いかと言われたら、きっと遅いのだろうが、いまは夏。6時といえど、まだまだ空は明るかった。
「今日も、唯の演技よかったわよ! わたし、やっぱり唯の演技好き!」
「えへへへ、ありがとう。私も、珠理の照明、好きだよ」
「ほんと!? やだなぁ、照れるよ」
にやにやしながら頭をかいているのは、深田珠理。唯と同じ、栄黎高校演劇部2年生で、照明を担当している。
入部して数ヶ月で、彼女とは仲良くなった。趣味や性格は違うが、お互いの価値観に、似たものを感じている。
母親がフランス人らしく、かなりの美人さんだ。ただ、育ちは日本らしいので、フランス語はあまり話さず、日本語をぺらぺらと喋る。
余談だが、スタイル・発育ともに、申し分ない。
「なんで珠理は、演技をしないの? 珠理が舞台に立ったほうが、見栄えもいいだろうに」
こっくりと首を傾げ、彼女と知り合って何度目かの、このセリフを言ってみる。おだてられて気分がよくなっている今回こそ、答えてくれるかも、という期待を抱いて。
しかし、それすらお見とおしなのか、珠理はにやり、と意地悪く笑った。
「何度聞かれても、わたしは答えないからね♪」
「ううぅ……なによ、珠理の意地悪……」
がっくりとうなだれると、くすくすと笑う声が聞こえる。珠理が面白がって笑っているのだろう。まったく、意地の悪い……。
「珠理が舞台に立ったら、絶対輝けるのに……」
高い位置でポニーテールにまとめ上げられた、美しいプラチナブロンドの髪。透きとおるような、マリンブルーの瞳。滑らかな白い肌。きゅっと結ばれたくちびる。どこを取っても、演劇部でいちばん、華のある女性だ。
こんな彼女が裏方なんて、もったいない気がする。
「お芝居が嫌いなの? それとも、まわりに下手って言われたとか?」
「なに言ってるの、唯ってば」
駅のホームへ向かうための階段を上りながら、珠理は動揺したようすなど見せず、唯の質問に答える。
「お芝居は大好きよ。だから、演劇部に入ったの。下手って言われたこともないかな」
改札をくぐりながら、珠理はいつもと変わらぬ風で、口元に笑みを浮かべながら、話してくれる。
しかし、唯からしてみれば、芝居が嫌いなわけでも、下手なわけでもないのに、なぜ舞台に立たないのか、ますます分からなくなった。舞台に立つと緊張するから無理という理由では、なさそうだし……。
よっと速歩で歩く珠理を、唯はあわてて追いかける。
「じゃあ、なんで……?」
珠理の背中に問いかける。
彼女はすこし間を置いてから立ち止まり、美しくきらめくポニーテールを、犬のしっぽみたく揺らして振り返り。
「ひーみーつ♪」
悪戯っぽく、口元に人差し指を立てながら言った。
- ふたりでいること 【Episode 9】 ( No.11 )
- 日時: 2016/08/30 15:27
- 名前: はるたに (ID: DSoXLpvQ)
【Episode 9】
「あっ、平井じゃん! やっほー!」
「あ?」
顔をしかめて、声のほうを振り返ると、ついこの間見た奴が、馬鹿みたいに手を振っていた。
「なに、向井。なんか用?」
「用事がないと、話しかけちゃ駄目なのかよっ」
「そうだね、鬱陶しいから」
「酷っ!?」
「ちょっ、うるさいっ。響くでしょ」
しっ、とくちびるの前に人差し指を立てて、なつきは表情を険しくさせる。
話しかけてきた奴・向井隼は、亀のようにしゅんと首をすくめた。
「わ、悪い……」
「まったく、あんたってば……」
ため息をついてから、なつきは気を取り直して。
「向井も聴きに来たのね」
「ああ。やっぱり母校の現状って、気になるじゃん」
「うん」
なつきは頷いて、視線をステージに移す。午後のため、既に反響板も合唱台も、セットされた状態が広がっている。
「なんか、懐かしいね」
「俺らもあのステージで歌うけどな」
にやっとしながら、隼もなつきと肩を並べて、ステージをながめる。マイクの位置確認や、ピアノの微調整のために、係のひとたちがあちこちで動いている。
入口では、参加団体と観客でごった返している。今年は、比較的来ているひとが多い気がする。
「そうだね。明日は、あそこで歌う」
「部門が違うから、俺らは当たんねえけどな」
「そっち、常連固まってる印象だから、大変そう……」
今回のコンクールの高校の部は、参加人数事に部門が分かれている。なつきの学校は比較的少人数で歌うため、隼のように強豪で大人数で歌う学校とは、部門が異なる。
ちなみに、実は強豪の偏りは特にない。どちらも、強豪のかたまりかたは似たようなものだ。
「んー、そうでもないぞ。そういうとこは、だいたいシード校だしな」
「まあ、そうだけどね……」
「それより、俺は霧ッ乃のが心配だわー。今回、出番前のほうだし……」
嫌そうな顔をしながら、隼が手近な関に座り込む。なつきもそれにならい、彼の隣の席に、腰を下ろした。
