BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】
日時: 2016/09/02 13:34
名前: 我 (ID: DVcR0E4k)

朝倉の兄弟です。
長く続けるようにがんばろうと思います。


主な登場人物

カイジ
寂れた廃ビル街にひっそり暮らしている住人の1人。家をなくした者、身寄りのない者、名前が無い者が集まる。情報屋集団の幹部。金髪右分けの髪。童顔。悪戯好き。スリが上手い。背は平均より少し低い。

赤澤 健人
服の上からでもわかる筋肉。柔道黒帯で体格が良い。サングラスをかけていて、元ヤン。黒髪短髪に青いキャップを被っている。身長は高い方。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.18 )
日時: 2016/09/14 16:22
名前: 我 (ID: aW5Ed34M)


「……何かあったらお前を起こす。これならいいか?」

「何かある前に俺の目は覚める」

暫くの沈黙の後、青年を寝かせるために男が条件を出すが、即答で軽くあしらわれた。確かに道具の揃わない静かな街で育っていれば成長の仕方も変わり、青年の住むペリシータウンの情報屋集団は何かしら五感が優れていて、青年の言っていることは事実に等しかった。
彼等はちょっとした物音でも耳に入れば目が覚めてしまうのかもしれない。

「お前が寝るまで俺はここにいる」

「アンタが居たら寝ないって言ってるでしょ?記憶力ないの〜?」

青年の目をまっすぐ見て言う男。青年は男に目もくれず、ふざけた様子でへらへら笑い頭の横で指をくるくると回す。
男はベッドの端に腰掛けると、後ろにいる青年を見て片手を伸ばす。
咄嗟に青年は身体を強ばらせたが、その手は青年の頭に乗って、青年の頭を優しく撫でた。

「……な、に…え、なに?」

「俺はずっとお前の味方でいるからな」

キョトンとした青年は我に返ると手を払いはしないが疑問だけを言葉にする。男は、そんな青年を愛おしく思うのと同時に気持ちを言い出せないもどかしさに眉を寄せて、青年から顔を逸らして上記を呟く。
青年は聞こえているのか、聞こえていないのか、変わらず疑問の声を上げていた。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.19 )
日時: 2016/09/15 12:58
名前: 我 (ID: aW5Ed34M)

ふと、男はいい案を思いつき、青年を壁の方へ寄せると、自らが布団を首元まで被った。それを見た青年は「は?」と言う声と同時に首を傾げる。
男は“自分が寝れば青年も寝るのではないか”と考えたのである。大人はこれをして子供を寝かせる。子供よりはるかに大きく、脳も働いている青年だが、この様な教育を受けた経験は無いだろうと、考える。また、精神的に純粋な心を持っている彼等だからこそ、引っかかるかもしれないと思ったのだ。

「お前が寝ないなら、俺は少し寝るぞ。暇なら1人で遊んでろ。家からは出るなよ」

「えぇー?赤澤、アンタが誘ったんだから相手しろよ。俺、帰りたくなってきたし…」

それだけ青年の方を向いて言うと目を閉じる。男がたぬき寝入りを始め、青年は不満の声を漏らす。言葉の受け取り方によっては大変なことになるぞ、と男は内心思いながら、顔に出さず青年の様子を気配だけで伺う。

「……はぁ…邪魔だなぁ、よっと、と、と、うわっ!」

暫くしてため息を一つ零し、痺れを切らした青年はベッドの下に落ちている自分の鞄を取ろうと男の上を通ろうとするが、男も男で、青年がベッドから居なくなってはたぬき寝入りも意味をなさなくなると思い、寝たフリをしながらも、青年の片腕を掴むと元の壁の方へと押し戻す。
完全に男が寝ていると思っている青年は腕を引かれてバランスを崩す。
男の手を離そうとするがなかなか放れず青年は小さく唸り声あげた。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.20 )
日時: 2016/09/18 06:10
名前: 我 (ID: aW5Ed34M)

一時すると青年は潔く諦め座り直すと背中を壁に預け、男の寝顔を見ては部屋に唯一あるカーテンのかかっていない窓を眺める。窓から外を見つめる。
部屋の壁に掛けられた時計の秒針が動く音だけがする。青年の前で青年の片腕を掴みながら男は静かに寝息をたて始める。そこで漸く男が先程までたぬき寝入りをしていたとわかった青年だが、本当に眠ってしまった男を叩き起してまで怒りをぶつけようとは思わず、男が起きるまで見守ることにした。

だが青年も、ここ最近忙しく、2日ほどゆっくり寝ていない為陽が落ちるにつれ瞼が重くなる。情報屋である為、欠かせない情報収集を終えると、取引がまた始まる。青年の担当する区域の情報を全て書かれた手帳。その区域では欲しい情報ばかりが揃っている物だが、青年を見つけられない者はなかなか得られず、青年を死に追いやってまでその手帳を奪おうとする者は少なくない。また、それは青年に限らず、情報屋集団殆どがその対象であるのだ。
青年は男に“寝てはいる”と告げたが、嘘ではない。明け方ペリシータウンへ戻り、硬い作業台の様な機械の(平らな側面の)上に布だけかけられた所に仰向けになって目を瞑り眠りに入る。陽が出れば太陽の陽射しが硝子の無くなった窓から漏れてきて嫌でも起きる。たった10分〜20分の睡眠。ここ2日ほどはそれだ。
青年は、男が眠ってしまってはやることが無くなり、手帳の中の情報や、スケジュールを確認することも出来ず、外が夕焼け色に染まる頃、ベッドの上で足を伸ばして仰向けになれば瞼を落とした。