「去年、中部止まりだったから……今年は、全国まで行って欲しい」
「それ、本人たちに言って、無駄なプレッシャーかけちゃ駄目だからね」
入口で受け取ったパンフレットを開き、演奏順番を確認しながら、念のために釘を打っておく。隼は図星だったのか、潰れた蛙みたいな声を出す。
「う、うるせえな……」
「あ、四城中、最初じゃん。キタコレ」
「俺の話、聞く気ないだろ」
じとーっとした視線を感じ、なつきはパンフレットから顔を上げた。
- ふたりでいること 【Episode10】 ( No.12 )
- 日時: 2016/09/08 20:57
- 名前: はるたに (ID: DSoXLpvQ)
【Episode 10】
「栄黎!? 栄黎受けるの!?」
「うん」
こっちをじーっと見つめてくるなつきに、唯は思わず照れ笑いをしてしまう。
すると、予想外なことに、なつきはがくっとその場に崩れ落ちてしまった。
「ちょっ、なっちゃん!?」
驚きの声をあげながら、そっとなつきに寄り添う。肩を優しくなでながら、唯は問いかける。
「ど、どうしたの、なっちゃん? 私が栄黎受けるの、そんなに嫌……?」
なにか、栄黎に行かないほうがいい理由でもあるのかな。
なつきの行動に、胸をどきどきさせていると、なつきがうつむいたまま、ぽつりとこぼした。
「あ、あたし……栄黎なんて、無理だよ……」
「…………へ……?」
「あたし、栄黎なんて行けないよっ?」
勢いよく上げられた顔には、うるうると潤むふたつの瞳があった。唯のどきどきが、徐々に収まっていく。
半泣きになりながら、なつきはぽつぽつとことばを繋ぐ。
「一緒の、とこ……行きたかった……のに……勝手に、決めちゃう……なんて……」
「なっちゃん……」
またうつむいて、なつきは声を震わせる。
なつきの気持ちは、唯もよく分かる。彼女と一緒にいる時間は凄く楽しいし、家族と過ごしているときより、楽しい瞬間さえある。家族といるときより楽しいなんて子と、そうそうないと思う。
趣味がいっしょというわけではなかったが、共にいる時間が、宝物みたいにきらきらしていた。
(なっちゃんってば……)
思わず、口元に笑みが浮かぶ。ほんとうになつきらしい理由だ、ショックの受け方もオーバーで……。
ちいさい子を見るような温かい目で、唯は諭すように語りかける。
「ねえ、なっちゃん」
唯の呼びかけに、なつきの肩がびくっと跳ねた。
ゆっくり、ゆっくりと視線をこちらに戻してくれたのを確認し、唯はまず、思ったことを包み隠さず口にする。
「ありがとう、なっちゃん。そんなふうに言ってくれて嬉しい。でもね、なっちゃん。——それはわがままだよ」
唯のことばに、なつきの動きがぴたりと硬直したように見えた。
「私は、私のやりたいことや目標があって、栄黎を受けるの。それは、なっちゃんが口出しすることじゃないよ」
「ゆい……?」
目を見開いたまま、なつきは凍りついてしまったようだ。絞り出すような掠れた声で、なつきは唯の名を呼ぶ。
なにかにおびえるように、瞳を揺らす彼女を安心させようと、唯はにっこり。
「でも、私もまだまだなっちゃんと学校生活、エンジョイしたい!」
そう言ったとたん、今度は明らかに動揺する。眉根を寄せ、意味が分からないといったように首を傾げる。さっきとは違い、必死でこちらのことばの意図を、理解しようとしてくれているようだ。
「え、えっと……?」
「だって私、なっちゃんのこと大好きだもん!」
ぴくり、となつきの肩が動く。
「高校も、なっちゃんと同じがいいって気持ちは、私にもある。だから!」
ぱっとなつきの手を取り、まだすこし潤んでいる彼女の目を、まっすぐ見つめて。
「私と一緒に、勉強しよ?」
「………………へ???」
- ふたりでいること 【Episode 11】 ( No.13 )
- 日時: 2016/09/08 21:30
- 名前: はるたに (ID: DSoXLpvQ)
【Episode 11】
未練たらたらだなって、自分でも思う。
でも、どうしても考えずにはいられないから、面倒くさい。
課題をわきに置いて、写真立てにおさまっている写真を眺める。
制服姿でカメラにピースサインを向ける、唯となつき。
卒業式の日の、写真。
「はあああぁ……」
この頃は、毎日会えたのに……。
いまは、次にいつ会えるかどうかも、分からないような状態なのに。
(くそぅ……昔のあたし、贅沢過ぎる……)
当たり前のように、毎日唯と会話していた自分が妬ましい。
写真立てを伏せ、机に突っ伏していたなつきは、ふたたびからだを起こし、課題に向き合う。
去年のいまごろは、なつきに会って、楽しく喋っていたはずなのに。
(去年のあたしも、なかなかに贅沢だったなあ……)
毎週唯に会えていたなんて、ずるい。
「……あいたい、」
ぽつり、となにげなく、くちびるから漏れた声は、思ったよりも掠れていた。