数分もしないうちに深い眠りへと落ちていった。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.21 )
日時: 2016/09/21 10:58
名前: 我 (ID: aW5Ed34M)

男が目を開けると辺りは真っ暗で何事かと思い、暗闇に目が慣れるのを待った。部屋に一つしかないカーテンの閉められていない窓から月明かりが部屋へ差し込んでいた。
暫らくすると男は自分が眠ってしまっていたことに気づいた。たぬき寝入りをしながらそのまま寝てしまった。情けない、という気持ちと、青年は帰ってしまっただろう、という消失感で胸が少し苦しくなった。
ふと、ベッドが狭い事に気づいて壁側を見ると、青年の横顔があった。あまりに驚いて目を点にしながら見つめてしまう。
静かに胸を上下させて、それ以外は固まったように動かない。あの後、青年も眠ってくれたんだと思うと嬉しかった男は密かに微笑む。
白い肌は汚れた街に住んでいるからか少し黒いところや、茶ばんだ埃などが付いているように見える。そんな白い肌に彼の金髪は良く似合う。優しく青年の頭を撫でると身じろぎのように顔を逸らした青年はまだ起きてはいないようで、安堵する男。
ふいに何かを思いついた男は、上体を起こすと素早く、青年に跨る形で青年の両サイドに膝をつく。顔の横に両手を付いて決して青年に負担がかからないようにしつつも、青年の顎を軽く動かしこちらを向かせ、青年の顔を正面からまじまじと見た。
長い睫毛が動く気配は無い。とても童顔である青年は知識があったとしても、本当の年齢はハッキリ分からない。青年自身も気にしたことがなく分からないらしい。

青年達のいる街は表向きには人が住んでいない街で、あるのは建設途中であった建物や廃ビル廃工場等だから、時計も無ければカレンダーも当然無いのだ。日付等分からない彼らはどうして携帯を持っているのか疑問に思う。だが、それは後ほど聞くとして、華奢な青年の可憐な表情を見つめていると男は変な気が湧いてくる。
そんな性癖は無いはずだと言い聞かせるが、滅多にないチャンスだ。
青年が起きるまで。片手で青年の頬を撫でると顔を寄せて、唇に口付けをする。ゆっくり離すと青年は変わらず寝息を立てていた。
頬を撫でた手をベッドに戻すと、青年を見つめて男は告げる。

「カイジ、お前が好きだ……」

静かに部屋に響いた声は直ぐに木霊することも無く空気に溶け込んだ。青年が眠っていれば言える告白も、青年が起きてしまえばきっと言えないだろう。いつも軽快に話し、口を滑らす青年の無邪気な笑顔を見た事は一度もない。けれど、好きという気持ちの他思い当たらなかった。
起きる気配の無い青年に脱力した男は元寝ていた所へ横になると、ため息を零して天井を見つめ、少し経つと上体を起こしてベッドから出る。
無防備な青年の姿にこの先が少し不安になる。

ふとベッドの方から窓へまっすぐ歩いて窓を通して外を見ると、遠くの方に廃工場が見えた。静かで綺麗な星が光り月明かりのあるこの夜に、あの街では建物の上を何かが飛んでいた。
見えたのはたった一瞬、自分の近くに虫が通っただけかもしれない。寝起きだから頭が回らないせいかもしれない。まだ夢を見ているのかもしれない。と思う中でも何処かアレが人かもしれないと頭の片隅では感じていた。

Re: この気持ちに気づいてる?【BL/オリジナル】 ( No.22 )
日時: 2016/09/24 00:41
名前: 我 (ID: aQG7fWp7)

ふと、男はあることを思い出し、青年の携帯を探す。青年の持ってきた鞄を探って見ると、手帳やら、茶封筒、1冊のノートとペン三本、空のビン等が入っていたが、携帯が見当たらなかった為、なるべく音を立てずに戻す。
鞄に無いということは、青年自身が持っているのだろうと、ベッドに膝をついて青年に寄ると、ゆっくり布団を上げる。

どうして、ここまで青年の携帯を探すのか。
それは青年の住むペリシータウンの住人で、情報屋集団のトップ(長)は、誰よりも彼等を大切に思い、大切に思うが故に非情にもなれる男で、彼等が何も言わずに姿を消したとなれば拉致、誘拐に遭ったと、鬼の形相で梟の様に音を立てずに飛んで探し、亡霊の様に現れる。彼らの言葉以外は信用しない。裏切られれば一瞬で狩られる。
一度しか会った事は無い彼等の長だが、曇った瞳の奥には闇があるように見えて、表情も声音も変えない男で、ロボットかとも思ってしまった。生きてる人間の感じがしなくて恐怖を感じた。
だからこそ、青年がここにいることを彼等の長に伝えようと携帯を探すことにしたのだ。


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